空き家問題とは?放置するリスクと今からできる対応策を紹介
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- 【 生き方のヒント 】
空き家をそのままにしておくと、さまざまな問題があなたに降りかかるかもしれません。2023年時点で全国の空き家数は900万戸を超え、早急に対策を進めるべき問題として注目されています。空き家を放置すると、どのようなことが起こるのでしょうか。
今回は「空き家問題」について、リスクと対策をわかりやすくご紹介します。このコラムを読んで、空き家で損をしないために今からできることを始めましょう。
1.空き家を放置するリスク・問題点
使っていない空き家を放置すると、どのようなリスクが起こるのでしょうか。
まずは、管理されていない空き家が引き起こす問題についてご紹介します。
倒壊や衛生問題で周辺に悪影響を及ぼす
人が長年住まなくなった家は、人が住んでいる時に比べて傷みやすくなります。定期的にメンテナンスをされない家の外装や屋根は損傷が進み、台風や地震、洪水などをきっかけに倒壊するリスクが高まるのです。
倒壊した建物によって通行人や近隣の住民に損害を与えた場合、空き家の持ち主は損害賠償責任を問われてしまうでしょう。仮に、倒壊はしなかったとしても、朽ち果てた家が周りの景観を損なってしまうことは避けられません。
自宅を片付けず放置した場合、悪臭や害虫・害獣の発生など、衛生面でも悪影響を与えます。敷地内の草や木を放置すると、火災リスクが増大することも考えられます。空き家を放置し続けることで、周りに迷惑をかけてしまうことをまずは押さえておきましょう。
犯罪や不法投棄の温床になる
人が住んでいない家は、犯罪や不法投棄の場として利用される可能性が高くなります。不審者が出入りしやすい環境は、窃盗や放火など地域の治安を悪化させ、不法投棄の場所にされてしまうと衛生面や景観で悪影響を与えてしまうでしょう。
不審者を寄り付かせず、周辺住民が住みやすい環境を維持するためにも、空き家は定期的に管理していくことが必要です。
罰則の対象となる
空き家の増加は、日本における社会問題の一つとなっており、問題に対処するため、2015年に「空き家対策特別措置法」が施行されました。
この法律に基づき、自治体は、「特定空家等」に対して段階を踏んで改善を促していきます。特定空家等とは、「倒壊の危険がある」「周囲に著しく悪影響を及ぼす恐れがある」などの状態にある物件などです。
措置に従わず空き家を放置し続けると、最終的に所有者に罰則の対象となる可能性があります。
行政による立ち入り調査を行い、所有者に助言をする。改善されないと助言より重い「指導」となる。
【勧告】
指導でも改善が見られない場合は、さらに重い「勧告」が言い渡される。この時点で罰則の対象となり、毎年支払う固定資産税の減額が受けられなくなる(詳しくは次の項目で解説します)。
【命令】
さらに放置し続けた場合、行政は勧告された内容に従うよう「命令」を出す。命令に従わなかった場合は50万円以下の過料が科される他、行政により強制撤去などの対応が行われる。撤去費用は所有者から徴収され、所有者が手配するよりも高額になるケースが多い。
また、2023年からは適切に管理がされていない「特定空家予備軍」に該当する空き家にも指導が行われています。指導の対象にならないよう、迅速な対応が必要です。
税金の負担が増える
土地や建物といった不動産を所有している場合、固定資産税や都市計画税が毎年かかります。住宅用の建物には固定資産税の税負担が軽減される特例があるため、一定の条件を満たすと、実際の税額は本来支払う額より大幅に少なくなります。
しかし、空き家対策特別措置法により行政から勧告を受けた場合や、放置している空き家に今後居住する見込みがないと判断されると、特例は適用されません。解体費用や管理費用を節約しようとした結果、それ以上のお金を失う恐れがあるのです。
資産価値が低下する
放置された空き家は劣化し、資産価値がどんどん低下していきます。売却したいと思っても買い手がつかなかったり、売却のために大規模な修繕が必要となったりするでしょう。不要な不動産だとしても資産であることには変わりありませんから、価値を下げないようにする努力が必要です。
不動産の活用機会を失う
自分たちが利用する予定のない不動産は、賃貸に出したり駐車場などに変えたりすることで定期的な収益を得ることができます。賃貸としての活用が難しければ、売却する方法もあるでしょう。しかし、空き家のまま放置し、必要な管理を怠れば、不動産としての活用機会を失うことになります。
空き家を放置することで近隣に迷惑をかけ、金銭的な損失を大きく生み出す問題がいくつも発生するのです。
2.空き家問題を放置しないための対策
