花祭壇のデザイン・種類|葬儀を彩り家族の想いを形にするには
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- 【 花祭壇 】
「花祭壇のデザインから、旅立たれる方に一番ふさわしい見送り方を考えてみませんか?」
その方のための葬儀は、一度きりです。しかし、ほとんどの場合は、大切な方を亡くした事実を受け止めきれずに心神喪失のまま、葬儀の多くのことを決めなくてはならないのです。慌ただしい印象だけが残り、後になって、「葬儀の詳細が思い出せない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
葬儀の顔ともいえる祭壇を花でデザインすることによって、大切な方の葬儀がより一層、記憶に残ります。美しい花々の力が、底の見えない悲しみから心を癒すのだと、私たちは考えています。
今回は、2002年の創業から数多くの花祭壇を手掛けてきた花葬儀が、祭壇を花で飾る意義や花祭壇のデザイン実例について、詳しくご紹介します。
このコラムを読んで、「大切な人のための一度きりの葬儀」をどのように彩るか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。
1.花祭壇とは?花で彩り、デザインする意味
「お花を1本も使わないお葬式」は、ほとんどありません。どのような形式の葬儀であっても、お花が飾られることが通常です。
花祭壇について詳しくご説明する前に、まずは、祭壇に花をささげる意味についてお話します。
祭壇に花をささげる意味・意義
「死者に花をたむける行為」は、世界各所で見られます。約1万2000年も前のイスラエルの墓地においても、献花の痕跡が見つかっており、太古から花をささげる慣習が、存在していたことが明らかになっています。
葬儀の祭壇に必ず花を供えるのは、死を悼む気持ちの表れだけでなく、大昔から受け継がれた「人にとって直感的で自然な行為」なのかもしれません。
一般葬・家族葬問わず、近年は生花祭壇が主流に
葬儀の祭壇には、「白木祭壇」と「花祭壇」とがあります。白木祭壇は、仏式や神式の葬儀で見られるような、白木でできた伝統的な形の祭壇です。ある程度デザインが決まっており、祭壇をレンタルして使うのが基本です。
一方、花祭壇は、花で飾られた祭壇を指し、造花で作る「造花祭壇」と、生花で作る「生花祭壇」があります。白木祭壇と比べてデザインの種類が豊富で、形にとらわれない幅広い表現が可能です。
花祭壇は、一般葬、家族葬問わず、さまざまな葬儀形態で選ばれており、花葬儀でも、お客様の約9割が白木祭壇ではなく生花祭壇を選んでいます。時代の変遷と共に葬儀のスタイルも進化しており、花祭壇は今後ますます主流になっていくと予想されます。
2.花祭壇のデザインを決める上で大切な要素
白木祭壇の場合、デザインの選択肢は限られています。祭壇を決める主な要素は「宗教」「祭壇の規模」「予算」と、とてもシンプルです。
一方、花祭壇の場合は、どのような要素からデザインを決めているのでしょうか。
こちらで詳しくご紹介します。
祭壇の規模(会場の大きさ)
祭壇は、葬儀会場に設置できる大きさであることが大前提です。カタログに載っている祭壇見本を参考に、式場の広さに合わせて制作するか、希望の規模の祭壇をオリジナルで作るかによって、最終的なデザインは大きく変わります。
祭壇の種類・形
葬儀における代表的な祭壇には、花祭壇と白木祭壇の2種類があります。
白木祭壇は、その名の通り白木を組み立てて作られた祭壇で、仏式葬や神葬式で伝統的に用いられてきました。一方、花祭壇は花を主体に装飾された祭壇で、仏教葬だけでなく、さまざまな宗教や文化の葬儀で使用されています。また花祭壇には、生花を使用した「生花祭壇」と、造花をメインとした「造花(アーティフィシャルフラワー)祭壇」に大別されます。
白木祭壇や造花祭壇は、主要となる「白木」「造花」の部分をレンタルして使うことが一般的です。これに対し、生花祭壇は主役となる生花をその方だけのために用意するため、より故人様の個性や生前の好みを反映したデザインにすることが可能です。
故人様らしさ
「故人様らしさ」は、故人様のことを思い浮かべた時に浮かぶイメージです。例えば、故人様のお人柄はもちろんのこと、趣味や、好んでいたものなども含まれます。これらのイメージを花祭壇デザインのテーマにすれば、より一層、その方らしい花祭壇となるはずです。
