三回忌の挨拶をタイミング別に解説【文例付き】挨拶状の文面・献杯のスピーチも
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- 【 法事・法要のマナー 】
三回忌は、故人様が亡くなられてから2年後の祥月命日(亡くなった月・日が一致するとき)に訪れます。多くの仏教宗派で四十九日、一周忌に次ぐ重要な節目とされており、法要が行われることが一般的です。
しかし、三回忌法要を初めて経験する施主様や参列者は、「いつ挨拶をすべきかわからない」「挨拶では何を話せばいいのだろう」など不安を感じることがあるでしょう。
今回は、三回忌における施主様や参列者の挨拶について、具体的な文例を交えて詳しく解説します。三回忌の流れや挨拶状の書き方についても紹介しますので、三回忌法要を控えている施主様、そして参列者の方は、ぜひ参考にしてください。
1.三回忌法要の流れ・挨拶のタイミング
まずは、三回忌法要の流れと、その中で施主様が挨拶するタイミングについて解説します。
三回忌法要の流れ
三回忌法要の流れは、通常、下記のとおりです。
2.僧侶の入場
3.僧侶による読経
4.施主様、その他参列者による焼香
5.僧侶による法話
6.僧侶の退場
7.会食
8.解散
法要後には多くの場合、会食の時間が設けられますが、状況により会食が省略される場合もあります。
この中で、施主様が挨拶する主なタイミングは、以下になります。
・法要終了時
・会食会場での食事開始時
・会食会場での献杯時
・会食終了時
それぞれにおける挨拶の内容や文例について、次項より紹介します。
2.【施主様】タイミング別・三回忌における挨拶文例
ここからは、三回忌で施主様が挨拶をするときの具体的な挨拶文例をご紹介します。
法要開始前の挨拶
参列者と僧侶が着席し終えて法要が始まる前に、施主様が全員に一礼し、挨拶を行います。
法要開始前の挨拶で伝えたい事項は、以下のとおりです。
・参列いただいたことへのお礼
・自己紹介
・誰の三回忌であるか
・法要におつき合いいただくことへのお願い
身内だけで行う法要など、施主様と参列者が互いによく知っている関係の場合は、自己紹介を省略することもあります。
この挨拶は読経の開始の合図でもあるため、施主様は挨拶の後、参列者に一礼し、続いて読経を行う僧侶に対しても一礼します。
本日は、大変お忙しい中、ご参列いただきまして誠にありがとうございます。
わたくしは、施主を務めさせていただきます〇〇でございます。
これより亡き夫〇〇〇の三回忌の法要を執り行わせていただきたいと存じます。
お時間をいただくことになりますが、
最後までおつき合いいただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
法要後:会食があるときの挨拶
三回忌法要後に会食を設けるかどうかによって、施主様の挨拶の内容が変わります。
ここでは、会食が設けられた場合の挨拶について詳しく解説します。
法要後に会食がある場合の挨拶では、次の事項を伝えます。
・法要に参列いただいたことのお礼
・法要が無事終了したことの報告
・会食についての案内(会場の場所、開始時間など)
本日は、ご多用にもかかわらず、亡き父〇〇の三回忌法要のために
お集まりいただき、心より御礼申し上げます。
皆様のお陰をもちまして、父の三回忌法要を無事執り行うことができました。
父もさそがし喜んでいることと思います。
ささやかながら、〇〇〇(会場名など)に
お食事の用意をさせていただいております。
皆様がそろい次第、会食を始めさせていただきたいと存じますので
ご足労ではございますが、ご移動のほどお願い申し上げます。
法要後:会食がないとき(締めの挨拶)
会食がない際には、会食の用意がないことへのお詫びと、返礼品を持ち帰っていただくための案内などを盛り込みます。
本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。
これにて、母の三回忌法要を終わりとさせていただきます。
本来であれば、このあとに、お食事の席を設けるところではございますが