空き家を放置してトラブルに遭わないためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
空き家問題の対策をこちらでご紹介します。
空き家を売却する
空き家を利用する予定がない場合は、売却を検討しましょう。売却することである程度のまとまった利益が得られるだけでなく、管理費用や固定資産税の支払いが必要なくなります。所有し続けることで生じる精神的な負担の解消にもつながります。
売却には複数の方法がある
一口に売却と言っても、物件の状態によってさまざまな選択肢があります。主な方法をご紹介します。
- ・空き家ごと土地を売却する
- ・空き家をリフォームして売却する
- ・空き家を解体して土地を売却する
- ・空き家を借地権付建物(※1)として売却する
どの売却方法にするかは、空き家の状態や価値により変わります。専門的な判断が必要な場合は、不動産の専門家に相談することが大切です。
(※1)空き家を売却し、その空き家が建っている土地を購入者に貸すこと。売却側は建物の売却利益と、土地の借地料を得ることができる。
3年以内の売却で税控除が受けられる
相続した空き家を相続から3年以内に売却すると、複数の税控除が受けられる可能性があります。
代表的な控除は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(通称、空き家特例)です。原則として土地や建物などの資産を売却すると譲渡所得として税金がかかりますが、相続してから3年以内に空き家を売却した場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円が控除されます。
控除を受けるには、以下を始めとした複数の条件があります。
- ・相続開始直前まで被相続人(※2)以外が住んでいなかった
- ・1981年5月31日以前に建てられた物件である など
2019年の法改正により、家の所有者が生前老人ホーム等に入所し空き家となっていた場合でも、こちらの特例が適用されるようになりました。そのため、終活の準備として家の査定や売却を検討する方もいらっしゃいます。
(※2)財産を残して亡くなった人。このケースでは、空き家になる前に家に住んでいた人を指す。
参考:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
空き家特例は他の税控除との併用も可能
空き家特例は、以下にご紹介する他の税控除とも併用することが可能です。
マイホームを売却した時に、譲渡所得から最高3,000万円までが控除できる特例。所有期間に制約はないため、相続した空き家を売却した場合でも併用可能。ただし、同一年内に「空き家に係る譲渡所得の特例」と併用する場合は、最大3,000万円までが限度となる。
特定のマイホームを2025年12月31日までに売り、代わりの住居を買った時に、譲渡所得税の納税のタイミングを将来に繰り延べることができる制度。最初に売却したときの売却金額が高額で、譲渡所得分の所得税をすぐに納税することが難しい場合などに有効。
取得費加算特例を使う方法もある
「空き家特例」との併用はできませんが、空き家特例を利用する代わりに「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を利用して節税を図る方法もあります。
相続した財産を被相続人の死亡日から3年10か月以内に売却すると、納付した相続税の一部を取得費に加算することができる(=所得税が低くなる)。
売却金額や譲渡費用などによって節税額は異なるため、どの制度を利用するかは専門家などに相談しながら決めましょう。相続した不動産を売却するための詳しい方法や注意点は「相続不動産の売却」の記事をご覧ください。
空き家を再利用する
空き家を再利用することで、新たな価値の創造ができるかもしれません。状態が良ければそのまま新たな住宅として利用したり、民泊やコミュニティサロンに生まれ変わらせたりしてもよいでしょう。こちらでは、代表的な再利用方法である「リフォーム」や「賃貸」についてご紹介します。
リフォームする
使わない空き家をリフォームすることで、「暮らしやすい環境に作り替える」「賃貸用に転用して収益を得る」「買い手をつけやすくする」ことができます。また、特定空家に指定されるリスクも回避できるでしょう。
リフォームには費用がかかりますが、「耐震」「子育て」「介護」「省エネ」など、リフォームの内容によっては国や自治体から補助金を受けることが可能です。住宅リフォームの支援制度については国土交通省のホームページから確認できるので参考になさってください。
参考:国土交通省 住宅リフォームの支援制度 ※令和6年5月2日時点
