花祭壇の作り方~想い・希望をデザインにして悔いの無い葬儀にするには
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- 【 花祭壇 】
花祭壇の「作り方」をご存じでしょうか。近年の葬儀で注目を集めている花祭壇ですが、一般的には「カタログから選ぶもの」と思われています。しかし、実は葬儀社と一緒に「作る」ことができるのです。
今回は、「花祭壇を作りたい、依頼したい」と思った方のために、実際の花祭壇の作り方や、スタイルごとの花祭壇の特徴、費用相場などを解説します。また、花祭壇を手掛けている弊社「花葬儀」独自の花祭壇の作り方や、ご家族の想いを形にするためのポイントもあわせてご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。
1.花祭壇を作る前に~他の祭壇との違いや特徴~
花祭壇の作り方についてご説明する前に、まずは、花祭壇の特徴や種類、その他の祭壇との違いについて解説します。
花祭壇の特徴・種類
花祭壇とは文字通り、花で飾られた祭壇のことをいいます。色とりどりな花で故人様への想いを表現し、華やかに見送ることができるのが特徴です。花祭壇には造花(アーティフィシャルフラワー)を使った「造花祭壇」と、生花を使った「生花祭壇」があります。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
造花祭壇 | 季節に関係なく、好きな形の花を使うことができる | 花がもつ生命力や香りを感じることはできない |
生花祭壇 | ・華やかさ以外にも、花のもつ生命力や香りを感じることができる ・本物の花を使うことで、葬儀がさらに格式高いものになる |
季節によっては、希望の花が用意できないこともある |
生花祭壇の魅力は、自然の色彩と花の命のはかなさが、生と死の大切さを感じさせる点にあります。一方、造花を使用した祭壇は、季節に左右されずに花を用意でき、表現の幅を広げることが可能です。しかし、人工的な造花ではどうしても生花特有の臨場感を再現することが難しく、デザインのバリエーションが限られることもあります。
花祭壇と白木祭壇との違い
「白木祭壇」とは、白木(杉やヒノキの樹皮をむいた木材)で作られた仏式祭壇です。仏具や花を供える「段」と、屋形などを模した「輿(こし)」というパーツで主に構成されています。葬儀にふさわしい荘厳さがあり、日本の仏式葬儀において伝統的に用いられてきました。
一方、花祭壇には決まった形式はありません。仏教、神道、キリスト教、無宗教を問わず、取り入れることが可能です。したがって、「白木祭壇+花祭壇」のように、白木祭壇に色とりどりな花をあしらうこともできます。
かつては、信仰する宗派のスタイルを堅実に守ることが多かったのですが、現代では時代に合わせた柔軟性が求められており、またそれが許容される傾向にあります。自由度が高く、華やかに故人様を送り出すことのできる花祭壇は、今後ますます主流になるでしょう。
2.葬儀スタイルごとの花祭壇の作り方・特徴
葬儀の形式は、現在、多岐にわたっています。宗教によっても、花祭壇のスタイルはさまざまです。こちらでは、それぞれの葬儀における一般的な花祭壇の特徴をご紹介します。
仏式葬儀における花祭壇
従来の仏教葬で使われる花は「落ち着いた色味」「香りの少ないもの」「トゲのないもの」が主流でした。具体的には白、黄色、薄紫を始めとした、落ち着いた色の菊やユリなどです。白木祭壇が隠れないよう、ライン状に花を並べたり、高低差をつけたりして活けるのが特徴です。
神道の葬儀における花祭壇
日本固有の信仰である神道では白色を神聖な色と考えているため、祭壇に使う花も白色が主流です。特に、国花であり皇室の紋章にも用いられている菊は、頻繁に使われてきました。