花の色・種類
「故人様をイメージさせるテーマカラー」や「主役にしたい花」から考えるのもよい方法です。祭壇の種類が決まらない時なども、祭壇全体の色味などから決めるとイメージもわきやすいでしょう。
予算
花祭壇は、祭壇の大きさや、花の量などによって価格が変わります。おおまかな予算を決めてからデザインを詰めていくことで、「花祭壇で最も重視したいこと」が見えてくるかもしれません。
3.花葬儀の花祭壇は「完全オリジナルデザイン」
花祭壇は前述の5つの要素を参考に、カタログやパンフレットにある祭壇見本から選ぶことがほとんどです。
しかし、花葬儀は違います。私たちのご用意する花祭壇は、「完全オリジナルデザイン」です。
葬儀や故人様に対する想いはご家族ごとに違い、100人いれば100通りのお葬式があります。花葬儀では、「ご家族の想い」をデザインの核とし、事前のお打ち合わせからしっかりとヒアリングを行うことで、見本を再現した祭壇ではなく、「その方らしさ」や「ご家族の希望」が反映された、世界にただひとつの祭壇を作っています。
花葬儀の花祭壇ギャラリーには、「その方のためだけにデザインされた祭壇」が多数掲載されています。何一つ同じデザインはない上に、どのような想いから花祭壇が生まれたのかも見ることができます。
限られた時間の中で、なぜここまでオリジナルの花祭壇が作れるのでしょうか。詳細は次項より詳しくご説明いたします。
4.花葬儀の花祭壇デザインと他社との違い
こちらでは、花葬儀の完全オリジナルデザインの花祭壇についてご紹介します。
納得いくまで時間をかけたヒアリング
祭壇を決めるために、葬儀社がお客様にヒアリングを行うのは珍しいことではありません。花葬儀と他社との違いは、「お客様が納得されるまで時間をかけているかどうか」です。
花葬儀では、葬儀に関するヒアリングだけで平均2時間をかけています(時間はご要望に応じて変わります)。また基本的には、フラワーデザイナーも打ち合わせに同席します。
多くの葬儀社は、葬儀に関するさまざまな相談を含めて1時間程度の打ち合わせのようです。花葬儀のヒアリングでは、大切な方を失ったお客様の悲しみに寄り添うことを心がけながら、「故人様はどんなことがお好きでしたか?」「何かしてあげたかったことはありますか?」などを丁寧にうかがいます。そのため自然と打ち合わせの時間が長くなります。
ご家族の希望が反映された、その方らしいオリジナル花祭壇を作るためには、「故人様らしさ」や、ご家族の想いをしっかりと知ることが必要不可欠なのです。
空間デザイナーによるデッサン&デザイン
一般的な花祭壇は、カタログの中からお客様が選んだものを、葬儀社(もしくは葬儀社と提携している花屋)が作成します。「限られた数から選び、カタログ通りに作る」ため、非常に効率が良いと言えるでしょう。
一方、花葬儀では、自社専属の空間デザイナーが花祭壇のデザインから花の仕入れ、制作までを行います。空間デザイナーとは、葬儀会場全体をご希望の空間に作り上げる専門スタッフのことで、花祭壇を作るフラワーデザイナーでもあります。
この空間デザイナーがヒアリングに同席し、お客様からいただいたヒントやご希望をもとに、その場で花祭壇のデッサンを描き起こします。これは、花葬儀にしかない特徴のひとつです。
「全体の色味はこうで、故人様のお好きなお花をここに……」と、デッサン画を見ながらお話を進めることよって、ご相談者様の想いが形となった、満足度の高い花祭壇をデザインすることができます。
会場で一から設営
葬儀会場(斎場)では、一日に何件も葬儀を執り行います。ひとつの葬儀につき、設営時間は2時間ほどしかありません。葬儀社はさまざまな工夫をしながら、必要なものを迅速に設置していきます。
例えば花祭壇は、パーツごとに区切った祭壇をあらかじめ制作しておき、当日は組み合わせるだけの状態にしておくことがほとんどです。しかし花葬儀の花祭壇は、ひとつひとつがオリジナルですから、同じようにはできません。
葬儀ごとに、効率よく作業するための綿密な打ち合わせをし、葬儀当日は空間デザイナーを含めたスタッフが、市場から直接仕入れた花で、心を込めて一から設営を行います。
5.花葬儀がデザインする祭壇の特徴
次に、花葬儀がデザインする花祭壇の特徴を、より具体的にご紹介します。
ご希望のテーマに合わせてプロデュース
