お香典へのお礼の方法は?お礼状・メール・電話のマナーや文例も紹介
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
お香典へのお礼として「香典返し」を贈るというマナーがあります。このような「故人様を偲ぶ葬儀に関する事柄」においては、マナーを欠くことがないように気をつけたいものです。
今回は、お香典をいただいたときのお礼の方法や、マナーについて解説します。お付き合いを気持ちよく続けるためにも、お香典へのお礼に関する知識を深めておきましょう。
【もくじ】
1.お香典へのお礼|基本の方法は?
「香典返し」はお香典をいただいたときに、お礼として品物を贈る行為のことです。ここでは、香典返しの基本の方法についてご紹介します。
そもそも香典返しとは?
香典返しとは、葬儀・告別式で故人様のお供えとしていただいたお香典に対するお礼のことで、故人様に関する仏事が無事に済んだことの報告も兼ねています。
もともとお香典は、「葬儀を行うご遺族の負担が軽くなるように」と、近隣の方がお香やロウソクを持ち寄ったことに始まります。時代とともにお香が線香に代わり、現在の食料品や金銭を供えるスタイルへと変わってきましたが、時が流れ形は変わっても、故人様の冥福を祈る気持ちや、ご遺族への配慮でお香典を贈ろうとする心持ちは変わりません。
香典返しは、今では参列いただいた方々へのお礼の気持ちを込めて、いただいた金額の「3分の1〜半分程度」の品物を用意するのが慣習となっており、日本の伝統的なマナーとして受け継がれているといえるでしょう。
香典返しのタイミング
香典返しを贈るには、大きく分けて二つのタイミングがあります。一つは、葬儀当日にその場でお渡しする「当日返し(即返し)」、もう一つは忌明けのタイミングでお贈りする「忌明け返し(後返し)」です。
古くから香典返しは、法要を無事に済ませた報告も含めて、忌明けのタイミングで贈るのが一般的でした。しかし、現在では、香典返しをお渡しする喪主様の負担を軽減するため、当日返しが主流となっています。
※香典返しのタイミングについては、こちらの記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/kodengaeshi-return-manner/
お香典へのお礼状(挨拶状)の書き方と文例
香典返しには、お礼状(挨拶状)を添えるのが礼儀です。お礼状は、故人様に代わってお礼の気持ちを伝えるものでもあるため、マナーを欠くことのないように準備しましょう。
お香典へのお礼状の種類
香典返しに添えるお礼状にはいくつかの種類があります。お贈りする相手を思いやり、適した種類を選ぶことが大切です
1.奉書(巻き紙):
上質な和紙で、古くから公文書など格式が重んじられる場面で使われてきました。お礼状では、横に長い奉書紙(ほうしょがみ、ほうしょし)を等間隔に折りたたむ「巻き紙」のタイプが使われます。最も格式高いお礼状であるといえるでしょう。
2.カード:
はがきサイズのカードや、二つ折りのカードを用いたタイプで、「略式挨拶状」ともいわれます。家族葬や親族葬などの増加に伴い、選ばれることが増えてきました。純粋に格式だけを見ると奉書には及びませんが、弔辞にふさわしく洗練されたデザインのものも多く、最近では一般的な選択肢となっています。
3.はがき:
普通のはがきをお礼状として使用することもあります。こちらも略式であるため、親しい間柄でのみ使用するのが望ましいといえます。
2番および、3番のお礼状は、無地の白い封筒に入れましょう。1番の奉書の場合には、「奉書封筒(ほうしょふうとう)」という専用封筒を使用するのが一般的です。
お香典へのお礼状の内容
香典返しに添えるお礼状には、以下の内容を綴ります。要点を押さえた文面を心がけましょう。
1.会葬やお香典へのお礼
2.無事に四十九日法要を終えたことの報告
3.故人様との生前のお付き合いに対する感謝
4.香典返しの品をお贈りしたこと
5.略儀で済ませることに対するお詫び
6.日付
7.差出人の名前
2番の「無事に四十九日法要を終えたことの報告」は忌明けにお礼状を送る場合に書き添えます。なお、「四十九日法要」は仏教で使用される名称です。
お香典へのお礼状を書くときのポイント
お礼状の文章の書き方にも、気をつけるべきポイントがあります。下記の点に気をつけて、丁寧に挨拶文を書きましょう。
1.薄墨ではなく、濃い墨で書く
2.宗教や宗派に合わせた言葉を使う
3.「拝啓/敬具」「謹啓/謹白」など、頭語を入れた場合には、必ず結語を使う
4.季節の挨拶は省く
5.句読点は使わない
6.忌み言葉や重ね言葉を使わない
2番については「お香典へのお礼状の内容」でもご説明しましたが、仏教では「四十九日法要」の名称を使用するのに対し、他の宗教・宗派では別の名称を使用します。
■各宗教・宗派ごとの「四十九日に該当する名称」
・神道・天理教/五十日祭
・キリスト教/記念祭、追悼ミサ(カトリック)、記念集会(プロテスタント)
このように、お礼状に「法要や追悼行事を無事に終えた報告」を記載する際には、宗教・宗派により名称が異なるため、印刷会社に詳細を伝えることが必要です。依頼した葬儀社に相談すれば、滞りなく手配してくれるでしょう。
なお、一部の地域(西日本など)では、その地域に応じた言葉を使用するケースもあるため、同じく葬儀社に相談することをおすすめします。
お香典へのお礼状/文例(仏教)
亡父 ○○○○儀 永眠に際しましては ご丁寧なお心遣いを賜りましたこと心より御礼申し上げます
おかげさまで 〇月〇日 四十九日(七七日忌)法要を滞りなく執り行うことができました
故人の生前中に賜りました ひとかたならぬご厚誼にあらためまして感謝申し上げます
つきましては 供養のしるしまでに 心ばかりの品をお送りいたしますので
何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
謹白
令和〇年〇月〇日
(差出人名)
2.お香典へのお礼|メールで伝えるのは失礼?
