法事にふさわしいお菓子・マナー~おすすめから選ぶときの金額・渡し方まで解説
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- 【 法事・法要の基礎知識 】
法事のお供え物として定番のお菓子ですが、「どんなお菓子がよいのか」「適切な金額は?」など、疑問に思う方も多くいらっしゃるでしょう。法事では、仏壇に供えたお菓子を参列者で分けることもあり、持参するお菓子には特に気を配りたいものです。
今回は、法事にふさわしいお菓子について、具体例や金額相場、掛け紙のマナーなどを詳しく解説します。法事への参列を控えている方や、法事の準備をしている施主様は、ぜひ参考にしてください。
【もくじ】
1.法事でお菓子を供える意味
そもそも法事とは、僧侶による読経などの宗教的儀式(法要)と、その後の食事の席などを含めた総称です。なぜ法事では、お菓子を供えることが多いのでしょうか。ここでは、法事でお菓子をお供えする意味について解説します。
お供えは故人様の死後の安寧を願う「供養」の一種
供養とは、もともと僧侶や修行僧に食べ物や衣服などを提供する行為を指していました。現在では、故人様やご先祖様の冥福を祈るために、法事を営んだり、お供え物を捧げたりする行為全般を意味するようになっています。
日本では、仏教の教えとともに「供養」の考え方が定着し、お菓子をお供えすることも故人様の死後の安寧を願う大切な行為のひとつとされてきました。
法事のお供え物はお菓子がおすすめ
法事でお菓子がお供え物に選ばれる理由は、時代とともに変化しています。かつては砂糖が貴重品であったため、お菓子を供えることは故人様やご先祖様へ特別な敬意を示すことにつながりました。
現代では、実用的な理由から選ばれることも多くなっています。たくさんの参列者からお供え物が贈られることがあり、お菓子であればその場で参列者の方々と分け合ったり、持ち帰ってもらったりすることができるためです。
伝統的な意味合いと現代的な利便性の両面から、お菓子は法事のお供え物として好まれているといえるでしょう。
2.法事のお供えにふさわしいお菓子とは?
法事のお菓子は、どのようにして選べばよいのでしょうか。法事のお供えにふさわしいお菓子の選び方のポイントを、以下より解説します。
故人様が好きだったお菓子
故人様が特に好きだったお菓子を選ぶことで、故人様をしのぶ気持ちをより深く表現できます。たとえば、故人様が特定のお店のお饅頭が好きだった場合、その饅頭をお供えすることで、故人様との思い出がよみがえり、ほかの参列者とも想いを共有できます。
皆が食べやすい一般的なお菓子
法事の場で、参列者が持参したお菓子を食べることもよくあります。法事には、小さいお子様から高齢者まで、さまざまな年齢層の方が参列します。皆が食べやすいものを選ぶことで、誰もがお菓子を楽しめるでしょう。
個別に包装されたお菓子
個別に包装されたお菓子がお供えにふさわしい理由は、いくつかあります。まず、仏壇に供えるときに懐紙(かいし)などを下に敷く必要がなく便利です。その場で食べる際も、直接手で触れずに取り分けられるため、衛生面での安心感があります。
さらに、参列者に配りやすく、持ち帰りやすい利点もあります。ご家族や参列者の人数を考慮して用意すれば、より心遣いが伝わるでしょう。
賞味期限が長いお菓子
法事に持参したお供え物は、通常、仏壇に供えられます。供えられたお菓子は、しばらくの間、そのまま置かれることが多いため、賞味期限が長いものがよいでしょう。お菓子は法事後に参列者に配られることもありますが、その場合でも賞味期限が長ければ、参列者が持ち帰って自宅でゆっくり味わうことができます。
祝い事をイメージさせないお菓子
法事は、故人様をしのび、静かに追悼する場であるため、華やかで派手なお菓子は不適切です。たとえば、赤や金色などの派手な色合いのお菓子は避け、落ち着いた色合いのものを選びます。包装紙や箱も、シンプルで上品なデザインのものが適しています。
地域特有のお菓子
地域の銘菓を持参するのも選択肢のひとつです。特定の地域でしか手に入らない珍しいお菓子は、ご遺族に喜んでいただけるでしょう。故人様に縁の深い地域の銘菓を選ぶことも、ご家族や参列者とともに故人様をしのぶきっかけになるためおすすめです。
3.法事に持参するお菓子の金額はいくら?
