献体とは?登録方法、条件、報酬、葬儀のタイミングを解説

献体とは?登録方法、条件、報酬、葬儀のタイミングを解説

死後、自分の体を医療の発展のために提供することを「献体」といいます。遺体が解剖実習に提供されることで、献体はこれまでも多くの医学・歯学を志す人の力となってきました。

最近、この献体を希望する人が増えてきていますが、実は希望すれば誰でも可能というわけではありません。献体として登録するための条件があり、生前の手続きやご家族の同意も必要です。

また、献体後は、通常とは違うタイミングで火葬・納骨が行われるなど、事前に知っておくべきこともあります。そこで、今回は、献体を検討されている方に、献体の概要から葬儀を行うまでの詳細をご紹介します。

1.献体とは?

献体とは?

まずは献体について、基本的な情報をご紹介します。

献体とは?

自身が死亡後、医療の発展のために、遺体を大学などへ提供することを「献体」といいます。無条件・無報酬で提供され、解剖実習に用いられます。

医学部や歯学部に在籍していて、医療の道を志す学生にとって、解剖学は避けては通れません。しかし、過去には、解剖に必要な遺体の数が少なかったため、満足な実習が行えない時代がありました。この状況を悲しく思い心配した有志が、自身の死後、遺体を無償で提供したいと申し出たのがきっかけで、献体運動が始まったといわれています。

「公益財団法人 日本篤志献体協会」によると、令和3年3月の時点で、日本の献体登録者数は31万人を超え、14万人以上の献体が実現しています。

献体は誰でもできるというわけではなく、一定の条件をクリアし、自らの希望で生前に手続きをした人のみが行えます。条件などの詳細は別項でご紹介します。

献体の意義は?

「公益財団法人 日本篤志献体協会」のWebサイトには、「献体の最大の意義は、みずからの遺体を提供することによって医学教育に参加し、学識・人格ともに優れた医師・歯科医師を養成するための礎となり、医療を通じて次の世代の人達のために役立とうとすることにあります」と記載されています。

このように、将来の豊かな医療のための一助になるという点が、提供する側にとっての意義といえるでしょう。

また、このような提供者の思いにより解剖学の教育が実現、充実していくことをしっかり認識することも大切です。そして、これから医療の道に携わろうとしている学生に対しては、人体の仕組みを正しく理解し、医学の発展に役立てるための知識を得ることが期待されます。技術だけではなく、厚意によって、みずからの体を提供してくれた人がいるということへの感謝と、責任を持つという精神的な教育にもなるでしょう。

最近では、死後にかかる費用を抑えられるからという理由で、献体を希望する人が増えているという事実もありますが、献体は、あくまでも将来の医療発展を願う篤志です。献体に興味のある方は、意義を認識した上で、これを機に具体的に考えてみてはいかがでしょうか。

参考サイト:「公益財団法人 日本篤志献体協会」1.献体とは
http://www.kentai.or.jp/what/01whatskentai.html

献体ができる大学は?

献体ができる大学は、ご自身がお住まいの都道府県内にある医学部または歯学部がある大学、医科・歯科大学のうち、献体を募集しているところのみに限られます。詳細は、各大学や献体篤志家団体(献体の会)に問い合わせてみるとよいでしょう。

また、県をまたいでの登録はできません。死後48時間以内に遺体を搬送しなければならないため、同一都道府県内であっても、搬送に時間がかかる場合は断られるケースもあるようです。なるべく、生活圏内にある大学を選ぶようにしましょう。

なお、献体篤志家団体は、「白菊の会」をはじめとし、全国に61団体(平成24年3月31日現在)あります。医学部または歯学部がある大学、医科・歯科大学や自治体などに存在していますが、名称は団体によって異なります。

2.献体の登録条件とは?

献体を希望する際は、事前に、ご自身が条件に合うかどうかを調べ、生前に献体登録をする必要があります。ここでは、登録に必要な条件の詳細や手続きをご紹介します。

生前登録が必要

献体は、死の直前、または死後に希望しても行うことはできません。必ず生前に、「本人の希望」と「ご家族、肉親、ご親族など(同意者や人数などの指定は登録先によって異なる)の同意」があることを明確にし、献体登録をする必要があります。

登録は、医学部または歯学部がある大学、医科・歯科大学や、献体篤志家団体(献体の会)で行うことができます。詳しくは、この後の「献体の申し込み~登録完了までの流れ」をご確認ください。

条件は献体先によって異なる

献体をするには、年齢や、死亡時の遺体の状態が良好であることなどの条件が複数あります。献体先によって異なるため、詳細は各大学にお問い合わせください。

登録条件とは?

