葬儀のお返しは、いつ・何を・どうやってお渡しする?
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
日本には、日本古来の良き風習として「お返し」文化があるといわれています。お通夜・告別式でも、お香典をいただいた方には、感謝の気持ちを込めてお返しをするというのがマナーです。いつ、どういったものをお返しするのが常識なのかをご紹介いたします。
1.葬儀のお返しとは?失礼がないように準備をしましょう
お通夜や葬儀、告別式では参列者からご霊前に供えるためのお香典(金品)をいただきますが、そのお香典や、参列していただいたことに対する感謝の気持ちとして返礼品をお贈りします。これを「香典返し」と呼び、これを手配することも、喪主様の大切な役割といえます。喪主として、葬儀の「お返し」についての知識を身につけておきましょう。
そもそもお返しは絶対に用意するもの?
葬儀に参列してくださり、お香典をいただいたら、お返し(香典返し)は絶対に用意しなくてはならないものなのか、歴史を振り返り考えてみましょう。
日本では古来、村や集落などのつながりが強く、葬儀があると近所の人がお香典としてお香・お線香・お供え物などを持ち寄り、相互扶助していました。その時代には、すぐにお返しをすることはなく、いただいたご家庭に不幸があった場合に、同じだけのお香典を持参することで、助け合うという関係が成り立っていましたが、現代では相互扶助の環境が整いづらいこともあり、お香典をいただいたら、その都度お返しをする文化が定着しています。
お香典はその方が故人様とご遺族のことを考え、包んでくださったものです。それに対し、お返しには、いただいたお香典の感謝の気持ちと「故人が亡くなってから四十九日までの法要を無事に終えました」という報告の意味も含まれています。特別な事情や地域の風習がない限りは、必ず香典返しを手配し、感謝の気持ちを伝えましょう。
葬儀のお返しは、どのくらいの金額のものにすればよい?
お香典返しの品物の金額相場は、いただいたお香典の半額が目安とされています。つまり、一般的な参列者の香典相場である5,000円のお香典と考えた場合、香典返しは2,500円程度のものを手配されることをお勧めします。ただ、いただいた香典の金額が大きい場合(目安3万円以上)や、地域によっては、いただいたお香典の3分の1、または4分の1を目安とする場合もあります。もし、いただいたお香典が高額で、当日お渡ししたお香典返しでは不十分だと思われる場合には、忌明けやお中元・お歳暮のタイミングで不足分のお返しをすることをお勧めいたします。
葬儀にご参列いただいたお返しは、何を贈るのがふさわしい?
香典返しは、不祝儀をあとに残さないという意味で、後に残らないもの(消えるもの)がふさわしいとされています。「お茶」や「コーヒー」「和菓子」「洋菓子」「のり」「砂糖」など食べてしまえばなくなってしまう「消えもの」を選びましょう。今では、贈られた相手が自分の好みでオーダーできるカタログギフトも香典返しの定番になっています。
ただし、消えものであっても「お肉」、「お魚」や、慶事に使われることの多い、「鰹節」や「昆布」、嗜好品である「お酒類」は控えたほうがよいでしょう。
無事に葬儀を終えた報告と、感謝の気持ちとして、しっかり準備を進めましょう。
2.葬儀のお返しはいつ渡すのが正解?
葬儀での喪主様の役割は多岐にわたりますが、中でも参列者へのお返し(香典返し)というのは、参列者が、故人様やご遺族を思ってお香典を包んでくださったということに対し、故人様の代わりに喪主様が感謝を伝えるものなので、いざというときに渡しそびれなど失礼がないように、お渡しするタイミングについてしっかりと憶えておきましょう。
忌明けの法要後にお贈りするのが一般的
香典返しは、弔事を滞りなく終えた報告と御礼の意味を含めたものなので、故人の冥福を祈り、忌明け法要後(1カ月以内)にお届けするのが一般的です。お通夜または葬儀当日にお渡ししている場合には後から再度贈る必要はありません。
キリスト教には「香典返し」や「忌明け」などの習慣はありませんが、現在では仏式にならって忌明け後に香典返しを用意することが多くなっています。
ただ、宗教によって忌明け時期が異なるので、その点に注意しましょう。
- ・仏式:
- ・浄土真宗:
- ・神式:
- ・キリスト教式:
- ・掛け紙のデザイン
- ・掛け紙の水引
- ・掛け紙の書き方
- ・掛け紙のかけ方
故人様が亡くなった日から49日目で忌明け法要を執り行い、その法要後1カ月以内に香典返しを贈ります。
浄土真宗は、四十九日の法要は行いますが、他の宗派と違い、亡くなってすぐに仏になるという考え方であるため、初七日が済んだら1カ月以内に香典返し贈りましょう。
故人が亡くなった日から50日目を忌明けとして、「五十日祭」を執り行い、それから1カ月以内を目安に香典返しを贈ります。
本来、キリスト教には「香典返し」や「忌明け」などの習慣はありませんが、現在では仏式にならって忌明け後に香典返し(返礼品)を用意することが多くなっています。プロテスタントでは1カ月後の昇天記念日、カトリックでは、30日後の追悼ミサが、忌明けにあたり、その後、返礼品を用意するのが一般的です。
葬儀当日にお返しをお渡しする「当日渡し」
本来、香典返しは四十九日までの法要を無事に終えた報告の意味も含まれるので、四十九日法要を過ぎてからお贈りするもの(後返し)です。
