終活を40代から始めるメリットとは?進め方やおひとりさま(独身)が注意すべきことも解説

終活を40代から始めるメリットとは?進め方やおひとりさま(独身)が注意すべきことも解説

40代で終活を始めるのは、早すぎると思っている方もいるかもしれません。しかし、終活の開始時期は人それぞれです。40代で終活を自分の課題として捉えると、これからの日々をより意義深く過ごせるようになるでしょう。

今回は、40代の終活における、さまざまなメリットや、何から着手すべきか、さらには具体的な内容などを詳しく解説します。40代の独身の方(おひとりさま)が行う際の注意点についてもご紹介しますので、終活が気になっている40代の方は、ぜひ、この記事を参考にしてください。

1.40代の終活の目的は「日々の生活を充実させる」こと

40代の終活の目的は「日々の生活を充実させる」こと

「終活」は、辞書上では「人生の終末を迎えるにあたっての希望をまとめ、準備を整えること」と定義されています。人生の終焉のための準備をすることは大切ですが、終活の意義はそれだけではありません。終活の目的は、終わりに向けた準備をとおして「よりよく生きる」ことにあります。

終活ではよく片付けや整理がトピックとして挙がりますが、物の整理などは手段であって、目的ではありません。残りの人生に対する目的意識や価値観を明確にすることで、「日々の生活に充実感を得る」ことこそが、終活を通して目指すべきゴールだといえます。

したがって40代の終活の目的は、日々の生活を充実させることで、始めるのに早すぎないともいえるでしょう。

2.40代から終活を行うメリット5つ

40代で終活を始めるのは早すぎるどころか、40代から行うからこその、さまざまなメリットがあります。次項から、代表的な5つのメリットをご紹介します。

1.生き方や人間関係の振り返りができる

厚生労働省が発表した2022年の日本人の平均寿命は男女ともに80代であることから、40代は人生の折り返し地点だと考えられます。この時期に生き方を振り返れば、今後の人生設計やお金の計画を見直すことも可能です。また、これまでの人間関係を振り返って、悔いを残さない行動をとるようにしていくこともできます。

2.老後を見据えた資金計画を立てられる

40代から終活を始め、老後の生活について考えることで、資金を計画的に準備できます。家計の見直しという点でも、40代は最適な時期でしょう。

40代は家族構成や生活スタイルが変化しやすい時期であるため、特に固定費を見直すことが大切です。たとえば、医療保険やがん保険の中には、40代になると保険料が大幅に上がるものもあります。年齢による健康リスクの高まりも加味して、現在のプランが自分にとって最適かを確認しましょう。

セーブできた分を貯蓄や投資にまわすなどして、将来に向けた資金に活用できます。

3.終末期における治療の希望を伝えられる

40代は年齢による体の変化を感じやすく、がんや心筋梗塞などの疾病リスクも高まる時期ですので、終活の一環として、終末期(回復の見込みのない状態)における治療の意思をご家族に伝えておくことも重要です。

終末期に本人の意思を確かめられない場合、ご家族が治療の方針や、ときには治療中止の判断をくだすことは心理的に大きな負担となります。この現実を理解すれば、終末期の意思表示に対する姿勢が変わってくるに違いありません。

終末期における医療の選択を40代で決め、ご家族に希望を伝えておくことで、自身の心の準備も整い、万が一のときには、ご家族に負担をかけずにすみます。

4.老後の不安を軽くできる

40代から、ここまでにご紹介してきたような終活を行えば、老後の不安を大幅に軽減できるでしょう。

40代の終活は、人生設計を見直すよい機会となり、新たな目標を立てたり、ライフスタイルを見直したりすることで、より充実した老後を迎える準備ができます。時間を味方にしながら貯蓄を計画的に進められ、終末期医療などについても冷静な判断ができるため、老後の不安が格段に軽くなります。

5.親の終活について話すきっかけになる

40代になると、親の終活について考える機会も増えてきます。終活は、親が元気なうちに始めることで、本人の意思を尊重し、ご家族の負担を軽減できますが、親に死に関する話題を切り出すのを難しいと感じる人も多いでしょう。

しかし、自分も終活に取り組んでいることや、自分が終活を始めた理由・メリットを親に話すことで、いっしょに終活について考えるきっかけをつくれます。

3.40代の終活の第一歩は「人生の終わり」を考えることから始めよう

40代の終活の第一歩は「人生の終わり」を考えることから始めよう

40代から始めるとメリットも多い終活ですが、まだ、自身の体力も衰えていない年代で、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そのような方のために、ここでは40代の終活を何から着手すればよいかについて解説します。

人生の終わりを「具体的に考える」ことが大切

40代から終活を行うメリットとして「終末期における治療の希望を伝えられる」と述べました。しかし、たとえば延命治療で行われる処置ひとつをとっても、「実際にどのような処置を行うのか」「行った結果、どのようなことが起こりうるのか」を知らなければ、正確な判断はできませんし、決める必要性も希薄なままです。

