忌明けの挨拶状はいつ誰に送る?書き方や送り方、文例も紹介

忌明けの挨拶状はいつ誰に送る?書き方や送り方、文例も紹介

忌明けに送る挨拶状について、「挨拶状は必要なのか」「どう書けばよいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。初めて挨拶状を送ることになり、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、忌明けの挨拶状について、送る相手やタイミング、書き方のポイントを詳しく解説します。ケースに合わせた文例もご紹介しますので、忌明けを控えて挨拶状の準備をしようと考えている方は、ぜひ参考になさってください。

1.忌明けとは?宗教・宗派による違いも解説

忌明けとは?宗教・宗派による違いも解説

忌明けの挨拶状についてご説明する前に、そもそも忌明けとは何かを、宗教・宗派による考え方や期間の違いもあわせて解説します。

忌明けの意味

忌明けとは、故人様が亡くなった後、ご遺族が忌服期間(忌中)を終えることを指します。「忌中」は「中陰」とも呼ばれ、多くの仏教宗派では、この期間に故人様の魂が裁きを受け、四十九日目に極楽浄土に行けるかどうかが決まるとされています。​

忌中とは、ご遺族が故人様が浄土に行けるよう祈り喪に服する期間で、お祝いごとなどを避けるのが習わしです。忌明けには、多くのご遺族が四十九日法要を行い、日常生活に戻ります。忌明けは、ご遺族が一歩を踏み出し、新たな生活を始める節目ともいえます。

宗教ごとの忌明けの考え方・期間

さまざまな宗教において、故人様を想い、祈りをささげる期間や儀式が定められています。ここでは、主な宗教における忌明けの考え方や期間を解説します。

仏教

前述のとおり仏教では、故人様の死後、四十九日目が忌明けとなります。ただし、浄土真宗では、亡くなった人はすぐに極楽浄土に往生すると考えられているため、忌明けという考え方はありません。

神道

神道では、故人様の命日から50日目が忌明けにあたり、故人様の霊を家の守護霊として迎えるための儀式である「五十日祭」が行われます。

キリスト教

命日から30日目にカトリックでは「追悼ミサ」を行います。また、プロテスタントは命日から1ヵ月後に「召天記念」を行うのがならわしです。これらの儀式が、各宗派における忌明けに相当するとされています。

2.忌明けの挨拶状はなぜ必要なのか

忌明けの挨拶状は、故人様を気にかけてくださった方に対して、お香典や弔問に対してのお礼を伝え、四十九日法要を終えたことを報告するものです。単なる形式的な連絡ではなく、故人様を大切に思ってくださった方との絆を大切にする行為といえます。

挨拶状に入れる内容については、この後の「忌明けの挨拶状に書く内容」でご説明しておりますので、そちらをご覧ください。

3.忌明け挨拶状はいつまでに送る?

忌明けの挨拶状は、四十九日法要が終わったタイミングで送るのが一般的です。香典返しを送るときに、挨拶状も付けて送ることが多いですが、挨拶状のみを送るケースもあります。

忌明けの考え方のない浄土真宗では、初七日から1ヵ月以内に送るという意見も聞かれますが、他の宗派と同様に49日目あたりに送っても問題ないでしょう。神道やキリスト教など、忌明けの概念やタイミングが異なる場合においても、49日目ごろに送られているのが実情です。

送る期限に関しては、「いつまでに送らなければならない」といった厳密なルールはありませんが、あまり遅くならないよう、早めに送るとよいでしょう。

4.忌明けの挨拶状に書く内容

忌明けの挨拶状に書く内容は、一般的におおよそ下記となります。

  • ・お香典や供花、供物、弔電などをいただいたお礼
  • ・四十九日法要等の忌明けの儀式を終えた(忌明けを迎えた)報告
  • ・(香典返しとともに送る場合)香典返しの品物を受け取ってほしい旨
  • ・直接のご挨拶でないことへのお詫び
  • ・日付
  • ・喪主様の氏名

