一周忌のお香典の相場、表書き、渡し方やタイミングなどマナーを解説!
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- 【 法事・法要の基礎知識 】
故人様が亡くなり、一年後に迎えるのが一周忌法要です。一周忌法要では故人様の冥福を祈り、多くのお供物をささげて手厚い供養をします。この一周忌法要に参列する際には、お香典を用意するのがマナーですが、いくら包むべきなのか、どのように渡したらよいのか、不安に思っている方も多いでしょう。
今回は、一周忌のお香典の相場をご紹介し、香典袋の選び方や渡し方まで、
お香典についてのマナーをご紹介します。
【もくじ】
1.一周忌法要を行う意味は?
葬儀後、忌明けの四十九日の法要を済ませると、次の法要は故人様が亡くなってから100日目をめどに行う百日忌(ひゃくにちき)ですが、現代では百日忌は省略されることも多く、一周忌法要を次の法要とするのが一般的ともいえます。
ここでは一周忌法要の意味や内容についてご紹介します。
一周忌法要を行う意味
一周忌法要とは、故人様が亡くなった命日から丸一年後に行う法要で、故人様の冥福を祈って行う供養です。
法要を含む追善供養は、ご家族・ご親族を中心に親しい方を招いて、僧侶による読経やお焼香、食事をして故人様を偲ぶことが目的ですが、「生きている人達が善行をすることで故人様も善行を重ねることができ、またそれが自分に戻ってくる」という考え方が元となり、行われるようになりました。
この善行は、故人様が良い世界に生まれ変わることを応援する行いであり、生きている人達が故人様のためにできる唯一のことといえるでしょう。
なお、一周忌法要は年忌法要の中でも最も重要な法要とされており、これを済ませると喪明けとなります。
一周忌法要にはお香典を用意
一周忌法要へ参列するときには、お香典を用意するのがマナーです。一周忌法要を行うには葬儀とは別に費用がかかるものなので、お通夜や葬儀に参列したときにお香典を渡していたとしても、別途お渡しします。
そして、法要後には会食の席を設けている場合もあり、このような場合はお香典の相場よりも上乗せした金額を包むのが一般的です。
一周忌法要のお香典は、仏さまとなった故人様への感謝の気持ちや、ご遺族への気遣い、お仏壇の御本尊への供養として供えるものと心得ておきましょう。
2.一周忌でのお香典の相場は?
一周忌のお香典はいくら包むべきか、ご存知でしょうか。お金のことは、周りの方にもなかなか聞きづらいことですが、お渡しする相手に対して失礼がないように、基本的な知識をつけておきましょう。
一周忌のお香典の相場は?
お香典は、故人様との関係性により相場が異なります。関係が近いほど高い金額を包むのが一般的なので、相場を知っておくとよいでしょう。
関係性別に、一周忌法要のお香典の相場をご紹介します。
故人様との関係 | 一周忌法要のお香典の相場 |
---|---|
子・親 | 30,000〜100,000円 |
兄弟姉妹 | 10,000〜50,000円 |
祖父母・孫 | 10,000〜50,000円 |
伯父(叔父)・伯母(叔母)・甥・姪 | 10,000〜30,000円 |
従兄弟 | 10,000〜30,000円 |
その他の親戚 | 5,000〜10,000円 |
友人 | 3,000〜10,000円 |
近隣の知人 | 3,000〜5,000円 |
※上記の親族関係については、配偶者との関係(義理の親など)も含みます。
※お香典を用意する側の年齢や、渡す相手の地域、会食の有無によっても異なります。
お香典で控えた方がよい金額は?
「4」や「9」の数字は「死」「苦」を連想させるため、それらの数字を含む金額は控えましょう。また、偶数は割り切れる数字であり「故人様との縁が切れることを連想させる」ということから、お香典の金額は奇数にするのも一般的なマナーとされています。
しかし、それは、忌み嫌う数字というわけではないので、金額相場から適当な金額と判断し、2万円を包むケースも少なくありません。このように割り切れる数字のお香典を包む場合には、お札の数を奇数にして包むなどの工夫をするとよいでしょう。
金額を決めるポイントは?
