バラで作る花祭壇~バラならではの特性を生かした五感に残る葬儀~

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バラで作る花祭壇~バラならではの特性を生かした五感に残る葬儀

花祭壇について語るコラム、今回のテーマは「バラ」です。

近年は菊や胡蝶蘭といった伝統的な花だけでなく、さまざまな花が花祭壇に取り入れられています。しかし、バラは伝統的な葬儀では見かけることのなかった花であるため、「花祭壇に使ってもよいものなのか」「どのように花祭壇に取り入れられているのか」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、バラの基本的な知識や魅力、バラを使った花祭壇を作る上でのポイントや実例をご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。

1.かつては避けられていたバラが花祭壇で人気に

かつては避けられていたバラが花祭壇で人気に

2000年までの花祭壇に使われる花は、「トゲがないもの」「強い香りがしないもの」「色彩が控えめなもの」がメインでした。つまり、トゲがあり、香り豊かで、色彩がはっきりとしたバラは、花祭壇には使われてこなかったのです。

特にトゲに関しては、「血を流すイメージへと繋がる」「飾る時に刺さって危ない」という理由から、避けられていました。

しかし、「マイナスなイメージにとらわれることなく、使いたいと願う故人様やご家族の意思を尊重する葬儀」が主流になるにつれ、状況が変わります。2000年以降は、トゲを処理するなど安全に配慮し、バラが祭壇に取り入れられるようになり、今では花祭壇で人気の花のひとつとなっています。

2.花祭壇にバラを使える時季

生花を花祭壇に使う場合、開花時期や流通のタイミングを見極めることが重要です。バラは、どの時季に使える花なのでしょうか?ここでは、バラの開花時期と、バラをもっとも美しい状態で飾るためのポイントについて解説します。

市場では年間を通して流通している

国内のバラの開花期は主に5~11月ですが、品種改良や輸送技術の進歩により、現在では1年中バラを手に入れることができます。品種や生産地によって開花時期が異なるため、年間を通して流通しているのです。

特に春バラ、秋バラの開花期には流通が盛んで、多種多様なバラが入手しやすいです。国産バラが品薄になる夏や冬には、海外産のバラも多く市場に並びます。

バラは鮮度の維持がポイント!

前述のようにバラは通年手に入るものではありますが、いつでも、どの葬儀社でも祭壇に使えるとは限りません。

バラの花は品種や個体によって、日持ちの良さが異なります。他の花にも言えることですが、時季外れのバラは、きゃしゃで弱々しいことが多く、祭壇に華やかさをもたらすことができるかは、実際にバラの状態を見ないと判断できません。

バラの花は同じ苗でも、咲く季節によって以下のような違いが生じます。

・春バラ………一気に開花するため、花が大きく、色合いもその品種がもつ本来の色味が楽しめる
・夏バラ………気温が高いため枯れるのが早く、花も小ぶりであることが多い
・秋・冬バラ…旬のシーズンから外れるため、花も小ぶりであることが多い

バラを祭壇に飾る際には、季節による違いにも注意が必要です。そのため、葬儀社の中にはバラを使用する季節を限定しているところも多くあります。祭壇に使うときは、時季によっては扱いが難しいバラを、いかに鮮度を維持したまま用意できるかがポイントとなります。

季節に応じた選定・品質管理も重要

バラを美しい状態で祭壇に飾るためには、季節に応じたバラの花の選定と、しっかりとした品質管理が不可欠です。例えば、「今の季節において日持ちのする品種を選ぶ」「高品質のバラ(花弁が開きすぎないもの、花弁が開いても下を向かないもの)だけを選定する」などが重要です。

徹底した温度管理に加え、バラのトゲを処理するときにトゲ以外のところを削らない(鮮度維持のため)など、細心の注意を払わなくてはなりません。

このように、バラの取扱いには非常に手間がかかるため、花祭壇でバラを使用したい場合は、いつでも鮮度を維持できる徹底した管理を行っており、かつ、バラを魅力的に演出できる技術力を持った葬儀社を選ぶことが大切です。

3.バラ栽培の特徴と品種

バラの歴史は古く、7,000~3,000万年前にヒマラヤ山脈の近くで誕生したといわれています。

ここでは、日本におけるバラの歴史と品種についてご紹介します。

明治以降日本でも栽培・品種改良が盛んに

洋花というイメージが強いバラですが、実はもともと、日本にも数多く自生していました。現代のバラの祖先をたどっていくと、8種類ほどの原種にたどり着きますが、そのうち3種類(ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナス)は、日本原産とされます。