「四十九日法要」は仏教用語ですから、宗教・宗派や地域によって適切な表現としましょう。

5.忌明けの挨拶状を出す相手

忌明けの挨拶状は、誰に送ればよいのでしょうか。挨拶状を出す相手について、詳しく解説します。

お香典をくださった方

忌明けの挨拶状は多くの場合、お香典をくださった方に送ります。特に忌明け後に香典返しを送る場合、挨拶状を添えるのがマナーです。

葬儀に参列いただけなかったとしても、お香典をいただいた場合は、香典返しとともに挨拶状を送ります。なお、香典返しに添える挨拶状は、「添え状」とも呼ばれます。

葬儀に参列いただいた方

お香典を辞退している場合や、すでに香典返しをお渡ししている場合でも、葬儀に参列いただいた方には挨拶状を送ることがあります。必ずしも送らなければならないわけではありませんが、あらためて参列いただいたことへの感謝を表すとより丁寧です。

供花や供物・弔電をくださった方

お香典の代わりにお供え物や供花などの贈り物、弔電をいただいた場合、香典返しを贈るかどうかはご遺族のお考え次第ですが、挨拶状は感謝の気持ちを丁寧に伝えることができるため、お送りすることをおすすめします。

故人様が生前お世話になった方には死亡通知を送る

故人様の知人へ葬儀のあとに故人様の訃報を書面でお知らせするときは、死亡通知(事後通知状)
を送ります。

死亡通知は、忌明けの挨拶状とは異なるもので、主に以下のことを伝える目的で送付されます。

  • ・故人様が亡くなったことの報告
  • ・葬儀が無事に終了したことのお知らせ
  • ・生前お世話になったことへの感謝の気持ち

6.忌明け挨拶状の書き方とマナー

忌明け挨拶状の書き方とマナー

忌明けの挨拶状を書くにあたっては、いくつか注意点があります。ここでは、書き方のマナーについて解説します。

句読点は使わない

忌明けの挨拶状で句読点を使わない理由は複数ありますが、その一つとして、江戸時代以前からの日本の伝統であることが挙げられます。文章の区切りを句読点の代わりに改行や空白で表現することで、読みやすさを保ちながら、格式を損なわない文面となるのです。

時候の挨拶を入れない

故人様を悼む真摯な気持ちを優先し、簡潔な表現をするため、時候の挨拶は入れません。一般的な挨拶状で用いられる「拝啓」「敬具」などの頭語・結語も省略することができます。

宗教・宗派によって使わない言葉・忌み言葉に注意

忌明けの挨拶状では、宗教や宗派の違いを理解したうえで、適切な言葉を選ぶことが重要です。主な注意点を解説します。

宗教によって異なる表現

仏教で使われる特有の表現は、他の宗教では用いられない場合があります。

たとえば、「成仏」「供養」「往生」といった言葉は、神道、キリスト教では次のように表現します。 

  • ・神道:帰幽、永別など
  • ・キリスト教:召天(プロテスタント)、昇天(カトリック)など

浄土真宗では使わない表現

仏教においては「霊前」「冥福」といった表現が使われることがありますが、浄土真宗では使用しません。浄土真宗では、亡くなるとすぐに故人様は浄土に生まれ変わり、阿弥陀仏の本願によって救われると考えられているため、死後の霊を慰めるという考え方とは異なる立場を取ります。

忌み言葉は使わない

忌み言葉とは、不吉な意味や不幸を連想させる言葉で、弔事において使用を避けるべき言葉です。以下に主な忌み言葉を表にまとめました。

【忌み言葉の種類と主な具体例】
忌み言葉の種類 主な具体例
死に関連する言葉 死/亡くなる/死去/死亡/死者/終わる
重ね言葉 たびたび/ますます/いよいよ/次々
繰り返しが連想される言葉 再び/繰り返し/何度も/重ねて
苦痛に関する言葉 苦しみ/痛み/辛い/苦悩/無念/辛抱
生に関連する言葉 生きる/生前/生命/存命/存在
不吉な言葉 生死/失われる/終息/終焉(しゅうえん)

7.忌明け挨拶状の用紙・封筒の選び方、送り方

忌明け挨拶状の用紙・封筒の選び方、送り方

忌明けの挨拶状における用紙や封筒、さらには折り方から封筒への入れ方を詳しく解説します。

用紙の種類

格式を重んじる場合は和紙の奉書紙がおすすめですが、便箋に書いてもよいでしょう。最近では、カードの挨拶状を使用する方も増えていますし、場合によっては、はがきでも問題ありません。