法事に持参するお菓子の金額は、一般的に3,000円~5,000円が相場だとされています。
お香典は、三回忌、七回忌、十三回忌と年月が経つにつれて金額が徐々に下がっていく傾向にあります。しかし、お供え物は、法事の種類によって金額が大きく変動することは少ないようです。
ただし、お供え物の金額は、故人様との関係性や地域・ご家族間の慣習などで左右されるケースが多くあります。お菓子を持参する際に金額が心配なときは、前例や慣習に関して詳しい方に確認するとよいでしょう。
4.法事のお供え物におすすめのお菓子
法事にふさわしいお菓子の選び方や金額相場を解説しました。ここからは、具体的におすすめのお菓子をご紹介します。
和菓子
法事に供えるお菓子として、日本の伝統的な和菓子を選ぶ方が多いです。以下に、その和菓子の代表例と理由を解説します。
落雁(らくがん)
法事のお菓子の定番で、賞味期限が1カ月~1年程度と長期間保存が可能です。蓮や菊の形をしたものが多く、蓮の花は仏教において悟りや浄土を象徴します。白い砂糖が使用されており、故人様を想う純粋さや清浄さを表現できます。
まんじゅう・大福
まんじゅうや大福は個包装されているものが多いため、参列者に配りやすい利点があります。また、丸い形は「円満」や「調和」を象徴し、故人様やご先祖様との円満な関係や、ご家族の調和を願う気持ちを込められます。
ようかん
ようかんは、種類によって賞味期限が異なりますが、あんこだけで作る練りようかんの場合、賞味期限が数カ月~1年ほどと長期間保存が可能で、切り分けがしやすい点も評価されています。
おかき・せんべい
個包装されているものであれば、参列者に配りやすく、長期間日持ちもします。ご家族に高齢の方がいる場合は、硬いものは避け、濡れせんべいやほかのやわらかいお菓子を検討するとよいでしょう。
洋菓子
洋菓子は、小さなお子様でも食べやすい点が魅力的です。おすすめの洋菓子の代表例と理由を解説します。
クッキー・ビスケット
数カ月~1年程度の長期間保存が可能で、個別包装されていることも多いため、衛生的で扱いやすい点が好まれています。
マドレーヌ・フィナンシェ
賞味期限は約2週間~4週間で、クッキーほど長くはありませんが、個包装されている物が多く、参列者に分けやすい利点があります。ソフトな食感で、幅広い年齢層に喜ばれるお菓子です。
ラスク
乾燥させたパンやケーキを使ってつくられているため長期間保存が可能で、仏壇に供えても品質が保たれやすいお菓子です。歯ごたえがありつつも硬すぎないので年配の方にも食べやすく、軽い食感が幅広い年齢層に支持されています。
和洋折衷のお菓子も人気
和菓子と洋菓子の要素をあわせ持った、和洋折衷のお菓子も人気があります。
カステラ
カステラは歴史的にはポルトガルから伝わったお菓子で、もともとは洋菓子として日本に紹介されました。しかし、長い年月を経て日本で独自の発展を遂げ、現在では和菓子としても幅広い世代に親しまれています。
抹茶ババロア・チョコレート最中など
抹茶ババロアやチョコレート最中など、和洋折衷のお菓子は、見た目も華やかで、幅広い年齢層に喜ばれるため、法事の場でも好まれます。和風の素材を使った洋菓子や、洋風のアレンジを加えた和菓子などを検討してもよいでしょう。
夏の法事におすすめのお菓子
夏季にはお盆があり、長期休暇に合わせて法事を行う家庭も多くあります。高温多湿の季節のため、お供えするお菓子は常温で保存できるものを選ぶことが重要です。こちらでは、暑い季節に適したお菓子をご紹介します。
ゼリー
涼しげな見た目と爽やかな味わいが魅力です。のどごしが良く、暑い時期でも食べやすい食感から、暑い季節にぴったりのお菓子です。
水ようかん
透明感のある見た目と、ひんやりとした口当たりが印象的な和菓子です。伝統的なお菓子であるため、法事の場にもふさわしく、夏季のお供え物として好まれています。
5.法事で贈るお菓子の包装・掛け紙・書き方
法事でお菓子を贈るとき、包装や掛け紙はどのような点に注意すればよいのでしょうか。表書きや名前の書き方もあわせて解説します。
掛け紙の種類
法事で贈るお菓子には、掛け紙(のし紙)をかけるのが一般的なマナーです。弔事では、のしの飾りのない「掛け紙」を使う点に注意しましょう。
掛け紙の水引は「結び切り」を使用します。結び切りは一度結ぶと解けないことから、再び悲しみが繰り返されないようにとの願いが込められています。水引の色は、黒白が一般的です。四十九日以降の法事では、黄白の水引を使用する地域もあります。
