家族葬で必要な近所への対応、お知らせや挨拶のやり方
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
家族葬を行うときには、葬儀に参列してもらう身内だけではなく、葬儀に招かない近所の方々にも丁寧な対応が必要です。喪主様をはじめとしたご遺族は、故人様の近所付き合いを受け継ぐような気持ちで、近所の方々への気配りも忘れないようにしましょう。
今回は、家族葬で必要な近所への対応や、挨拶回りの方法などをご紹介いたします。
1.家族葬は近所の人にお知らせすべき?
家族葬の場合でも、できるだけ近所の方にも事前に訃報を伝えましょう。生前、故人様が近所との親交が深かったとしたら、故人様と顔を合わせない日が続き心配している人がいるかもしれません。訃報とあわせて、「葬儀は故人の意思により近親者のみで行う」という旨しっかり伝えれば、「どうして知らせてくれなかったの?」などと後になってとがめられるようなこともないでしょう。
親しくしていた近所の方々も、故人様への思いが強いからこそ最後のお別れをしたい、と考えてくれるのです。そのような方々の思いを無下にしないよう、家族葬であっても近所の人にも訃報をお伝えすることをおすすめします。
2.家族葬で必要な近所への対応とは
家族葬を行う際に、葬儀へお招きしない近所の方々に対してはどのような対応をすべきでしょうか?葬儀は身内だけだとしても、故人様が生前お世話になった近所の方に対して失礼がないよう、常識的な対応について把握しておきましょう。
町内会長や自治会長に連絡をする
近所の方々へ一斉に訃報を伝えるときには、町内会長や自治会長に連絡して回覧板などを回してもらうと、効率よく確実に伝わるでしょう。ただ、家族葬でのお見送りの場合、近所の方々にはご参列をお断りすることが多く、その旨明確に、かつ失礼のないように伝えなくてはなりません。
「故人の意思により家族だけで葬儀を行うため、ご参列、お香典は辞退させていただくこと」「お手伝いも不要であること」を会長に伝え、近所の方々にも情報共有してもらいましょう。さらに次項の会葬辞退の案内をお渡しする、というのも、家族葬の確実な情報を丁寧に伝える連絡方法です。
会葬辞退のご案内をお渡しする
家族葬の情報が近所に人づてで伝わると、想定外の会葬者があるなどのトラブルが起きてしまう可能性があります。そういった事態を避けるためにも、近所には家族葬の内容や会葬辞退のご案内をお渡ししておくとよいでしょう。正確な情報をひとりひとりに文章で確認してもらうことで、誤情報のまま伝達されることを防ぐことができます。
ご案内に含むべき項目は、以下の通りです。
・故人様の名前
・葬儀は近親者のみで行うこと。
・生前お世話になった感謝の気持ち
・喪主の名前
会葬辞退のご案内例をご紹介します。
【例文】
*参列者が訪れるなどの混乱を避けるため、葬儀場の詳細を省略したご案内になっています。
*香典、供花を辞退する場合は、その旨も記載します。
このように詳細をお伝えすることで、近所の方とのトラブルを避けることができます。家族葬の場合は、周囲への丁寧な配慮を心がけましょう。
香典・供花等を辞退する場合は明確に伝える
訃報を聞いた近所の方々は、家族葬に参列するしないにかかわらず、お香典を準備する可能性があります。しかし、家族葬は、基本的にご家族とご親族を中心とした葬儀であるため、お香典を辞退することもあるでしょう。その場合は、友人・知人だけでなく、近所の方へも葬儀前に明確に伝えておく必要があります。
近所の方への香典辞退は、訃報と合わせて伝えるのが一般的であり、前述したように町内会で決められた連絡手段や案内状にて伝わるようにするのが理想です。しかし、人づてに伝わったケースの場合、家族葬の細かな情報が行き届かない可能性も考えられます。そのため、受付担当者からもお香典は辞退している旨を案内してもらうとよいでしょう。
ただし、近所の方にお断りしてもなお、お香典を渡される場合には、拒まずに相手の心遣いとしてありがたく頂戴します。ご参列人数が多い場合には、受付に香典辞退の旨を記載した案内板などを設置することもできますので、葬儀会社に相談しておくとご意向にあわせた準備を整えてくれるので安心です。
なお、家族葬だからという理由だけで、お香典・ご供花を「辞退しなければならない」というものではありません。相手の弔意を尊重して「辞退しない」という選択をする人がいる一方で、お香典はご遺族に向けたものなので「辞退」し、ご供花は故人様に手向けるものという考え方で「お受けする」という選択をする人もいます。いずれにしても、ご遺族でよく話し合って決めることが大切です。
お香典・ご供花を辞退する、しないで迷った場合、また近所の方への対応でお困りの場合は、花葬儀にご相談いただければ、アドバイスさせていただきます。
失礼にあたらないような配慮をする
近所の方に対して家族葬へのご参列をお断りする場合は、失礼にならないように配慮することが必要です。「近所の方は葬儀には参列しないでほしい」など思いやりのない言葉で伝えてしまうと、相手を不快にさせてしまうでしょう。
故人様は生前、喪主様やご遺族が知らないところで、近所の方々との親交を大切にしていたかもしれません。喪主様は家族葬前にやるべきことが多く大変なときではありますが、近所の方に対しても、葬儀前に「訃報」と「家族のみで葬儀を行うこと」をしっかりとお伝えし、合わせて生前お世話になったことに対してのお礼を伝えるなど、相手の気持ちを考えて対応するようにしましょう。
なお近所の方ですと、こちらから訃報の連絡をする前に、ご自宅の様子からいつもとは違う状況をうかがい知ることがあるかもしれません。ご連絡が遅くなることで心配を募らせてしまう可能性もありますので、なるべく早く訃報を伝えられるよう、配慮できるとよいでしょう。
3.家族葬終了後に行う近所への挨拶回りのやり方は?