献体先によっても異なりますが、登録には希望者以外のご家族や肉親、ご親族、第〇親等以内など、指定された人の同意が必要です。同意が必要な人数も2名以上、ご家族や肉親全員など、献体先によって異なります。

また、ご自身の死後、ご遺族の中にひとりでも献体に反対する人がいる場合は実行されないため、生前のうちに献体の意思をご家族などに伝え、しっかりと話し合い、理解を得ておきましょう。

身寄りの無い方、単身者は一般的に献体登録が不可とされていますが、献体希望先によっては受け付けているところもあるため、気になる方は一度問い合わせてみるとよいでしょう。

3.献体の申し込み~登録完了までの流れ

献体の申し込み~登録完了までの流れ

献体の登録は、希望者が生前に行う必要があります。申請書の取り寄せから登録完了までの流れをご紹介します。

申請書を取り寄せる

お住まいの都道府県にある医学部または歯学部がある大学、医科・歯科大学で献体を募集しているかどうかが確認できたら、その大学、もしくは献体篤志家団体に申請書の送付を依頼します。献体を申請する場合は、申請先の献体篤志家団体に入会することになります。

必要事項を記入する

申請書に記載されている必要事項を記入します。内容は主に以下のとおりです。
・氏名(自著)
・生年月日
・住所
・性別
・同意者の氏名(自著)、捺印

その他、献体登録を希望するにあたっての注意事項のチェックなどもあります。

郵送する

内容に不備が無いかどうかを確認した上で、郵送します。

申請書が受理されると会員証が発行される

申請書が受理されると、お手元に会員証が送られてきます。会員証には登録番号や本人の住所や名前、生年月日などが記載されています。会員証は献体登録証でもあるため大切に保管し、可能であれば常に携帯しましょう。

申請者が死亡した後は、会員証(献体登録証)の情報をもとにご親族が引き渡しの手続きを行います。ご家族にも会員証がどこにあるのかを普段から共有しておくと安心です。

4.献体の報酬と費用

献体の報酬と費用

献体は無報酬で行われます。そのほか、献体時の費用の有無についてはこちらでご紹介します。

献体の報酬

献体登録後、実際に献体として提供した時に、報酬が発生することはありません。その理由は、献体という行為は医療発展を願う無償の心から行うものである、とされているためです。

そのため、献体をした人のご家族が、その後、献体先の病院で特別な優遇を受けるなどという見返りもありません。

献体後は火葬され、遺骨はご遺族へと返還されます。その際に、文部科学大臣感謝状が贈られます。また、献体をしていただいた故人様とご家族に感謝を示す慰霊祭が各大学で執り行われます。

献体の費用

献体希望者側が支払う費用はありません。登録も無料で行えます。

搬送、安置、葬儀、火葬の費用

搬送

献体を大学へ搬送する費用は、大学側が負担します。

安置

病院の都合などにより、搬送までに民間の安置所を使用しなければならない場合、安置費用はご遺族側の負担となるのが一般的です。

ただし、大学によっても方針が異なるため、まずは献体予定先の大学にご相談ください。

葬儀

葬儀は大学では行わないため、献体前もしくは献体後にご遺族側が葬儀を行います。その場合は、全てご遺族側の自己負担となります。

火葬

火葬にかかる費用は、すべて大学側が負担します。

5.死亡~献体までの流れ

ここでは、申請者が死亡してから実際に献体を行うまでの流れをご紹介します。

ご遺族が会員証(献体登録証)を元に献体登録先の大学へ連絡する

遺体を提供するまでの目安時間は48時間以内です。献体前に葬儀を行う場合は、そのタイミングも考慮した上で、早めに連絡するようにしましょう。

葬儀・告別式を行う(任意)

後述しますが、遺体にはドライアイスを使用することができないため、遺体保管用の冷蔵庫で保管する必要があります。そのため、葬儀・告別式について葬儀社に相談する際には、必ず献体を行うことを伝えましょう。

遺体を大学へ搬送する

基本的には、大学に連絡を入れると病院や施設まで迎えに来てくれます。

大学にて保管のための防腐処理を行う

遺体到着後、直ちにホルマリンの注入などが行われます。
その後、実習までは専用の処理装置で保管します。

解剖実習を行う

医学部、歯学部の学生が、解剖の教員、実習を受けます。

火葬を行う

火葬は大学側で行います。

遺骨が返還され、感謝状の授与と慰霊祭が行われる

遺骨はご遺族のもとに返還されます。また、大学によっては、ご遺族に慰霊祭のお知らせを行うケースもあります。

6.献体できないケースとは?