明治以降、文明開化がきっかけで西洋のバラが輸入されるようになると、その美しさからバラに注目が集まり、品種改良が盛んに行われるようになりました。現在、日本は細部にこだわった高品質なバラを生産することで、世界的にも屈指のバラを生み出す国として認められています。

3万種超とも言われる多様な品種

バラに対する世界的な人気と情熱は、その品種の多さからも感じ取ることができます。現在、市場に出回っている品種は3万種を超え、毎年100種類ほどの品種が新たに登場しているとされます。

大きさや色、咲き方などが異なるさまざまな品種がそろっており、選ぶ楽しさや違いを味わうことができるのも大きな魅力です。

作出不可能とされる「青いバラ」への挑戦

さまざまな種類があるバラですが、実は「青いバラ」だけは、長らく自然界に存在しませんでした。花屋で目にする真っ青なバラは、ほとんどが茎から青色の水を吸い上げさせて着色したものです。

遺伝子組み替えで作られた青いバラとしては、サントリーがオーストラリアのベンチャー企業と共同研究し開発した「アプローズ」が有名です。これは、世界初の青い色素を持つバラです。

一般的な交配による品種改良では、育種家・小林森治さんが作った「青竜」、河本純子さんが作った「ブル―ヘブン」などがありますが、より青く、病気にも強い品種を育てるための研究が、現在も世界中で進められています。

4.バラの種類・分類

バラの種類・分類

バラは色、咲き方、形態、花弁によって全く雰囲気が変わります。
ここでは、バラの種類や分類についてご紹介します。

花の色

バラの色といえば深紅や赤が代表的ですが、他にも下記のような色があります。

・ピンク   ・緑       ・紫     ・青
・黄     ・オレンジ    ・白     ・茶

鮮やかな暖色系だけでなく、モカなどのニュアンスカラーもあります。また、花芯から外側にかけて、または花びらの付け根から先端に掛けて色味が変わるものや、まだら模様が入った品種もあります。

同系色でも品種や成育環境、栽培方法、開花段階、開花時期、個体差などによって色の濃淡が異なるため、多種多様な色合いを楽しめるでしょう。

主な咲き方

バラは度重なる交配により、咲き方をはっきりと区別することは難しくなっていますが、基本的には以下のいずれかに分類されます。

【咲き方の種類】

咲き方 概要
高芯咲き 中心が高くなるように咲く咲き方
カップ咲き 花弁が内側を向き、全体がカップの形のようになる咲き方
ポンポン咲き 小さな花弁が並び、球形や半球形になる咲き方
ロゼット咲き 大小の花弁が複雑に重なり合い、放射状に伸びる咲き方
クオーター咲き ロゼット咲きのうち、花の中心が4つに分かれて見える咲き方

茎に花をつける形態

バラの花のつけ方は「スタンダード咲き」と「スプレー咲き」の2種類があります。

スタンダード咲きとは、1本の茎に1輪の花をつけるタイプです。スプレー咲きは、1本の茎から枝分かれし、複数の花をつけます。スプレー咲きはスタンダード咲きに比べて花のサイズが小さいのが特徴です。

花弁の種類

バラには、花弁の形にも種類があります。それぞれの種類については以下の通りです。

【花弁の種類】

花弁の種類 特徴
剣弁(けんべん) 花弁の先が反り返り、剣のように尖っている
丸弁 花弁の先が反り返っているが、丸みを帯びている
波状弁 花弁が波打っている

種類により、同じバラでもイメージが異なるため、それらを理解することで、バラの魅力をより生かした花祭壇づくりができるはずです。

5.バラが表す意味・花言葉

花にはそれぞれ、その花を象徴する「花言葉」があります。
バラが持つ花言葉をみてみましょう。

色ごとの意味

バラに共通している花言葉は「愛」と「美」です。
それとは別に、色ごとに異なる花言葉を持っています。

【バラの色ごとの花言葉】

花言葉
愛情/美/情熱/恋/あなたを愛します
ピンク 愛の誓い/上品/感謝/幸福
純潔/深い尊敬/私はあなたにふさわしい
友情/平和/献身
オレンジ すこやか/愛嬌/無邪気/絆/信頼
奇跡/夢かなう/神の祝福
尊敬/気品/誇り
穏やか/希望を持ちえる

