家族葬のお通夜について~流れ、費用相場、服装など~
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
参列者を故人様のご家族を中心とした、少人数で営む「家族葬」という形の葬儀があります。近年は葬儀も小規模なものが多くなっていますが、なかにはお通夜そのものを省くこともあります。そこで今回は、家族葬のお通夜について次の悩みごとに焦点をあてたいと思います。
・家族葬にお通夜は必要なの?
・お通夜を行う場合の家族葬の流れは?
この2点をご説明いたします。
家族葬にお通夜は必要?
まずは、お通夜とはそもそもどういったものでしょうか?ここではお通夜をを行わなかったケースのメリットとデメリットをあわせてご説明いたします。
「お通夜」とは
お通夜とは、「夜を徹して神仏に祈りを捧げること」を目的とした儀式です。また、かつては一晩ご遺体を見守って、実際にご逝去されたかどうかを判断する予備日として設けられたそうです。今では医療が進歩し、死亡してから24時間以内の火葬や埋葬は法律で禁止されています。
現在は「半通夜」と呼ばれる、日付が変わらないうちに弔問客が退席する形のお通夜が多くなっています。しかし、ご遺族が故人様を夜通し見守る「棺守り」と呼ばれる儀式は、今もなお残っています。
家族葬でお通夜を行わないメリット・デメリット
近年はお通夜をせず、告別式だけする家族葬も増えてきています。お通夜を省くため、実質は一日だけで行う家族葬です。これを「一日葬」と呼ぶこともあります。この一日だけの家族葬には、メリットばかりではなくデメリットもあります。ここではお通夜をしない場合の家族葬のメリット、デメリットをまとめました。
■お通夜をしない家族葬のメリット
・ご遺族の体力的、精神的な負担が軽くなる
お通夜、告別式と儀式が増えることによって、ご遺族が準備、確認することは多くなります。また、棺守りをするとなると、体力的、精神的な負担はより増えるものと思われます。お通夜をしない家族葬は時間が短く、夜通しの見守りもないため、その負担を軽くすることができます。
・葬儀費用が抑えられる
式場の利用料はたいてい、1日単位で発生します。お通夜のない家族葬はその分会場の利用日が一日少なくなるので、費用を抑えることができます。
・ご参列者の負担がなくなる
ご参列者を遠方からお呼びする場合、宿泊施設の手配が必要になることもあります。お通夜なしの家族葬ですと、宿泊や移動が少なくなるため、お身体や費用面での負担が減ります。
■お通夜をしない家族葬のデメリット
・ご参列の都合がつかないことも
お通夜を行わない家族葬の場合、お別れができるのは告別式のみになります。お通夜があれば、告別式と参列することを選べますが、お通夜をしない家族葬ではその選択がなくなります。家族葬であっても、なるべく多くの方に参列いただきたい場合には、お通夜を行うことを検討されるとよいでしょう。
・故人様とのお別れの時間が限られることも
前述のとおり、お通夜をしない家族葬はそれだけお別れの時間は短くなります。このため、お通夜をしない家族葬を安易に選んでしまうと、しっかりとしたお別れの時間が取れず、もう少しゆっくりお別れしたかったと後悔されることもあります。ですので、故人様とのお別れの時間をゆっくりと過ごしたいと思われるなら、お通夜を行う家族葬を選ばれることをおすすめします。
・菩提寺とのトラブルにはご注意を