最近は、香典返しを当日返しで贈るケースが多くなっていますが、その場合、葬儀に参列しない方からお香典をいただくケースや、後日お香典をいただくケースでは「メールでのお礼でもよいの?」という疑問も抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、忌明け返しの場合はお礼状が届くまでには日数がかかるため、取り急ぎメールで伝える、もしくはメールだけでお礼を済ませたい、という方もいらっしゃることでしょう。
しかし、メールは簡易的なツールであるため、送る相手やケースによっては注意が必要です。そこで、メールを送る際のマナーや、お礼をメールで伝えてもよいケース、文例をご紹介します。
お礼をメールで伝えるときのマナー
メールは気軽に利用できる連絡手段のため、書面よりもカジュアルになりがちです。しかし、お香典のお礼をメールで伝えるときには、親しい間柄であっても、しっかりとマナーを守りたいものです。ここでは、メールでお香典のお礼を伝えるときのマナーをご紹介します。
できるだけ早く伝える
メールを使うとすぐにお礼を伝えられる一方、お礼のメールが遅れると、悪印象を与えかねません。メールでお礼を送る場合はできるだけ早く伝えましょう。
ただし、正式なお礼状を渡していない場合は、後日品物に添えて送りましょう。
メールだけで終わらせない
メールでのお礼はあくまでも略式です。正式なお礼状を渡していない場合にメールだけで済ませてしまうと、相手に「簡単に済まされた」と思われる可能性もあり、失礼にあたります。
その場合は、香典返しにお礼状を添えて送りましょう。直接会う機会があれば丁寧にお礼を伝えます。
お礼をメールで伝えてよいケースとは?
前述したように、メールでのお礼はあくまでも略式であり、正式にはお礼状を送るのがマナーです。忌明け返しの前にメールを送る場合は、あくまでも「取り急ぎの感謝の気持ち」を伝えるものと心得ておきましょう。
ここでは、どのようなケースで、どのような相手であればメールを送ってもよいのかどうか、具体的に解説します。また、メールだけで済ませても差し支えない例外についてもご紹介します。
親戚や親しい友人などにお礼を個別で伝えたい場合
親しい友人など、普段からメールで頻繁に連絡を取り合う方には、個別にメールでお礼を伝えても問題はありません。すぐに届くメールは、速やかに気持ちを伝えるのに適しているため、受け取った相手も不愉快に思うことはないでしょう。
できるだけ早くお礼を伝えたいとき
上司や同僚からお香典をいただいた場合には、メールを使うことにより、全員にお礼の気持ちや、仕事を休んで迷惑をかけたお詫びを復職前に伝えることができます。特に、上司に対しては、より丁寧な文章を心がけましょう。
もちろん、出社した際には必ず口頭でお礼を伝えます。
葬儀に参列されなかった方からお香典をいただいた場合
お香典を人づてにいただいた場合や、葬儀後に送られてきた場合は、相手もお香典が届いたかどうか不安に思っているかもしれません。
まずはメールでお礼を伝え、忌明け後、忘れずに香典返しとお礼状を贈りましょう。
連名でお香典(一人当たりの金額が少額)をいただいた場合
お礼を伝える手段をメールのみで行っても差し支えないケースをお伝えします。複数人の連名でお香典をいただくこともありますが、一人あたりの金額が少ない場合は個別に香典返しを贈るのではなく、全員で分けられる個包装の菓子折りなどをお渡しするのが一般的です。
品物を全員に手渡しし、直接お礼を伝えられれば一番よいのですが、状況によっては難しいこともあるでしょう。その場合は、代表者に品物とお礼状を送り、アドレスがわかるようであれば、その他の方へはメールでお礼を伝えても差し支えないでしょう。
メール、もしくは口頭でお礼を伝えることができれば、改めてお礼状を送る必要はないですが、会う機会があった際には口頭でもお礼を伝えることが大切です。
お礼をメールで伝えるときの文例
お香典のお礼をメールで伝える場合には、親しい関係だとしても、文面には気を配りましょう。
メールでお礼を伝える場合も、「忌み言葉を避ける」「句読点は使わない」など、お礼状を書くときとマナーは同じです。
以下に、メールでお香典のお礼を伝えるときの一例をご紹介します。相手や状況によって内容を調整する必要があるため、下記を参考にし、工夫して文面を作ってください。
【葬儀に参列された方からお香典を受け取った場合】
〇〇様
この度は 父〇〇の葬儀におきまして たくさんのご厚情をいただき
