神式葬儀の場合に使われる花祭壇の花ってどんなもの?
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- 【 花祭壇 】
ご葬儀と聞くと、仏教をイメージされる方も多いのではないでしょうか。
実際、現在執り行われている葬儀の約90%が仏教に基づくものですが、もちろん、それ以外の宗教のもとに執り行われる葬儀もあります。今回は日本でもっとも長い歴史を持つ、神道(神式)のご葬儀における花祭壇をご紹介します。
神式花祭壇のベースカラー
神式での葬儀で花祭壇をお作りするとき、白いお花を使うことが多くなります。
そのなかでも、とくに使われる機会が多いお花が菊です。
なぜ菊が使われるのかといいますと、
・皇室の紋章が菊だから
・日本の国花が菊だから
・菊の花言葉に「格調高い」というものがあるから
など、その格調高さを理由とする説が有力です。
ただ、ほかにも
・菊は栽培しやすく、寿命が長いので調達しやすい
・菊には独特な香りがあり、それが人の心を落ち着かせ悲しみの気持ちを和らげる
のような、実用的な理由もあるようです。
ご葬儀は突然やってくるものです。そして祭壇を作るためには、多くのお花が必要になります。そこで、栽培しやすく寿命も長い、かつ手に入りやすい白い菊が、葬儀の祭壇に最適な花と考えられるようになったのです。
そして、「白である理由」ですが、これは『もともと日本での弔いの色は白だったから』というものです。
穢れのない世界への旅立ちの色として、神聖な色「白」が亡くなった方への弔いの意味があると考えられています。それが今日まで続いているため、葬儀の祭壇は白い菊がよく使われているのです。
キリスト教などの西洋文化が入ってきたときには、喪服などの「黒」が弔いの色となりましたが、祭壇の白いお花には、日本の文化が引き継がれているといえるでしょう。
勢力を増す白い洋花
ただ、最近は菊だけでなく、白い洋花が使われることも増えてきました。とくに白カーネーションや白ユリ、ランなどがよく見られるのですが、これにもやはり理由があります。
まず白いカーネーションですが、花言葉に「亡き母に贈る愛」というものがあります。これが、亡くなった方への弔いの気持ちを表し、葬儀の祭壇や供花などに適すると考えられるようになりました。
また、ユリの花は咲き終わると丸ごと落ちてしまいます。これは頭が落ちる=死を意味することを連想し、ご葬儀で使用する機会が増えたといわれています。
余談ですが、ユリにはこのような特徴があるので、ご健在の方へのお見舞いには持っていかないようにしましょう。
そういえば、開店祝いなどではランを送る方もいますが、白カーネーションや白ユリを送る方は見かけない気がします。ランはともかく、白いカーネーションやユリは葬儀を連想するため、祝いごとでは使いづらいということなのでしょう。
ここまで白いお花の話をしてまいりましたが、神式では色のついたお花で祭壇を飾ってはいけないわけではありません。最後に少しだけ、神式での花祭壇のいまをお伝えします。
増えてきた神式花祭壇のカラーバリエーション
現在は故人様の遺言やご家族のリクエストで、故人様の好きだった花で祭壇を飾ることもあります。実際、セット料金で生花アレンジ祭壇を使っている葬儀社も多くなりました。デザインなども自由度が出てきており、祭壇のバリエーションも増えてきています。
ただし、花祭壇や色花を嫌う神官様もいらっしゃいますので、事前にご相談はしておいたおうがよいでしょう。
また、祭壇の形は自由でも、祭壇供物(野菜、果物、魚、お米、お酒など)や玉串と呼ばれるサカキの枝など、神道のご葬儀で必要はものは取り入れなければなりません。それらが飾れるようなデザインで、花祭壇を作る必要があります。
伝統の白い菊を使いつつも、それ以外の色のついたお花で祭壇を彩ることが多くなってきました。「神式」という言葉に縛られすぎる必要はありません。故人様とご遺族の思いを形にして、喜ばれる祭壇を作っていくことが大切といえるでしょう。