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr4_000087.html
賃貸に出す
利用予定のない空き家を賃貸に出すことで、定期的な収入を得ることができます。対個人だけでなく、ルームシェアやシェアオフィスなど選択肢が豊富なのも魅力です。ただし、空き家の状態が一定レベルであることが通常で、所有者が定期的に管理しなくてはならない点に留意しましょう。
マッチングサービスを利用する
空き家を活用したい人と空き家を利用したい人を結びつける「マッチングサービス」を使う方法もあります。
マッチングサービスの代表格である「空き家バンク」は、自治体が現地の空き家情報を公開し、利用希望者を募るシステムです。「不要な空き家を有効活用したい」「空き家の増加に歯止めをかけたい」側と、「移住したい」「格安で家を手に入れたい」という側それぞれのニーズをサポートします。
持て余している空き家を空き家バンクに登録したい場合は、空き家のある住所を管轄している自治体へご相談ください。
空き家を解体する
「建物が老朽化して買い手がつかないが、土地には資産価値がある」といった場合は、空き家を解体して土地だけを有効活用してもよいでしょう。自治体によっては空き家の解体費用に対して補助金制度を設けており、例えば東京都では「東京都空き家ワンストップ相談窓口」を通じて都内の空き家の家財整理や解体をする場合、補助金の対象となる可能性があります。
ただし、空き家を取り壊し、土地を所有し続けると固定資産税の特例が適用されなくなるため、空き家があった時に比べて、土地の固定資産税が大幅に跳ね上がります(参照:1.空き家を放置するリスク・問題点 税金の負担が増える)。空き家を解体した後は、すみやかに売却等を検討しましょう。
管理を外部委託する
空き家の状態を定期的に見ることができない場合は、空き家の管理を外部委託してみてはいかがでしょうか。
空き家の管理委託は住宅メーカーや警備会社などが主に行っており、所有者に代わって点検や管理作業をしてくれます。空き家の状態が常にわかるようにしておけば、老朽化に伴う倒壊や悪臭、犯罪利用などの対策になり安心です。
3.空き家を「問題」にしないために今からできること
空き家が問題となってしまうことを未然に防ぐために、今からできる対策について、こちらで詳しくご紹介します。
ご家族で方針を話し合う
空き家が問題になるのは、相続した後や、介護施設への入所などで親が長期的に自宅を不在にした時です。
「現在住んでいる家に誰も住まなくなる」状況を想定し、あらかじめご家族で話し合っておきましょう。話し合う際には、空き家を放置し続けた場合のリスクや、空き家を所有し続けた場合にかかる費用などに触れると、具体的な方針が考えやすくなります。
また、不要な空き家や土地等を相続放棄する選択肢もありますので、相続放棄の期限や仕組みも理解し、あわせて検討するとよいでしょう。
空き家のある自治体に相談する
ご自身やご家族の所有する家が、将来的に空き家になる可能性がある場合は、空き家のある住所地を管轄する自治体に相談することをおすすめします。売却、空き家バンクへの登録、解体などについて包括的な相談ができます。自治体が独自に設けている支援制度があれば、案内を受けられるでしょう。
プロに相談して解決策を探る
自治体だけでなく、不動産や解体業者などのプロに相談することもおすすめです。空き家の状態やリフォーム・解体にかかる費用目安、空き家の管理に必要なサービスや価格など、「何に」「いくらかかるのか」という情報は、空き家問題について考える上での判断材料になります。
特に空き家とその土地の価値を把握しておくことは重要です。不動産の査定は必ず行いましょう。
4.空き家問題のご相談・不動産の無料査定は花葬儀まで
空き家問題に関するご相談や不動産査定は、不動産会社にしかできないとお思いの方が多いかもしれませんが、実は、弊社花葬儀でも承っております。
花葬儀は葬儀だけでなく、ご家族の逝去に関係するさまざまな事柄(お墓、相続など)にも対応しており、これまでにも多くのお客様にご利用いただいて参りました。空き家問題を花葬儀に任せることのメリットは以下の通りです。
- ・さまざまな悩みをひとつの窓口で解決できます
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5.空き家問題は放置せず早めの対策を
空き家を放置し続けると、近隣へ迷惑がかかるだけでなく、最終的には大きな金銭的損失につながる恐れがあります。大きな題が起こってしまう前に、必要な対策を打っておきましょう。
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