献体できないケースとは?

解剖は、大きく3種類に分けられます。

1.人体の正常な構造を調べるための「正常解剖」
2.病死した人の直接死因の解明や、治療効果を調べるための「病理解剖」
3.事件性のある遺体の死因の解明や、変死体の死因を特定するための「司法・行政解剖」

このうち献体を解剖する医学的な実習は、「正常解剖」に分類されます。また、人体の構造を正しく理解するための教育であることから、献体には一定の条件が求められます。たとえ献体を希望し、ご親族の同意を得られた場合であっても、条件から逸脱するようなことがあれば、献体不可となります。

条件は大学によっても異なりますが、こちらでは献体できない主なケースをご紹介します。

臓器提供を行った場合

生前に臓器提供を行っている場合、献体はできません。なぜなら、臓器が完全な状態で解剖が行われることが望ましいからです。

また、ドナーカードを所持している献体登録者が死亡した場合は、臓器提供を行うのか献体を行うのかをご遺族が選択することになります。事前にご家族で話し合って決めておきましょう。

ただし、アイバンク(死後、移植のために眼球を提供してくれる人を募る公的機関)に登録し、死後、片方の眼球を提供している方に限り、献体を受け入れ可としている大学もあります。ご不明な方は献体希望先に問い合わせてみましょう。

なお、病気や障害、手術履歴があっても、基本的に献体が可能とされています。

献体に同意しないご遺族がいる場合

本人の遺志であっても、最終的に献体の実行手続きをするのはご遺族です。そのため、献体登録時に同意を得た後に、同意を撤回されてしまうと、献体は行えません。

大切な人の死は、遺されたご家族に大きなショックと悲しみを与えます。事前に献体することに納得していたとしても、遺体がよそへ運ばれ、解剖されることを急にためらってしまうことは、珍しくないのです。

献体を希望する方は、生前にしっかりとご家族と話し合い、双方が納得できる形を選んでおきましょう。

遺体の損傷が激しい場合

遺体の損傷が激しい場合は、遺体を保存する処置が困難となります。この場合は正常解剖に適さないため、献体として提供することはできません。

また、病理解剖や司法・行政解剖を行った後の遺体も、献体不可となっています。

手術中、または手術直後に死亡した場合

内臓摘出などの大掛かりな手術中、または手術直後に死亡すると、遺体を保存するための処置が適切に行えない可能性があるため、献体ができません。

自死された場合

自死すると、警察によって現場での検視が行われ、必要に応じて専門の医師による解剖も行われます。解剖をしなかった場合でも、遺体がご家族のもとに返されるまでに数日かかることもあるため、献体として提供することはできません。

死後、長時間経過している場合

正常解剖においては、死後48時間以内に運ばれた遺体が望ましいため、長時間が経ち、腐敗が進んでいる遺体を提供することはできません。提供予定先の大学から遠く離れたところで死亡し、搬送に時間がかかってしまった時も、献体受け入れ不可となることがあります。

ただし、亡くなった場所から一番近い大学で、受け入れ可能となるケースもあるため、慌てずに献体提出先に連絡しましょう。

年齢が決められている場合

献体先によっては、年齢制限を設けている場合があります。未成年など若い希望者の遺体は、臓器移植や骨髄バンクなど、医療に貢献できる選択肢が他にもありますが、高齢者の場合は医学の貢献のための選択肢に限りがあります。そのため、基本的に献体は、ご高齢の方が優先されるよう年齢制限を設けるケースが多いのです。

たとえば、岐阜大学医学部では20歳以上、札幌医科大学医学部では70歳以上の方に限定されているように、条件は大学ごとに違います。詳しくは、希望先の大学の要項をご確認ください。

遺骨の引き取り手がない場合

献体後の遺体は火葬され、遺骨がご遺族に引き渡されます。そのため、遺骨の引き取り手がない方の申し込みは基本的に不可となっています。

キャンパス内に納骨堂を所有している大学によっては、希望に応じて納骨堂での納骨が行えるため、空きがある場合に限り、引き取り手がない方の献体登録も可能です。

エンバーミングを行った場合

遺体を衛生的に保つ施術全般を、「エンバーミング」といいます。事故などで大きく損傷してしまった遺体を、できる限り生前の姿に近づける処置もエンバーミングに含まれます。