家族葬終了後、お世話になった近所の方に挨拶に行きお礼を伝えましょう。
家族葬は、基本的に規模の小さな葬儀ではありますが、葬儀前後は普段よりも自宅への人や車の出入りが増え騒がしくなるかもしれません。自分達は気が付かなくても、少なからず近所の方に迷惑や心配をかけていることもあります。
そのため、家族葬終了後は葬儀を済ませたばかりで疲労がたまった状態であると思われますが近所の皆さまへ挨拶に回るのがマナーです。
近所に挨拶回りをする際は、喪主様とご遺族の中からもう1人の計2人で回るのが基本です。喪服を着る必要はありませんが、黒などの地味な平服を着て行くとよいでしょう。
ここではご近所への挨拶回りのやり方についてご紹介いたします。
挨拶回りのタイミング
一般的には家族葬を行った翌日から近所への挨拶回りを開始します。翌日もしくは翌々日までに行くのが理想ですが、やむを得ない事情がある場合には、遅くとも初七日までには済ませるようにしましょう。
特に近所の方とは、家族葬後すぐに近所でお顔を合わせる可能性も考えられます。偶然お会いして、その場で弔慰への御礼を伝えるよりも、こちらからご挨拶に出向いた方が丁寧な気持ちが伝わります。できるだけ早めに挨拶にいくことをおすすめします。
なお、本来は、電話をして先方の都合を確認してから挨拶に行く方が丁寧です。しかし、近所の場合、在宅の様子が確認できることがあるので、連絡せずに行くこともあります。その場合は、挨拶を済ませたら長居せずに早めに引き上げましょう。
手土産を用意する
近所の方にご挨拶に行く際には、ちょっとした手土産を用意するのが一般的です。特にご自宅で家族葬を行った際には、業者や参列者の車の出入りがいつもよりも多く、近所に迷惑をかけているかもしれません。そのお詫びの気持ちや、今後のお付き合いも考慮し、手土産を用意することが多いようです。
近所の方に用意する手土産は、迷惑をかけた具合にもよりますが、2,000~3,000円程度の菓子折りなどを用意するのが一般的です。もし供花や供物などをいただいた場合には、その品物の3~5割程度を目安としたお礼の品を用意するとよいでしょう。
挨拶回りの内容は?
家族葬終了後の近所への挨拶回りは、以下の内容をお伝えすることを目的に行います。
・故人様がお世話になったことに対してのお礼
・葬儀の際に迷惑をかけたお詫び
・家族葬を無事に済ませたご報告
・今後も変わらぬご近所付き合いのお願い
これらを含めたご挨拶例をご紹介します。相手により、多少言葉を変えながらお伝えするとよいでしょう。
【ご挨拶例】
この度の葬儀に際しましては、大変ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。
おかげさまで滞りなく葬儀を済ませることができました。ありがとうございます。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。
家族葬終了後の近所への挨拶回りでは、前項でお伝えした手土産と併せてこのような言葉をお伝えします。相手の都合もあるので長居する必要はありませんが、引き続き良好な近所付き合いを続けていくためにも、丁寧な対応を心がけましょう。
まとめ
昔は、葬儀のときには隣近所で互いに助け合うのが一般的でしたが、今ではそのようなことも少なくなりました。「ゆったりと身内だけで最期のときを過ごしたい」と家族葬を選ぶ方が増えていることも、その理由のひとつです。
家族葬を行うことで、基本的に「近所の方は葬儀に招かない」という状況が生じることになりますが、ご遺族が考えている以上に、故人様を大切に思ってくださっている近所の方がいらっしゃるかもしれません。
故人様が生前、近所付き合いを大切にしていたと知っていればなおさら、その思いを引き継ぐような気持ちで、近所への対応に配慮するのがよいでしょう。
花葬儀では、家族葬を数多くお手伝いした事例を基に、近所の方々に対しての気遣い方や対応方法に関しても丁寧にアドバイスさせていただきます。ささいな事でもお気軽にご相談ください。