法事は年末に行える?日程の決め方やポイントも紹介
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
法事を年末に行うことに問題はないのでしょうか?
この疑問を投げかけたとき、「忙しい年末の時期に法事を行うのはマナー違反ではないの?」「そもそもお寺は年末の法事を受け付けていないのでは?」と思う方は少なくないでしょう。
そこで今回は、法事を年末に行えるかどうかという点について解説するとともに、法事にあたる日が年末だった場合の日程の決め方についてご紹介します。お悩みの方はぜひ最後までご一読ください。
【もくじ】
1.そもそも法事とは?
そもそも、法事とは具体的にどのような意味をもち、どのようなタイミングで行うものなのでしょうか。
詳しく解説します。
法事とは?
法事とは、ご家族やご親族が集まり、故人様の冥福を祈る仏教行事全般を指しており、宗教的な儀式(法要)だけでなく、その後に行うお斎(とき)と呼ばれる会食も含まれます。
法事と似た言葉に「法要」がありますが、法要は、僧侶による読経やご家族による焼香などを通じて、故人様を供養するための儀式のことをいいます。法事と同じ意味を持つと思われがちですが、「法事の中のひとつの事柄が法要であり、両者はイコールではない」という点をおさえておきましょう。
主な法要の種類
法事の一部である法要にはどのようなものがあるのかをご紹介します。
忌日法要
仏教では、ご家族が亡くなってから49日間を「中陰(ちゅういん)」と呼び、49日目を迎えるまでに行う7つの法要を「忌日法要」といいます。命日から7日ごとに閻魔大王(えんまだいおう)らの裁きを受け、49日目に泰山王(薬師如来/やくしにょらい)によって最後の判決が下されるため、故人様が極楽浄土に行けるよう、7日ごとに読経や焼香などで供養をします。
法要名 | 命日から何日目に行うのか |
---|---|
初七日(しょなのか)(※1)
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7日目 |
二七日(ふたなのか)
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14日目 |
三七日(みなのか)
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21日目 |
四七日(よなのか)
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28日目 |
五七日(いつなのか)(※2)
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35日目 |
六七日(むなのか)
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42日目 |
四十九日(しじゅうくにち)
※七七日(しちしちにち/なななのか/なななぬか)ともいう(※3) |
49日目 |
※1葬儀・告別式と同日に行う(繰り上げ初七日という)こともある。
※2生前の罪の全てが映し出される日として重要視する地域もある。
※3成仏の日であり、ご遺族は忌明けを迎える。このタイミングで納骨をするのが一般的。
現代では、初七日と、故人様が成仏する日とされている四十九日のみを執り行うケースが一般的となっており、初七日については葬儀当日に繰り上げて行うことが多いようです。
※忌日法要のひとつである初七日法要についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/shonanokahoyo/
年忌法要
故人様の命日から年単位で行われる法要を「年忌法要」といいます。主な年忌法要は以下の通りです。
法要名 | 命日から何年後に行うのか | 補足 |
---|---|---|
一周忌 | 1年後 |
故人様が亡くなってから1年後に行われる。
このタイミングで喪が明けることが多い。 |
三回忌 | 2年後 |
故人様が亡くなってから翌々年(2年後)に行う。
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七回忌 | 6年後 |
故人様が亡くなってから6年目に行う。
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十三回忌 | 12年後 |
故人様が亡くなってから12年目に行う。
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十七回忌 | 16年後 |
七回忌・十三回忌・十七回などで弔い上げとすることもある。
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二十三回忌 | 22年後 |
宗派によっては行わない場合や、代わりに二十五回忌を行う場合がある。
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二十七回忌 | 26年後 |
宗派によっては行わない場合や、代わりに二十五回忌を行う場合がある。
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三十三回忌 | 32年後 |
基本的にはこの法要をもって「弔い上げ」とする
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年忌法要は故人様の命日から99年後の百回忌まで続きますが、仏教では「過ちを犯した人でも死後33年経つと極楽浄土に行ける」といわれていることから、弔い上げ(最後の法要として行う年忌法要)の目安は基本的に三十三回忌とされています。
しかし、宗派や地域によっては五十回忌、それ以降の年忌法要まで行われることもあり、最近では七回忌・十三回忌・十七回忌での弔い上げが増加しているといえるでしょう。
2.法事は年末にやってはいけない?