エンバーミングでは遺体から血液を抜き、防腐剤を注入するため、正常解剖に必要な条件を満たすことができません。そのため、献体は不可となります。

※エンバーミングについては、こちらの記事が参考になります。

エンバーミングとは?目的や流れ、費用、メリット・デメリットを解説します
https://www.hana-sougi.com/blog/embalming/

感染症に罹患(りかん)している場合

大学関係者、解剖に立ち会う人への二次感染や感染拡大を防ぐために、感染症が原因で亡くなった方、もしくは感染症にかかったまま亡くなった方の献体は不可となります。献体登録不可となる主な感染症疾患は以下の通りです。

・B型肝炎
・C型肝炎
・HIV感染症
・HTLV感染症
・結核
・コロナウイルス

また、近年では感染力の強いコロナウイルスの蔓延により、献体の受付を停止した大学もあります。今後の感染拡大の傾向によっては、受け付けを再開しても再び停止する可能性があるため、全ての条件を満たしていたとしても献体が行えなくなるケースもあることを覚えておきましょう。

7.献体する際の注意点とは?

献体する際の注意点とは?

医学の発展のために献体を希望するという気持ちは、とても尊いものです。ここでは、その思いを最後まで遂行するために気をつけるべき注意点をご紹介します。
献体を希望する方や、ご家族の方はぜひ、献体登録をする際の話し合いにお役立てください。

必要書類がある

「献体の登録条件とは?」でご紹介したように、献体を希望する際には、生前の献体登録が必要です。希望する献体先の大学や、献体篤志家団体から登録書を取り寄せ、必要事項を正しく記入し郵送すると、後日、会員証(献体登録証)が送られてきます。

この会員証(献体登録証)は登録者が死亡した後、ご家族が献体の手続きをする際に必要となるため、登録者が常に持ち歩くようにしましょう。

登録者の死亡を伝え、大学が遺体を引き取りに来るまでに、以下の書類一式を用意します。
・死亡診断書の写し 1通
・埋火葬許可証 1通
・印鑑

埋火葬許可証とは、遺体を火葬し、埋葬するための許可証です。死亡届を出す時に申請すると発行されます。

「埋火葬許可申請書」には火葬日時を未定として提出する

献体では、大学から火葬場所と日時が指定されます。火葬場所は既に決まっていることが多いものの、日時はこの時点で決まっていないことがほとんどです。そのため、死亡届と同時に申請する「埋火葬許可申請書」には、火葬日時を「未定」と記入します。

また、死亡届を提出する際に、役所の窓口で献体予定であることを必ず伝えましょう。

死後48時間以内での搬送が望ましい

献体として必要な遺体は、死後48時間以内に搬送されることが望ましいため、献体登録者が死亡した際には、すぐに大学へ連絡をします。

献体登録者が大学から遠く離れたところで死亡し搬送に時間がかかってしまう場合は、献体を断られることもあるため、注意しましょう。

火葬場でのお別れができない

献体のために大学に搬送された遺体は、火葬された後に遺骨の状態で返還されます。そのため、ご遺族の方は火葬場に同行することができません。故人様との対面でのお別れは、大学へ搬送されるまでの間のみです。

登録時だけでなく献体時にもご家族の同意が必要

献体登録証の申請には、かならずご親族(献体先によって条件は異なる)などの同意が必要ですが、献体登録者が死亡後、同意が必要な人が反対の意思を持つと、献体が不可となります。献体への希望を強く持っている方は、生前に、ご家族に対しその意思を伝え、しっかりと話し合っておきましょう。

遺骨が戻るまで3年かかることがある

提供された献体が、すぐに使われるとは限りません。大学によっては長期保存の処置をし、必要時まで保管されることもあります。

そのため、遺骨となってご家族のもとへと帰ってくるまでに、長くて3年かかることもあります。故人様と長く離れることになるかもしれないという可能性をどう捉えるかは、遺されたご家族によって違います。

自身の死亡後に、より多くの悲しみを残さないためにも、情報は正しく伝えておきましょう。

遺骨の引き取り手がいない場合は永代供供養墓に納骨される

献体登録時には、遺骨の引き取り手がいることを原則とする大学が多いですが、ご家族の急逝などで引き取り手がいなくなり、やむを得ない場合には、永代供養墓に納骨されることもあります。

また、キャンパス内に納骨堂を構えている大学では、身寄りのない方の献体を受け付けているところもあります。

8.献体を行った場合の葬儀方法は?