ご家庭とお付き合いのあるお寺(菩提寺)があると、葬儀はそのお寺の手順を守らなければいけない場合があります。とくにお通夜を行わない家族葬をすることになってお寺様とトラブルになり、読経をしていただけない、戒名を付けてくれない、または納骨を拒否されることも考えられます。菩提寺がある場合はお通夜をしない家族葬で対応してくれるか、くれぐれも忘れずに確認しましょう。
家族葬でお通夜をするかどうかは、基本的にご遺族や故人様の希望で決められます。故人様が生前、何を望んでいらっしゃったのか?ご遺族がどのように故人様をお見送りしたいのか?これらを考えたうえで、葬儀社へ相談し決められるとよいでしょう。
家族葬の費用の相場
次に、家族葬でお通夜をした場合とお通夜をしない場合の家族葬の費用相場(2019年度の調査)を見てみましょう。
■家族葬(お通夜あり)
平均の金額:117万76円(葬儀一式の料金、飲食代、お布施を含む)
100万円以下で執り行った割合:42.6%
■家族葬(お通夜なし)
平均の金額:92万1734円
100万円以下で執り行った割合:59.2%
■一般葬(お通夜あり)
平均の金額:143万1285円
100万円以下で執り行った割合:31.12%
規模が小さいほど、100万円以下で葬儀を執り行う割合が多くなっています。また、このお通夜をしない葬儀の統計は、家族葬ではなく、ご参列者を広い範囲でお呼びする「一日葬」という葬儀形式のものです。そのため、家族葬でお通夜をしない場合だと、ご参列する人数が大幅に少なくなるため、費用を抑えることができます。では、実際にどれくらいの費用でまかなえるか例を見てみましょう。
15名規模のお通夜をしない家族葬の場合
・式場利用費・・・23万円
・火葬場利用費・・13万2000円(待合室費用を含む)
・お布施・・・・・20万円
・僧侶のお車代・・5000円
・飲食費・・・・・7万5000円(1人5000円)
・返礼品代・・・・1万5000円(1人1000円)
とすると、合計65万7000円です。
家族葬でも、その規模やお通夜の有無で、費用は変わってきます。お通夜を執り行うメリットとデメリットを考えて、どのような家族葬にしたいのか、葬儀社にご相談することをおすすめします。
家族葬のお通夜の流れ・準備は?
家族葬であっても、お通夜の準備は一般的な葬儀とあまり変わりません。ここからは、お通夜で必要な準備や当日の流れをご紹介します。
お通夜の日程の決定
お通夜は通常、告別式の前日に執り行います。ご逝去の翌日にできればよいのですが、
・式場、火葬場の混雑により、日程が確保できなかった
・友引が重なってしまった(友引が定休日の火葬場があるため)
・遠方からの参列者が多い
・僧侶のスケジュールが確保できない
などの場合には、日程の変更を考えなければなりません。
式場や火葬場の空き状況は葬儀社が確認してくれるので、ご家族と葬儀社でご相談して日程を決めるとよいでしょう。
喪主の決定
喪主様をどなたにするか決めましょう。故人様の遺言や配偶者の有無などで、どなたが喪主になるかは変わります。
訃報の連絡
故人様のご家族を中心に、葬儀への参列をお願いする方々へ訃報を連絡します。このとき、以下の点を必ず伝えるようにしましょう。
・故人様の名前
・亡くなった日時
・お通夜、葬儀の日時と場所
・喪主様のお名前
・連絡の担当者または葬儀の責任者の連絡先
連絡方法は、ご参列いただいた方々へは電話・メールが一般的です。なお、葬儀にお呼びしない方々には、葬儀後の連絡でも大丈夫です。
通夜振る舞いはどうする?