表書き
「御供」「御供物」は、宗派を問わずに使える表書きです。浄土真宗以外の宗派では、四十九日前までは「御霊前」、それ以降は「御仏前」を使う場合もあります。地域や宗派によってお供え物の表書きの書き方が異なることもあるため、不安な場合は事前に確認するとよいでしょう。
送り主の名前の書き方
水引の下に、贈り主の名前をフルネームで書きます。これにより、受け取った側が誰からの贈り物かすぐにわかります。
連名で贈る場合、たとえば夫婦で贈るときは、夫のフルネームを右に、妻の名前を左に書きます。3名以上の連名の場合は、「〇〇一同」や「有志一同」と記載し、全員の名前を別紙に書いて添えましょう。
四十九日より前の法事では、涙で墨が薄くなったとの意味合いを込め、薄墨を使用するのが一般的です。
包装(ラッピング)
法事のお菓子の包装紙には、派手なデザインは避け、白や淡い紫、グレーなどの落ち着いた色合いのものを選びます。なお掛け紙は、お菓子を包装紙で包んでからかけます。包装紙の上から掛け紙をかける方法を「外のし」といい、誰からの贈り物かが一目でわかります。
6.法事のお菓子の渡し方
お供え物のお菓子をそのままの状態で渡すのは、礼儀に反します。無地の紙袋に入れる、あるいは、弔事用の地味な色の風呂敷に包んで持って行くのがマナーです。
法事の会場に到着したら、仏壇などに直接供えるのではなく、受付の方か施主様に渡します。その際、紙袋や風呂敷から出して両手で手渡ししましょう。「ご仏前にお供えください」などと一言添えると丁寧です。
7.法事のお菓子を郵送するときのマナー
法事に参列できない場合、お供え物としてお菓子を施主様に郵送することもあります。そこで、お供え物のお菓子を郵送するときのマナーについて解説します。
到着するタイミングに注意する
到着日時を指定して、法事の前日までに到着するように手配しましょう。前日までの到着であれば、確実に法事の場でお供えできます。また、ご遺族が法事の準備に追われる前に、スムーズにお供え物を受け取ることもできるでしょう。
挨拶状を添える
郵送するお菓子には、挨拶状を添えることが大切です。たとえば、「この度は、参列できずに申し訳ありません。心ばかりのお供え物をお送りいたしますので、ご仏前にお供えください」といった文面が適しています。
送り先を確認する
郵送先は、ご遺族の自宅ではなく、法事が行われる場所のほうが適している場合もありますので、事前に確認しておくことが重要です。
「内のし」にして梱包にも気を配る
お菓子を直接持参する場合は包装紙の上から掛け紙をかけますが、郵送する場合は、掛け紙が破れたりしないよう、お菓子の箱に掛け紙をかけてから包装紙で包む「内のし」にします。お菓子が破損しないように、必要であればクッション材などを入れて丁寧に梱包し、外箱には「割れ物注意」などの表示を付けるとよいでしょう。
8.【施主様】法事の引き出物・お返しのお菓子の選び方
ここまで、参列する方に向けて法事のお菓子について解説しました。ここからは、施主様に関係する法事のお菓子について説明します。
法事で施主様がお菓子を渡す場面とは
施主様は、法事に参列してくれた方々に対し、その感謝を込め、引き出物としてお菓子を用意することがあります。これらのお菓子は「引き菓子」とも呼ばれ、参列者全員に配られます。また、参列者からお香典をいただいた場合、施主様が香典返しとしてお菓子を渡す場合もあります。
なお、一周忌以降の法事では、お香典へのお礼の品を「香典返し」とは呼ばず、「お返し」と呼ぶケースが多いようです。
用意するお菓子の金額相場
施主様が用意するお菓子の金額相場を、「引き出物」と「香典返し・お返し」に分けて解説します。
引き出物の相場
法事へ参列したお礼となる引き出物の金額は、2,000円~5,000円が相場とされています。この相場は、忌中でもそれ以外でも、また年忌法要の種類で変わることはありません。ただし、法要後に食事の席を用意せず、仕出し弁当などを渡すだけの場合は、やや高めの引き出物を渡すこともあるようです。
香典返し・お返しの相場
法事にいただいたお香典に対する香典返し・お返しの相場は、一般的にいただいたお香典の金額の約半分程度(半返し)とします。これは、葬儀における香典返しの値段の決め方と同じです。
施主様が食事の席を設ける場合でも、会食費はおもてなしの費用と考え、お香典の約半分の品物を用意します。お香典に加えてお供え物などをいただいた場合も、品物分の金額をプラスして香典返しをする必要はありません。