一方で、通夜や葬儀当日に参列いただいた方にその場で香典返しをお渡しすること「当日返し」といいます。現代では、お通夜や葬儀には参列できても四十九日までは出席できないという方が多くなっていることから、今ではこの「当日返し」が広く定着しました。費用も手間もかからずお渡しできますが、関係性や年齢などに関係なく、全ての方に同じ品を用意することになります。ただ、いただいた香典の中身は当日その場ではわからないので、もし、高額な香典をいただいた場合には、後日改めて不足分の香典返しを用意するということが必要になります。
通夜・葬儀にお越しいただいた感謝の気持ちを表す「会葬御礼」
「会葬御礼」というのは、香典返しとは別物で、お通夜や葬儀に参列された方、お香典の有り無しに関わらず全員に、感謝の気持ちとしてお渡しするものです。お茶、のり、コーヒー、洗剤など500~1,000円前後のもので、消費期限が長いものを、お清めの塩とお礼状を添えてお渡しすることが一般的です。この会葬御礼の品は、参列してくださった方の関係性や年齢などにかかわらず、皆様に同じものをお渡しします。ご自身で手配されてもよいですが、葬儀社に用意があることが多いので一度相談してみるとよいでしょう。
3.葬儀のお返しのマナーを知っておきましょう
葬儀のお返しは、ただ品物をお渡しすればよいだけのものではありません。「お返し」というのは感謝の気持ちを伝えるための手段であり、日本人が大切にしている礼儀、礼節にあたるものです。お香典をいただいた相手に失礼がないように、故人様の代わりに、思いを届けるようなお返しを準備しましょう。ここでは葬儀のお返しについてのマナーをご案内いたします。
挨拶状・お礼状を添えましょう
香典返しをお贈りする際には、品物だけではなく感謝の気持ちを込めた挨拶状を添えるのがマナーといえます。最近は、挨拶状を印刷するケースが多いのですが、故人と親しかった方や、縁の深い親戚には手書きの挨拶状を用意すると、より丁寧で、感謝の気持ちがしっかりと伝わるでしょう。ただし、自作の場合、宗教により、使用する言葉や、使ってはいけない言葉がありますので、注意することが必要です。
挨拶状の作成サービスをしている葬儀社や香典返しの専門店で作成してくれることも多いので、香典返しの品物とあわせて相談してみることをお勧めいたします。
葬儀のお返しに熨斗はつける?
葬儀のお返し(香典返し)を贈る際、品物をそのまま送るのは失礼と考えられ、熨斗紙をかけるのが一般的なマナーです。
本来、贈り物には、品物に紙をかけて、その上に水引を結ぶものですが、現在は簡略化され、すべてが印刷された紙を使うことが一般的です。「熨斗」は、右上にのし飾りが付いているもののことを言い、慶事の贈り物のときのみに使い、香典返しでは使いません。のし飾りが付いていないものを「掛け紙」と言い、弔事ではこちらの「掛け紙」を使用します。便宜上、「掛け紙」も含めて「熨斗」や「熨斗紙」と呼ばれています。
また、この「掛け紙」は、仏式だと蓮の花が描かれた掛け紙が一般的ですが、他の宗教では水引のみの掛け紙が適切です。
水引の結び方は「結び切り」というものが適切とされ、固く結ばれ、引っ張ってもほどけないことから、「二度と繰り返さない」という意味があり、一度きりであるべき弔事やお見舞い、婚礼などで使用される形です。
香典返しの掛け紙の表書き(水引の上)には「志」を書き、水引の下には送り主の名前を書くので、喪家の姓のみ、○○家、または喪主のフルネームを書きます。
熨斗のかけ方には「内のし」と「外のし」と使い分けがありますが、葬儀のお返しのような弔事では、控えめな印象を与える「内のし」とするのが基本です。
「内のし」とは品物の化粧箱に直接のし紙をかけて、その上から包装をする仕様です。
香典返しを辞退した方へのお礼は?
会社名義や連名でのお香典の場合や、お香典が少額の場合など、香典返しを辞退する方がいることがあります。これは、喪主側の負担を軽くするための心遣いであること、または公的機関や企業によっては、香典返しを受け取ることを禁止されていることもあります。まずは、その辞退された方の思いを受け取り、後日改めて香典返しではない形で感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。例えば、会社の場合には、みんなで分けられるようなお菓子を贈ったり、友人の場合には、後日改めて食事に招待したり、お礼状を送るのもよいでしょう。香典返しを辞退された方へも、その方に相応しい形で感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
4.事前に葬儀のお返しマナーについて覚えておくことをお勧めします
葬儀の喪主、またはそれに近い立場になる可能性は誰にでもあることです。ですが、人生の中で何回もあり、場慣れするようなものでもありません。いざというときに、慌てて故人様が大切に関係を育んできた方々に失礼になるようなことがないように、事前に葬儀のお返しマナーについても覚えておくことをお勧めいたします。
喪主様として、ご不明なこと、ご不安なことがありましたら、どんな些細な事でもサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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