紅葉の魅力を花祭壇に~季節感と美しさを表現する工夫と実例
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- 【 花祭壇 】
「紅葉(こうよう)を使って、花祭壇をつくれるのか?」と、疑問に思われる方も多いことでしょう。紅葉は、秋の短い期間に木々の葉が色づく美しい現象ですが、花祭壇に用いる葬儀社は多くありません。
そこで今回は、弊社花葬儀が行っている、花祭壇に紅葉を用いるための工夫や、紅葉の美しさを表現する方法を詳しく解説します。紅葉で飾った花祭壇の事例もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
1.花葬儀の「紅葉を表現した花祭壇」とは?
花祭壇で紅葉を表現できる葬儀社は限られていますが、花葬儀であれば紅葉の花祭壇をつくることが可能です。まずは、花葬儀における紅葉を表現した花祭壇のつくり方をご紹介します。
本物の紅葉枝物で花祭壇を創作
上の花祭壇は、花葬儀が本物の紅葉の枝物と秋の草花を組み合わせてつくったものです。スタンダードな花祭壇ではなく、オリジナルの季節感豊かな紅葉の花祭壇であることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
紅葉の枝物は扱いが難しいため、他の葬儀社ではほとんど使用されません。代わりに、映像で紅葉風景を映し出す、紅葉の写真パネルを飾る、祭壇の背景をオレンジ色にするなどの方法がよく取られているようです。
花葬儀では、本物の枝物や草花を使い、さまざまな工夫を凝らすことで、紅葉の中に佇んでいるような臨場感あふれる花祭壇を演出いたします。
紅葉を空間全体で演出
花葬儀では、会場全体に紅葉を配置することで、迫力のある空間をつくるケースもあります。祭壇周りのみを紅葉した枝物を飾る演出ももちろん可能ですが、空間全体が紅葉で満たされた葬儀会場では、多くの方が一瞬で紅葉の美しさに圧倒されます。
花葬儀が扱いが難しい本物の紅葉した枝物にこだわるのは、すばらしい花祭壇に仕上がることを知っているからです。次項では本物の紅葉が持つさまざまな魅力をご紹介します。
2.人々を惹きつける紅葉の魅力
ここからは、人々の心を惹きつける美しさにあふれた紅葉の代表的な魅力について解説します。
季節の移ろいの象徴
紅葉は季節の移ろいの象徴であり、色の変化の美しさだけでなく、自然のサイクルや時間の流れも感じさせてくれます。
日本人の季節感を刺激するものとして古くから親しまれており、詩歌や俳句でも紅葉が頻繁に登場します。たとえば、紀貫之の「見る人もなくてちりぬる奥山の紅葉は夜の錦なりけり」という歌は、紅葉の美しさを夜の錦にたとえています。俳句では「紅葉の帳(とばり)」という表現が使われ、紅葉が一面に広がる様子を描写しています。
多様な落葉樹が生み出す色彩
世界の中でも、日本の紅葉は特に美しいとされますが、その理由のひとつに、多様な落葉樹の存在が挙げられます。日本には欧米の2倍ほどの約26種類の落葉広葉樹があり、比較的短期間で緑から鮮やかな色に変化し、それぞれが異なる色彩を持っています。美しい紅葉は、日本ならではの景色とも言えるでしょう。
さまざまな楽しみ方のスタイル
紅葉の楽しみ方は、多様で、自分に合ったスタイルで満喫できます。紅葉の名所を訪れる「もみじ狩り」や、爽やかな気候の中での登山やハイキングでは、自然の中を歩きながら紅葉を堪能することも可能です。旅行では、紅葉の似合う観光名所を訪れたり、露天風呂から紅葉を眺めてリラックスしたりすることもできます。
ご家族とのハイキングや旅行などの思い出とともに紅葉を思い浮かべる方も多いことでしょう。
はかなさが際立たせる美しさ
紅葉の美しさは、はかなさにこそあるといえるでしょう。秋の訪れとともに、木々の葉は緑から鮮やかな赤や黄色に染まり、ほんの短い期間だけ美しさを楽しめます。
緑色から紅葉して色づいた葉は、美しさが最高潮に達した瞬間、風に舞って地面に落ちていきます。この一連の流れは、自然のサイクルを象徴しており、私たちに生命のはかなさや美しさを感じさせます。
3.秋を表現するために欠かせない「枝物の時期」は?
