神棚封じとは?意味や期間、手順をわかりやすく解説

神棚封じとは?意味や期間、手順をわかりやすく解説

「神棚封じ」とは読んで字のごとく、神棚を封印することです。神道を信仰しているかどうかにかかわらず、ご自宅に神棚のある方は多いものですが、「どのようなときに、どのような手順で神棚を封印するのか」を詳しく知っている方は多くありません。

今回は、神棚封じの意味や期間、手順について、詳しく解説します。神棚封じを誤って解いてしまった場合の対処方法など、関連する疑問についてもお答えしますので、ぜひご覧ください。

1.神棚封じとは?

神棚封じとは?

神棚封じとは、神棚を祀(まつ)っている家において人が亡くなったときに行う、神道の儀式のひとつです。神棚封じでは神棚の扉を閉じ、白い半紙を貼るなどして神棚を覆います。このような儀式が、なぜ必要なのでしょうか。

神棚封じの意味について、次の項で詳しくご説明します。

2.神棚封じをする意味は?

ここからは、神棚封じにはどのような意味があるのか、神道の考え方と共に解説します。

神棚封じにはどんな意味がある?

神棚封じを行う目的は、神棚に祀られている神様を守るためです。

神棚は神聖な場所であり、一般的に天照大御神(あまてらすおおみかみ)、地域や住民を守る氏神様、個人的に信仰する神様のお札を祀ります。これらの神様を大切にすることで神様から神気(しんき)をいただき、子孫を守り続ける力になると信じられています。

神道の教えによれば、「死」は「穢(けが)れ」とされているため、ご家族に不幸があった際は、神棚封じによって神様に穢れが移らないようにするのです。

「穢れ」とは「活力・気力が失われた状態」のこと

神道における「穢れ」とは、「汚れている」という意味ではありません。

「穢れ」は本来、「気枯れ(けがれ)」と表し、神様からいただいた活力や気力が失われ、生命エネルギーが低下している状態のことです。「死」だけでなく、出産や出血・病気なども穢れとされます。

大切な方を失い気が枯れている人を神様に近づけ、神様が同じような状態にならないようにするため、神道では古来より、「家族を亡くした人は神様との距離を一定期間おかなければならない」と説いています。

神棚封じも、そうした気枯れ(穢れ)から神様を守るために行う儀式のひとつです。

3.神棚封じは誰が行う?

神棚封じは、忌中(きちゅう)ではない第三者が行うのが基本です。知り合いにお願いすることが難しいようならば葬儀社に依頼することもできます。

「神棚封じの意味は?」で解説したように、神道では、忌中の間は死による穢れを神様に移さないようにします。そのため、死の穢れがある状態と考えられている喪主様やご親族が神棚封じを行うことは、基本的には避けた方がよいとされます。

しかし近年では、昔に比べ葬儀が簡略化され、それに伴い葬儀に関する作法の意識も薄れてきました。忌中ではない第三者に依頼することができず、また、周りに反対する意見がない場合、神棚封じをご遺族・ご親族が行うことも可能です。

4.神棚封じの期間は?いつ封じて、いつ解くのか

神棚封じの期間は?いつ封じて、いつ解くのか

神棚封じには、封じるタイミングと解くタイミングがそれぞれあります。大切な儀式ですので、タイミングを間違えないように気をつけたいものです。
ここでは、神棚封じを行うタイミングや期間について解説します。

神棚封じはいつ行えばよい?

神棚封じは、従来の習わしにおいては、神棚のある家に住む人が亡くなったらすぐに行います。地域によって異なりますが、正式な神式葬儀では、ご家族が亡くなったら速やかに神棚に奉告(神仏・貴人に知らせること)し、神棚封じを行います。

しかし実際には、「まずは故人様を病院から自宅に連れて帰りたい」「葬儀の手続きで手が空かない」などのさまざまな事情により、神棚封じがすぐに行えないこともあるでしょう。

そのような場合は、故人様を適切に安置し、枕飾りなどの準備を終えた後に神棚封じを行うのが一般的です。

※神式の葬儀の流れや特徴については、こちらが参考になります。

神棚封じの期間は?いつ解けばよい?