近年、自宅でのみとりが減少し、病院でみとられる方が増えており、それに伴って死を身近に感じる機会が少なくなっています。死について具体的に考えるには、以下のような方法があります。

・死を見つめた実体験の書かれた体験談などを読む
・人生の終焉を描いた本や映画に触れる

身の回りの整理から始めるのもおすすめ

40代の終活を、身の回りの整理からスタートさせるのもおすすめです。40代は仕事や子育てが忙しい世代ですから、「もう少し、家をかたづけて過ごしやすい家にしたい」と思われている方もいらっしゃるはずです。

身の回りの整理は、自分の終活とご家族の快適な生活の2つにつながるため一挙両得になり、意欲的に取り組みやすいといえます。

4.40代の終活で取り組むこと

ここまで、40代の方が終活をすることの大切さについて述べてきました。では、40代の終活は、実際には何をすればよいのでしょうか。具体的な内容について、詳しくご紹介します。

整理整頓や断捨離をする

体力も判断力もある40代であれば、終活で重要となる身辺の整理を、スムーズに進めることも可能です。次項から、断捨離とも呼ばれる、身の回りの整理の方法について解説します。

大事なものと不用品を分けて片付ける

40代は家財道具や所有物が増えている時期でもあります。この時点で整理整頓を行うことで、自分にとって本当に必要なものや大切なものを見極め、生活をよりシンプルで効率的にできます。

亡くなった方の持ち物が多い場合、ご家族は、持ち物それぞれについて捨てるに忍びなく気持ちの負担が生じます。また、処分するにも費用がかかる場合もあります。

そこで、大事なものと不用品を分けて片付け、持ち物を減らしておくことがおすすめです。お子様が小さかったときに使っていたものや、もう使わないものについては、可能なら不用品は処分します。特に価値があるもの、形見として取っておいてほしいものは、ご家族に話して伝えておくとよいでしょう。

デジタルデータも整理する

物品だけではなく、デジタル端末上のデータや、ネット上にある情報の整理も大切です。具体的には、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスに保存されている、写真や動画、文書ファイル、SNSアカウントなどのデータの整理です。

特にデジタルデータはプライベートな情報でもあり、ご家族に見せたくないデータも多くあるものです。ご家族に見せたくないデータは、パスワードをかけるか、消去しておくと安心です。ご家族に残したいデータは、あらかじめデータをご家族で共有するか、パスワードをわかるようにして、あるいはパスワードをかけずに保存します。

金融・保険・不動産などの財産情報をまとめる

40代の終活で自身の財産の情報をまとめることは、万が一のことがあったときに備えるほか、資産計画を見直したり、老後の生活を考えたりする絶好の機会にもなります。今回は、有効な財産情報のまとめ方を3つご紹介します。

財産の情報を収集

金融・保険・不動産などには、以下のようなものがあります。それぞれ、ご家族や第三者が見てすぐわかるように、情報をまとめておきます。

財産の種類 情報の作成・収集方法
預貯金 すべての金融機関の口座をリスト化
保険 保険証券を集め、ひとまとめにする
不動産 所有している物件の登記簿謄本を取得しておく
有価証券 利用している証券会社や、保有商品が分かるようにする

ネット銀行やネット証券の口座についても忘れず、参考になるページのプリントアウトなどを行っておきましょう。

財産目録を作成

財産目録とは、財産を一覧にまとめたものです。作成・収集した財産の情報をもとにして資産と負債の両方を記載します。

【財産目録に記載すべき主な資産と負債】
資産 負債
・土地、建物
・預貯金
・有価証券
・生命保険
・宝石、美術品
・自動車
・借金
・住宅ローン
・車のローン
・カードローン

財産目録に決まった書式はありませんが、たとえば、預貯金は銀行名・支店名・口座番号、不動産は、住所・広さ、有価証券は証券会社名・銘柄・株式数を記載します。

大切な書類をひとつにまとめる

財産目録と集めた財産に関する書類や年金手帳などを、たとえばバインダーに入れてひとつにまとめ、保管場所をご家族に伝えます。自分が急な病気やけがをしたときにも、ご家族はスムーズに保険などの手続きができるでしょう。

介護・終末期医療についての意思表示をする

終末期医療に関して、延命治療を希望するのか、最期を病院、施設、自宅のいずれで迎えたいかなどを家族に意思表示しておきます。また将来、病気やけが、認知症になるなどして自らの意志を伝えられない場合に備えて、日常生活をひとりで送れなくなったときに介護を自宅で受けたいか、介護施設に入所したいか、ご家族に自分の希望を伝えます。

ご家族で意見が分かれた結果、家族が選択した内容に後悔するなどして、精神的負担を生じさせないようにすることが肝心です。

エンディングノート(終活ツール)に希望をまとめる

今や終活に欠かせないものといって過言でないのが、エンディングノートなどの終活ツールです。自身の情報や、前述した「金融・保険・不動産などの財産情報」「介護・終末期医療についての意思」を書くのにも使える、有効な終活ツールです。