献体を行った場合の葬儀方法は?

献体を行った場合の葬儀はどのようにしたらよいのでしょうか。
こちらでご紹介します。

一般葬と同じ方法で行う

献体前でも、献体後でも、一般の葬儀と同じ方法で執り行うことができます。タイミングによっては、遺体の無い葬儀となります。詳しくは次の項目「献体を行う場合の葬儀はいつ行うの? 」をご確認ください。

葬儀を行わないこともある

意外に思われるかもしれませんが、葬儀を行わないという選択肢もあります。行わない理由は、故人様の遺志、身寄りが無い、献体として搬送され遺体が無いため執り行いたくないというご家族の意思など様々です。

葬儀をしない選択をすることもできますが、葬儀は故人様の魂が安らかに成仏できるよう祈る儀式というだけではなく、遺された人が別れの悲しみを受け入れる大切な機会でもあるため、十分な検討が必要でしょう。

菩提寺がある方で、葬儀を行わないと決めた場合には一度連絡をしておきましょう。

9.献体を行う場合の葬儀はいつ行うの?

献体登録をした故人様についての葬儀には、大きく分けて3つのタイミングがあります。
こちらで詳しく解説します。

献体の前に葬儀を行う

唯一、遺体がご遺族のもとにある状態で行える葬儀が、献体前に行う葬儀です。

献体を48時間以内に大学へ搬送できるよう、大学側と時間を調整して執り行います。葬儀社には献体を行うことを必ず伝え、スケジュール内に収まるように予定を組まなければなりません。そのため、慌ただしいと感じる方もいるでしょう。

お通夜、葬儀、告別式は行いますが、その後は大学へ搬送されるため火葬場には行きません。ご遺族も故人様とはここで一旦お別れとなります。

出棺後、会食を行うかどうかは自由に決められます。

献体の後に葬儀を行う

献体として提供した後に葬儀を行う場合は、「遺体がない状態で行う方法」「遺骨が返還された後で行う方法」のどちらかが選べます。

遺体がない状態で行う

既に献体として大学に搬送された後ですので、遺体が無い状態で葬儀を行います。

棺は置かず、祭壇に遺影や位牌、お花などを添えて行いますが、どうしても遺体の代わりとなるものを置きたいという場合は、故人様の髪の毛や爪、思い出の品などを用意するとよいでしょう。

時間に制約が無いので落ち着いて執り行うことはできますが、参列者が故人様のお顔と対面する機会がないため、直接お別れをしたいという希望には沿えません。また、故人様の存在を身近に感じることができず、お別れという事実に向き合えないまま終わってしまう可能性は否定できないでしょう。

遺骨が返還された後で行う

火葬後に葬儀を行うことを「骨葬」といいます。内容は一般的な葬儀と変わりません。

献体した後の遺骨がいつ返還されるのかは決まっていないため、故人様が亡くなってから骨葬を行えるまでに、長い時間を要してしまうこともあります。それを踏まえ、遺骨返還を待って葬儀をすることを選択してよいのかどうか、事前にご家族で話し合っておく必要があります。

なお、献体先の大学では、献体をしていただいた方とそのご家族に感謝を込めて、慰霊祭が行われます。気持ちが整理できていないという方は、慰霊祭に参加することでもう一度故人様に手を合わせ、偲ぶこともできます。

宗派や寺院によっては、献体によって儀式の順序が定例と違うという理由から、納骨ができないなどの方針を取るところもあります。

菩提寺がある方は、どのタイミングで葬儀を行う場合でも、必ず事前に献体の報告をしておきましょう。

花葬儀では、365日24時間、葬儀に関する事前相談を承っております。お気軽にご相談ください。

10.献体にはご家族の同意が必須!十分な話し合いを忘れずに

「献体をすること」により医学の発展に貢献したいと願う気持ちは、とても尊いものです。医師や歯科医師を志す人々の人材育成にも大きな役割を果たすでしょう。

しかし、それにはあなたを大切に思うご家族の理解と同意が無ければかないません。故人様の遺志が尊重されることはもちろんのこと、ご遺族の意思も尊重されなくてはなりません。

ご自身の死後、遺されたご家族に、より大きな悲しみがのしかからないようにするためにも、生前の間に充分な話し合いをしておくようにしましょう。

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