社葬の対象者はどんな人?社葬を行うケースと判断基準
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- 【 葬儀の種類 】
社葬は、業績に特別に貢献した方への哀悼、惜別を目的に、会社が主催する葬儀として執り行われます。今回は、具体的にどのような人が社葬の対象になるのか、もしくは社葬を行うべきかの判断基準についてご紹介します。
社葬の対象となる人
社葬の対象となるのは、一般的に次のような方です。
- ・会社の創業者や、社長・会長
- ・副社長、専務、常務などの役員
- ・会社に対して大きな貢献や特別な功績を残した社員
- ・業務中の事故による殉職者
いずれの場合も、取締役会での承認が必要となりますが、社葬取扱規程がある場合は、その規程に則って対象者を決めれば大丈夫です。創業者や社長など、経営者以外の方の社葬については、以下で詳しくご案内します。
副社長、専務、常務などの役員
役員クラスの場合、一般的には現職の方が対象となります。元役員の場合は、会社への貢献度や、ご逝去時の状況などから判断されます。ほか、取締役や監査役、顧問、相談役なども、社葬の対象になります。
葬儀費用の会社負担額については、現職か元職か、在職期間、死亡理由などによってその率を変えるなど、社葬取扱規程で決めておくと、速やかに対応できます。
会社に対して特別な功績を残した社員
「特別な功績」を具体的に申し上げますと、
- ・会社の売上げを大きく伸ばすヒット商品を開発した
- ・広報や営業などでブランド力や販売力を大きく向上させた
などです。社葬の待遇を受けることで、ご家族(ご親族)は会社から葬儀の費用と、人的援助が受けられます。
しかし、社葬を行う一番の目的は、そこではありません。会社を挙げて故人様の生前の功績を称え、その死を悼むことで、故人様と家族の両方にとって、大きな栄誉が得られるという観点がポイントです。また、社葬を執り行うことで、会社に貢献した人を大切にしてくれる会社であることが在籍する社員にも伝わり、会社への信頼と働く意欲が高まることも期待できるでしょう。
業務中の事故による殉職者
業務中に不慮の事故などで社員が殉職した場合にも、社葬を適用させることがあります。通常業務中の事故はもちろん、海外出張中の事故で亡くなった場合なども含まれます。こうしたケースの社葬は、
- ・殉職者を顕彰することで、ご家族に対し、会社として、事故や事件が防げなかったことへの謝意を示す
- ・残されたご家族への社会保障を行う
ことに大きな目的があります。
ご家族の意向に添って、「社葬」ではなく、「合同葬」などの名称で、会社が主体となって葬儀を執り行う場合もあります。
社葬の判断基準のポイントと判断する人
社葬の主催者は会社ですが、ご家族(親族)のご意向をかならず確認し、その気持ちを一番大事に考えることが重要です。とくに「社葬取扱規定」が社内にない場合は、よりご家族の意向を汲んで形にすることが大切になってきます。どんなときに、どんな社葬を行うのか、万一の場合を考えて事前に社内で規程を作成しておくと、いざというときに慌てずにすみます。
社葬のベースとなる「社葬取扱規程」
会社の方針に沿った社葬を行うためにも、「社葬取扱規程」の作成はとても重要です。規程がない場合は、役員会の合意を得て作成する必要があります。
作成にあたって、社葬執行の対象者や大まかな費用(予算)、式場、規模、宗教形式、実行委員の選び方など、具体的な方針を決めておきます。社葬の知識も問われるため、あらかじめ信頼できる葬儀社を決めてから作成するとよいでしょう。
葬儀実行委員と葬儀委員長
個人葬では、一般的に喪主様が葬儀の主催者ですが、社葬では会社の総務部長や役員の方が主催者となって、葬儀を執り行います。ただ、葬儀を実際に行うのは「葬儀実行委員会」で、通常は総務部の責任者が実質的な社葬を運営する「葬儀実行委員長」を務めます。
葬儀の受付や進行、会計、式場までの道案内など細かい役割について、葬儀実行委員長を中心に当日の役割分担を決め、葬儀社とも連携しながら準備を進めます。総務や人事、秘書課の担当者は、緊急時や不測の事態にも柔軟に対応できるよう、葬儀実行委員の各担当や葬儀社と連絡を取りあい、連携体制を整えます。
なお、社葬の最高責任者は、挨拶や式の準備、進行を指示する「葬儀委員長」という、葬儀実行委員とは別の立場の人です。葬儀委員長は、会社や団体の今後の運営をスムーズにするために、対外的に挨拶を述べるという重要な役割もあります。会社や団体の代表が務めるのが一般的ですが、故人様が社長以外の場合は社長が、社長の場合は新社長や会長が選ばれることが多いようです。
社葬の3つの種類とおおまかな流れ
「社葬」には大きく分けて「社葬」、「お別れの会(偲ぶ会)」、「合同葬」の3つの形態があります。それぞれの特徴と、式の流れをご案内します。どの形態で社葬を行うのかは、ご家族の意向や会社の方針によって決められます。
会社が運営の主体となって葬儀や告別式を執り行う一般的な「社葬」
会社が葬儀の費用を全額負担し、「企業として執り行う」ことを重視して運営する形式の葬儀です。多くの場合、執り行う前にご家族(親族)による密葬が行われ、後日、本葬として社葬が営まれます。この、事前に営む密葬は、あくまでご家族が主体となります。ご家族がゆっくりお別れできるよう、会社関係者などには情報が伝わらないよう十分に配慮し、速やかに社葬の案内を通達しましょう。
社葬(本葬)は、四十九日の法要を行う前の、ご逝去から40日前後に執り行われることが多いようです。
社葬に比べて宗教色や儀式性が薄い、比較的自由な「お別れの会」は最近増えてきた形式
故人様との別れに重きを置きつつ、自由な形式で故人様を偲ぶ式典です。社葬と同じように、ご家族(ご親族)による密葬後の本葬として行われますが、社葬に比べて宗教色や儀式性は薄くなります。
近年は、芸能人や著名人が、この「お別れの会」を行うことが多く、認知度が上がってきています。ご家族や参列者が落ち着いて故人様を偲び、向き合う時間をしっかり作れることが、選ばれているひとつの理由です。
お別れの会は、セレモニーを中心としたものや、会食をメインにしたものなど、ご家族の意向や会社の方針により、さまざまです。会場も葬儀場に限らず、ホテルやホールなどで行われることもあります。
家族と会社が合同で葬儀を行う「合同葬」も最近増えている形式
ご家族の葬儀と会社側の葬儀を分けず、会社とご家族が共同でお通夜と告別式を行う形式です。ご家族と会社が葬儀費用を出し合うので、双方の経済的負担を軽減できるというメリットがあります。社葬よりも少ない費用負担で会社の今後を広く示せることから、とくに中小企業で合同葬を行う会社が増えています。
まとめ
社葬は、故人様を追悼し、その功績を称えるとともに、会社の今後を社内外に広く知らせる重要な儀式です。社葬の成功は、会社の信用を高め、業績向上にも大きく関係してきます。絶対に失敗できない大事な業務遂行のために、実績と信頼性のある、頼れる葬儀社をパートナーに選びましょう。