喪中はがきの書き方~基本マナーから文例まで状況別に詳しく解説

喪中はがきの書き方~基本マナーから文例まで状況別に詳しく解説

喪中はがきは、年賀状の代わりに送る大切な挨拶状です。ご親族に不幸があった年末を前に、喪中はがきを作成しようとして「書き方がわからない」「続柄の記載の仕方は?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

今回は、喪中はがきの書き方について、基本的なマナーや注意すべきポイントなどを詳しく解説します。状況別の具体的な文例もご紹介しますので、初めて喪中はがきを書く方、あらためて書き方を確認したい方などは、ぜひ、この記事を参考にしてください。

1.喪中はがきを書く目的

喪中はがきを書く目的

喪中はがきの目的は、「年賀状など新年の挨拶を控える旨を伝える」ことです。喪中の場合、新年のお祝いの言葉を送ることは失礼にあたりますが、年賀の挨拶が突然途絶えると、相手に不快な印象を与えかねません。このような状況を避けるためにも、喪中はがきを送り、相手に喪に服していることをしっかりと伝える必要があります。

2.喪中はがきの基本的な書き方のマナー

喪中はがきには、守るべきマナーがあります。相手に丁寧な印象を与え、気持ちが伝わるよう、基本的な書き方のマナーをご紹介します。

縦書きにするのが一般的

喪中はがきは、一般的に縦書きにします。縦書きは、古くからの日本の伝統的な書式であり、厳粛で格式の高い印象になるからです​。上から下へ流れるように記された文字には、落ち着きと品位が感じられます。

なお近年では、喪中はがきを横書きで書くケースも増えつつありますが、縦書きにくらべてカジュアルな印象になりがちです。喪中という厳粛な状況を考慮すると、丁寧な印象を与える縦書きがより適しているでしょう。

一字下げを行わない

喪中はがきは、結婚式の招待状や表彰状と同じく儀礼的な挨拶状であるため、行頭の一字下げを行いません。このルールは、伝統的な形式として定着しています。

お祝いを表す言葉を使わない

「おめでとう」「お喜び」など、お祝いを表す言葉を使わないことも重要なマナーです。喪中はがきは、新年の挨拶を控える理由を伝えるものであり、故人様を悼む気持ちを込めて作成するため、お祝いを連想させる言葉や表現は避けるべきです。

「年賀」も「賀」がお祝いの意味を持つ漢字であるため、使用は失礼にあたるとされます。そこで、「年賀欠礼」ではなく、「年始のご挨拶を控えさせていただきます」「新年のご挨拶を失礼させていただきます」などの表現を使います。​

句読点を入れない

喪中はがきの文章には、句読点を使わないのが一般的です。昔の和文書体の名残で、句読点を使わないことにより文面がより格式高く見えます。特に弔事に関連する文章では、感情の起伏を避けるために句読点を省略すべきともされています。

最近では、読みやすさを考慮して句読点を使用するケースも増えています。しかし、年配の方などの場合は格式を重んじる傾向が強いため、句読点を入れないのが無難でしょう。

基本的に近況報告はしない

近況報告を書くことは、一般的にマナー違反です。特に、結婚や出産などのお祝い事の報告は避けるべきです。近況を伝えたい場合は、1月7日(松の内)が明けてから出す寒中見舞いで行うようにします。​

差出人が親しい相手や、故人様とかかわりの深い相手には、喪中はがきの文中に簡単な近況を添えるケースもあります。ただし内容は、故人様の死去により生活がどのように変化したかなどに限られます​。あくまで喪中はがきを出す目的は、年始の挨拶を控える旨を伝えることだと心得ましょう。

喪中の方が送る寒中見舞い」について詳しく知りたい方は、別の記事がございますので、そちらを参考にしてください。

添え書きは必要無い(例外を除く)

