花祭壇で心に残る仏教葬を~飾り付けのポイントから祭壇実例まで

花祭壇で心に残る仏教葬を~飾り付けのポイントから祭壇実例まで

仏教葬で使用する祭壇は「白木祭壇」が主流でしたが、近年は「花祭壇」が人気を集めています。

「白木祭壇以外でも問題ない?」「花祭壇でどのような仏教葬を執り行えるのか」と疑問に思っている方に、今回は、仏教葬における花祭壇の特徴と魅力を解説します。見る人の心にいつまでも残る、個性豊かな花祭壇事例もご紹介しますので、どうぞ最後までご一読ください。

1.仏教の葬儀でも花祭壇は使える

仏教の葬儀でも花祭壇は使える

花祭壇とは、花を主役とした祭壇を指します。生命や神秘といった象徴を持つ花は、古くから宗教と密接に結びついており、さまざまな信仰・供養の場で飾られてきました。

花を多く用いた花祭壇は、信仰や感謝、崇拝、亡くなった方への敬意や供養を表現するものとしてふさわしく、仏教を含めた多くの宗教葬で、問題なく使用することが可能です。花の種類やボリュームに決まりはないため、ご遺族がよいと思った花祭壇をお使いいただけます。

2.仏教葬の花祭壇の特徴

仏教葬の花祭壇の特徴

日本の仏教葬で古くから使われてきた「白木祭壇」には以下の特徴があります。

  • ・無塗装の木材(白木)で作られている
  • ・仏具や花を供えるための「段」と、昔の葬儀で棺を納めていた屋形を模した「輿(こし)」で構成されている

それに対し、花祭壇は花が主体の祭壇です。よって「仏教葬における花祭壇」とは、「白木祭壇を置かずに花のみを飾る」「白木祭壇を花で装飾する(白木祭壇と花祭壇の折衷)」といったものが該当します。

3.仏教葬で知っておくべき祭壇・飾り付けの決まり

仏教葬で知っておくべき祭壇・飾り付けの決まり

花祭壇には白木祭壇のように決まった形があるわけではないため、自由に飾り付けを行いやすいのがメリットです。しかし、宗教葬の場合は伝統的な決まりを尊重することも忘れてはなりません。

こちらでは、仏教葬の祭壇と飾り付けの決まりをご紹介します。

祭壇の位置

仏教ではご本尊を置く場所を「会場の最奥」とすることが多く、祭壇も斎場最奥の壁際に設置することがほとんどです。

棺は頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが)(※1)の向きを基本とします。棺を必ずしも祭壇のそばに置く必要はなく、参列者のスペースや祭壇の位置などから総合的に決めます。

(※1)頭が北、顔が西、右脇を下に向けた姿。お釈迦様の入滅時の姿勢であり北枕の由来となっている言葉。現代では顔は西ではなく、上に向けるのが一般的。

祭壇に飾るもの

仏教葬の祭壇に飾る主なものは、以下の通りです。

ご本尊

ご本尊とは、仏教において最も大切な信仰の対象とされる仏像や掛け軸などです。祭壇の最上段中央に配置することが多く、両脇に「脇侍(わきじ)」と呼ばれる各宗派に関わりの深い仏様や、僧侶を描いた掛け軸を飾ります。

浄土真宗や浄土宗では阿弥陀如来(あみだにょらい)ご本尊を飾ります。宗派によっては、ご本尊を飾らないところもありますので、事前に確認しましょう。

五供

五供(ごく・ごくう)は、以下の5つのお供え物を表した言葉です。

  • ・香(線香や抹香)
  • ・灯明(ろうそく)
  • ・飲食(おんじき/食べ物や飲み物)
  • ・花
  • ・水

それぞれのお供えは香炉、燭台、花立などの仏具に供えられますが、宗派によって具体的な配置は異なります。

白木位牌

白木位牌とは塗装のされていない木材でできた位牌のことで、「仮位牌」とも呼ばれます。白木位牌には戒名、俗名(生前の名前)、亡くなった日と亡くなった時の年齢が書かれ、故人様の魂が宿る依り代の役目を持ちます。葬儀では祭壇や焼香台の中央に設置されます。