本数ごとの意味

バラは本数によっても特別な意味を持っています。何本のバラを渡すとどのような意味になるか、下記を参考になさってください。

【バラの本数ごとの意味一例】

本数 意味
1本 あなたしかいない/ひとめぼれ
2本 世界は二人のため
3本 告白/愛しています
4本 一生愛し続けます
5本 あなたに出会えてよかった
6本 あなたに夢中/お互いに敬い愛し合いましょう
7本 片思い/ひそかな愛
8本 あなたに感謝しています
9本 いつまでも一緒にいてください/いつもあなたを想っています
10本 あなたは完璧
11本 最愛の人
12本 私と付き合ってください
14本 誇りに思います
18本 誠実
99本 永遠の愛/ずっと好きでした
100本 100%の愛
108本 結婚してください
365本 あなたが毎日恋しい
999本 何度生まれ変わってもあなたを愛します

12本のバラは別名「ダズンローズ」とも呼ばれ、12本のバラにはそれぞれ感謝や誠実、愛情など意味が込められています。海外では、12月12日に恋人に贈ることが習慣になっており、結婚式の前に新郎が新婦へ「この全て(12種類)を誓います」と手渡すこともあります。

日本でも、結婚式や公開プロポーズの演出に用いるなど、ダズンローズの文化は広まりつつあるようです。

6.バラの魅力~人々をひきつけるその理由は?~

バラの魅力~人々をひきつけるその理由は?~

バラはさまざまな商品のデザインとして採用されたり、舞台や映画で重要なキーアイテムとして登場したりと、幅広い分野で取り入れています。世界中で最も愛されている人気の花と言っても過言ではないかもしれません。

そんなバラの魅力を、こちらより詳しくご紹介します。

特徴的な美しい花姿

バラは、規則的な花弁の並びが美しい模様を作り出し、目を引くような魅力があります。

その気品あふれる花姿から、「バラは美と愛の神ヴィーナスと共に誕生した」「ローマ帝国時代には皇帝や貴族たちがバラを愛するあまり、屋敷全体をバラで埋め尽くした」などの神話や逸話が残っているほどです。現代においても、新種のバラに皇族や有名人の名前がつけられるなど、花の中でも特別な存在として愛されています。

散るまでのはかない姿

バラは植物の中でも丈夫なほうですが、切り花にした場合は1週間ほどで枯れてしまいます。気品のあったバラの頭が下がり、色がくすみ、花弁が散ってしまう様子ははかないものです。

映画・ミュージカルでもよく知られる「美女と野獣」においても、野獣が人間に戻る期限が迫るごとに、バラの花びらが1枚ずつ散り、やがてすべての花びらが落ちてしまう様子が印象的に描かれています。咲いたときの姿が美しいからこそ、散り際のもの悲しさが際立ち、人々を引き付けるのかもしれません。

アロマにも使われる香り高さ

バラは「花精油の王」と呼ばれているほど濃厚で甘い香りがする花で、かつてはクレオパトラやマリー・アントワネットも愛用していたそうです。香りは大きく7種あり、特に「オールドローズ」と呼ばれる古い歴史を持つ品種は、天然香料が抽出できるほど香り高いのが特徴です。

バラの匂いには沈静・安眠・ストレス低減の作用があるといわれており、アロマとしても絶大な人気を誇っています。

幅広い用途

アロマだけでなく、バラは幅広い用途に使われています。例えばハーブティーや化粧品、お菓子に入れる食用などです。

また、バラそのものではありませんが、「バラの花」はデザインとしても、ウエディングドレスや食品のパッケージなどさまざまな場面で起用されています。素材からデザインまで、日常のさまざまなシーンで見かけることのできるバラは、多くの人にとって身近であり、思い出に残りやすい花のひとつでしょう。

7.花祭壇でバラを使うときのポイント

バラの花祭壇を葬儀に設置したい場合、一般的には、「葬儀社が用意する花祭壇の見本カタログの中から、バラが使われているものを選ぶ」方法が取られます。

カタログに掲載されている花祭壇はどれも美しく華やかですが、どのような背景や思いを持つ方に対しても同じデザインの花祭壇が提供されるため、「こんな思いを花祭壇で表したい」という個々の要望に応えることは難しいでしょう。また、花祭壇にバラを使える時季でも触れたように、時季によってはバラの花祭壇を扱っていない場合もあります。

今回このコラムを書いている花葬儀は、ひとつひとつの花祭壇を完全オリジナルのオーダーメイドで作っている葬儀社です。花やデザインのプロが在籍しており、お客様のご希望に叶う祭壇をいちからデザインいたします。