個人的なメッセージを加えることで、喪に服すという厳粛な雰囲気が薄れてしまう恐れがあるため、添え書きは基本的に不要です。

ただし、以下のような添え書きは例外です。

  • ・お葬式や法事のお礼
  • ・相手を気遣う言葉
  • ・年賀状じまいを知らせる簡単なメッセージなど

このような内容は、喪中はがきに書いてもマナー違反とは見なされません。

3.喪中はがきの用紙や切手・文字の色

喪中はがきの用紙や切手・文字の色

喪中はがきを準備する際には、はがきのデザインや切手、手で書く際の文字の色にも配慮が必要です。それぞれについて詳しく解説します。

喪中はがきに使うはがきや切手

喪中はがきには、郵便局などで販売される官製はがきと、文具店などで販売される私製はがきの2種類があります。

官製はがきを使う場合は、コチョウランやハスなどの絵柄がデザインされた弔辞用のはがきを使用するのが一般的です。喪中の文言が印刷されており、例年10月下旬から11月上旬にかけて販売されます。

私製の喪中はがきを使用する場合は、弔事用の普通切手を貼ります。シンプルで落ち着いたデザインの切手が、喪中はがきにふさわしいとされています。

喪中はがきのデザイン

私製はがきや印刷サービスを利用する場合、デザインに厳格な規定はありません。色はモノクロでもカラーでも自由ですが、落ち着きのあるデザインを選ぶとよいでしょう。

花をあしらったデザインが好まれる傾向にあり、特に人気があるのは仏教で聖なる花を表す「ハス」、高潔さを象徴する「菊」、永遠の愛を意味する「キキョウ」などです。これらの花は、それぞれに込められた意味も喪中はがきにふさわしいとされています。

喪中はがきに手書きで書く場合の文字の色

手書きで書く場合の文字の色は、宛名面(はがきの表面)では、濃い黒が推奨されます。郵便番号や住所をはっきりとした黒で書くことで、郵便局の機械が宛先の情報を正確に読み取れるようにするためです。

はがきの裏面(挨拶文の部分)では、一般的に薄墨を使用します。薄墨は、「悲しみの涙で墨が薄まった」という心情を表します。ただし、必ずしも薄墨を使う必要はなく、濃墨(黒色)でもマナー違反にはなりません。

4.喪中はがきの裏面(文面)の書き方

喪中はがきの書き方のマナーや選び方がわかったところで、ここからは、文面に書くべき基本的な内容について解説しましょう。

1.年賀欠礼の挨拶をする

故人様が亡くなり新年のお祝いを控える意向を相手に知らせるため、最初に、年賀欠礼の挨拶をします。一般的に「喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます」などの文言が用いられます。年賀欠礼の挨拶をすることで、受け取った相手も年賀状を控えることができます。

2.故人様の情報を書く(名前・享年など)

故人様に関する情報として、故人様の名前、差出人から見た故人様との続柄(関係)、亡くなった時期、年齢(享年)を記載します​。享年は、満年齢が一般的ですが、数え年にするケースもあります。

文面としては、「本年◯月に母◯◯(享年◯歳)が永眠いたしました」「去る◯月に義父が天寿を全ういたしました」などが一般的です。なお、あまりに詳細すぎる情報は控えるのがマナーです。たとえば、亡くなった日付は「本年◯月」程度にとどめます。

続柄の書き方には、一般的な表現とは異なるあらたまった表現があります。この後の「故人様との関係(続柄)の書き方」で解説しておりますので、そちらをご覧ください。

3.結びとして相手への感謝などを記載する

結びには、相手への感謝や気遣いの言葉を添えて、礼を尽くすことが大切です。「生前のご厚情に心より感謝申し上げます」「故人に代わりまして厚く御礼申し上げます」といった表現が一般的です​。

相手の健康や幸せを願う言葉も入れると、より丁寧な印象を与えられます。「寒さ厳しき折 お身体を大切にお過ごしください」や「来年も変わらぬご交誼をお願い申し上げます」などの言葉を添えます。​