エンディングノートにさまざまな希望をまとめておけば、自身に何かあった場合に、ご家族はそれを参考にして必要な判断や手続きを行えます。「エンディングノートの書き方」にて、具体的な書き方のポイントをまとめておりますので、参考になさってください。

葬儀・お墓についても考える

「葬儀に誰を呼ぶのか」「どのような葬儀にするのか」などを決めておけば、慣れない葬儀で、ご家族が慌てることもありません。最近は、葬儀社の事前相談をとおして、終活中に希望の葬儀社を探しておく方も増えています。

また埋葬先についても、家代々のお墓があれば心配いりませんが、新たに埋葬先を探す必要があることもあります。最近では昔ながらの一般墓以外にもさまざまな供養方法があり、納骨堂や散骨という方法もあります。自分の希望を考えておきましょう。

5.40代のおひとりさま(独身の方)の終活のポイント

最近では、結婚を選択しない方も増えています。そこで、40代の独身の方(おひとりさま)にスポットを当てた終活の注意点をご紹介します。

老後準備が夫婦世帯より多くなることに注意

独身の方は身近に頼れるご親族がいないケースが多いため、夫婦世帯とくらべて、身辺整理や遺言書の作成などのほかにも準備すべきことが多くなる点に注意しましょう。

たとえば、40代の独身の方が、安心して老後や死後を迎えるようにするには、以下のような制度や契約を活用する方法があります。

契約の種類 概要
生前事務委任契約 判断能力があるうちから、日常生活の支援や財産管理を委任する契約
任意後見契約 将来判断能力が低下した場合に備えて、後見人を事前に指定する
死後事務委任契約 本人の死後に必要な手続き(死亡届の提出や葬儀の手配、遺品整理など)を委任する

判断力があるうちに、仕組みを理解し、検討しておくことも大切です。

女性のおひとりさまは長寿に備え準備を念入りに

2024年5月にWHOが発表した世界保健統計によると、日本の平均寿命は女性が87.2歳、男性が81.7歳で、女性のほうが長寿です。女性のおひとりさまは、長寿の分だけ老後に向けて十分な資金を準備する必要があるため、老後の生活設計や資金計画を念入りに立てることが重要になります。

6.「ミニマリスト」思考で前向きに終活ができる

「ミニマリスト」思考で前向きに終活ができる

40代の終活のハードルは高いと思われる方は、「ミニマリスト」をめざすことから始めてはいかがでしょうか。ミニマリストとは、必要最低限の物だけを持ち、シンプルで効率的な生活を追求する人のことです。

ミニマリストの思考で持ち物やデジタルデータの断捨離などをすれば、掃除や整理整頓が楽になってストレスが減ります。無駄な買い物を避けられるため、将来に向けて経済的な安定も図れます。終活がグッと身近なものになり、前向きに終活を始められるかもしれません。

7.40代の終活に関するQ&A

A. 40代では、老後を先の話だと感じてしまうかもしれません。しかし、人が誰しも平均寿命まで生きるとは限りませんし、死は突然やってくるものです。実際、弊社では、まだお若い方の葬儀を執り行うこともございます。

終活は、いざというときに備えるための活動でもありますから、40代の終活は決して早すぎず、むしろ判断力や体力があるためスムーズに進むほか、老後の資金を長いスパンで準備できるなどメリットが多く、たいへん重要だといえます。

A.終活は多岐にわたるため注意点もさまざまですが、もっとも注意すべきは、やはりお金や契約に関することでしょう。

たとえば、毎月一定額を積み立てて将来の冠婚葬祭費用に充てる「互助会」という仕組みがありますが、あまりにも利用するまでに期間があると、契約した会社自体が倒産する可能性があります。最近では、遠い将来に備えて納骨堂を契約しても、経営母体が倒産してしまったというニュースもあります。

このような事態が発生すると、積立金や購入金が戻ってこないこともあるため、気をつける必要があります。

A.ご心配はもっともで、実際、そうした可能性はゼロではないでしょう。ただ、葬儀社に事前相談に行くと、葬儀社による対応、サービス内容、価格の差や、葬儀で何にお金がかかるのかを具体的に理解できます。お墓についても同様です。

実際の契約自体は、慎重にすべきですが、情報収集は40代から行うのに越したことはありません。

8.40代から終活を始め、余裕を持って老後の準備をしましょう

40代は、まだ、終活をリアルに考えるのは難しいかもしれません。しかし、死はいつやってくるかわからないものです。

40歳であれば、体力・気力も十分であり、終活により人生設計を見直すことも可能です。さらに、老後に向けた資金も計画的に貯めることができます。「時すでに遅し」とならないためにも、40代から余裕を持って終活をスタートさせることをおすすめします。

花葬儀では葬儀に限らず、終活全般についてのご相談に対応しております。生前整理や、ご本人・ご家族の状況に応じた終活のアドバイスも行っております。ぜひこの機会に、事前相談をご検討ください。

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