諸般の事情により、そのご用意がございません。
誠に申し訳ございませんが、ご理解いただければ幸いです。
お荷物になって恐縮ですが、お礼の品をご用意しておりますので
お帰りの際に、受け取りをお願い申し上げます。
今後とも引き続きご支援をたまわりますようお願い申し上げます。
会食会場での食事開始の挨拶
会食会場にて、施主様は参加者全体に対して食事の開始を告げる挨拶をします。
法要が終えられたことへの感謝や食事の開始を促す言葉に加え、故人様のお人柄や思い出にちなんだエピソードを織り交ぜてもよいでしょう。
本日は皆様にお集まりいただき、祖父も喜んでいることと存じます。
三回忌の法要を無事終えることができ
あたらためて、心より御礼申し上げます。
早いもので、祖父が亡くなってから2年が過ぎました。
いまだに、大好きな庭いじりをしているように思うことがあります。
祖父はにぎやかなことが好きな人でしたから
どうぞお食事を召し上がりながら、思い出話に花を咲かせていただければ幸いです。
本日は、ありがとうございました。
献杯時の挨拶
法要における献杯(けんぱい)は、故人様への敬意を示す行為です。発声者が「献杯」と呼びかけた後、参列者も静かに「献杯」と唱和して杯を上げます。献杯の際の挨拶は、施主様が行うこともあれば、故人様のご親族や親しい友人が行うこともあります。
施主様が行う場合
献杯の挨拶を施主様が行う場合は、会食開始時の挨拶の最後に、自分が献杯の発声をする旨を述べ、つづいて参列者に唱和いただくことを促します。
引きつづいて献杯をさせていただきます。
皆様とご一緒に、故人○○を偲びたいと存じます。
グラスのご用意は、よろしいでしょうか。
それでは、献杯。
(参列者が、唱和してひとくち飲んだのち)ありがとうございました。
ご親戚など施主様以外が行う場合
施主様以外が献杯の挨拶を行う場合は、自己紹介から始めるのが一般的です。挨拶に特に必須の事項はありません。施主様の挨拶のあとで、食事が待っていることを考慮して、長くならないように留意します。
ご紹介いただきました、故人の弟の〇〇でございます。
このたびは、兄のためにお集まりいただき、心より感謝申し上げます。
本当に兄は、幸せ者だと思っております。
本日は、皆様とともに故人について語らえたら幸いです。
それでは、献杯をさせていただきます。
献杯。
ありがとうございました。
会食終了時の締めの挨拶
会食は通常、1時間~2時間程度で終了します。終了時間が近づいたら、施主様が会食の終了を告げる挨拶を行います。
本日は、長きにわたり父の三回忌法要のためにお時間をいただきまして
ありがとうございました。
まだまだ、皆様と父の思い出を語り合いたいところではございますが
遠方の方もいらっしゃいますので、これをもって閉会とさせていただきます。このたびは、兄のためにお集まりいただき、心より感謝申し上げます。
皆様とは、引きつづきおつき合いをさせていただければ幸いです。
暗くなっておりますので、足元にお気をつけてお帰りください。
誠にありがとうございました。
3.【参列者】三回忌における挨拶の仕方・文例
ここまでは、施主様の挨拶について解説してきましたが、こちらでは、参列者が行う挨拶について解説します。
参列者が法要会場に到着した際は、施主様に対して、もしくは受付がある場合は受付にて、で短い挨拶をします。この時にお香典を渡すことが多いようです。施主様や受付の方に香典を渡す際は、軽く会釈をしながら以下のように挨拶をします。
4.三回忌法要で挨拶(スピーチ)するときのポイント
こちらでは、施主様と参列者双方が、挨拶の際に留意すべきポイントを解説します。
忌み言葉などに注意
弔事の挨拶では、忌み言葉(「死ぬ」「消える」など)や重ね言葉(「ますます」「しばしば」など)の使用を避けるのがマナーです。
なお、すでに三回忌ですから「お悔やみ申し上げます」「ご愁傷様です」などのお悔やみの言葉は不要です。
忌み言葉や重ね言葉の代表的な例については、別の記事にて解説しておりますので、こちらをご覧ください。
簡単・簡潔に行う
