冬の葬儀の花祭壇を彩る花として、根強い人気があるのがスイートピーです。しかし、スイートピーを使った花祭壇のデザインや演出方法には、さまざまな手法があることはあまり知られていません。

そこで今回は、スイートピーを用いた花祭壇の魅力や、作り方の工夫、演出方法を解説します。花祭壇の具体例もご紹介しますので、スイートピーの花祭壇をお考えの方や、冬季の花祭壇のヒントをお探しの方は、ぜひ、この記事を参考になさってください。

1.冬の静寂・春の息吹を感じさせるスイートピー

スイートピーは、柔らかな色合いと優美な姿で、多くの人々に愛されてきた花です。もともとは淡い色が主流でしたが、品種改良が進む中で濃い色も増え、現在では多彩な色彩が楽しめるようになりました。

つる性の植物で、支柱につるを巻き付けながら成長する姿も魅力の一つです。寒さが厳しい冬の静寂の中で美しい花を咲かせ、やがて訪れる春の息吹を感じさせてくれます。初冬から春先にかけて市場に出回り、可憐で愛らしい姿は季節を彩る特別な存在です。

2.スイートピーが花祭壇で輝く理由

スイートピーは、花祭壇で特別な役割を果たし、参列者を魅了します。花祭壇においてスイートピーがどうして輝くのか、その理由を解説します。

ドレスやチョウを思わせる優雅なフォルム

スイートピーが花祭壇で人々を魅了する理由の一つは、その優雅なフォルムにあります。花びらはまるで舞い踊るチョウや、女性のドレスのフリルのように流れるような曲線を描いており、花祭壇において他の花々と調和しながら、さりげなく個性を主張します。優美な花姿は、静寂に包まれた葬儀の空間に華やかさと気品を添えてくれる存在です。

甘く優しい香り

スイートピーの甘く優しい香りは、葬儀の空間に心地よく広がり、参列者に安らぎを与える役割を果たします。香りは記憶や感情とも深く結びつきやすく、故人様との思い出を呼び起こしたり、静かな癒しを提供したりする効果もあります。

心に刻まれた思い出を再現

スイートピーはかつて、名曲「赤いスイートピー」のヒットにより昭和世代を中心に広く親しまれた花でもあります。卒業式や入学式など人生の大切な節目に贈られることも多く、さまざまな方にとって思い出と結びついた花です。花祭壇にスイートピーを使うことで、参列者の心に刻まれた故人様との大切な記憶を呼び起こすこともできます。

3.花祭壇を彩るスイートピーの花言葉

スイートピーの花言葉は、「優しい思い出」「永遠の喜び」「別離」「門出」などです。

大切な記念日に贈られることが多いスイートピーは、「優しい思い出」にふさわしい花でしょう。高貴で長く心に残るような美しさは、「永遠の喜び」のイメージにもぴったりとマッチします​。また、花びらがふわりと舞い落ちる様子は、単なる別れを超え、新たな旅立ちや人生のステージを連想させます。

スイートピーには、色によっても異なる花言葉があります。以下に、色ごとの花言葉をご紹介します。

4.スイートピーの花祭壇をより美しく仕上げる工夫～花葬儀の場合

スイートピーは多くの葬儀社で取り扱われていますが、単に「人気があるから」「冬が旬だから」といった理由だけで選ぶと、スイートピーの清楚な特性を生かすことができない可能性があります。あるいは、花祭壇全体のデザインにまとまりがなくなるかもしれません。

スイートピーは自己主張の強い花ではないため、弊社「花葬儀」ではスイートピーの花祭壇をより美しく仕上げるために、さまざまな花祭壇の作り方の工夫を重ねています。たとえば、スイートピーを束で使うことでボリューム感を出し、存在感を高めます。また、他の花と組み合わせる場合は、よりいっそうスイートピーの繊細な美しさを際立たせる花を慎重に選択し、調和のとれた花祭壇を創り上げるのです。

5.スイートピーを生かした心温まる花祭壇演出

ここからは、花葬儀が花祭壇でスイートピーを生かすために、どのような演出方法を用いるのかを具体的にご説明します。

同色のスイートピーを敷き詰めて神秘的な空間を創造

同じ色のスイートピーを敷き詰めることで、神秘的な空間を創造するだけでなく、花の色に込められた意味を強調することも可能です。淡いピンク色のスイートピーを敷き詰めれば、優しさと温かさに包まれた空間が生まれます。ピンク色のスイートピーの花言葉は「優美」「繊細」であり、故人様の気品ある生涯や、優しさを象徴してくれるでしょう。

