法事の服装|基本マナーから夏・冬の注意点まで徹底解説

法事の服装|基本マナーから夏・冬の注意点まで徹底解説

法事の服装に、頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。法事にはいくつかの種類があり、また酷暑の夏や極寒の冬など、行われる時期もさまざまであるため、どのような服装で参列すべきか迷うことも少なくありません。

そこで今回は、施主様・ご親族、一般参列者の方を対象に、男女別の法事の服装のマナーから、法事の種類ごとの服装、夏・冬の服装の注意点まで詳しく解説します。アクセサリーや靴、時計の選び方などもあわせてご紹介しますので、法事の服装に困っている方は、ぜひこの記事をお役立てください。

1.そもそも「法事」とは?

そもそも「法事」とは?

法事とは故人様をしのぶために行われる仏教行事で、僧侶による読経や参列者のお焼香などの仏教儀式から、その後の食事の席までを含めて法事と呼びます。

「法要」という似た言葉がありますが、こちらは仏教儀式の部分のみを指します。つまり、法要は、法事の一部ということもできます。近年では、厳密な使い分けをすることは少なくなっていますが、基礎知識として知っておくとよいでしょう。

2.法事で着る喪服は3種類

喪服の格式には、「正喪服」「準喪服」「略喪服(平服)」の3つがあり、立場や法事の種類に合わせて選ぶ必要があります。
ここでは、喪服の3種類の格式の概要と、男女別の具体的な服装について解説します。

正喪服

正喪服は、喪服の中でもっとも格式の高い喪服で、法要においては主に以下の方々が着用します。

・施主様
・施主様の妻
・故人様から見て三親等以内のご親族

正喪服は、葬儀や一周忌までの法事で正式な装いとして着用されます。

【正喪服の男女別の具体的な服装】
男性
・和装:黒の紋付羽織袴。羽織は、黒の五つ紋(注)の羽二重(はぶたえ/縦糸と横糸を交互に交差させて織った布の一種)のもの
・洋装:黒のモーニングコート
女性
・和装:黒無地の五つ紋の着物
・洋装:光沢のないワンピース、アンサンブル、スーツ、アフタヌーンドレス

(注)五つ紋:背中と両軸、両胸の5箇所に家紋が入ったもの

ただし最近では、施主様や3親等以内のご親族であっても、葬儀・法要で準喪服を選ぶ方が増えています。

準喪服

準喪服は正喪服に次ぐ格式の喪服です。最近では施主様が着ることも多く、一般的に「喪服」と言う場合はこの準喪服を指します。

【準喪服の男女別の具体的な服装】
男性
漆黒色で光沢のない生地を使ったブラックスーツ
女性
光沢のない黒のスーツやワンピース、アンサンブルスーツ。ジャケット下に着るブラウス等も黒とする

略喪服(平服)

もっともカジュアルな喪服で、七回忌以降の法事で着用される傾向があります。黒色でなく、濃紺やグレーなどの暗めの色の服でもかまいません。

【略喪服の男女別の具体的な服装】
男性
黒やグレー、濃紺などの地味な色で無地のダークスーツ
女性
黒や濃紺、ダークグレーなどのスーツやワンピース、パンツスーツ

3.【男女別】法事の服装マナー

法事の服装では、どのような点に注意すべきでしょうか。もっとも着る機会の多い「準喪服」を中心に、男女別に解説します。

男性の場合

男性の法事の服装においては、次のようなマナーを守るようにしましょう。

シャツ

ジャケットの下に着るシャツは、白無地で長袖のシャツを選ぶのが基本です。襟(えり)の形は日常的にビジネスシーンで着用するような一般的なものを選びましょう。個性的な形は避け、シンプルさを重視します。

襟の先端をボタンで留めるタイプ(ボタンダウン)は避けましょう。また、ボタンも派手に見える物はふさわしくありません。生地はシンプルな平織りが望ましく、カジュアルな印象を与える生地や、柄入り、光沢のある生地は適していません。

ネクタイ

黒無地の光沢のないものを選びます。もっとも基本的な結び方とし、結び目の下にくぼみを作らないようにするのがマナーです。ネクタイピンは装飾品と見なされるため、法事の場では控えます。