4.郵送する日付を記す

差出人が、はがきを投函する日付を記載します。「令和〇年十一月」のように年と月のみを記載し、具体的な日付は省略するのが一般的です。

5.差出人の情報を書く

最後に、差出人の氏名、住所を記します。​電話番号・メールアドレスは、受け取る相手との関係性を考慮し、必要に応じて記載するとよいでしょう。

5.喪中はがきの基本文例と書き方のポイント

喪中はがきの基本文例と書き方のポイント

ここからは、喪中はがきに使える基本的な文例や、書き方のポイントを詳しく解説します。

基本的な文例

前項でご説明したとおり、喪中はがきには基本的に以下のことを書きます。

  • ・年賀欠礼の挨拶
  • ・故人様の情報
  • ・相手への感謝などの言葉
  • ・投函する日付
  • ・差出人の情報

これらを記載した喪中はがきの基本的な文例は、以下のとおりです。

喪中につき 新年のご挨拶を控えさせていただきます
令和〇〇年◯月に父◯◯(享年◯歳)が永眠いたしました
生前のご厚情に心より感謝申し上げます
寒さ厳しき折 どうかご自愛ください

令和○○年○○月
〒123-4567
東京都千代田区〇〇町〇丁目〇番〇号
電話:03-1234-5678(※必要に応じて)
〇〇 〇〇(差出人名)

※サンプルのため横書きで記載しています。

故人様との関係(続柄)の書き方

喪中はがきでは通常、故人様の名前のあとに差出人から見た故人様との関係を表す続柄を記載します。一般的な続柄の書き方についてご説明します。

続柄を書くときの表記例

差出人から見た、故人様との関係を表す代表的な続柄の表記例を表にまとめましたので、参考にご覧ください。

【喪中はがきに続柄を書くときの表記例】
差出人から見た
故人様との関係
喪中はがきに書く続柄の表記例
夫・主人
妻・家内
父・実父・義父・養父
母・実母・義母・養母
長男・次男・三男
長女・次女・三女・息子・娘
子の配偶者 長男の妻・長女の夫など

喪中はがきの続柄の詳しい書き方については、別の「喪中はがきの続柄の書き方」の記事で解説しております。ぜひ、そちらもあわせてご覧ください。

連名の場合の書き方

喪中はがきを連名で出す場合は、差出人の最初に書く方(世帯主)から見た関係を記載します。

【例】夫婦で連名の場合
世帯主から見た続柄を記載します。たとえば夫から見た妻の父を書く場合は、「義父」もしくは「妻の父」などと書きます。

【例】母と娘の連名の場合
母が世帯主である場合、母から見た続柄を記載します。妻の夫が亡くなった場合は、「夫」となります。

文面は相手や状況によって書き方を変える

喪中はがきの文面は、相手によって使う言葉を変えたり、さまざまな状況によって内容を変えたりすることが必要です。

相手に応じて言葉を選ぶ

上司や目上の方へ送る場合は、より丁寧な言葉づかいを心がけます。たとえば、相手の心遣いなどを表現する場合、目上の方には「ご厚誼(ごこうぎ)」「ご厚情(ごこうじょう」、親しい友人などには「ご交誼(ごこうぎ)」などを使います。

宗教や状況に応じた内容にする

故人様や差出人の宗教によって、表現する言葉が異なります。たとえば、仏教における「永眠」は、キリスト教では「昇天」(カトリック)、「召天」(プロテスタント)、神道では「帰幽(きゆう)」などとされる場合もあります。

また、葬儀を身内だけで行った場合や複数の不幸があった場合などでは、書く内容が変わってきます。状況別の具体的な文例は、次項でご紹介いたします。

6.喪中はがきの書き方文例【状況別】

喪中はがきの書き方文例【状況別】

喪中はがきの内容は、シチュエーションによって変わります。ここからは、さまざまな状況に応じた具体的な文例をポイントとともにご紹介します。

葬儀に参列いただいた方に出す場合

葬儀の参列者や、すでに喪中であることを知っている方にも、年賀の挨拶を控える点をあらためて伝えるために喪中はがきを出します。​葬儀に参列していただいた方には、必ずお礼や感謝の気持ちを一言添えます。

喪中につき 年始のご挨拶を控えさせていただきます
去る〇月〇日に 祖父〇〇〇が永眠いたしました
葬儀に際しましては ご多忙中にもかかわらず
ご参列いただき 心より感謝申し上げます
今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます

複数の故人様を記載する場合

故人様が複数の場合、亡くなった順に故人様の情報を並べて書きます。受取人に理解しやすいよう、必要があれば、故人様の姓も記載します。記載の際、続柄と名前は必須ですが、没年月日や享年は任意です。