以下では、花葬儀が普段意識している「バラを花祭壇に取り入れるときのポイント」についてご紹介します。バラをどのように使えば魅力的な祭壇になるのか解説いたしますので、ぜひ参考にご覧ください。

多くのバラで華々しさ・豪華さを演出

気品にあふれ、華々しい印象のあるバラは、祭壇において大きな存在感を発揮します。バラをふんだんに使い、デザインの主役に据えることで、祭壇に圧倒的な荘厳さや豪華さ、高貴さをもたらすことができます。

また、多くのバラを祭壇に使うことによって、バラの芳醇(ほうじゅん)な香りが会場内に広がりやすくなります。見た目の華々しさと香りの双方を演出することで、見た人の記憶にいつまでも強く残る華やかな花祭壇となるでしょう。

バラと相性のよい花との組み合わせでバランスを重視

バラの時季ではない季節にバラを使う場合や、「バラだけだと理想のイメージにならない」という場合は、バラと相性のよい他の花を選んで組み合わせます。バラと相性のよい花には、「ダリア」「ユリ」などがありますが、他にもグリーンや枝物を入れてもよいでしょう。

それぞれの色合いを見ながらバランスよく飾ることによって、気高さや豪華さといったイメージだけでなく、「清楚さ」「落ち着いた雰囲気」「季節感」なども表現することができます。

品種の異なるバラの組み合わせで独自性を表現

複数のバラを組み合わせることで、独自性を演出することもできます。

例えば、ピンクがかった茶系のバラ「テナチュール」に、濃い緑色が特徴のバラ「オリエンタルエクレール」を合わせると、通常の祭壇としてはなかなか目にすることのない、アンティークな雰囲気を創出することができます。

色、形、大きさ、香り、咲き方など、品種の異なるバラの組み合わせで、どこかで見たような既製品のような印象とは違う、よりご家族の希望を反映したオリジナルな祭壇が作れるはずです。

ポイントづかいでバラの魅力を強調

バラを多く使わない場合でも、下記のように上手にポイントづかいをすることでバラの魅力を強調することもできます。

【例】
・白い花を基調とした花祭壇の中に、真っ赤なバラを数本入れる
・グリーン系の植物や他の花々を祭壇の周りに飾り、お好きなバラを複数入れることで「バラ園」を表現

存在感の強いバラをポイントとして使うことで、見る人の目を引く効果が生まれます。複数の花の中で佇むバラの姿は、高貴な印象をより引き立ててくれるでしょう。

バラの配置を工夫することで理想の印象に

祭壇の配置箇所、配置範囲や高さなどでも、全体の印象は変わります。

【バラの配置とそれぞれの印象例】

バラの配置 与える印象や期待できる効果
祭壇の中央
(最も目立つ場所)
・視線が集中するため、遺影や棺といった故人様そのものを見てもらいやすくなる
・中央にあることで、格式や気品を感じさせる
遺影の周り 故人様にとって特別な花である、またはご家族の故人様への思いなどを表しやすくなる
祭壇全体 ・華やかで豪華な印象にできる
・思い出の場所(庭など)を連想させる
高低差をつける 花のもつ躍動感や生命力が感じられる

バラのアレンジメントや花束を配置してアクセントに

バラを花祭壇に活けるのではなく、アレンジメントや花束にして配置し、メッセージ性や個性を演出することもよいアイディアです。例えば以下の方法によって、バラに特別な意味が込められていることが伝わりやすくなるでしょう。

【例】
・故人様の大好きだったバラを、故人様が愛用していた花瓶に活け、祭壇の近くに設置する
・バラを花束のようにまとめて、故人様の遺影の近くに飾る

次項からは、今ご紹介した内容をふまえた上で「故人様らしさを演出するために花葬儀ができること」をご紹介していきます。

8.バラ祭壇でその人らしさを表現するには?

バラ祭壇でその人らしさを表現するには?

100人いれば100通りの人生があり、それぞれの人生の中で培われてきたもの、築き上げてこられたものは何よりも尊いものです。花葬儀では、一人一人の人生を尊重し、その方にふさわしい葬儀でお見送りしたいという考えから、花祭壇も「その人らしさ」が感じられるようなデザインを心がけています。

花葬儀が行う、バラを使った「その人らしさ」があふれた花祭壇を表現する方法を、下記よりご紹介します。

「五感ミーティング」で香りまで意識した空間作り

「その人らしさ」が表現された花祭壇を作るためには、故人様のことを深く知ることが必要不可欠です。花葬儀では、一般的な葬儀社の約2倍の時間をかけてヒアリングを行い(お客様のご要望によって変わります)、故人様のこと、そしてご家族の希望などを丁寧におうかがいします。