なお、「死後の魂はすぐに極楽浄土に向かう」とされている浄土真宗の多くは、白木位牌を用意せず、代わりに法名軸や過去帳(※2)を飾ります。ただし、宗派やお寺、ご遺族の意向などによっては白木位牌を用意することもあるようです。

(※2)法名軸は故人様の法名、俗名、没年月日などを書いた掛け軸。過去帳は故人様や先祖の情報を記した帳面。

遺影

遺影は仏教葬において絶対に必要なものではありませんが、故人様をしのぶために飾られることが一般的です。飾る場所も自由とされていますが、多くの場合、参列者の目が行きやすい祭壇中央に飾られます。

その他

宗派・寺院によっては、上記でご説明したもの以外にも飾るものがあります。一例をご紹介します。

浄土真宗の場合

  • ・鈴(りん)や鈴棒
  • ・仏飯器など

臨済宗の場合

  • ・木魚など

4.仏教の花祭壇に飾る花に決まりはある?

仏教の花祭壇に飾る花に決まりはある?

「花祭壇に飾る花の種類やボリュームに決まりはない」とご説明しましたが、宗教ごとに「好まれてきた花」はあります。

こちらでは、花のプロであり、オーダーメイド生花祭壇を手掛ける花葬儀が、仏教葬の花祭壇に飾る花について詳しくご紹介します。

伝統重視からより個性を尊重する時代に

仏教葬には、古くから白や黄色、紫色などがよく用いられてきました。祭壇に飾られる花では菊、ユリ、ランといった和花が挙げられます。一方、避けたほうがよいとされていたのはバラやアジサイなど、以下の特徴を持つ花です。

  • ・毒のあるもの
  • ・トゲのあるもの
  • ・香りの強いもの

これらの花が避けられてきた背景には、「殺生をイメージさせる」などの、教義の解釈や伝統に基づいた考えがありました。しかし近年は、宗派の考え方を尊重しつつ、自由に花を選ぶのが主流になりつつあります。実際に弊社花葬儀で仏教葬を行うお客様の多くも、種類や色を限定せず、お好きな花をお選びいただいております。

宗派・寺院によっては事前確認が大切

寺院や宗派、信仰を大切にしているご遺族の中には、祭壇に使う花の種類や色にこだわりを持っている方もいらっしゃるため、事前の確認が必要です。例えば日蓮正宗では、祭壇を質素に飾ることが重視されており、樒(しきみ・しきび)(※3)のみの祭壇をご要望いただくことがあります。

「カタログから花祭壇のデザインを選ぶタイプの葬儀社」に葬儀を依頼している場合は、宗派の教えに準じたデザインの祭壇を選んだ方が無難でしょう。一方、花葬儀のように、オーダーメイドで花祭壇を作っている葬儀社であれば、寺院に相談の上、祭壇から少し離して花を飾るなど、双方の希望を叶える工夫が可能です。

次からは、花葬儀が大切にしている祭壇作りの考え方や、オーダーメイド花祭壇の魅力についてご紹介していきます。

(※3)毒性と強い香りを持つ常緑性の植物。邪気を祓(はら)う力があるとされている。

5.花祭壇作りは思い出を語り、悲しみを癒すことにつながる

花祭壇作りは思い出を語り、悲しみを癒すことにつながる

大切な方を送り出すとき、多くの方が故人様への想いを花で表現したいと願います。そのため、私たち花葬儀は、花祭壇作りを単なる装飾としてではなく、より深い意味を持つものとして捉えています。

「花祭壇を作る」とは、単にデザインを決めることではありません。「どのような形で悔いなく最善の形で、故人様を見送るか」を考えることも含まれます。

花葬儀では、この考えるプロセスを大切にしており、故人様の大切にされていたものや故人様への想いなど、長い時間をかけてヒアリングを行います。そして祭壇や式のイメージがお客様の中でまとまっていくのをサポートいたします。