「法事は年末に行ってはいけない」という話を耳にすることもあるでしょう。実際はどうなのか、また、年始についても法事を行ってはいけないのかなどの疑問について回答します。
法事は年末に行ってもよい
最初におさえておきたいポイントは、「法事を年末に行うことはルール違反ではない」ということです。
仏教には「いつが命日であっても、そのタイミングで仏教行事を行うのがベストである」という基本的な考えがあります。そのため、「故人様の命日から数えた一定の日数や年月に応じて行う「法事」は、いつ行っても構いません。
法事は年始に行ってもよい
「法事はいつ行っても問題はない」と前述した通り、年末だけでなく、正月を含む年始においても法事を行うことができます。忌日法要や年忌法要にあたる日が年末年始であり、その日に法事を行いたい場合は、年末や年始を選択しても問題はないのです。
お寺は年末年始でも大丈夫
中には「お寺は年末年始の法事を、そもそも受け付けていない」と思っている人も少なくないようですが、基本的に年末年始でもお寺で法事を行うことは可能です。
「仏法に触れる大切な行事である法事を行うこと」はお寺の大切な役割の1つですから、「年末年始に法事を行うこと」はお寺の立場としては問題ないのです。
ただし、お寺によっては、年末年始は「年中行事としての法要」などがあり、僧侶が多忙になります。そのため、早めに僧侶に相談されることをおすすめします。
3.「法事を年末年始に行わないケース」が多い理由は?
年末や年始に法事を行うことはルール違反ではないことをご説明しました。それでも一般的には「年末の法事は避けた方がよい」と考えられることが多く、実際に避けられる傾向にあります。主な4つの理由は以下の通りです。
1.年末は忙しい時期であり、親族などを集めづらいから。
2.華やかな雰囲気が流れるお正月前後に法事を行うことに対して、抵抗を感じる人がいるから。
3.年末年始では仕出し屋やレストランも休みで、会食が行えないかもしれないから。
4.年末年始の行事で寺院や僧侶の都合が合わないことがあるから。
現代では実家を離れ遠くに暮らす人が増え、年末年始に親族まで含めた多くの人を集めることは困難になりつつあります。また、法事が亡くなった人に関する行事であることから、「おめでたいムードに包まれたお正月前後を避けたい」「避けたほうがよいのではないか」と考える方もいます。年末年始は休業している飲食店も多く、大勢で会食ができる場所を探すのも難しいでしょう。さらに、お寺の都合でなかなか法事の日程がとれないこともあるかもしれません。
これらの理由から、「年末や年始に法事を行うことはルール違反ではない」にもかかわらず、この時期での法事を避ける傾向にあるようです。
4.法事を年末に行わない場合の日程の決め方は?
法事を年末に行わない場合は、いつ行えばよいのでしょうか?一般的に行われている事例をもとにご紹介します。
一般的に法事の日程は前倒しで設定
「法事をやってはいけない日」というのはありません。しかし、年末の法事を別日程にする場合、一般的に、忌日法要や年忌法要を行うべき日よりも前倒しで行うことが多いでしょう。
もしも後ろ倒しで行いたい場合は、菩提寺に相談することをおすすめします。
四十九日法要・一周忌など具体的な日程の決め方
故人様が極楽浄土に行けるよう執り行う大切な法要が「四十九日法要」、年忌法要の中でもっとも重要とされている法要が「一周忌法要」です。これらを前倒しで行う場合の日程の決め方をご紹介します。
四十九日が年末の場合の日程の決め方は?
■本来の四十九日法要の日程の計算方法
四十九日法要の日程は、「亡くなった日」+「49日」で計算します。例えば、2人の故人様がいて、それぞれの命日が①2023年6月1日 ②2023年11月13日だったとします。それぞれの49日後は①2023年7月19日 ②2023年12月31日ですから、②の方のご遺族は四十九日法要が年末と重なります。
亡くなった日を基準とする考え方は、仏教に限らず、神道やキリスト教でも同様です。
■四十九日法要が年末の場合の日程の決め方
年末を避けた四十九日法要の日程は、以下の3つの方法のいずれかで決めることが多い傾向にあるため、参考になさってください。
1.出席者が集まりやすい日を、命日よりも前倒しで調整する
2.三十五日法要に繰り上げて法要・納骨を行う
3.家族だけで年内に四十九日法要を済ませて、年明け以降の百箇日法要(命日から100日目に行われる法要)に親族を集めて執り行う
四十九日は、故人様が極楽浄土に旅立てるかどうかが決定する日であり、ご遺族が忌明けを迎える日でもあるため、仏教においては特に重要な法要だと考えられています。
四十九日にあたる年末に法事を行わない決定をしたら、僧侶に「法要は上記のどの方法で、何月何日に行うのか」を相談しつつ、参列してもらうご親族の都合も確認し、日程調整をしましょう。これらの「日程の決め方のポイント」は後述しますので、参考になさってください。
一周忌(年忌法要)が年末の場合の日程の決め方は?