ヒアリング後は、社内で「五感ミーティング」を行います。打ち合わせで得た情報やご希望をもとに、五感を通じて故人様やご家族のために何かしてさしあげられることはないかと考えるのが目的です。

バラ祭壇に関する事例としては、以前、ご主人を失くし大変悲しんでおられる奥様のために、癒しの効果がある香りをもつバラを選んで、香りも意識した祭壇を作ったことがございます。

祭壇だけでなく、葬儀会場全体を使って五感に訴えかける演出を手掛けるのは、花葬儀の大きな特徴のひとつです。たった一度しかないその方のための葬儀がいつまでも心に残るよう、さりげない演出が光るような空間作りに努めています。

特定の地域に咲くバラ、希少なバラなどをヒアリング後に仕入れ

祭壇で使う花は、弊社に所属する空間デザイナー(※)が、朝早く市場で仕入れます。仕入れはお客様ごとに行うため、ご要望に応じた品種や、質のよい花を揃えることが可能です。

中には、ご希望のバラが「特定の地域にしか咲いていない」「季節的に手に入りづらい」こともあります。入手の難しいバラが、故人様の大切なものであったり、故人様とご家族を象徴する思い出であったりする場合、花葬儀は苦労を惜しみません。ご家族のお気持ちにより添い、さまざまな手段を講じますので、どうぞ遠慮なくご要望をお話しください。

(※)空間デザイナー:花祭壇を始め、葬儀会場全体を演出・制作するデザイナー。フラワーデザイナーでもある。

結婚式や舞台など思い出のシーンを花祭壇で再現

前述したように、バラは愛を表現する花言葉を持ち、贈り物としても人気が高いことから、プロポーズや結婚式、記念日など、人生でも特に思い出深いシーンに登場します。また、「旅行先で行ったバラ園が素晴らしかった」「好きな舞台にバラが使われていた」「表彰された際にもらった」など、バラによって特別な思い出を築いた方もいらっしゃるでしょう。

その方にとって特別な場面や特別な出来事を花祭壇で再現することにより、故人様との思い出が鮮やかに感じられる祭壇をお作りします。

故人様の育てたバラ、思い入れのあるお庭を使った葬儀も可能

バラは園芸においても人気のある花です。故人様が大切に育てていたバラを、自宅から切り取って、もしくは鉢植えのまま葬儀会場に持ちこみ、祭壇に飾ることも可能です。

故人様の大切なものをより身近に感じながら葬儀をしたいという場合は、ガーデン葬もおすすめです。バラのある慣れ親しんだご自宅の庭での葬儀は、故人様だけでなく、ご家族にとっても安らぎを感じられることでしょう。

ガーデン葬については「ガーデン葬」の記事にて詳しくご紹介しておりますので、そちらをご覧ください。

バラを使ったアーチで華やかさと優雅さを演出

花葬儀は花祭壇だけにとどまらず、葬儀会場の空間全体を演出いたしますが、その一例がこちらです。華やかさや優雅さを表現するために、バラを使ったアーチを斎場内に設置することもあります。祭壇の雰囲と合うように会場全体のデザインを統一することで、故人様のお人柄や好みが伝わる葬儀が執り行えるでしょう。

バラのアーチを使った事例は次項でご紹介いたしますので、そちらもあわせてご覧ください。

バラの持つ花言葉やイメージでテーマを表現

祭壇のテーマを、バラの持つ花言葉やイメージで表現するのもひとつの方法です。

例えば、「その人らしさ」がテーマの花祭壇であれば、以下のように考えることができます。

・礼儀正しく厳格な方だった  →白いバラ
・気品にあふれ、情熱的だった →深紅のバラ

また、「故人様への感謝と愛」が祭壇のテーマの場合、父の日の定番の贈り物になっている「黄色いバラ」を使って、故人様(お父様)への感謝を表す方法もあります。

「外ではおとなしい人と思われていたようだけれど、家族には無邪気な面を見せることもあった。だから、祭壇には白い花をメインに使い、少しだけオレンジのバラを添えたい」などといった、ご家族にだけ分かるようなテーマを設けるのもよいでしょう。