花祭壇で紅葉を表現する際には、紅葉した枝物を使うことが一般的です。日本文化においては、「紅葉=木々の紅葉」というイメージが強いからです。樹木以外にも紅葉する植物は多いものの、花祭壇で紅葉を表現する際には、枝物がふさわしいでしょう。
紅葉の枝物は、その年の気温によって時期や流通期間が前後しますが、短期間のみしか市場に出回りません。紅葉の枝物は、主に北海道などの寒冷地から切り出されるため、関東では紅葉を見かけるよりも1週間程度早くから花祭壇に使えます。
4.花祭壇に紅葉の美しさを添える枝物たち
紅葉の枝物として、もみじ(カエデ)を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、紅葉したもみじは特に日持ちが短いため、花祭壇ではあまり用いられません。ここでは、花葬儀が花祭壇に紅葉の美しさを添えるために使用する枝物の代表例をご紹介します。
ドウダンツツジ
春に白い小花を咲かせるドウダンツツジは、秋になると葉が鮮やかな赤色に変わり、見る人を魅了します。緑から黄色、赤色へと徐々に色づく性質があり、自然の移ろいの変化を感じさせてくれます。
ユキヤナギ
ユキヤナギ(雪柳)は、春に白い小花を咲かせることで知られていますが、秋には葉が美しく紅葉します。標高の高い山では朱色に、平野部では黄色に染まることが多いようです。枝がしなやかでアレンジしやすいため、自由な発想で紅葉の祭壇をつくるのに役立ちます。
ユーカリ
ユーカリの紅葉は、他の植物とは一味違った美しさを持っています。通常、シルバーがかった緑色の葉が特徴のユーカリですが、秋になると徐々に赤やオレンジなどに変わっていきます。紅葉する前のシルバーグリーンと赤のコントラストが美しく、その独特な色合いで特別な秋の雰囲気を演出できます。
ヒペリカム
ヒペリカムは、赤やピンクの実を楽しむ植物ですが、秋になると葉が鮮やかな赤やオレンジに変わり、まるで燃えるような色合いを見せます。鮮やかなオレンジや赤の紅葉したヒペリカムを祭壇に取り入れることで、あたたかみのある秋の雰囲気をつくり出せます。
5.紅葉の美しさを花祭壇で表すためのポイント
紅葉の美しさを花祭壇で表現するには、いくつかのポイントがあります。花葬儀なら、次にご紹介する紅葉の花祭壇作成に欠かせない要素を取り入れることが可能です。
樹木、花市場の動向に精通する
紅葉の時期は限られているため、花市場の動向を常に注視する必要があります。季節ごとの供給状況を把握し、枝物や花材を最適なタイミングで入手できるタイミングを見極めます。
多様な要件を踏まえて最適なひと枝を選定する
紅葉した葉は日持ちが短いため、葬儀の日程と市場の供給状況を考慮しつつ、花祭壇で表現したいイメージに合わせて最適なひと枝を選ぶ必要があります。葉の色づき具合・質を慎重に吟味し、祭壇の演出効果を最大化できる枝を選ぶことが重要です。
適切な管理で美しさを長持ちさせる
紅葉の枝物を花祭壇に飾るときは、スポンジ状のフラワーベースに挿して形を整えることが一般的です。しかし、もともと紅葉した葉は落ちやすく、飾る段階でさらにその進行が早まる場合があるため、紅葉の進みを抑えるよう適切に保管・運搬しなければなりません。
木々の種類ごとの特徴や管理方法など、樹木の紅葉に対する深い知識が求められます。
木々に対する豊富な知見と鋭い美的感覚を持つ
紅葉を美しく飾るには、葉の色づきや形状の違いを考慮しつつ、他の花々と組み合わせることが重要です。同じ木や枝でも葉ごとに色づき方が異なるため、全体のバランスを取ることが難しいからです。
たとえば、赤く染まった葉に淡い色の花を合わせると全体の調和が図れます。葉の形状や大きさを考慮し、異なる形の葉や対照的な色の花を組み合わせることで、立体感や動きが出ます。このように、花祭壇や葬儀会場を総合的に紅葉で美しく演出するには、木々や花に対する豊富な知識と鋭い美的感覚が求められます。
6.花祭壇を紅葉で彩るための花葬儀の創意工夫
ここまでに述べたように、花葬儀は、紅葉を花祭壇に取り入れための条件を満たしています。さらに、次にご紹介するような創意工夫を凝らし、花祭壇を紅葉で彩っています。
花のスペシャリストが市場の最新トレンドをキャッチ
秋の紅葉を花祭壇で表現することは一般的ではなく、通常の葬儀プランにはほぼ組み込まれていません。しかし花葬儀には豊富な樹木の知識を持つ専属の空間デザイナーがいるため、それが可能となっています。