御礼申し上げます
おかげさまで 無事葬儀を終えることができ 故人も安心していることと思います
本来であれば 直接お伺いしてご挨拶すべきところですが 取り急ぎお礼を申し上げたく
メールにてご連絡いたしました
今後ともよろしくお願い申し上げます
令和〇年〇月〇日
(差出人名)
3.お香典へのお礼|電話で伝えるときのマナーと文例
お香典へのお礼をメールで行ってもよいケースについてお伝えしましたが、同様のケースにおいては、メールではなく電話でお礼を伝えてもよいでしょう。
電話でのお礼は、メールやお礼状とは違い、リアルタイムで相手との会話ができるため、より丁寧に気持ちを伝えられます。そこで、電話で伝えるときのマナーと文例をご紹介します。
お礼を電話で伝えるときのマナー
電話もメールと同様にすぐに実行できるお礼の手段ですから、できるだけ早く電話をするのが望ましいでしょう。葬儀の後、2〜3日以内に連絡することをおすすめします。
お礼を電話で伝えるときの文例
電話でお香典のお礼を伝えるときには、下記のポイントを押さえておきましょう。
1.会葬やお香典へのお礼
2.無事に葬儀を行えたことの報告
3.本来は直接お礼すべきだが、取り急ぎ電話でのお礼になるお詫び
これらのポイントを押さえたうえで、具体的にどのように伝えるか、以下に一例をご紹介します。
先日の葬儀では、お香典をいただきまして、お心遣い恐れ入ります。
今日、無事に葬儀も終わりました。
本当なら伺って直接お礼しないといけないのですが、
ひとまずお電話いたしました。
落ち着いたら、あらためてご連絡いたします」
相手との関係や状況に応じて、伝え方を工夫してお礼を伝えましょう。
4.お香典へのお礼|対面で直接伝えるときの文例
お香典をいただいた方の中には、葬儀後、対面でお礼を伝えた方がよいケースがあります。直接会った際には、しっかりと自分の言葉で感謝の意を伝えながら渡しましょう。
ここでは、具体的なケースと文例をご紹介します。
ご近所の方などに直接お礼を伝えるときのマナー・文例
ご近所の方など、直接伺える相手には、葬儀後、できる限り早めに直接お礼を伝えることが望ましいでしょう。
なお、葬儀に参列されなかったために香典返し(当日返しの場合)を渡せていない場合は、そのときに持参します。忌明け後に香典返しを贈る場合も、できれば直接持参することをおすすめします。
■葬儀後、早めに香典返しを持参する場合
当日はお礼もできずに、大変失礼いたしました。
ささやかではありますが、供養のしるしをお持ちしました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」
会社の人に直接お香典のお礼を伝えるときのマナー・文例
会社の人からお香典をいただいたら、次の要点を押さえて直接お礼を伝えましょう。
1.会葬やお香典へのお礼
2.忌引休暇をいただいたことへのお礼
3.今日から復帰することについてのご挨拶
お礼の伝え方としては、下記を参考に、ご自身の言葉で伝えましょう。
「先日の葬儀では、お心遣いを頂戴いたしました。
おかげさまで無事に葬儀を終えることができました。
急なお休みをいただき、皆さまには大変ご迷惑をお掛けしましたが、
本日から仕事に戻りますので、よろしくお願いいたします」
なお、連名でお香典をいただき一人あたりの金額が少額だった場合は、忌明けを待たずに個包装のお菓子を用意し、手渡しながらお礼を述べるとよいでしょう。
ただし、連名でも1人あたり3,000円以上いただいた場合は、一人ずつ、香典返しとお礼状を送ります。
※会社の方への香典返しについては、こちらの記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/kodengaeshi-return-company/
5.お香典へのお礼は伝統的なマナーで感謝を表しましょう
今回は、お香典へのお礼について解説しました。お香典のやりとりは葬儀という特別な状況で行われますが、故人様との生前のお付き合いに対して感謝の意を示し、今後も良い関係を築くためにも、丁寧なやりとりを心がけましょう。
お互いに気持ちよく故人様を送り出せるよう、日本で伝統的に大切にされてきたマナーを尊重し、これからも引き継いでいきたいものです。
花葬儀では、お香典に対するお礼も含め、葬儀に関する各種のご相談を承っております。ご状況に合わせて丁寧にサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。