神棚封じの期間は忌中と同じで、忌明けに神棚封じを解きます。

神道では、命日から50日目が目安とされており、五十日祭を終えると忌明けを迎えるため、神道に倣う場合はそのタイミングで半紙を取ります。仏教を信仰しているご家庭では、忌明けである49日に神棚封じを解くことが多いといえます。

故人様がひとりで住んでいたなどの理由で、忌明けちょうどの日に神棚封じを解くことが難しい場合は、忌明けを過ぎてから神棚封じを解いても問題はありません。

しかし、地域によって異なることもあり、また亡くなった方との関係性によっては、30日間を忌中としているところもあります。

ご不安な方は、お住まいの地域の氏神神社(氏神様をお祀りする神社)に確認することをおすすめします。

5.神棚封じの手順は?

神棚封じの手順は?

神棚封じは難しいものではありませんが、神聖な場所だということを意識して、正しい手順で行いましょう。
ここからは、神棚封じに必要なものと手順を解説します。

神棚封じで準備するものは?

神棚封じにおいて必要なものは、以下のとおりです。

・白い半紙
・セロハンテープ

半紙がすぐ手に入らない場合は、コピー用紙など他の白い紙を使います。

神棚封じの手順を解説

神棚封じを行う前に、まずは神棚と、祖霊舎(それいしゃ、みたまや)がある場合は祖霊舎に向かって、挨拶と「誰が亡くなったか」の奉告をします。
手順は、以下で詳しく解説します。

1.神様に挨拶をし、誰が亡くなったのかを伝える

まずは、神棚にいらっしゃる神様にお辞儀をし、挨拶をします。挨拶の内容は「いつも見守ってくださり、ありがとうございます」などの日頃の感謝を伝えるとよいでしょう。

次に、ご家族の誰が亡くなったのかを奉告します。これは、神道の葬儀前に行う帰霊奉告(きれいほうこく)にあたるものです。

神道の教えによれば、「誰が亡くなったのかを報告することにより、故人様の魂が神々の世界に行けるようになり、やがて子孫を守る存在(祖霊)になる」とされています。

もし祖霊舎がある場合は、祖霊舎にも同様に挨拶・奉告を行います。祖霊舎とは、祖先の霊を祀るための祭壇です。天井近くに設ける神棚とは違い、床に置くタイプのもので、仏教における仏壇と捉えることができます。

挨拶・奉告を終えたら、神棚封じを行っていきます。

2.神棚にあるお供え物・榊を下げる

神棚にあるお供え物(神饌:しんせん/米、塩、酒など、神様に捧げるお食事)を全て下げます。
榊(さかき/神道において重要な植物)も同様に下げます。このまま、神棚封じが終わるまで神棚には何も供えないようにしましょう。

神棚には他にもお札や鏡などの神具が置いてありますが、神棚封じで下げるものはお供え物と榊だけです。

3.扉を閉めて半紙を貼る

神棚の扉を閉め、中央に半紙を貼ります。神棚に穴を空けてはいけないため、半紙はセロハンテープを使って貼るとよいでしょう。神棚にしめ縄がある場合は、縄の上から半紙を貼っても問題ありません。その際も、画鋲やピンの使用は避けてください。

大きい神棚の場合、半紙が小さく感じることがありますが、紙の大きさを変える必要はありません。神棚の中央に半紙を貼ることを意識して神棚封じを行いましょう。

6.神棚封じの解き方は?

神棚封じの解き方には、一般的にはそこまで厳密な決まりはありません。神棚封じは、本来は忌中ではない第三者が行いますが、神棚封じを解くときには忌明けを迎えていますので、ご家族の方が封印を解いてもよいでしょう。

封印を解く手順としては、まず正面に貼っていた半紙を丁寧にはがします。普段から神棚の扉を開けている場合は、再度開けて毎日のお祀りを再開します。一方、普段から扉を閉じている場合には、特に開ける必要はありません。

封印を解く際の細かい作法、例えば塩を振って体を清めるか等は、地域によって風習が異なります。不安な場合は、お住まいの地域の氏神神社に確認することをおすすめします。

7.神棚封じの3つの注意点

神棚封じを行う際には、いくつかの注意点があります。うっかり間違えてしまい、神様や故人様に対して失礼にならないよう、気をつけなければなりません。
そこで、神棚封じにおける注意点について解説します。

