近年、ご遺骨を自宅で保管し、供養する形が注目を集めています。お墓に埋葬しない供養とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。 今回は「自宅でご遺骨を保管するには?」をテーマとしたコラムをお届けします。このコラムを読むことで、「ご遺骨の自宅保管は問題ない?」「メリット・デメリットは?」「具体的な保管方法は?」などが網羅的に理解できるようになるでしょう。 現在ご遺骨の供養方法でお悩みの方、お墓に埋葬する以外の供養について知りたい方はぜひ最後までお読みください。 【もくじ】 1.遺骨の自宅保管は法律違反?知っておきたい基本ルール 2.遺骨の自宅保管が注目される背景 3.遺骨を自宅で保管するメリット・デメリット 4.遺骨の自宅保管をスムーズに進める秘訣 5.遺骨を自宅で保管する6つの方法 6.遺骨を自宅で大切に保管するための注意点 7.自宅保管のその後は?さまざまな供養の選択肢 8.遺骨の自宅保管に関するQ&A 9.遺骨の自宅保管はご家族との対話と同意が大事 1.遺骨の自宅保管は法律違反?知っておきたい基本ルール 結論からお伝えすると、ご遺骨を自宅で「保管」することは、法律違反にはあたりません。 ご遺骨を埋葬する場所については、「墓地、埋葬等に関する法律」によって以下のように定められています。 第四条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。 (引用:墓地、埋葬等に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048) 自宅や私有地、山林などは、法律で定められた「墓地」ではないため、ご遺骨を埋葬することはできません。違反した場合、罰則が科せられる可能性があります。 しかし、この法律はご遺骨を埋葬せずに自宅で「保管」することを禁止しているわけではありません。したがって、庭などに埋葬しない限り、自宅での保管や供養は自由に行うことができます。このような供養方法は「手元供養」と呼ばれ、近年注目されています。 2.遺骨の自宅保管が注目される背景 ご遺骨をお墓に埋葬するのではなく、自宅で保管することが注目されているのはなぜでしょうか。 こちらでは、その背景をご紹介します。 お墓の維持管理・承継が困難 遺骨の自宅保管が増えている背景の一つとして、まず挙げられるのが、従来のお墓の維持管理や承継が難しくなっている現状です。 かつては、先祖代々のお墓にご遺骨を埋葬することが主流でした。お墓を継いだ人は、定期的な清掃や墓地管理者への管理費の支払い、古くなったお墓の修繕など、お墓の維持・管理を担ってきました。 しかし近年では少子高齢化や核家族化の進行により、承継者が減少しているため、こうしたお墓の維持・管理が困難な状況になりつつあるのが現状です。 ライフスタイルや住環境の変化 ライフスタイルや住環境が変わりつつあることも、供養のかたちが変化している要因です。転勤や移住が珍しくなくなった近代では、お墓との物理的な距離は避けられない問題となりました。また、大きな仏壇を置く「仏間」がないスタイルが主流となる中、故人様に対し手を合わせる場所を身近に求める気持ちが高まっていることも考えられます。 供養に対する価値観の多様化 近年はお墓や供養の方法、宗教観などに対する価値観が多様化し、「故人様を身近に感じたい」「自分たちらしい形で行いたい」といった個人の想いが尊重される傾向が強まっています。また、自分の死後について考えた時に「家族にお墓の管理で負担をかけさせたくない」と考える方が増えているのも、背景のひとつとして考えられるでしょう。 3.遺骨を自宅で保管するメリット・デメリット ご遺骨を自宅で供養することのメリットやデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。 こちらで詳しく解説します。 メリット 自宅でご遺骨を保管することのメリットは、以下の通りです。 日常的に故人様をしのぶことができる 故人様をいつも身近に感じながら、日常的に供養することができる点が、ご遺骨を自宅で保管する最大のメリットです。お墓が遠方にあると、年に数回しか故人様と会えないという方も少なくありません。しかし自宅にご遺骨があれば、日々の暮らしの中で手を合わせたり語りかけたりと、日常の中で故人様をしのぶことができるようになります。 身体的な負担を軽減できる お墓の場所が自宅から遠く離れていると、墓参りをするために時間をかけて移動しなくてはなりません。また、墓参りの日が雨や雪といった場合、屋外での供養は大きな負担になるでしょう。 自宅にご遺骨を保管すれば、天候やスケジュールを気にせずいつでも好きな時に供養が行えます。このように、お墓参りに係る身体的な負担が無いのもメリットです。 お墓の維持管理の負担を軽減できる お墓に埋葬して供養するためには、主に以下の費用や役割が必要となります。 ・お墓を建てる費用 ・墓地管理者に支払う管理費 ・修繕費(必要に応じて) ・定期的な掃除や草むしり など ご遺骨を自宅で保管する場合、これらの金銭的・時間的な負担は発生しません。ただし、ご遺骨の一部を手元に残し、残りを散骨や別の場所へ埋葬する場合、納骨先で別途費用が発生する可能性があります。 デメリット 自宅でご遺骨を保管する行為はメリットだけではありません。デメリットも含めて把握することで、最適な決定が下しやすくなります。 自宅にご遺骨を保管することのデメリットは、以下の通りです。 遺骨の手入れ・管理の責任がある 自宅に保管したご遺骨は、全て自己管理となります。湿度の高い日本では、自宅内に保管したご遺骨からカビが生えることがあるため、定期的な手入れが必要です。また、落下などによる破損や、火事や地震といった災害による紛失のリスクにも備えなくてはなりません。 […]