お香典の金額を決めるポイントとしては下記の点が挙げられます。
お香典を用意する本人の年齢
故人様との関係性が同じ立場の人が二人いるとして、その二人の年齢が異なる場合、必ずしも同じ金額を包む必要はありません。例えば、社会人になりたての人の場合は、相場の中でも低めの金額を包んでも差し支えないでしょう。30歳頃をめどとして、年相応の相場価格を包むことをおすすめします。
一周忌法要での会食の有無
法要の後に会食の席が設けられている場合には、予想される食事代を上乗せしてお香典を包みましょう。お香典をご夫婦やご家族で一つとする場合には、そのお香典に含まれる(会食に出席する)人数の食事代分の金額を上乗せします。また、食事代の代わりとしてお香典とは別に、供物や供花を持参するケースもあります。
地域により異なる場合もある
地域によりお香典に関する考え方やマナーが異なる可能性があります。また、ご親族によって独自のしきたりがあるケースもあるため、ご家族や近しいご親族に確認しておくとよいでしょう。
お香典の金額について、広い視野と多くの経験からアドバイスができるのは葬儀社です。一周忌の法要に参列する際に、お香典としていくら包むべきか分からない場合には、葬儀社に相談してみることをおすすめします。
3.香典袋、水引、絵柄の種類は?
お店に行くと、水引が描かれているもの、実物の水引がかけられているもの、絵柄のあるものなど、様々なデザインの香典袋が売られています。しかし、香典袋は、ただデザインの好みで選んではいけません。ここでは、香典袋はどのように選ぶべきかをご説明します。
香典袋の選び方と水引の種類
一周忌の法要でお香典を用意する場合には、黒白や双銀(銀色だけの水引)の結び切りの不祝儀袋を使用するのが一般的ですが、青白の色の水引も不祝儀用なので、一周忌法要の際に選んでも問題ありません。
なお、水引の色や形は包む金額を示す、ともいわれています。
- ・黒白・青白の水引が印刷された香典袋:1,000〜5,000円を包む場合に使用
- ・藍銀の水引が印刷された香典袋:5,000〜10,000円を包む場合に使用
- ・黒白の水引(実物)がかけられた香典袋:10,000〜30,000円を包む場合に使用
- ・黄白の水引(実物)がかけられた香典袋:10,000〜50,000円を包む場合に使用
- ・双銀(銀銀)の水引(実物)がかけられた中金封(ひと回り大きな香典袋):50,000円以上を包む場合に使用
- ・双銀の水引(実物)がかけられた大金封(中金封よりひと回り大きな香典袋):100,000円以上を包む場合
この水引の色は地域によっても選び方が異なります。例えば、京都では、黒白の水引がかかったものは使用せずに、代わりに黄白の水引の香典袋を使うのが一般的です。その理由として、皇室に献上する際に使う紅井水引(くれないみずひき)が、本物の紅で染めることで黒く見えるため、見間違いを防ぐために黒白の水引が使われなくなったといわれています。黄白の水引は、関西から西のエリアでは一般的に使われています。
絵柄の種類
香典袋には絵柄があるもの、無いものがあります。絵柄の種類はいくつかありますが、これは宗教の種類により使い分けをします。
- ・仏教:「無地」または「蓮の花」が描かれている香典袋
- ・キリスト教:「無地」または「十字架」「百合の花」が描かれている香典袋
- ・神式:「無地」の香典袋
4.表書き、名入れ、中袋の書き方は?
一周忌で用意するお香典には、表書き、名入れ、中袋の書き方についてもマナーがあります。失礼がないように、マナーを理解して準備をしましょう。
表書きは?
