お悔やみの言葉~文例とご遺族への正しい伝え方~
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
弔問時に、ご遺族に対して「どのようなお悔やみの言葉をかければよいのか」と迷われる方も多いでしょう。
お悔やみの言葉についてのマナーを知らずに使ってしまうと、ご遺族をなぐさめるどころか、不快な思いをさせてしまう場合もあります。
そこで今回は、お悔やみの言葉の意味や文例を解説するほか、伝え方、注意すべきポイントなどもご紹介します。
【もくじ】
1.お悔やみの言葉とは?
お悔やみの言葉は、弔問時にご遺族に対して故人様を悼み、ご遺族をいたわってかける言葉です。ですから、ご遺族とは初対面である場合でも、きちんとお悔やみを述べることが大切です。
また、一般弔問客の場合は、ご遺族と話ができる機会は限られており、与えられた機会に短時間でお悔やみの言葉をかけなければなりません。そこで、ポイントを押さえてお悔やみの言葉をかけることが重要です。
2.基本的なお悔やみの言葉
基本的なお悔やみの言葉に「ご愁傷さまです」「お悔やみ申し上げます」などがありますが、それぞれの意味をご存知でしょうか。
ここでは、2つの言葉の意味や、その他によく使われるお悔やみの言葉をご紹介します。
「ご愁傷さまです」の意味は?
「ご愁傷さまです」は、憂いの気持ちを表す「愁」と心の痛みを表す「傷」を合わせて、ご遺族の心の傷を憂えていること、ご遺族を気の毒に思うことを意味します。
また、「ご愁傷さまです」には最上の敬意を示す「ご=御」と「さま=様」の2文字が使われているため、目上の人にかける言葉としても適切であり、通夜や葬儀の場で頻繁に聞かれるお悔やみの言葉といえます。
ただ、「ご愁傷さまです」は、たとえば「そんな仕事を押しつけられて、ご愁傷さまです」のように相手をからかうような場面でも使われることが多いので、ご遺族にかける言葉としてふさわしくないと感じる方も少なからずいます。
そのため、「ご愁傷さまです」の言葉を使いたくない場合は、別のお悔やみの言葉を使うとよいでしょう。
「お悔やみ申し上げます」の意味は?
「お悔やみ申し上げます」は、「故人様の死を悲しみ、弔いの言葉を申し上げます」という意味です。
一般的には「この度は誠に残念なことで、言葉も見つかりません。心よりお悔やみ申し上げます」というように使われます。
その他のお悔やみの言葉
その他のお悔やみの言葉には、次に挙げるようなものがあります。
■「ご冥福をお祈りいたします」
「ご冥福をお祈りいたします」は「故人様の死後の幸福を祈る」という意味であるため、故人様に対して使用する言葉といえます。そのため、ご遺族にかける際にはこのまま使用するのではなく、「〇〇様のご冥福をお祈りいたします」というように、文章に故人様のお名前を付け加えて使いましょう。
■「哀悼の意を表します」
「哀悼の意を表します」という言葉には「故人様のことを思うと悲しくて心が痛みます」という意味がありますが、話し言葉(口語体)ではなく、書き言葉(文語体)として使用されます。
そのため、弔電などの文中で使用し、ご遺族に対してかける言葉としては使用しないようにしましょう。
3.宗教によって気をつけたいお悔やみの言葉
宗教や宗派によっては教えが異なるため、先ほどご紹介した中にも避けたほうがよいお悔やみの言葉があります。
宗教によって気をつけたいお悔やみの言葉の代表例が、「ご冥福をお祈りいたします」です。この言葉は仏教において使われる言葉であり、前述のとおり故人様の死後の幸福を祈るという意味があります。
そのため、「冥福」という考えがないキリスト教や神道の通夜や葬儀に弔問する際は、使用しないようにしましょう。
なお、仏教の宗派が浄土真宗の場合も、この言葉はふさわしくありません。浄土真宗では、故人様は亡くなってすぐに極楽浄土に行くので、死後に悩んだり苦しんだりすることはないとされています。そのため「冥福を祈る」という言葉は適さないのです
4.お悔やみの言葉/文例を紹介
お悔やみの言葉は、多くの場合、故人様とご遺族の関係性により変わります。ここでは、ケースごとに分けて具体的なお悔やみの言葉の文例をご紹介します。
「父親・母親」を亡くされた方にかけるお悔やみの言葉
「このたびは、まことにご愁傷様でございます。お父様(お母様)の訃報に接し、ご家族の皆様の悲しみを思うとお慰めする言葉もございません。お力落としのことと思いますが、どうかご自愛くださいませ」
【ポイント】親を亡くされたご遺族の心は、ぽっかりと穴が開いたような状況になっていることでしょう。そこで、相手の気持ちを察して、労う言葉をかけるようにします。
「配偶者」を亡くされた方にかけるお悔やみの言葉
「旦那様(奥様)とのお別れは、さぞかしおつらいことと心中お察しいたします。本当に残念でなりません。心からお悔やみ申し上げます」
【ポイント】最愛の配偶者を失ったご遺族の失意は、相当なものと思われます。ご遺族を思う気持ちを大切にし、残念に思う気持ちを伝えるとよいでしょう。
「子ども」を亡くされた方にかけるお悔やみの言葉
「このたびはご愁傷様です。このようなことになるとは本当に残念です。いまだに信じられない思いで、言葉が見つかりません。私にできることがありましたら、どのようなことでもお手伝いしますので、お申しつけください」
【ポイント】子どもが先に亡くなってしまうのは、ご遺族にとって大きなショックです。正気でいられる状態ではないでしょう。お子様が亡くなったことに直接触れないよう言葉を選び、ご遺族に寄り添う気持ちでお悔やみの言葉を伝えます。
また、弔問には、子どもを連れていかないようにしましょう。
「祖父母」を亡くされた方にかけるお悔やみの言葉
「今回の突然の訃報に大変驚いております。ご家族の皆様さぞかしご無念のことでございましょう。どうかお力を落とされませんように」
■ポイント:たとえ大往生であっても、「天寿を全うされた」「大往生でした」などはご遺族側が使う言葉なので、参列する側が使うのはマナー違反になります。
5.お悔やみでNGの言葉とは?