光沢の少ない黒の革製が望ましいです。靴ひもも黒のものを選び、エナメル素材は避けます。穴飾りやステッチのような装飾のあるデザインも、適していません。

時計

デジタル時計や多機能な時計はカジュアルな印象を与えるため、避けたほうが無難です。また、文字盤のデザインは、できるだけシンプルなものを選びます。クロノグラフ機能など、複雑な機能がついた時計は、デザインも華美になりやすいため、控えましょう。

ベルトの素材は黒の革(または合皮)が一般的でふさわしいです。金属製のベルトでも、シンプルなデザインで控えめの光沢のものであれば問題ないとされますが、輝きが目立つものは避けるべきです。

女性の場合

女性の法事の服装においては、次のようなマナーを守るようにしましょう。

アクセサリー

基本的に、アクセサリーは結婚指輪以外はNGだと考えてください。つける場合は、涙の象徴とされる真珠(白・黒)のネックレスであれば許容されます。ただし、二連以上は「不幸が重なる」とされるため避け、真珠のサイズは大きすぎない7mm~8mm程度の中粒で、鎖骨に届く程度までの長さのものが適しています。

光沢のない黒のシンプルなパンプスを選び、装飾が多いものや、つま先が出るものは避けましょう。ヒールの高さは3cm~5cmが適切とされています。太めのヒールのほうが安定感があるため、おすすめです。ピンヒールやウェッジソールなどはカジュアルすぎるため、法事にはふさわしくありません。

ストッキング

色は黒で、柄などが入っていないものを選びます。厚みがあるものはカジュアルな印象になってしまうため、冬場で冷える場合以外は、20デニール程度のストッキングが適しています。

時計

男性の場合と同様に、カジュアルな印象を与えることを避け、シンプルな物を選びます。ベルトの色は黒・シルバー・茶など、落ち着いた雰囲気のものにしましょう。文字盤の色は黒や白などのモノトーンが基本で、宝石や華美な装飾、派手な色は避け、落ち着いた印象を与える時計を選びます。

全体的に厚みがあるもの、スポーツ用の腕時計はカジュアルな印象を与えるため、避けるほうが無難です。

4.【妊婦、授乳中の方】無理のない服装で法事に参列する

【妊婦、授乳中の方】無理のない服装で法事に参列する

法事に参列する際は、自分と赤ちゃんの健康を最優先に考えて、無理のない服装にしましょう。

妊娠中でおなかが大きな方には、おなかを締め付けないゆったりとしたデザインのマタニティ用の喪服が適しています。用意が間に合わない場合は、光沢がなく、黒や紺などの地味な服装であれば問題ありません。

授乳中の方は、前開きタイプのワンピースや授乳口が付いた喪服を選ぶと便利です。

5.子どもの法事の服装

これまで、成人の法事の服装について解説してきました。ここからは、子どもの具体的な法事の服装について説明します。

学生の場合

小学生、中学生、高校生などの学生は、男女を問わず、通っている学校に制服があれば、それを着て参列するのが一般的です。

制服がない、あるいは私服での参列を希望する場合は、たとえば、男の子なら、黒や紺のジャケットに白シャツと黒ネクタイ、女の子なら、白いシャツに黒のスカート、もしくは黒のワンピースを着用します。

大学生の場合は、大人同様にブラックフォーマルか、厳かな場に適した平服を着用します。黒以外の地味な色のリクルートスーツでも問題ありません。

未就学児、赤ちゃんの場合

未就学児の場合は、黒や紺、ダークグレーなどの服を選ぶようにしましょう。

赤ちゃんや乳児の場合は、黒やグレー、白などの服があればベストですが、持っていないときは、華やかさやおめでたい印象の服を避け、できるだけ地味で落ち着いた色の服であれば大丈夫です。