空間デザイナーは、葬儀会場全体をつくり上げる専門スタッフで、花祭壇をつくるフラワーデザイナーでもあります。空間デザイナーは花市場の動向を常に把握し、さまざまな秋の枝物の最適な時期を熟知しています。そのため、その時々でもっとも美しく、祭壇のイメージに合った紅葉植物を選び出すことができるのです。
想いを形にできる最適な花材を選定
花葬儀は、すべての花祭壇をご家族の想いを丁寧にうかがい、オーダーメイドでつくっております。打ち合わせ時には空間デザイナーが同席し、ご家族に故人様のことや花祭壇へのご希望などを丁寧にヒアリングして、ご家族の想いを反映した花祭壇の「テーマ」を決めていきます。
空間デザイナーは、テーマに合った的確な花材を選び、巧みに組み合わせて花祭壇や葬儀空間をデザインします。ご家族の想いを形にするのに紅葉が必要であれば、紅葉の枝物はもちろん、実もの、秋の草花などを織り交ぜて、紅葉を表現するのに最適な花材を選定します。
豊富な施行経験・幅広い知識から最適な葬儀会場をご提案
葬儀会場の選択には、アクセスのよさだけでなく、葬儀の規模や宗教・宗派など、さまざまな条件を総合的に考慮しなければなりません。また、花祭壇で紅葉を表す際には、祭壇自体の美しさに加え、紅葉が映える葬儀会場を選ぶことで、紅葉の魅力をより一層引き立てることができます。
花葬儀の空間デザイナーは、秋の紅葉を際立たせる風情やデザイン性のある葬儀会場を熟知しています。特定の会場ありきではなく、プランナーと空間デザイナー双方の豊富な施工経験を活かし、お客様のご要望に合わせた柔軟な提案が可能です。
存在感ある高木を活かした空間演出
花葬儀では、地面から生えた姿そのままのような紅葉した高木を、そのままの姿で葬儀会場に運び込んで設置するケースもあります。他の葬儀社では、紅葉していない高木を花祭壇に用いることはあっても、紅葉した木を扱うことはほぼありません。ご家族の想いを形にするために、手間を惜しまず、紅葉した高木を活かした空間演出もいたします。
7.花祭壇に紅葉を取り入れるのがふさわしいケース
花祭壇を紅葉で彩るポイントや工夫をご紹介してきましたが、実際にどのような場合に紅葉の花祭壇をつくるのでしょうか。花葬儀では、過去に以下のようなケースで、紅葉を取り入れたことがあります。
- ・故人様が紅葉狩りをお好きだった場合
- 故人様の個性や好みを尊重した花祭壇で、お見送りができました。
- ・自然を愛した故人様が秋に亡くなられた場合
- 祭壇に紅葉を取り入れることで、ご家族は秋がめぐるたびに故人様をしのぶことができました。
- ・登山やハイキングがお好きだった場合
- 花祭壇で山々の紅葉を再現することで、故人様の趣味や自然愛を表現しました。
- ・紅葉の名所に旅行に行った思い出がある場合
- 旅行先の紅葉の風景を取り入れることで、ご家族の楽しかった思い出をよみがえらせました。
このように、故人様の人生や思い出に紅葉が深く関わっている場合、花祭壇に紅葉を取り入れることで、より個性的で心のこもった送別の場を創出できるでしょう。
8.花祭壇で紅葉を引き立てる枝物の飾り方
花葬儀では、花祭壇で紅葉を引き立てるために、枝物の飾り方にもさまざまな工夫を凝らしています。こちらでは、花祭壇で紅葉を引き立てるための枝物の飾り方の一例をご紹介します。
左右対称に高い枝物を配置し荘厳な雰囲気に
背の高い枝物を祭壇のサイドに飾ることで、祭壇に高さが加わって空間が広がり、壮大で荘厳な雰囲気になります。左右対称に配置すれば、視覚的なバランスが取れ、祭壇全体が安定して見えます。さらに、枝物を外向きに配置することで、視線が自然と祭壇の中心に集まりやすくなり、故人様をしのぶ場として荘厳さが強調されます。
内向きにしだれるように飾り森の中を表現
枝物を内向きにしだれるように飾ると、自然なアーチやカーブが生まれ、空間に柔らかさと動きが加わります。これが、自然界で見られる木々の枝が風に揺れる様子を連想させ、見る人に森の中にいるような感覚を与えます。
部屋の最奥に置き広々とした空間を演出
枝物を葬儀会場のもっとも奥に配置することで、視線が自然と奥へと導かれ、空間に奥行きが生まれます。会場全体が広く感じられ、参列者にゆったりとした印象を与えます。また、枝物の高さと形状が天井の高さを強調し、空間に縦の広がりをも生じさせます。特に高い天井の会場では効果が顕著で、空間全体がより開放的に感じられます。
草花とともに地面から生えているように演出