葬儀は単なる別れの場ではありません。故人様に敬意を示し、故人様がいた幸せを振り返り、故人様をしのぶ意義深い時間です。「その人らしい」花祭壇を考え、作ることによって、思い出がいつまでも心に残り、ご遺族の悲しみを癒す力となってくれることでしょう。

6.想いを花に託した仏教葬の花祭壇実例~花葬儀の場合~

最後に、花葬儀がこれまで手掛けてきた仏教葬の花祭壇実例を5つご紹介します。「想いを花に託したオリジナル花祭壇」がどのようなものかイメージできれば幸いです。

紅葉をイメージした花祭壇(曹洞宗)

紅葉をイメージした花祭壇(曹洞宗)

「紅葉をイメージした祭壇をつくりたい」というご遺族のご要望を叶えた花祭壇です。赤、オレンジ、淡い黄色や枝物を菩提寺の位牌堂に飾り、ライトアップすることで、絵具を塗ったようなまばゆい紅葉の景色を表現しました。

【使用している主な花】
ダリア、バラ、トルコキキョウ、ドウダンツヅジ、利休草、グロリオサ、オンシジューム

和モダンテイストが目を引く花祭壇(浄土真宗)

和モダンテイストが目を引く花祭壇(浄土真宗)

洗練された和モダンテイストの花祭壇です。存在感を放つ竹の周りには黄、赤紫、青紫をポイントとした花々を添えました。ジャズがお好きだった故人様のために、斎場にはBGMとしてジャズを流し、使用したCDをご遺族にお贈りしました。

【使用している主な花】
ダリア、バラ、ユリ、アジサイ、チューリップ、スイートピー、ナデシコ

思い出の品と共に見送る花祭壇(浄土真宗)

思い出の品と共に見送る花祭壇(浄土真宗)

花だけでなく、故人様の思い出の品を飾りつけた事例です。茶道の師範を務め上げられた故人様を見送るこちらの葬儀では、茶道の道具と着物を飾りました。濃淡の異なるピンクの花々との相乗効果で、より一層華やかな雰囲気を創出しています。

【使用した主な花】
ダリア、バラ、トルコキキョウ、ラナンキュラス、アネモネ、クレマチス、アカシア

思い出の公園を表現した花祭壇(臨済宗)

花祭壇の写真 池をイメージして苔を生やし、お父様がよくお散歩されていた公園の空間をイメージして

故人様がよく訪れていた公園をイメージしてお作りした祭壇です。公園にあった桜や池、ベンチなどを表現している他、故人様の思い出の品も祭壇に飾りました。故人様の存在をより身近に感じられる、個性あふれる空間です。

【使用している主な花】
ユリ、桜、アジサイ、デルフィニウム、ユキヤナギ、スプレーマム

ガーデニング調で開放感あふれる花祭壇(真言宗)

ガーデニング調で開放感あふれる花祭壇(真言宗)

ガーデニングが大好きだった故人様のために、故人様がご自宅で育てていた花を要所に組み込んだ花祭壇を制作しました。レンガや木、花のアーチを使い庭園らしさを表現し、柔らかく明るい色彩で故人様のお人柄を表しました。

【使用している主な花】
バラ、カーネーション、カスミソウ、チューリップ、スイートピー、ラナンキュラス

花祭壇ギャラリーでもさまざまな実例をご覧いただくことができますので、そちらもぜひ参考になさってください。

7.花祭壇で仏教葬に彩りを~花祭壇のご相談は花葬儀までお気軽にどうぞ

近年の仏教葬における祭壇は、伝統的な白木祭壇だけでなく、「宗派の教義を大切にしつつ個性を尊重した花祭壇」が人気を集めています。彩りあふれる花祭壇で、より心に残る仏教葬を執り行うのはいかがでしょうか。

花葬儀では「叶えたい想い」や「その人らしさ」を形にするオーダーメイド花祭壇をお作りしております。葬儀に対するご不安や花祭壇作りのご要望は、無料の事前相談をお気軽にご利用ください。スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。

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