「故人様やご家族の希望から祭壇のテーマを考え、テーマに合わせて葬儀全体をプロデュースする」、これこそが、他社にはまねできない花葬儀ならではの強みです。
以下は、テーマを引き出すためのヒントとそれに対するご提案の一例です。
テーマがあると、使いたい色、使いたい花の種類、花のボリュームなどがイメージしやすくなり、統一感のある美しい祭壇ができます。
具体的な希望が思い浮かばない場合は、スタイルをテーマとして考えてもよいでしょう。例えば「ナチュラル系」なら白い花を基調としグリーンを入れる、「ゴージャス系」ならボリュームのある花を多く使う、などです。
花祭壇デザイン・花の種類ともに多彩
一般的によく知られる花祭壇のデザインは「ライン祭壇」と呼ばれるもので、花を使って曲線を表現するものです。使用されるお花は、和菊が中心です。規則正しく花が並ぶ様は、葬儀にふさわしい厳かさを感じさせますが、一方で「その人らしさに欠ける」と感じる方もいらっしゃいます。
花葬儀の花祭壇は必ずしもライン祭壇に限ったものではなく、デザイン、花の種類ともに多彩です。例を挙げると、下記のように、テーマに沿った祭壇をデザインします。
・ダイナミックな木々の間にシャクヤクやアジサイを活け、海と波を表現
・故人様の明るいお人柄を表現するために、8種類のヒマワリを取り寄せ、お花の高さに変化(凹凸)をつけるように活ける
特に高さに変化をもたせたデザインは、お花の一本一本がきれいに見えるため、「重くて暗い雰囲気が和らぎ、故人様を身近に感じられる」と、ご家族様にもご参列の方にも大変喜ばれています。
季節感のあるデザインでの演出も可能
カタログなどに掲載される花祭壇は、年間を通し一定の品質で同じ商品を提供することが多く、季節感のないデザインになりがちです。
しかし花葬儀では、故人様のお好きな花、誕生月、旅立たれた日など、季節に合わせたお花をご提案しています。季節に応じた花でお見送りをすることで、その花の季節がくるたびに、故人様との思い出がよみがえります。葬儀で使った花が、大切な人の面影としてあなたの人生に寄り添ってくれるでしょう。
以下に、季節ごとに使われるお花の例をご紹介します。
祭壇だけでなく空間全体をデザイン
花葬儀は祭壇だけではなく、葬儀空間全体をデザインします。
例えば、「花見をこよなく愛していた故人様」の祭壇をデザインする場合、空間デザイナーは桜の枝を祭壇に飾るだけのご提案はいたしません。「花見のどのようなところが特にお好きだったのか」などを詳しくうかがい、より「その方らしさ」が表現できるよう、空間全体をデザインします。
生花プラス小物を使って「故人様らしさ」を演出
生花と小物を組み合わせることで、世界にひとつだけの葬儀・祭壇をお作りすることもできます。
例えば、ヒアリング時に「故人様は桜の木の下で、ご家族とお弁当を食べることが好きだった」というストーリーが話題に上がった際には、桜の枝を使うだけではなく、思い出のお弁当に近いものや、お好きだったおかず・飲み物、花見をした時の写真なども用いて、より故人様らしさを表現します。
他にも花葬儀では、キャンドル、ガラス材、流木、布、風船など、テーマを引き立たせる小物を用いて祭壇や会場をデザインすることがあります。「こんなお願いは難しいかな」と思わず、どんな些細な話でも聞かせてください。
「エクステンション供花」で故人様への全員の思いを表現
花葬儀では、生花祭壇を選ばれた方々にエクステンション供花をおすすめしています。エクステンション供花とは、デザインした花祭壇を、参列者の供花代分の費用で拡充する仕組みです。これにより、ご遺族様の祭壇費用負担を軽くできるだけでなく、葬儀に参列した全員がひとつになって祭壇を作り上げたと実感できます。
エクステンション供花についてさらに詳しく知りたい方は、「花葬儀のエクステンション供花とは?」をご一読ください。
花の「質」「鮮度」までこだわった仕入れ・制作
花葬儀の生花祭壇は、依頼していただいた方のために、空間デザイナーみずからが花の仕入れを行います。これは、葬儀業界ではとても珍しいことです。
通常、葬儀社の花祭壇は、社内で保有している花の中から、金額に合うようにデザインするため、「白いお花の花祭壇」の注文であれば、「通年で手に入りやすい白い菊やカーネーション」を選び祭壇を制作します。