喪中につき 年頭のご挨拶を失礼させていただきます
祖母 〇〇 〇〇が九月に八十七歳で
父 △△△△が七月に五十八歳で永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情を深謝申し上げます
寒さ厳しい折 皆様のご健康をお祈り申し上げます

喪中はがきで故人様の訃報もあわせて知らせる場合

喪中はがきは訃報を伝えるための手段ではないため、故人様の友人・知人に郵送で知らせる場合は、死亡通知を送ります。しかし、故人様が10月から12月上旬にかけて亡くなった場合、死亡通知と喪中はがきの送付時期が近接してしまうため、喪中はがきに訃報の内容を含めることが許容されます。

その際、直接お知らせできなかったこと、報告が遅れたことへのお詫びの一文を入れます。

喪中につき 年始のご挨拶をご遠慮させていただきます
〇月〇日に 父〇〇が永眠いたしました
葬儀は 故人の生前の意志により
誠に勝手ながら家族のみにて執り行いました
本来であれば早くお知らせすべきところ
このような形でのご報告となりましたことをお許しください
生前のご厚誼を深謝申し上げます

7.喪中はがきを送る前に押さえておきたい基礎知識

喪中はがきを送る前に押さえておきたい基礎知識

最後に、喪中はがきを送る前に、知っておきたい基礎知識を押さえておきましょう。

喪中はがきを出す時期

喪中はがきを送る時期は、一般的には11月中旬から12月上旬が適切だとされています。このタイミングで送れば、受け取った方は、年賀状を準備する前に差出人が喪中であることがわかるため、新年の挨拶を控えることができます。

年末に向けて忙しくなるため「喪中はがきを早く出したい」と考える方もいるかもしれませんが、あまりにも早すぎる時期に出すのは避けるべきです。特に10月中に出してしまうと、相手に忘れられてしまう可能性があります。

喪中はがきを送る相手

毎年、年賀状を交換している相手には、必ず送ります。職場の方でも、年賀状のやり取りをしていた方には送ります。また、ご親族や葬儀に参列してくださった方で、喪中であることを知っていたとしても喪中はがきを出すのが礼儀です。これから年賀状のやり取りをしようと思っていた方に、喪中はがきを出してもかまいません。

8.喪中はがきの書き方に関するQ&A


A.喪中はがきの宛名面は、基本的に普通のはがきや年賀状と同様に書きます。右側に宛先の住所、中心に宛名を大きめに記載します。

文字の色は、郵便番号が機械で読み取れるように黒を選びます。また、裏面が横書きであっても宛名は縦書きが推奨されます。横書きはカジュアルに見えるため、縦書きにするのが無難です。


A.旧姓を入れたい方の名前の横(もしくは直下)に書くとよいでしょう。

新姓(旧姓)の形で記載することもできます。たとえば夫婦連名で喪中はがきを出し、妻の旧姓を記す場合は、差出人の妻の名前の左側に小さく括弧を付け、「旧姓 〇〇(名字)」のように記載する方法があります。


A.引っ越しの時期が3月など早い場合は、先に引っ越しの挨拶状を送り、年末に喪中はがきを出すのがマナーです。

ただし、10月以降に引っ越しをする場合は、喪中はがきに引っ越しの連絡を書いてもかまいません。その際、喪中であることをメインとして書き、最後に「新住所」や「〇月に転居しました」などと、引っ越しについては形式的に知らせるように注意します。

9.喪中はがきは故人様を想い、書き方のマナーを守って送りましょう

喪中はがきは故人様を想い、書き方のマナーを守って送りましょう

喪中はがきは、故人様のことを想いながら、失礼のないよう丁寧に書くことが大切です。喪中はがきを書く際は、基本的なルールや注意点を押さえ、心を込めた文章を心がけましょう。差出人や宛名の書き方、送るタイミング、使用する言葉などのマナーを守ることで、受け取った相手に新年の挨拶を控える気持ちや状況を失礼なく伝えられます。

喪中はがきの書き方やマナーでお困りの場合は、花葬儀事前相談まで、お気軽にお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、お客様の疑問にしっかりお答えいたします。葬儀やお亡くなり後の一連の手続きなどに関してお悩みの方も、24時間365日の体制でサポートしておりますので、ぜひ、ご連絡ください。

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