いずれの場合においても、挨拶は短く簡潔にします。長すぎる挨拶は好まれない傾向にあるため、できれば2分~3分程度にまとめることをおすすめします。
原稿を用意して読んでも良い
緊張で挨拶の内容を忘れそうな時は、原稿を用意して読んでもかまいません。ただし、言葉が相手にしっかり届くように、できるだけ顔を上げて背筋を伸ばし、姿勢を正しく保ちながら読むことを心がけましょう。
5.三回忌における「挨拶状」
三回忌においては、施主様が直接挨拶を行うのに加え、挨拶状の準備が必要になることもあります。ここからは、三回忌における挨拶状の用途や、挨拶状の具体的な書き方をご紹介します。
挨拶状の用途
三回忌における挨拶状の用途は、さまざまあります。用途とそれぞれに盛り込む内容を下記の表にまとめましたので、参考になさってください。
用途 | 内容 |
---|---|
法要開催の案内 |
・誰の法要か
・法要の日時、会場の名前・住所・電話番号 ・会食の有無(会食がある場合は会食会場の詳細) |
法要を行わないことの報告 |
・諸事情により法要を行わないこと
・法要を行わないことのお詫び |
法要の事後報告 |
・法要を家族のみなどで済ませたことの報告
・招待できなかったことへのお詫び |
香典返しに添えるお礼 |
・お香典をいただいたことへのお礼
・法要を無事終えたことの報告 ・参列していただいたことへのお礼 ・香典返しの品を受け取ってほしい旨の言葉 |
法要の延期/中止の案内 |
・法要を延期/中止する旨の連絡
・今後の予定の案内 |
具体的な文例については、「6.【施主様】用途別・三回忌の「挨拶状」文例」にてご紹介します。
挨拶状の書き方
三回忌において挨拶状を書く際には、以下のポイントに注意しましょう。
句読点を使わない
喪中はがきやその他の儀礼的な挨拶状では、慣習に従い「、」「。」などの句読点を使用しないことが一般的です。文章を区切る場合は、1字分の空白を入れるか、改行を利用します。
行頭を1字下げない
挨拶状では縦書きが基本です。通常の手紙では文章の最初を1字下げることがありますが、儀礼的な挨拶状では避けるのがマナーです。
忌み言葉や重ね言葉は使わない
三回忌法要の挨拶で使ってはならない、忌み言葉(死ぬ、生死など、死が連想される言葉)や、重ね言葉(くれぐれ、いろいろなど)は、挨拶状においても使用を避けましょう。
6.【施主様】用途別・三回忌の「挨拶状」文例
三回忌の挨拶状の用途と書き方を解説したところで、ここからは、用途別の挨拶状の文例を紹介します。
なお、コラムでは仕様上横書きとなっていますが、挨拶状は実際には縦書きです。
法要開催の案内:法要後に会食があるとき
法要の開催案内で法要後に会食があるときには、法要の日時、法要会場の詳細とともに会食会場の詳細も入れます。
拝啓
○○の候 皆様におかれましてはご健勝のことと存じます
このたび父〇〇の三回忌法要を下記のとおり営みたく存じます
ご多忙とは存じますがご参集賜りたくお願い申し上げます
日時 令和○年〇月○日〇時より
会場 〇〇ホール
住所 東京都墨田区〇〇町○番地
電話 0三-一二三四〇〇〇〇
なお法要後に下記にて会食の席をご用意しております
会場 レストラン〇〇〇〇
住所 東京都○○区〇〇町○番地
電話 0三-五六七八-〇〇〇〇
敬具
令和△年△月
東京都千代田区〇〇
施主 〇〇〇〇
お手数ではございますが〇月〇日までに
返信はがきにてご都合をご連絡くださいませ
法要開催の案内:法要後の会食がないとき
法要後に会食が設けられていない場合、その旨を明記します。また、参加人数を把握したい場合は、会食が予定されている際と同様に、返信はがきを同封し、出席の有無が確認できるように手配します。
拝啓
○○の候 皆様におかれましてはご清栄のこととお喜び申し上げます
さて、母〇〇の三回忌を迎えるにあたり法要を下記のとおり営みたいと存じます
お忙しいところ誠に恐縮ですがご参加いただければ幸いでございます
なお 当日は諸事情により会食の席のご用意がございません
恐れ入りますが何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします
日時 令和○年〇月○日 〇時〇分より