希少な「青いバラ」でプレミアムな演出に

故人様が強いこだわりを持っていたり、特別感のあるものが大好きだったりした場合には、希少な青いバラを用いて、葬儀に「プレミア感」を創出するのはいかがでしょうか。

青いバラをたくさん用意しない場合でも、以下のようなポイントづかいをすることで、効果的な演出が行えるでしょう。

・祭壇や斎場全体の色味を白や黄色で統一し、青いバラを際立たせる
・青いバラだけをライトアップする
・棺の上に青いバラを置く

表情が異なるさまざまなバラを使って故人様の個性を表現

一般的なバラの花祭壇は、赤やピンクの「高芯咲き」といったスタンダードな形のバラだけを使うことが多く、美しさや統一感はあっても、個性まで表現することはできません。花葬儀はヒアリング後に市場に出向き花をご用意するため、いろいろな表情(見た目)のバラを使うことが可能です。

王道の高芯咲きのバラに限らず、ひらひらと波打つフリルのような花弁のバラ、外側の花弁が内側の花弁をぎゅっと包みこんだようなもの、アンティークな色合いのものなど、多様な表情のバラをバランスよく取り入れることで、故人様の個性に合わせた花祭壇をデザインします。

ブーケやフェイスフラワーで故人様への思いを伝える

ブーケやフェイスフラワーを使って特別な思いを故人様へ伝える演出を入れるのも、「その人らしさあふれる祭壇」を表現する方法です。

過去には、大好きなご主人へ向けてもう一度プロポーズをしたいと、奥様がダズンローズを葬儀でお渡しされた事例がございます。

愛情や感謝、労いなどの気持ちを伝えるときに渡す「ブーケ」、お顔周りを花で囲う「フェイスフラワー」、バラで作った故人様のための「髪飾り」など、バラを「飾る」だけでなく「捧げる」ことで、ご家族の思いも表すことができるでしょう。

9.バラを活かした花祭壇実例集

最後に、花葬儀がこれまでお客様と共に作り上げてきた、バラを活かした花祭壇の実例をご紹介します。

祭壇名:色とりどりのバラ

祭壇名:色とりどりのバラ

ご夫婦で一緒にバラを育てるほどバラがお好きだった故人様には、表情の異なる8種類のバラを使った祭壇をお作りしました。祭壇に使われている花の7割がバラで、やわらかさだけでなく、豪華さ、そして芳醇な香りも感じていただけます。

祭壇名:ローズガーデン

祭壇名:ローズガーデン

お花の中でも特にバラが大好きだったお母さまのために、ローズガーデンをイメージした花祭壇をお作りしました。「かわいらしい雰囲気」をご家族が希望されていたため、イングリッシュローズを使い、ピンク、薄い紫、ガーデンにふさわしい緑をボリュームたっぷりに活けています。

祭壇名:シャンソン歌手

花葬儀の花祭壇 赤いバラがお好きでシャンソン歌手だった奥様のためにつくった世界でたったひとつの花祭壇

赤いバラがお好きで、シャンソン歌手だった故人様には、バラとドレスをイメージした祭壇をお作りしました。深みのあるボルドー色の赤いバラをライトアップすることで、気高さと上品さを演出しています。

祭壇名:ブルーウェーブ

祭壇名:ブルーウェーブ

こちらは、希少な青いバラをふんだんに使った祭壇実例です。海が大好きだった故人様のために、青いバラと白いカーネーション、白い菊で海原と波を表現しています。花で作った波間には船の模型を置き、故人様らしさが十分に感じられる個性的な祭壇となっています。

祭壇名:洗練された空間で。

祭壇名:洗練された空間で。

白とピンクのバラのほか、淡い色合いの花々を使った高貴な印象を与える花祭壇です。花の位置が棺に近いため「花でいっぱいの空間」を創出しており、ご家族から故人様への特別な思いも感じ取ることができそうです。

今回ご紹介したもの以外のバラを用いた実例は、花祭壇ギャラリーでご確認いただけますので、ぜひご覧ください。

10.バラの花祭壇で「その人らしさ」あふれ心に残る葬儀を

昔は避けられていたバラも、近年は花祭壇における人気の花です。色や種類が多岐に渡り、愛、美、気品などの花言葉も豊富なバラを使えば、大切な人をしのぶのにふさわしい「その人らしさ」のあふれる花祭壇を作ることができるでしょう。

「こんな花祭壇を作りたい」と最初からしっかりとしたイメージを持っている人はほとんどいません。故人様の人柄や、故人様の好きだったもの、祭壇を通して故人様に伝えたいことは、他者や自分自身との対話の中で見えてくるものです。そのお手伝いをぜひ花葬儀にお任せいただければと思います。まずは、無料の事前相談にてお話をお聞かせください。

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