枝物やグリーンに添えて立体感を出す

背の高い枝物の足元や周辺にスイートピーを配置することで、祭壇に高低差が生まれると同時に奥行きも加わり、花祭壇全体が豊かで立体的な印象になります。グリーンとスイートピーを組み合わせれば、色や葉の艶やかさと花びらの柔らかさの対比が生まれ、単調さを防いで自然なボリューム感を演出します。

かすみ草や桜と飾り季節感を強調

スイートピーをかすみ草と飾ると、繊細で幻想的な雰囲気を演出できます。スイートピーの優雅なフォルムと、かすみ草の小さな白い花により、まるで雪が舞い散る冬を思わせる空間を作ることが可能です。

桜と飾れば、春らしい彩りの花祭壇となります。桜の淡いピンクとスイートピーの柔らかな色合いが調和し、春の訪れが感じられるでしょう。

流れ落ちるラインで優美さを演出

スイートピーの特徴である細く柔らかな茎を生かし、花祭壇から下垂させることで、流れるようなラインが生まれ、空間全体にエレガントな印象をもたらすことができます。

祭壇の両脇から垂らすアレンジもおすすめです。左右対称に配置されたスイートピーが花祭壇全体を包み込み、参列者に穏やかな印象を与えます。吊るしたフラワーボールからスイートピーを下垂させれば、立体感と動きも表現できます。

6.スイートピーが紡ぐ心温まる花祭壇の事例

最後に、花葬儀がこれまでスイートピーを用いてお作りしてきた花祭壇の実例をご紹介します。

祭壇名：宇宙

故人様が生前にデザインされた花祭壇を再現しました。正面に映した「光る地球」を包むように紫色のスイートピーを敷き詰め、壮大で幻想的な「宇宙」を表現しています。紫色のスイートピーには「永遠の喜び」という花言葉があります。故人様の安らかな旅立ちと、永遠の存在を象徴しているかのようです。​

祭壇名：優雅な時がながれる

ご家族からの「式場の雰囲気に合わせて、故人様のお部屋を再現してほしい」とのご希望にお応えし、淡い紫を中心とした繊細な色合いのスイートピーを使い、アンティークな雰囲気の中にも上品さが感じられる祭壇としました。入り口には、故人様がお好きだった桜とスイートピーの生けこみをご用意し、春を感じていただけるようにしています。

祭壇名：お茶会へのご招待

ピンクのスイートピーを飛び出すように配置したり、下垂させたりすることで、自然で軽やかな躍動感を表現しました。柔らかな色合いのスイートピーが、優雅で温かな雰囲気を引き立て、まるで故人様がお茶会へ招待してくれているような空間となっています。

祭壇名：絆

お母様のイメージカラーが淡い紫とお聞きし、薄紫のスイートピーを中心にダリア、バラ、ラナンキュラスなどを飾りました。清楚な印象を与える白いスイートピーを下向きに飾ることで、華やかさと上品さの調和のとれた花祭壇になっています。お棺を中心に配置することで、ご家族の絆や輪を象徴する演出も施しました。

祭壇名：時を語る

故人様がお好きだった藤色とスイートピーを用いて、薄紫のスイートピーで祭壇を彩りました。淡く柔らかな色調の花で統一し、堅苦しくない温かな雰囲気にしています。故人様の豊かな人生を静かに物語るような空間に仕上げました。

これら以外にも、スイートピーを使った花祭壇の実例を「花祭壇ギャラリー」に掲載しております。さまざまなお花の花祭壇の実例もご紹介していますので、どうぞ、一度ご覧になってみてください。

7.旅立ちを穏やかに彩るスイートピーで特別な花祭壇を

冬は寒さが厳しい季節ですが、スイートピーの白や淡いピンク、紫などの花色を使った花祭壇は、静かで穏やかな中に品格ある華やかさを兼ね備えた雰囲気を演出します。故人様の旅立ちを見送るのにふさわしい、心温まる空間を提供してくれることでしょう。

スイートピーを使った花祭壇をお考えの方、冬の葬儀の祭壇の花にお悩みの方は、花葬儀の事前相談まで、お気軽にお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、花祭壇に対する不安や疑問に一つひとつ丁寧にお答えいたします。