お香典の表書きは、故人様の宗教により書き方が異なります。表書きがすでに印字されている不祝儀袋や、表書きを印字した短冊を差し込んで使用できる不祝儀袋が販売されているため、どの表書きが故人様の一周忌法要に適当なのか、宗教・宗派を事前に調べておくことをおすすめします。
【宗教・宗派により異なる一周忌法要の表書き】
・仏式:
仏教では四十九日を過ぎると仏様になると考えられているため、一周忌法要のお香典の表書きは「御仏前」または「御佛前」という表書きを使います。
・神式:
神道では、一周忌法要のことを一年祭といいます。参列者が持参するお香典の表書きは「御玉串料」または「御榊料」という表書きを使います。
・キリスト教式:
キリスト教では、一周忌には追悼ミサという追悼式を行います。参列者が持参するお香典には「御花料」という表書きを使うのが一般的です。
名入れは?
個人でお香典を用意する場合には、水引(飾り紐)の下に個人の名前をフルネームで書きましょう。ご夫婦で参列する場合には、中央に夫の名前をフルネームで書き、その左側に妻の下の名のみを書くのが一般的です。
さらに複数名で一つの香典袋を用意する場合には、目上の人を中央にして、その左に、目上の方から順に名前を書きます。上下関係のない場合には五十音で書くとよいでしょう。4名以上の連名で書く場合には、団体名(会社名など)や、代表者の名前と「外○名」と省略する形で書き、中袋には全員の名前を書くようにしましょう。
中袋への書き方は?
中袋には、表面に金額を書きます。まず、金額の頭に「金」の文字を書き、数字の部分は、漢数字(壱、弐、参など)で書くのが一般的です。
例:
・5,000円 →「金伍阡円」
・10,000円 → 「金壱萬円」
・30,000円 → 「金参萬円」
・100,000円 → 「金壱拾萬円」
中袋の裏面には住所と氏名を書きます。複数人一緒にお香典を用意する場合や、香典袋の表の名前を省略した場合にも、中袋には全員のフルネームを記入しましょう。
薄墨では書かないのがマナー
香典袋の表書きは薄墨で書くのが一般的ではありますが、それは、「急に駆けつけた」「悲しみの涙で墨が薄くなってしまった」という意味で使われます。一周忌は事前に予定がわかっているものなので、薄墨で書く必要はありません。分かりやすい文字であることを優先し、濃墨で書くとよいでしょう。
サインペンやボールペン等の文字は簡易的な印象を与えてしまうので、毛筆または、筆ペンで書くことをお勧めします。
5.香典袋の包み方は?
お香典は、包み方にもマナーがあります。お渡しした方に失礼がないように、正しいマナーでお香典を包みましょう。
お札の上下、裏表の確認
香典袋に入れるお札の入れ方にもマナーがあります。
まず、お札には表裏、上下があります。
人物が描かれているのお札の表面、人物が描かれていない方が裏面となります。また、お札を縦にした時に、人物が描かれている部分が上にくるのが正しい向きとなります。
香典袋にお札を入れるときには、封筒の表面(封をしない方)にお札の裏面・下向き(上下逆さ)に入れるのがマナーです。これは、お札の人物の顔が見えにくくすることで「悲しみで顔を伏せる」ことを意味します。
お札を複数枚になる場合には、全て同じ向きにして揃えて包みましょう。
中袋がある場合、ない場合の入れ方
市販されている香典袋には、一般的に中袋がついています。中袋がある場合には、外袋だけではなく、中袋にも金額、住所、氏名を書きます。基本的には表面に金額を書き、裏面に住所と氏名を書きますが、すべてを裏面に書くケースもあります。また、書く場所が指定(印字)されている場合は、それに従って書きます。
次に、自分の住所と氏名を書く面を裏面として、お札の人物画が裏面にくるように中袋にお札を入れます。お札の上下の入れ方については地域によって異なりますが、お札は全て向きを揃えて入れましょう。
また、地域によっては、中袋は使わないことをマナーとしている場合もあり、中袋がついていないこともあります。これは、中袋は袋を二重にすることから、「不幸が重なる」という考えによるものです。ただし、中袋を使わないことで、略式と捉える人もいるので、お渡しするご遺族の地域の風習などをできるだけ確認してから準備するとよいでしょう。
中袋がない場合には、香典袋(外袋)の裏面に、縦書きで金額と住所を書きます。裏面の左下に「金◯萬円」と金額を書き、その右側に住所を記しましょう。書く場所が印字されている場合は、それに従って書きます。
新札、欠損しているお札は使用しない
一周忌法要で用意するお香典も、葬儀のお香典と同じく、新札の使用は控えるのがよいでしょう。逆に欠損しているお札、シワや汚れの多いお札も使用するのは失礼にあたるため、使用感はありつつも清潔感のあるお札を選んで包むことをおすすめします。適当なお札が用意できない場合には、新札に一度折り目を付けてから包みましょう。
6.一周忌でお香典を渡すタイミングと渡し方は?