ここでは、故人様とご親族にとって大切な一周忌法要が年末に重なった場合の日程の決め方について、ご紹介します。
■本来の一周忌法要の日程の計算方法
故人様が亡くなった日を「一回忌」の起点とし、その1年後が一周忌法要の日となります。
例えば、亡くなった2人の方の命日がそれぞれ①2023年10月1日 ②2023年12月31日だった場合、一周忌法要にあたる日はそれぞれ①2024年10月1日 ②2024年12月31日です。
■一周忌法要が年末の場合の日程の決め方
ご家族やご親族間での話し合いの結果、本来の一周忌法要のタイミングである年末を避けることが決まったら、なるべく本来の一周忌法要よりも前の日程(11月末~12月初旬に繰り上げることが一般的)で調整できるようにしましょう。
その他の年忌法要は一周忌の決め方と同じ
三回忌や七回忌といった他の年忌法要も、日程の決め方は一周忌と同じです。タイミングが年末にあたってしまう場合は、家族内でよく話し合った上で全員が納得できる日程を組みましょう。
5.法事が年末に重なる場合の「日程を決めるポイント」
最後に、年末に重なってしまった法事の日程を決めるためのポイントをご紹介します。ご家族、ご親族が納得できる日程で調整できるよう、以下の流れで早めに対応するようにしましょう。
家族で話し合う
「年末に法要を行うかどうか」について話し合いをするところから始めましょう。ご家族の中で、予定通りの日程で法事を行いたい、前倒しで行いたいなど、異なる意見があるかもしれません。
まずは方向性を決めることが大切です。
ご親族の都合を聞く
ご家族での方向性が決まったら、参列するご親族の希望も聞くようにします。
四十九日法要においては、「身内で年内に四十九日法要を行い、ご親族を百箇日法要(年明け)に招くケース」もあるでしょう。その場合は、理由を伝えて都合を聞きます。また、社会人や学生が多い場合は、休日や連休に設定するとよいでしょう。
ご親族の都合は、この次にご紹介するお寺や会場の日程にも影響しますので、複数の候補日をあらかじめ決めておくと安心です。
お寺の都合を聞く
年末でもお寺に依頼して、法事のために読経をしてもらうことは問題ないとご説明しましたが、お寺にも都合があることを忘れてはいけません。年末に行いたい場合でも、前倒しする場合でも、希望する日時に別の要件が入っていることも考えられるため、菩提寺がある場合は早めに相談しておくようにしましょう。
会場の空き状況を確認
葬祭ホールやお寺など、自宅以外で法事を行う場合は、希望する会場の空き状況を確認しましょう。特にアクセスのよい場所や、利用料金が比較的安いところなどは混雑する可能性があります。
休日に比べて費用を抑えられる「平日プラン」がある会場を探してみるのも1つの方法です。事前にホームページや電話で、利用状況の確認をしておくとよいでしょう。
六曜へも配慮する
「大安」「仏滅」など、その日の吉凶を示す六曜を参考に、お祝い事や重大な決断をすることがありますが、仏教(法事)において、六曜との関係はなく、「この日に法事を行ってはならない」といったようなことはありません。
しかし、参列者の中には六曜の考えを大切にしていて、凶日に行われる法事を気にする方もいるかもしれません。そうした方の気持ちに配慮し、なるべく全員が納得できるような日程を複数検討してみましょう。
※法事と六曜との関係については、こちらの記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/houji-ng-day/
6.年末に法事が重なったら日程について周りとよく相談を
年末や年始に法事を行うことはルール違反ではありませんが、「師走の時期に大勢は集めづらい」「お正月の法事に抵抗がある」といった理由から、年末年始の法事は避けられる傾向にあります。
年末に法事が重なると分かった時点で「いつ行うのか」の方向性を決め、参列予定のご家族やご親族には日程の打診をなるべく早く行うことが重要です。また、そのときにお寺側の都合や法事のための会場の空き状況なども確認しておくようにしましょう。
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