神道の葬儀では、神葬祭壇に供物や榊(さかき)の枝などを飾ります。そのため花祭壇を設ける場合は、通常、遺影や神葬祭壇の周りなど、それらを置くスペースとは別に設置します。
家族葬における花祭壇
家族葬とは、ご家族や特に親しかった友人などで行われる葬儀形式です。参列者同士が互いに近しい関係にあり、自由な雰囲気であるのが特徴です。花祭壇においては、カタログから選ぶスタイルが多く、白や淡い色合いの花が多用されるようです。
3.花祭壇を作る費用・相場
花祭壇作りにおいて重要な要素のひとつが「予算」です。予算を多く設定すれば希望が叶えやすくなりますが、それに伴い費用も上がります。そのため、葬儀全体の費用を考慮しながら、花祭壇に充てる予算をバランス良く決めることが大切です。
一般的なカタログに載っている、シンプルな生花祭壇の相場は10万円~30万円です。造花祭壇であれば、もう少し低い8~30万円が目安となるでしょう。
さらに以下の要素が追加されると金額は上がり、中には100万円を超えるものもあります。
・祭壇の規模を大きくする
・使う花の本数を増やす
・使う花の種類(花材)を増やす
・カタログから選ばずに、オリジナルでデザインする
葬儀費用については「葬儀費用の相場と中身」で詳細に解説しておりますので、こちらも参考になさってください。
4.花祭壇の作り方・依頼方法
ここからは、花祭壇のより具体的な作り方について解説していきます。
まずは、依頼方法をご紹介します。
花祭壇を作りたい・頼みたいと思ったら
多くの場合、花祭壇の注文は葬儀社を通して、提携している生花店などに依頼されます。花祭壇作りには高い技術が求められるため、フラワーデザイナーやフラワー装飾技能士といった、資格を持った人が制作を担当することが多いようです。これにより、カタログ見本の写真と同じような立派な花祭壇が出来上がります。
カタログの選択肢にとらわれず、オリジナルデザインの花祭壇を作りたい場合は、オーダーメイドの花祭壇を受け付けている葬儀社に相談しましょう。
生花店に花祭壇を依頼することもできる?
「葬儀社を通さず、生花店に直接花祭壇を依頼すればスムーズでは?」とお考えの方もいるかもしれません。確かに、花祭壇を直接依頼できる生花店はありますが、その場合には花祭壇の費用のみの見積りが提示されます。葬儀全体にかかる費用見積りは、別途葬儀社に出してもらわなくてはなりません。
葬儀と花祭壇の依頼、見積りを一括で行いたい場合は、葬儀社に依頼することをおすすめします。依頼前に、過去の花祭壇の制作実績についても、詳細を確認しておくとよいでしょう。
5.花祭壇作りに必要なのは「希望をデザインに落とし込む」技術
前述したように、花祭壇作りは高い技術力を要します。伝統的には菊やユリ、胡蝶蘭などの伝統的な花用いて直線的に配置するスタイルが一般的でしたが、近年では洋花を採り入れたり、好みの花を自由に使ったりして、自然な凹凸を出すデザインも増えてきました。
美しい花祭壇を作るためには、豊富な経験やセンス、花に関する深い知識が求められます。さらに、カタログにはないオリジナルの花祭壇を作る場合、これらに加えて、お客様の希望を引き出すヒアリング力や、デザインに反映させる創造力も求められます。
例えば弊社「花葬儀」では、お客様が口にする要望だけでなく、お客様自身も気づかないようなニーズをお話の中から見出し、花祭壇のデザインをお客様と一緒に作り上げます。花葬儀独自の花祭壇の作り方については、次項をご覧ください。
6.花祭壇の作り方~花葬儀の場合~
ここからは、弊社花葬儀による「お客様の希望をデザインに反映させた花祭壇」の作り方について、詳しくご紹介します。
1.空間デザイナー同席の打ち合わせ
葬儀社による葬儀の打ち合わせ(ヒアリング)は、通常、1時間程度です。それに対して花葬儀のヒアリングでは、葬儀プランナーの他に「空間デザイナー」が同席し、一般的な打ち合わせの倍以上をかけてお話をおうかがいします(ご要望に応じて時間は変わることもあります)。