お悔やみの言葉には、使ってはいけない忌み言葉、重ね言葉があります。
忌み言葉
忌み言葉とは、その場にふさわしくない不吉や不幸を連想させる言葉です。
たとえば、「死」「消える」「大変なこと」「苦しむ」「つらい」「とんだこと」「浮かばれない」「迷う」などが忌み言葉として挙げられます。
重ね言葉
不幸が続くことを連想させるような言葉を繰り返す重ね言葉は、お悔やみの言葉として使用しないようにしましょう。
重ね言葉としては、「たびたび」「またまた」「重ね重ね」「返す返す」「しばしば」「ますます」「再三」「重々」などが挙げられます。
6.お悔やみの言葉を伝えるときの注意点
お悔やみの言葉を伝えるときの注意すべき点について説明します。
長話はせず、短めに伝える
ご遺族は多くの弔問客に対応しなければならないため、大変お疲れの状況です。そこで、ご遺族との長話は禁物です。お悔やみの言葉は、故人様の死を悼む思いを込めながら短めに伝えるようにします。
死因や病状には触れない
お悔やみの言葉の中で故人様の病状や死因について尋ねたり、触れたりすることは、ご遺族につらい思いをさせてしまうかもしれないため控えましょう。
ご遺族の心中を察し、故人様が亡くなったことへのお悔やみの気持ちだけを伝えるようにします。
7.お悔やみを伝える手段別メリット・デメリット
お悔やみの言葉を伝える方法は複数あります。そこで、お悔やみを伝える手段別に、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
葬儀会場で会って伝える
■メリット
葬儀会場ではご遺族と対面してお悔やみの言葉を述べられるので、気持ちも伝えやすくご遺族の励ましにもなるでしょう。
■デメリット
ご遺族を目の前にして悲しみの気持ちが湧き上がり、つい長話になったり、余計なことを言ったりすることがあるため、注意が必要です。
電話で伝える
■メリット
電話は、双方向のコミュニケーションを、即時性をもって成立させられる手段のひとつです。伝えたい気持ちや言葉を自分の声で伝えることができます。
■デメリット
ご遺族は葬儀の準備で多忙なため、電話をするタイミングを誤ると、相手に大変な負担となる場合があります。
訃報を聞いたすぐあとに電話をすることは控え、やむを得ず電話でお悔やみの言葉を伝える場合は手短かにしましょう。
メールやメッセージアプリで伝える
■メリット
メールやメッセージアプリは、相手の都合をさほど気にすることなくお悔やみの言葉を送ることができます。ご遺族に対して、追悼や労いの気持ちを、スピード感を持って伝えられるところがメリットといえるでしょう。
■デメリット
メールやメッセージアプリで送ったお悔やみの言葉は残るため、マナー違反になる言葉遣いや内容になっていないかどうかを精査してから送信することが求められます。
また、目上の人に対して使用すると、失礼な印象を与える危険性があります。
手紙で伝える
■メリット
手紙では、訃報に気づかずに葬儀が終わっていた場合や、事情があって葬儀に参列できなかった場合などに、お悔やみの言葉を自筆でご遺族に伝えられます。
■デメリット
手紙は、基本的に自筆で書くことが礼儀であるため、書き慣れていない場合は大変な手間がかかります。
手段別のメリット・デメリットをご紹介しましたが、故人様やご遺族との関係性、そのときの事情などに応じて、ご遺族に失礼のないベストな伝え方を選択しましょう。
※家族葬に参列する際に気をつけるべきマナー全般については、以下の記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/kazokuso/allmannarforall/
8.お悔やみの言葉はマナーを守りつつ気持ちを込めて
お悔やみの言葉について、さまざまな角度から解説してきました。もっとも大切なことは、心を込めた言葉でお悔やみを伝えることですが、故人様との関係性をふまえて形式に気をつけることも重要です。
マナー違反となるお悔やみの言葉はご遺族を不快にさせる可能性があるため、親しい間柄であっても、言葉選びには細心の注意を払いつつ、気持ちを込めて伝えるようにしましょう。
花葬儀では、葬儀のマナーに関するページを公開しております。お悔みのご挨拶、葬儀・葬式の服装・靴・髪形について、お香典についてなど、基礎知識について解説しておりますので、ぜひ参考になさってください。
https://www.hana-sougi.com/manners/