6.法事・法要の種類別の服装

法事・法要の種類別の服装

法事・法要には、いくつかの種類があり、それぞれで着るべき喪服が変わってきます。
ここでは、法事・法要の種類ごとの具体的な服装について説明します。

初七日

初七日は、故人様が亡くなった日から7日目に行われる最初の法要です。近年は、葬儀と同じ日に行うことが多くなってきました。

葬儀とは別の日に行われる場合は、基本は葬儀と同様の服装とします。施主様やご親族は正喪服か準喪服を、参列者は準喪服を着用します。

四十九日

故人様が亡くなってから49日目に行われる法要で、この日に故人様の魂が極楽浄土へ行けるかどうかが最終決定されるといわれており、法要の中でも重要視されています。

ご親族にとっては忌明けとなる区切りの四十九日では、葬儀や初七日と同様に、施主様やご親族は正喪服か準喪服を、参列者は準喪服を着用します。

百箇日

故人様が亡くなって100日目の法要で、ご親族が悲しみから卒業する区切りとされ、「卒哭忌(そっこくき)」とも呼ばれます。

四十九日と同様に、ご親族は正喪服か準喪服、参列者は準喪服を着用するのが基本ですが、近年は、省略されたり、ご家族のみで行ったりするケースが増えています。身内だけで行う際は、略喪服でもかまわないでしょう。

一周忌

故人様が亡くなってから1年目の祥月命日(しょうつきめいにち)に行われる法要で、僧侶による読経のあとに会食が行われるのが一般的です。

施主様やご親族は、正喪服か準喪服、参列者は準喪服を着用します。案内に「平服で」とあった場合は、指示にしたがって平服(略喪服)を着るようにします。

三回忌

三回忌は、故人様が亡くなって2年目の祥月命日に行われる法要です。実施が、3年目ではない点に注意しましょう。

施主様及びご親族、参列者の服装は、基本的には準喪服ですが、最近では、三回忌を家族だけで行うケースも増加しています。身内のみの際は、平服(略喪服)が選ばれる場合もあります。

七回忌以降

故人様が亡くなってから6年目に行われる七回忌以降、法事・法要における服装は、略喪服でもかまわないとされています。故人様のご逝去から時間が経つにつれ、法事は小規模となり、服装もカジュアルになっていく傾向にあります。

7.ご家族のみで法事を行うときの服装

ご家族だけの場合は、無理に格式張らず、略喪服でも問題ありません。僧侶を招いて読経をお願いする際には「敬意を表すために準喪服を着用するのが望ましい」との意見もありますが、実際のところ、僧侶が服装にこだわることはほとんどないようです。

ご家族の間で服装に関する考え方が違う場合もあるため、あらかじめ話し合って服装を決めておくと、参列者間で服装が異なることがないので安心です。

どのような服装であっても、故人様に対する愛情と尊敬を表すことがもっとも大切であることを忘れないようにしましょう。

8.夏場、冬場の法事の服装

夏場や冬場は、気温や会場の温度に合わせて体温が調整しやすい服装がおすすめです。
ここでは、夏・冬の喪服マナーや、法事の服装のポイントを解説します。

夏場の服装の注意点

暑い夏場の法事の服装に関しては、次の点に注意してください。

基本的にはジャケットを羽織る

男性の場合、基本的には夏場でも喪服にはジャケットを着ることが推奨されます。ジャケットの下に着るシャツは半袖でも許容されますが、その場合、法要中はジャケットを着用するのがマナーです。

女性も半袖を着る場合は、法要中は黒のカーディガンやジャケットを羽織ります。移動中や法要後はジャケットを脱いでもかまいませんから、涼しくすごせる服装でよいでしょう。

肌の露出を避けるよう注意

暑い夏場であっても、肌が露出しないよう注意が必要です。袖丈は、肘が隠れる程度のものとします。半袖やノースリーブのトップスの上には、ジャケットなどの上着を重ねて着ることが必須です。

スカート丈も、膝が隠れる長さで、膝が見えてしまう短いものはNGです。透け感のある薄すぎる素材や胸元が広く開いたものは避け、シンプルで落ち着いたデザインの服装を心がけましょう。