空間デザイナーとは、花祭壇および葬儀会場をデザイン・制作する担当者で、花を扱うフラワーデザイナーでもあります。
この空間デザイナーと葬儀プランナーを交えたヒアリングでは、いきなり花祭壇について話をうかがうようなことはいたしません。まずは故人様について深く理解するために、「故人様はどのような方でしたか?」「故人様とはどんな思い出がありますか?」「故人様に叶えてあげたいことはありますか?」などを丁寧におたずねします。
ひとつひとつの情報やお客様ご自身から語られる葬儀への要望を基に、空間デザイナーがその場で花祭壇のデザインをイメージし、スケッチブックに描いていきます。描きあがったデザイン画を一緒に見ながら理想の花祭壇を作り上げていくという作業は、他社にはない、花葬儀ならではの特徴です。
2.お花の仕入れ~花祭壇設置
花祭壇用の花の仕入れや花祭壇の設置も、前述した空間デザイナーが責任を持って行います。日の登る前に市場へ赴き、お客様に選んでいただいた花や、デザイナーが選定した花をもっともよい状態で仕入れます。その後、お客様と相談して決めたデザインに基づいて花祭壇に花をいけ、会場全体の作り込みを行ってゆきます。
3.供花を用いて花祭壇を拡充することも
花葬儀では、参列することができない方などから寄せられる供花代を、花祭壇や葬儀空間を作る費用に充てることもできます。これは「エクステンション供花」と呼ばれるサービスで、花のボリュームを保ちながらご家族の費用負担を軽くしたり、花祭壇や会場をより華やかにしたりすることが可能です。
実際に花祭壇が作られていく様子の動画を「花葬儀のお葬式」にてご視聴いただけます。どうぞこちらもあわせてご覧ください。
4.花祭壇のテーマを共有する「コンセプトボード 」を設置
花祭壇のデザインコンセプトや、空間デザイナーが描いた祭壇のデッサンを掲示した「コンセプトボード」を式場前に設置することもあります。エクステンション供花でいただいた供花代がどのように活用されたのかが分かるのも特徴ですが、葬儀に集まった全員がひとつになって祭壇を作り上げたこともより実感できるでしょう。
7.ご家族と共に作り上げた花祭壇事例
花祭壇を単に選ぶのではなく、「作る」過程についてより深く理解していただくために、花葬儀において実際にお客様と共に創り上げた花祭壇の事例をご紹介します。
春をイメージした花祭壇で「春生まれ・明るい性格だった奥様」を表現
「春生まれで明るかった奥様を象徴するような、春らしい華やかな花祭壇を」とのご要望を受け、デザイナーと相談の結果、柔らかく色とりどりの花で遺影と棺周りを飾りました。お嬢様の好きな花「ストレリチア」も組み込み、出棺前の花入れでは、お嬢様がストレリチアを棺に手向けました。
こちらの花祭壇では、前述した「エクステンション供花」を取り入れたため、芳名板をご用意し、供花を贈っていただいた方のお名前を一覧にて掲載いたしました。
詳しい内容は、以下よりご覧になれます。
「明るく、包み込むような優しさで家族を支えてくれた妻に、感謝の気持ちを込めて」
通夜・告別式で配置スタイルを変えた花祭壇
「亡くなった時期に合わせて、秋を感じるデザインにしてほしい」「思い出深い軽井沢を一メージした空間にしてほしい」との奥様のご要望に応じて、暖色系の花を使い、紅葉した軽井沢を散歩しているような気持ち浸れる空間をデザインしました。
通夜では参列者が会場内を自由に動けるような配置にし、告別式では花祭壇と向き合えるレイアウトに変更しています。ご覧になった奥様からは「葬儀の概念が覆った」「自由で温かく、思い通りの葬儀にできた」とご満足のお声をいただけました。
こちらの祭壇の詳しい内容は、以下よりご覧になれます。
「葬儀の概念が覆る、自由で温かい葬儀」