一周忌に参列する際は、どのタイミングで、どのようにお香典をお渡しするのがよいのか、ご紹介します。
お香典を渡すタイミングは?
一周忌のお香典は、会場に到着したタイミングで、施主または会場に設けられている受付で渡します。お香典は、お供物料ともいわれ、仏さまになった故人様、あるいはご本尊の供養のために供えるものなので、必ず法要が始まる前に渡しましょう。
お香典は袱紗(ふくさ)に包んでおく
一周忌に参列する際、準備したお香典は必ず袱紗に包んで持っていきましょう。法事などの弔事では、紺色、緑色、紫色、藍色、灰色などの落ち着いた色の無地の袱紗が一般的です。
施主の方にお渡しする直前に、バッグから袱紗ごと取り出して、それから袱紗を開いて香典袋を取り出します。香典袋をお渡しする相手から見て正の向きの状態で渡します。
7.一周忌でのお香典を郵送するときのマナーとは?
一周忌の法要に参列できない場合には、お香典を郵送するとよいでしょう。お香典を郵送する場合にも、気をつけるべきマナーがあるのでご紹介します。
できるだけ早く郵送する
一周忌のお香典は、仏さまとなった故人様、あるいはご本尊供養のためにご仏前にお供えするものなので、法要の前日までにはご遺族のご自宅に届けるのがマナーです。ご遺族の受け取りができる日程の都合もあるため、できるだけ早く段取りをして、郵送することをおすすめします。
現金書留として送る
お香典を郵送する場合には、必ず現金書留で送りましょう。普通郵便で現金を送るのは違法です。不祝儀袋に包んだ状態で、所定の現金書留封筒に入れて、郵便局から送るようにしましょう。
また、現金書留は、転送やポスト投函はできません。不在時に配達されると受け取ってもらえないため、法要の前日までには届くように送りましょう。
送り先の書き方
お香典を郵送する場合、一周忌の施主様のご自宅宛に送るのが基本です。しかし、施主の方の住所が分からない場合には、一周忌を行う会場に郵送すると受け取ってもらえることがあります。会場で受け取ってもらえるかどうかを事前に確認して、一周忌当日に間に合うようになるべく早く送りましょう。
会場住所に送る場合は、「会場住所」と「会場名」を書き、会場名の後に「気付」と書き加えます。その後、施主様の名前を書きましょう。「気付」を付け加えることで、宛名本人の住まいではなく、立ち寄り先に郵送物を送ることができます。
お悔やみの手紙を同封する
お香典を郵送する場合には、お悔やみの気持ちを記した手紙を同封しましょう。故人様への想いと併せてご遺族への労いの言葉、法要に参列できないことについてのお詫びの気持ちを綴るのが一般的です。
8.一周忌法要は故人様のためにできる善行です
一周忌法要は、故人様が亡くなってから一年経過した後に行う法要です。時間の経過とともに、悲しみの気持ちは少しずつ癒えていくかもしれませんが、故人様への生前の感謝の気持ちは、生きている人が故人様のために唯一できる「法要」という形でお返ししたいものです。
それは、ご遺族が負担する法要の費用を間接的に軽くするお香典でも表すことができます。正しいマナーでお香典を用意し、故人様の冥福を祈りましょう。
花葬儀では、葬儀費用や葬儀会場、葬儀の流れだけでなく、葬儀後の法要や法要に参列する際のマナーについてもサポートさせていただきます。お気軽にお問い合せください。
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