祖霊舎には半紙を貼らない

祖霊舎にも観音開きの扉がついており、神棚と同じようにお供え物が供えられています。しかし、神棚封じの際、祖霊舎には半紙を貼る必要はありません。

通常、祖霊舎の外扉は開けたままにしておきますが、神棚封じの際には外扉は閉めます。神棚封じを解くときに、閉じていた外扉を開けます。

神棚封じの期間は礼拝やお供え・掃除は控える

神棚封じの期間に、「神様へのお供え物を全くしないのは失礼なことでは?」と不安になる方もいらっしゃいます。毎日欠かさず礼拝を行っていた方であれば、つい習慣で封じてある神棚へ礼拝をしてしまうかもしれません。

しかし、神棚封じの期間には、神棚への礼拝やお供えは行いません。前述のとおり、神棚封じの目的は、穢れ(気枯れ)が神様に移らないようにすることです。そのため、神棚に触れたり、近づいたりすると作法に反することになります。お供え物や礼拝・掃除は、神棚封じを解いてから行いましょう。

地域の慣習やご家族の考えに配慮する

これは葬儀にもいえることですが、「亡くなった後にどうするか」というのは地域の慣習や、ご家族の考えによっても変わってきます。

近年では、忌中のご遺族が神棚封じを行うことが増えていますが、これに対して異なる考えを持つ方もいらっしゃいます。

神棚封じを行う際には、ご不安がある場合は氏神神社に地域の慣習を確認し、ご家族の意向にも配慮して行うとよいでしょう。

8.神棚封じを間違って解いてしまったときの対応方法

間違えて神棚封じを解いてしまったときは、体を塩で清めてから半紙を貼り直し、再び封印します。

半紙を貼り直すのは、忌中ではない第三者であることが望ましいですが、難しいようでしたらご家族で行っても問題ありません。

セロハンテープで貼っていた半紙が勝手に剥がれてしまった場合も、同様に対応します。

※お清めのお塩の使い方については、こちらが参考になります。

9.神棚封じに関するQ&A

A.神棚封じは、神棚のある家に住む方が亡くなったときに行います。故人様と同居していなかったご遺族・ご親族の方は、自分の家の神棚を封じる必要はありません。

A.むしろ積極的に拝みましょう。
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神道と仏教では、死に対する考え方が違います。神道では死を穢れとしていますが、仏教ではそう捉えてはいないため、仏壇を閉じたり、礼拝を控えたりする必要はありません。
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むしろ、仏教において忌中から喪中の間にお参りすることは、故人様への追善供養(ご遺族がお参りして得た善が、故人様の善行にもつながるという考え方)となりますので、積極的にお参りをしましょう。

A.神棚封じをします。
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神棚封じ期間中にお正月がある場合も、神棚封じは解きません。神棚封じをしている間は基本的に忌中ですので、神棚への拝礼だけでなく、神社への参拝も控えます。
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※喪中・忌中におけるお正月の過ごし方は、こちらが参考になります。
喪中・忌中のお正月の過ごし方~正月飾り、おせち料理、初詣、お年玉は?~
https://www.hana-sougi.com/blog/mochu-newyear/

A.必要です。
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仏教徒の方の家に神棚があることも、珍しくありません。信仰の対象ではなくても、神棚に神様が祀られていることには変わりませんので、忌中の間は神棚封じをします。

A.一般可燃ゴミとして処分します。
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穢れから神様を守るために使った半紙を捨てることに抵抗があるかもしれませんが、そのまま可燃ゴミとして処分して問題ありません。

10.神棚封じは作法・慣習やご遺族の意向に配慮して行いましょう

神棚封じは、神棚のある家の住人が亡くなった際に行う儀式で、死による穢れが神様に及ばないようにする目的で行うものです。

具体的には、神棚にあるお供え物や榊を下げ、扉を閉めて半紙を貼って、忌明けまでご遺族が近づかないようにします。

「穢れ」と聞くと、大切な方の死を否定的に捉えるように聞こえてしまうかもしれません。しかし実際には、ご遺族の活力が著しく低下している状態を指します。

穢れが神様に移ると、その家を守る力も低下してしまうと考えられているため、作法や地域の慣習を守って行うことが推奨されます。

ただし、亡くなった後の作法は、ご遺族・ご親戚のお考えにより変わることがあるため、地域の氏神神社に不安点を確認し、周りの意向にも配慮して行うとよいでしょう。

それぞれのご家族に、葬儀や作法に関する独自のお考え・思いがあります。通夜・葬儀に関することはもちろん、葬儀前後の疑問やご不安についても、花葬儀が全力でサポートいたします。ホームページからのお問い合わせだけでなく、経験豊富なスタッフによる電話サービスもあり、24時間365日、ご相談に対応することが可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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