入居していたホームの方々と作り上げた花祭壇
ホームに入居していた故人様は、四季を大切にする方でした。祭壇に使ってほしい花の種類や、「葬儀をホームで行いたい」というご要望を全て叶えるために、故人様のお好きだった花や季節の花々を豊富に取り入れた花祭壇をデザインしました。
特に好きだったという深紅のバラは、棺上花(まくらばな)としてご用意し、最後のお別れの際には全て花びらを棺の中へと散らしました。コロナ禍だったということもあり、入居先で葬儀を行うことは難しいとされていましたが、ホームの方々のご理解とご協力のおかげで、一緒に葬儀を作り上げることができました。
こちらの祭壇の詳しい内容は、以下よりご覧になれます。
「父が晩年楽しく過ごしたホームでの、花いっぱいの葬儀」
8.イメージ通りの花祭壇の作り方
上記の事例でご紹介したような、ご要望やイメージを形にした花祭壇を作るにあたっては、どのようなことに注意したらよいのでしょうか。
最後に、イメージ通りの花祭壇の作り方のポイントをご紹介します。
信頼できる葬儀社を選ぶ
希望通りの花祭壇を作るためには、信頼できる葬儀社を選ぶことが最も重要です。葬儀社の質は、葬儀全体の質にも大きく影響します。
信頼できる葬儀社を見極める際には、以下の点に注目しましょう。
・要望に対し、すぐに「NO」と言わず、どうやったらできるのか、他にどのような対応があるのかを考えて提案してくれる。
・詳細な金額設定を明示してくれる。
・こちらに疑問を残したまま話を進めようとせず、親身になってくれる。
花祭壇・葬儀に対する要望をまとめておく
葬儀社に依頼をする際に、「どのような花祭壇であれば後悔がないか」を考えておきましょう。故人様の好きだったものやお人柄などの情報をまとめておくと、花祭壇で叶えたい要望が見えてきます。
例えば以下は、「花と南の海が大好きだった妻のために、南国をイメージとさせる花を使って、妻らしさを演出してほしい」というご家族のご要望を形にした花祭壇です。
ダリア、レンギョウ(黄色い花がついた枝物)、南国イメージのモンステラなどを始めとした、色とりどりのビタミンカラーの花と葉で棺や祭壇を飾りました。花祭壇・葬儀に対する要望をあらかじめ考えておくと、よりご要望を実現しやすくなります。
葬儀全体のおおよその予算を考えておく
イメージ通りの花祭壇を作り始める前に、葬儀全体の予算を考えておくことが大切です。花祭壇の費用・相場で触れたように、祭壇は葬儀全体の費用に大きく関わる部分ですから、葬儀に出すお金について、あらかじめ家族で話し合っておきましょう。
事前相談をする
全国に葬儀社は7,000件以上あるといわれていますが、事前相談を受け付けている葬儀社は、そのうちの半分程度しかないそうです。
突然の不幸に直面すると、ゆっくり考える余裕がなく、手近な葬儀社を選んでしまいがちです。「失敗した」と後悔しないためにも、できるだけ事前に葬儀社と相談することをおすすめします。
葬儀は、大きな費用がかかります。また、大切な人の葬儀は、人生においてたった一度きりです。事前相談で不安や悩みを解消しておくことで、納得のいく選択がしやすくなるでしょう。
9.作り方のポイントを抑えてより美しく思い出に残る花祭壇を
理想の花祭壇の作り方は、「信頼できる葬儀社探し」「予算の設定」「要望の抽出」がポイントになります。同じ金額であっても、葬儀社によって最終的な印象(結果)は異なります。そのため、どのような花祭壇を扱っているのか、また希望をどれだけ反映してくれるかを見極めることが重要です。
事前相談ができる葬儀社、打ち合わせをしっかりと行ってくれる葬儀社を選んで、世界でひとつだけの記憶に残る花祭壇を作ってみませんか。
花葬儀では、ご家族の想いが反映されたこだわりの花祭壇をお客様と共に創り上げています。どの葬儀プランにも、花祭壇を取り入れることが可能です。まずはお気軽にご相談ください。