封筒の選び方と表書き

奉書紙に書いた挨拶状は奉書封筒に入れます。便箋の挨拶状であれば白い無地の封筒でかまいません。二重封筒は、不幸が重なることを連想させるため一重の封筒を選びましょう。香典返しに添える場合、封筒の表面には「ご挨拶」と記載し、裏面には喪主様の名前を書きます。

挨拶状の折り方と封筒への入れ方

挨拶状を封筒に入れる際の折り方は、横幅の長い奉書紙の場合は縦にして、きれいに間隔をそろえて折り重ねます。A4サイズの便箋などの場合は、三つ折り、もしくは四つ折りにして入れるとよいでしょう。

封筒への入れ方は、挨拶状を封筒から出したときに、折られた挨拶状が自然に開けられるようにして入れます。挨拶状のみを送る場合は、宛名を書いた封筒に直接入れても問題ありません。

8.忌明けの挨拶状をはがきで送るケース

はがきは、親しい友人や知人、形式にこだわらない相手に送るケースに適しています。シンプルで手軽に送ることができるため、挨拶状の枚数が多い場合にも有効です。ただし、故人様との関係が深く、正式な礼儀が求められる相手や、会社関係、目上の方には向かないことがあるため注意しましょう。

9.忌明けの挨拶状を送るときの切手

忌明けの挨拶状を送る際の切手は、どのようなものが適しているのでしょうか。封筒と、はがきの場合に分けてご説明します。

封筒で送る場合

封筒に貼る切手は、普通切手を使うとよいでしょう。現在、封書で送る料金(110円)と同額の弔事用切手は販売されていません。85円分の弔事用切手はありますが、不足分を普通切手で補うと、切手の枚数が増えて見た目がやや不格好になってしまいます。

はがきを送る場合

郵便局で販売されている弔事用切手(85円)は、控えめなデザインのため用途に適しています。普通切手を使用しても問題ありませんが、落ち着いたデザインや色合いのものを選び、華美な色合いのものは避けるようにしましょう。

官製はがきを使うことも可能です。コチョウラン(胡蝶蘭)など落ち着いた花柄の切手が印刷されたものは、感謝の気持ちを伝える際に上品で柔らかな印象を与えられます。

10.忌明けの挨拶状を手書きする場合に注意すること

忌明けの挨拶状を手書きで作成する場合は、毛筆で書くと気品が出ますが、筆ペンや黒いペンでも問題ありません。墨は四十九日までは薄墨を使うのが通例ですが、忌明け以降は濃い墨を使用します。ただし、地域によっては忌明けでも薄墨を使う風習があるため、事前に確認するようにしましょう。

11.忌明け挨拶状の文例集

最後に、さまざまなケースにおける忌明けの挨拶状の具体的な文例を、ケースごとの注意点とともにご紹介します。なお文例はサンプルのため横書きとしていますが、正式には縦書きとなります。

仏教(戒名あり)の場合

戒名は前後の文章と見分けやすいように、改行などを用いて記載します。仏教の四十九日は、「七七日忌(しちしちにちき)」「満中陰(まんちゅういん)」とも書くことがあります。

【文例】

拝啓
先般 祖父○○○○が永眠いたしました際には
格別のご厚志を賜り 心より感謝申し上げます

おかげをもちまして
○○(戒名)の七七日忌法要を 無事に営むことができました
つきましては 供養のしるしとして
ささやかな品をお送りさせていただきます

本来であれば 早々にお伺いしてお礼申し上げるべきところ
略儀ながら書面にて失礼いたします
今後とも 変わらぬご交誼を賜りますようお願い申し上げます
敬具

令和○○年○○月○○日
(喪主名)

仏教(戒名なし)の場合

挨拶状への戒名の記載は任意ですので、喪主様の判断で記載するかどうか決めてよいでしょう。
【文例】 

先日 私たちの大切な祖父○○が他界し
多くの方々から温かいご支援を頂き 心から感謝しております
その後 無事に四十九日を迎え
家族一同 故人の冥福を祈りながら過ごしております