お通夜の後、故人様の供養とご参列者への感謝を伝えるための食事の席を設けます。参加人数やお料理のラインナップを決めて葬儀社に希望を伝えましょう。なお、最近では、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、お弁当をご用意することも多いです。
また、ご遺族だけでご会食をするケースもあれば、その席そのものを省略するケースも出てきています。こちらもご家族と葬儀社で話し合われるとよいでしょう。
会葬御礼(返礼品、会葬礼状)を選ぶ
「会葬御礼(かいそうおれい)」とは、ご参列者に渡すお礼状と品物のことです。家族葬でも、ご親族やご友人が参列する場合は必ず用意しましょう。
御礼品の金額相場は500円~1000円ほどとされています。ご参列者の人数を予想しづらい場合は、数に余裕をもって準備することをおすすめします。葬儀社から、どのようなものを用意すべきか提案してもらえますので、相談するとよいでしょう。
家族葬のお通夜の流れ
家族葬のお通夜の流れ・当日をご説明いたします。
会場集合、受付
開式1~2時間前を目安に式場に入り、事前に決めた役割分担や段取りを、葬儀社と一緒に確認します。
なお、受付の係はお香典を取り扱うため、ご遺族側で対応しましょう。
参列者の人数にもよりますが、順番待ちの列が長くならないようにするため、受付係は基本的に2名以上でご準備しましょう。
開式
僧侶が到着すると、お通夜がはじまり、次のような流れで進みます。
・僧侶の読経(30~40分程度)
・ご焼香
ご焼香は読経と同時に、「喪主様→ご遺族→ご親族→一般参列者」の順でおこないます。家族葬の場合はご参列者も少ないので、あまり長くはかからないようです。
・僧侶の法話
近年は省略されることも多いのですが、読経の後5~10分ほど、法話をされることもあります。法話が終わると、僧侶は退場します。
喪主の挨拶
少し遠い親戚や友人などがご参列の場合、喪主様がご遺族を代表して挨拶をします。
挨拶の主な内容は、
・参列、生前の厚意への感謝
・告別式の日時の案内
・ご会食の案内(用意している場合のみ)
などです。故人様やご参列いただいた皆さまに感謝の気持ちをお伝えしましょう。また、一般的な挨拶の言葉に加え、故人様との思い出話を盛り込むこともあります。
ご会食の席
ご会食を行う場合は、別室に席を準備し、ご参列者を案内します。基本的には1~2時間程度ですが、ご参列者の多くが30分程度と早い段階で退席するようなら、終了、撤収のタイミングを早めることもあります。
なお、僧侶もご会食への声はかけましょう。ただ、スケジュールの都合で断られることもあるので、その場合は御膳料で代えるようにします。白い封筒に「御膳料」と縦書きし、お車代とともにお渡ししましょう。
棺守り
ご会食が終わり、僧侶や一般参列者が帰宅すると、故人様に寄り添う「棺守り」です。ロウソクと線香に火をともし、それを絶やさないように見守ります。この火には、ご遺体に魔がつくことを防ぐなどの役割があったと言われています。しかし、お疲れであれば無理をせず、体を休めることを優先しましょう。
また近年は、防災、防犯上の理由から、深夜にロウソクや線香に火をつけることや、深夜の出入りをご遠慮いただく式場もあります。宿泊、仮眠施設がある式場なら、ご遺族が交代で棺守りをできますが、事前に確認をとっておきましょう。
家族葬のお通夜の喪主挨拶
お通夜では一般的に、喪主様によるご参列者への挨拶があります。ただ、家族葬のお通夜の場合、喪主様の挨拶の有無は「家族、親族以外が参列しているか」によって変わります。基本的には、
・お子様、お孫様までなど、参列者が近しい血縁者のみの場合:挨拶なしでもよい
・それ以外のご親族、またはご友人などご親族以外の方が参列する場合:挨拶あり
と考えればよいしょう。
家族葬では、故人様に親しい人のみが集まるので、挨拶でも必要以上にかしこまらなくても大丈夫です。ただ、お別れという節目の場ですので、砕けすぎないよう、言葉づかいには気をつけましょう。お通夜での挨拶のタイミングは、お通夜の閉式時やご会食の開始または終了時など、儀式が一段落するときです。
家族葬のお通夜の服装
家族葬のお通夜であっても、基本的に喪服を着用しましょう。ブラックフォーマルと呼ばれる喪服でも格付けがあり、家族葬の場合は「準喪服」という略式のものがよく選ばれています。喪服を着ることには、「人の死を悼む」という意味があります。一般葬と規模は違いますが、故人様を見送る場であることに変わりはありません。また、家族葬では「平服でお越しください」と耳にすることも多いのですが、この「平服」とは普段着ではないので、カジュアルな服装は避けるようにしましょう。
まとめ
これまでのやり方にとらわれず、「故人様と親しい方だけで最後の時間を過ごしたい」という価値観が広まっていることから、家族葬を選ばれることが増えています。お通夜を行うか、行わないかは、そのメリットとデメリットを理解したうえでご家族と話し合い、葬儀社にご相談することをおすすめします。
花葬儀の家族葬プラン
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