会場 〇〇宗 〇〇寺
住所 千葉県○○市〇〇町○番地
電話 〇〇〇〇-一二三四-〇〇〇〇
敬具
令和△年△月
東京都豊島区〇〇
施主 〇〇〇〇
コロナ禍などにより法要を行わないことの報告
法要の開催を見送る旨を伝えますが、具体的な理由には言及しなくても構いません。
謹啓
〇〇の候 皆様にはご清祥にお過ごしのことと存じます
さて祖父〇〇の三回忌も近くなり本来であれば法要を営むところではございますが
昨今の社会状況にかんがみて開催を見送ることにいたしました
残念ではございますが何卒ご了承いただければ幸いでございます
略儀ながら書中にてご連絡を差し上げます
どうぞよろしくお願い申し上げます
謹白
令和△年△月
法要後:家族のみで三回忌法要を行った旨の報告
挨拶状では、事情により少人数での法要とした旨の報告と、お詫びを述べましょう。
謹啓
時下 皆様にはご清祥のことと存じます
過日〇月〇日に兄〇〇の三回忌法要を
菩提寺である〇〇寺にて家族のみで営みました
皆様にもご参集いただき開催したいところではございましたが
諸事情により家族のみの少人数での法要とさせていただいた次第です
事後のご報告となりましたこと心よりお詫びいたします
誠に申し訳ございませんがご理解を賜りたく何卒よろしくお願い申し上げます
皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げております
謹白
令和△年△月
東京都港区○○
施主 〇〇〇〇
法要後:香典返しへのお礼の挨拶文例
最近は法要後に香典返しの品を持ち帰っていただくことが多くあります。ここでは、香典返しの品に添える挨拶状の文例を紹介します。
拝啓
〇〇の候 本日は父〇〇の三回忌法要にお集まりいただきありがとうございました
皆様のお陰をもちまして三回忌法要を滞りなく済ませることができました
法要に際しましては ご厚志を賜り御礼申し上げます
御礼のしるしとして心ばかりの品をお贈りいたします
何卒お納めいただければ幸いでございます
今後とも引き続き変わらぬおつき合いをさせていただきますよう
どうぞよろしくお願い申し上げます
敬具
令和△年△月
東京都八王子市○○
施主 〇〇〇〇
7.【参列者】三回忌法要に参列できない場合の挨拶
三回忌に招かれたものの、さまざまな事情により参列が難しい場合もあります。
ここからは、三回忌法要に出席できないときのマナーや、その際の挨拶文例について説明します。
参列できない場合の対応
三回忌法要に参列できないときには、できるだけ早く施主様に参列できないことを連絡することが大切です。
連絡する手段は、手紙か電話、メールのいずれかで迷うところですが、急な予定変更でない場合は、手紙での連絡をおすすめします。手間をかけて手紙を書くことで、お詫びの意がより強く伝わるためです。参加できない旨を伝える手紙に、お香典やお供え物を添えてもよいでしょう。
欠席を伝えた後にお香典や供え物を送る場合にも、手紙を添えることでより丁寧な対応となります。
お香典を郵送する方法については、「お香典を郵送するときのマナー」が参考になりますので、あわせてご覧ください。
お香典を送るときの挨拶状文例
ここでは、お香典を送るときにお香典に添える挨拶状の文例を紹介します。
このたびは 〇〇様の三回忌法要にお招きいただきましたが
所用により どうしてもうかがうことができません
心よりお詫びいたします 誠に申し訳ございません
わずかではございますが御香典をお送りいたしますので
御仏前にお供えいただければ幸いでございます
当日 ご一緒にご供養はできませんが
〇〇様のご冥福をお祈りしたいと思っております
令和△年△月
東京都江東区○○
〇〇〇(氏名)
8.心を込めた三回忌の挨拶で気持ちが伝わります
三回忌法要における挨拶について、具体的なポイントや文例をご紹介しましたが、挨拶の際に最も大切なのは、心からの言葉で表現することです。記事を参考に、自分らしい言葉で感謝や思いを表現すれば、それが相手にしっかりと伝わるはずです。
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