ただしご親族や地域によって香典返し・お返しの金額の考え方が異なる場合もあるため、前例や慣習を事前に確認しておくとよいでしょう。
参列者に渡すお菓子を選ぶポイント
まず、持ち運びのしやすさを考慮しましょう。法事の当日に持って帰っていただくことを前提に、軽くて大きすぎないものを選ぶことが適しています。
幅広い年齢層が楽しめるお菓子を選ぶことも大切です。特定の好みに偏らない、一般的に人気のあるものを選べば、より多くの方に喜んでいただけるでしょう。さらに、賞味期限が長いお菓子であれば、受け取った方が急いで食べる必要がなく、安心して保管できます。
9.【施主様】法事における僧侶へのお菓子
法事で、僧侶に読経などを依頼したとき、お礼としてお菓子を渡すことがあります。また、到着時や読経後に、お茶と一緒にお菓子を出すこともあります。ここでは、施主様が僧侶のために用意するお菓子について解説します。
僧侶へのお菓子を選ぶポイント
僧侶にひと息ついていただくためにお菓子やお茶を出しても、僧侶がお菓子を口にしない場合もあります。そうしたときは持ち帰っていただきますから、その場で出すお菓子にしても、お礼で渡すお菓子にしても、持ち帰りがしやすく、型崩れのしにくいお菓子を選びます。
その場でも食べやすく、お寺に持ち帰って分けることもできるように、一口サイズの個包装で、すぐに食べなくてもよい日持ちのするお菓子がおすすめです。
僧侶への茶菓子の出し方
僧侶には、通常、到着時と読経が終わったあとにお茶と茶菓子を出します。到着時と読経後で異なる種類の茶菓子を用意すると、より丁寧なおもてなしとなります。
僧侶に茶菓子を出す際は、菓子皿に乗せて出しましょう。個包装のお菓子の場合は、菓子皿に直接乗せて出すことができます。個包装でないお菓子は、懐紙を敷いてお皿に乗せ、菓子ようじとともに出します。
懐紙は、携帯用の小さな和紙ですが、仏事で使う際には特定の折り方があります。まず、懐紙を縦に半分に折ります。このとき、折り目が手前に来るようにします。次に、上の紙を少し左にずらし、左下がりになるように折ります。
お菓子の包装・掛け紙(のし)
僧侶へ渡すお菓子には、掛け紙をかけるのがマナーです。掛け紙は、氏名がわかりやすいように包装紙で品物を包んだあとからかける「外のし」とし、水引は白黒または黄白の結び切りを選びます。表書きには「御礼」や「志」と書くのが一般的です。地域や宗派によってマナーが異なる場合があるため、心配なときはお寺に聞いてもよいでしょう。
10.法事のお菓子に関するQ&A
お菓子は、比較的参列者の人数が多く、法事後に参列者に配ることが想定される場合に適しています。お菓子には、日持ちがしやすく、個包装されているものが多くあるからです。
一方、果物は季節感があるため、特に故人様が好きだった果物を供えると仏壇が華やかになります。またリンゴやミカン、ブドウなどの丸い形の果物は「故人様との縁を結ぶ」という意味があり、縁起がよいとされます。ただし、果物は傷みやすいものもあるので、夏場は避けて日持ちする種類を選ぶことが大切です。
- ・賞味期限が極端に短い
- ・冷蔵・冷凍が必要
- ・香りが強すぎる
- ・派手な色合いやデザイン
冷蔵や冷凍しなければならないお菓子は、保存が難しく、参列者に持ち帰っていただくことができません。また仏教では香りの強い食べ物は修行の妨げになるとされているため、不快に思う方がいらっしゃるリスクがあります。
また、偶数は割り切れるため「縁が切れる」ことがイメージされるため奇数がよいとの考え方もあります。しかし、8は「末広がり」で縁起がよく、例外とされています。ただしご家族によっては、個数を気にしない場合もあります。
地域やご家族によっては、弔事にバウムクーヘンを使うことが許容される場合もありますが、特別な思い入れがないのであれば、避けたほうがよいかもしれません。
11.法事のお菓子は故人様や受け取る方を想って選びましょう
法事でお菓子をお供えする意味は、ご家族とともに故人様を供養することです。参列者は故人様を想い、ご家族の負担にならず、喜んでいただけるお菓子を選びましょう。
施主様は参列者や僧侶の立場に立ち、相手を思ってお菓子を選ぶとよいでしょう。互いに相手を思いやってお菓子を選べば、法事にふさわしく、喜ばれるもてなしができるはずです。
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