冬場の服装の注意点

寒い冬場に行われる法事の服装に関しては、次の点に注意してください。

コート、マフラーなどは暗めの色合いとする

黒が基本ですが、手元にない場合は濃紺やダークグレーなどの落ち着いた暗い色でも大丈夫です。素材は、着ているときやたたむときなどに音が出てしまうナイロン素材や殺生を連想させる毛皮素材は避け、カシミアやウールのような光沢がないものを選びます。

大きなボタンや目立つ金具、ファー付きのコートはカジュアルな印象があるため、法事にはふさわしくありません。マフラーや手袋などの防寒アイテムも、地味で暗めの色を基本とし、装飾が少ないシンプルなデザインのものにします。

ストッキングは防寒対策も考えて着用

葬儀や法事などで履くストッキングは、ある程度透け感があるほうが望ましいとされています。ただし女性は体が冷えやすいため、寒さが厳しいときには、発熱機能や防寒性に優れたものを選んだり、ストッキングを重ね履きしたりするなどの対応を取りましょう。

9.法事に持参する持ち物【服装以外】

法事に持参する持ち物【服装以外】

服装に関しての解説はここまでとし、最後に、法事に持って行くものについての注意点に関してご紹介します。

バッグ

男性は、バッグを持たないこともありますが、最近は、セカンドバッグを持っている方が多いようです。男女とも、色は黒色が基本です。素材はツヤがなく、ロゴや装飾の目立たないシンプルなデザインのものを選びます。

お香典(御供物料)

近年では、お供え物の代わりにお香典(お供物料)を用意して現金を贈ることが一般的です。お香典は香典袋に入れ、汚れないように袱紗(ふくさ)で包んで持参します。袱紗はドラッグストアやホームセンターなどで購入できますが、用意が難しい場合は、ハンカチで代用してもかまいません。

ハンカチ

白や黒の無地が基本ですが、地味な色のものや、レース・柄があっても、きわめて控えめのものや同系色であれば、許容される傾向にあるようです。

10.法事の服装に関するQ&A

A. パンツスーツは、もっともカジュアルとされる略喪服(平服)であるため、略喪服を着用することの多い七回忌以降の法事であれば、問題ないでしょう。三回忌までの法要に着用することは、賛否両論があります。

ただし、一周忌までの法事でも、ご遺族から「平服で来てください」と連絡があったときや、高齢者や足に不安のある方の場合、寒冷地の場合などでは、許容されるケースもあります。

女性だからスカートをはかなければないないといった価値観も薄れつつあるため、法事の内容や参列される方々、自分の立場を考慮して、最終的な判断は自分で行ってよいでしょう。

喪服のパンツスーツについては、詳しくは「喪服のパンツスーツはマナー違反?」の記事で解説しておりますので、こちらもぜひご一読ください。

A.2つ以上の法要を同時に行うことを併修と呼びますが、基本的にその場合の服装は、施主様が決めるようです。

一般的に、三回忌までは準喪服、七回忌以降は略喪服(平服)とされているので迷うところでしょう。ご親族よりも高い格式の喪服を着ることはマナー違反になりますし、ご親族間でも服装が異なると違和感がありますから、施主様に連絡をして聞くことをおすすめします。

A.本当に私服でいいのか悩んだときには、施主様に問い合わせて確認をすると安心です。施主様は「平服(略喪服)」の意味で私服、とおっしゃったのかもしれません。

僧侶をお呼びせずにご親族のみで集まる場合は、三回忌を過ぎていなくても準喪服は着ないケースもあります。ただし「私服でよい」と言われたとしても、カジュアルな普段着はマナーに反することがあるため、略喪服に準ずるような地味で控え目な服装を選ぶとよいでしょう。

11.法事の服装は故人様への想いを第一にマナーを守って選びましょう

法事は故人様が死後も安らかなることを願う行事ですから、服装は、故人様をしのぶのにふさわしいものを選びましょう。

また、他の参列者を不快にさせないよう、服装のマナーを守ることも大切です。

弊社「花葬儀」では、経験豊富なスタッフが、お客様の法事の服装の疑問に対応いたします。より包括的なサポートをご希望の方には、花葬儀のメンバーシップクラブ「リベントファミリー」への入会をおすすめします。

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