つきましては お心遣いに感謝の気持ちを込めて
ささやかながら供養の品をお送りさせていただきます
どうぞお受け取りいただきますようお願い申し上げます

本来であれば、お一人お一人に直接お礼を申し上げるべきところ
略儀ながら書面にてご挨拶をさせていただきます

令和○○年○○月○○日
(喪主名)

仏教(浄土真宗)の場合

浄土真宗では、「成仏」「冥福」といった言葉を避け、「浄土に生まれ変わる」「阿弥陀仏の元に生まれる」などの表現を用います。また、「霊前」も使わない点に注意してください。

【文例】 

謹啓 
皆様には ご健勝にお過ごしのことと存じます
さて このたび祖父○○の四十九日法要を滞りなく終えることができました
これもひとえに皆様方から賜りましたご厚情の賜物と深く感謝申し上げます

浄土真宗の教えにより ○○は阿弥陀如来のお導きのもと
浄土に生まれ変わり 今も安らかに過ごしていることと思います
ここに賜りましたご厚志のお礼のしるしをお届けいたします

直接お礼を申し上げることができませんでしたことを
何卒ご容赦いただきますようお願い申し上げます
末筆ながら 皆様のご多幸とご健康を心よりお祈り申し上げます
謹白

令和○○年○○月○○日
(喪主名)

神道の場合

神道において、仏式の香典返しに相当するものは「御供物」「御玉串料」「偲び草(しのび草)」といいます。「成仏」「供養」「往生」などの仏教表現は使いません。

【文例】 

拝啓 
先日 父○○が帰幽いたしました際には
温かいご厚志を賜り 心より感謝申し上げます

おかげをもちまして 五十日祭を無事に執り行い
故人も神の元に帰り 安らかな眠りについております
つきましては ささやかながら偲び草をお送りさせていただきますので
何卒お納めいただけますようお願い申し上げます

本来であれば お目にかかり直接お礼申し上げるべきところ
略儀ながら書面にてご挨拶申し上げます
敬具

令和○○年○○月○○日
(喪主名)

無宗教の場合

無宗教の場合、仏式の「四十九日法要」に相当する儀式は「諸式」と表記します。宗教色の無い、相手への尊敬と感謝を込めた丁寧な言葉を使うことが大切です。

【文例】 

先日 母○○が永眠いたしました際には
あたたかいご厚意を賜り 心より感謝申し上げます

おかげさまにて 無事に諸式を終え
故人も安らかな旅立ちを迎えることができました
ささやかながら お礼の品をお送りいたしますので
何卒お受け取りくださいませ

本来であれば直接お伺いし 心よりお礼を申し上げるべきところ
略儀ながら書面にて ご挨拶をさせていただきます
今後ともご支援賜りますようお願い申し上げます

令和○○年○○月○○日
(喪主名)

家族葬を行った場合(参列いただかなかったケース)

近親者のみで家族葬を行った場合は、家族葬で執り行ったことの説明と、参列を控えていただいたことへのお詫びを伝えます。

【文例】

拝啓 
皆様には ご多忙のところ 故○○の訃報に際し
心温まるお悔やみの言葉を賜り 誠にありがとうございました
葬儀は故人の遺志により 近親者のみで執り行わせていただきました
ご参列いただけなかったことを深くお詫び申し上げます

去る○月○日に 四十九日法要を無事に終えましたことをご報告いたします
今後とも変わらぬご支援を賜りますよう よろしくお願い申し上げます
まずは 略儀ながら 書面をもってお礼申し上げます
敬具

令和○○年○○月○○日
(喪主名)

12.忌明けの挨拶状はマナーを押さえて感謝の気持ちを伝えましょう

忌明けの挨拶状は、お世話になった方々への感謝やお香典のお礼、そして故人様の供養に対する感謝を伝える機会です。お礼の気持ちをより丁寧に伝えるには、送るタイミンや書き方、送り方などについてのマナーを心得ておくことが大切です。

忌明けの挨拶状についての不安や疑問は、お気軽に花葬儀の相談窓口までお問い合わせください。花葬儀ではさまざまな香典返しの品を取り揃えており、香典返しの品とともに挨拶状を無料でお付けするサービスも行っています。喪主様に代わって挨拶状を手配することも可能です。細やかな配慮をもって感謝の気持ちを伝えるお手伝いをさせていただきますので、ぜひご連絡ください。

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