花葬儀の花祭壇は、お客様ごとにすべてデザインが異なるため、花は毎回いちから市場で仕入れています。葬儀を担当する空間デザイナーが責任をもって花選びを行うため、ご希望に見合うお花を、鮮度のよい状態で用意することができるのです。
6.【季節別】花祭壇のデザイン実例
ご紹介したように、花葬儀の花祭壇では、誕生月や旅立たれた時の季節の花を使って、故人様を送ることができます。
以下は、これまで花葬儀で手掛けてきた季節の花祭壇の実例です。ぜひデザインの参考になさってください。
春の花祭壇
春の花祭壇は、ピンク系のお花を多く使った、柔らかいデザインが好まれます。枝物などのグリーンや白色も入れると、ナチュラル感が出ておすすめです。
事例1: お花の丘の宝箱
色とりどりの春のお花を使って、咲き誇る丘をイメージ。会場全体を凹凸に活けることで、どこからでも美しく眺めることができます。
事例2:野に咲く花に囲まれて
棺を取り囲んで自生しているように、故人様とご家族のお好きなお花を飾り付けました。あたたかさとやさしさにあふれています。
事例3:桜の咲かない春はない
「桜を使用し、教会で今まで見たことのないような祭壇を」というご希望でした。華やかさの中にも気品漂うデザインは、悲しみを乗り越える力を与えてくれそうです。
夏の花祭壇
夏の花祭壇は、黄色やオレンジといった、見るだけで元気づけられるようなお花が好まれます。故人様の明るいお人柄を表現するのにも、夏のお花はうってつけです。
事例1: ゆく夏に
黄色いお花にピンクや白、グリーンを加えることによって、カラフルながらも落ち着きを感じさせるデザインに。さわやかな夏の風が吹き抜けているようです。
事例2:初夏のドッグラン
大きめのお花をたくさん使って、インパクトのある祭壇に。ドッグランが日課だった故人様のために、床に人工芝を敷くなどして思い出の日々を再現しました。
事例3:ひまわりのように
ビタミンカラーの夏らしい色合いの祭壇の中には、ひまわりも咲いています。故人様の描いた絵や趣味の道具を飾り、より故人様を感じられるようにしました。
秋の花祭壇
秋の花祭壇は、赤や茶など暖色系のお花が好まれます。ススキやもみじといったお花以外の植物も使えば、より個性的な花祭壇がデザインできるでしょう。
事例1:秋風
季節を大切にされていたという故人様。ドウダンツツジの紅葉やススキ、もみじを入れ、秋らしさをしっかりと表現した祭壇の提案に大変ご満足いただけました。
事例2: 秋を歩く
奥行きを感じさせるデザインは、ご近所の公園をイメージ。差し色に青系のお花を使うことによって、視線が会場全体にいきわたります。
事例3:山梨の秋を感じて
息を呑むほどボリュームのある花祭壇には、イエローやオレンジの花をメインに。故人様ゆかりの土地で感じた秋を、ダイナミックに演出しています。
冬の花祭壇
冬の花祭壇には、雪を思わせる白色をベースに、「故人様のお好きな色のお花」や「春を予感させるお花」を入れて、メッセージ性を高めてはいかがでしょうか。
事例1:雪華
「かすみ草が好き」「白い花だけで飾ってほしい」というご要望でした。スキーが趣味の故人様のために、雪山のイメージも参考に。
事例2:河津桜が咲き始める頃に
桜がとてもお好きだった故人様のために、河津桜を壺に活けて並べました。祭壇はインパクトの強いお花で豪華に飾っています。故人様のお人柄が見えるようですね。
※桜は春の花のイメージですが、市場では1月下旬~3月までが出回る時期であるため、冬にもご用意することができます。
事例3:雪山に咲く花
色とりどりの花からのぞく白樺、そして、祭壇手前にはウッドチップを使った「雪山」。雪山を愛していた故人様のために、雪景色に立つ華やかなお人柄を表現しました。
7.想いを花祭壇で表現して、葬儀に彩りと思い出を
しみに押しつぶされそうになるのでは」とご心配の方もいらっしゃいます。しかし、実際に式場に足を踏み入れた瞬間に目に入ってきた花祭壇を見た方の感想は、どなたも「デッサンのとおり、素敵な花祭壇ね、やってよかった」なのです。
ひとめでその人のものだと分かるデザイン、家族の想いが反映されたこだわりは、故人様のお見送りの儀を華やかにするだけではありません。自分たちでデザインした花祭壇は、悲しみから一歩踏み出す一助になるのです。
花葬儀は、故人様のため、そして遺されたご家族のために、真心を込めて花祭壇づくりをお手伝いします。24時間365日、いつでもお気軽にご相談ください。