紅葉した枝物や実をつけた枝物・草花を組み合わせれば、秋特有の色彩や実りの秋を感じられます。それらを地面から生えているように配置することで、葬儀空間が自然の一部であるかのような感覚を与えることもできます。
入り口を彩り自然のフレームを描く
紅葉のしだれた枝葉で葬儀会場の入り口を飾ると、しだれた枝葉が自然に垂れ下がることで額縁のように入り口を囲み、参列者に特別な空間に足を踏み入れる感覚を与えられます。枝葉の紅葉の鮮やかな赤やオレンジの色合いはあたたかみがあり、葬儀の厳粛な雰囲気の中にあってひときわ目立ち、葬儀会場の入り口がひとつの絵画のようにも見えます。
9.枝物以外で花祭壇に紅葉の風情を描く手法
花葬儀では枝物と合わせて、紅葉の魅力をさらに引き出す演出をすることもあります。それらの手法から、代表的なものをご紹介します。
朱色やオレンジ色の花で彩りを表現
紅葉の枝物以外にも、秋の花であるダリアや、ケイトウ、マリーゴールドなどで紅葉を再現することも可能です。
たとえば、朱色やオレンジのダリアを選び、背の高いものを祭壇の後方に配置し低めのものを前方に置くことで、立体感のある紅葉を効果的に再現できます。高さを出すために赤や黄色のケイトウをダリアの間にランダムに飾ると、自然な紅葉の風景に見えます。さらに鮮やかなオレンジ色のマリーゴールドをダリアやケイトウの前に置けば、自然な色彩のグラデーションがつくり出せます。
秋の草花で情景を描く
紅葉の枝物に秋の草花を加えて、より秋らしい情景を描くこともできます。細長い葉と穂が特徴で風に揺れる姿が美しいススキや、大きな穂が特徴でボリューム感があるパンパスグラスを枝物と組み合わせれば、自然な秋の風景を花祭壇で再現できます。
秋の実りを象徴する松ぼっくりや栗の実を添えることで、豊かな秋の雰囲気を演出できるでしょう。
ライトアップで幻想的な雰囲気に
ライトアップによって、紅葉の美しさがいっそう際立ちます。光が葉に当たることで、その微細な模様や色のグラデーションが強調され、まるで1枚1枚の葉が発光しているかのような幻想的な雰囲気が生まれます。
また、秋といえば中秋の名月ですが、紅葉がライトアップされると、あたかも月明かりが降り注ぐような光景が広がります。詩的で神秘的な空間は、参列する人々にとって忘れられない体験となり、心に深く刻まれることでしょう。
10.紅葉が織りなす花祭壇実例集
最後に、花葬儀が秋の紅葉を表現しておつくりした花祭壇の実例をご紹介します。
祭壇名:照紅葉(てりもみじ)
紅葉した枝物のドウダンツツジと赤やオレンジのダリアやカーネーション、バラなどで、秋の紅葉をイメージした祭壇をおつくりしました。ススキを祭壇の周囲に配置して、秋らしい風情を際立たせています。下からライトアップすることで、シックな雰囲気に仕上げました。
祭壇名:秋を感じて
故人様が軽井沢の自然を愛していたとのお話をお聞きし、ご葬儀の季節が秋の後半だったので、まるで軽井沢の紅葉の中を散歩しているかのような空間デザインとしました。ドウダンツツジやレナンセラ、グロリオサなどで、燃えるような秋の紅葉を再現しました。
祭壇名:秋を歩く
故人様が生前によく散歩をしていたご近所のイチョウ並木や公園をイメージして、花祭壇をおつくりしました。紅葉したドウダンツツジや黄色のマリーゴールド、キクの色合いと、水色のデルフィニウムや白いユリなどのコントラストが美しい祭壇になっております。
祭壇名:山梨の秋を感じて
赤やピンクのコスモス、黄色のキク、鮮やかな朱色やオレンジのケイトウを組み合わせて、色とりどりに紅葉した秋の風景が感じられる祭壇をおつくりしました。祭壇の両脇にしなやかなユキヤナギを配置し、木々の自然な動きを表現しています。
紅葉を表現した花祭壇の実例は、「花祭壇ギャラリー」でさらにご覧いただけます。季節感あふれる様々なデザインをぜひお楽しみください。
11.秋の風景を美しく彩る紅葉で印象に残る花祭壇を
秋の季節のほんの短い期間でしか見られない紅葉は、たいへん貴重です。だからこそ、紅葉で彩った花祭壇は、参列した方々の心に深く残るものになるでしょう。
本物の紅葉した枝物を祭壇に使うのは難しいため一般的ではありませんが、弊社「花葬儀」であれば、専属の空間デザイナーがおりますので、紅葉を取り入れた花祭壇をおつくりすることも可能です。
紅葉での花祭壇にご興味のある方や不安をお持ちの方は、ぜひ、お気軽に花葬儀の事前相談までお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、ご家族の想いを十分にお聞きして、理想の祭壇をつくるサポートをいたします。