香典返しの値段の決め方は?当日返しの相場やお返しのタイミングも解説
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
香典返しは、お通夜や葬儀・告別式、または、葬儀後数ヶ月の中で必ず準備すべき、欠かせないものの一つです。それにもかかわらず、どのくらいの値段のものを用意すべきなのか、香典返しはなぜお贈りするのか、いつお返しするものなのかなど、目的やマナーなどの詳細をしっかり理解できていないケースは意外と多いものです。
そこで、香典返しの値段の決め方、当日返しをする場合の相場やお返しのタイミングなどを解説いたします。いざという時に慌てないためにも、この機会に覚えておきましょう。
1.香典返しとは?
葬儀のあとに贈る香典返しは、ただ単に形式的に贈るだけではなく、しっかりと意味を理解し、気持ちを込めて贈りたいものです。そこで、ここでは、お香典の意味と、香典返しの意味について解説します。
そもそもお香典とは?
お香典とは、葬儀の場で故人様の霊前に供える金品のことで、弔問に訪れた方が、線香やお花の代わりに、お悔やみの気持ちとして用意するものです。
また、故人様に対しての想いであると同時に、ご遺族の葬儀代の負担を軽くするためのものという意味も含まれています。
香典返しとは?
香典返しとは、お通夜や葬儀で弔問客からいただいたお香典に対するお返しで、弔事を滞りなく済ませたことを報告する意味を込めて贈られます。また、葬儀に参列できなくても、郵送でお香典をいただいた方、または、後日自宅に弔問にお越しいただいた方に対しても贈ります。
お香典は主に仏式の葬儀で使われる言葉ですが、仏式のお香典以外、例えば、神式の御玉串料や、キリスト式のお花料、その他のお供えなどご厚志をいただいた場合についても、考え方は同じで、お返しを用意するのがマナーです。
2.香典返しの値段の決め方は
香典返しを準備する場合、どのくらいの値段のものを用意すべきでしょうか。ここでは香典返しの値段の決め方についてご紹介します。
香典返しは半返しが一般的
香典返しの金額は、宗教の違いに関わらず、半分程度のお返し(半返し)が一般的とされています。お香典の金額は、故人様との関係性によりそれぞれ異なりますが、多いケースは5,000円、10,000円です。
それに対しての香典返しは、それぞれ2,500円、5,000円の値段のものを用意するのが一般的であるといえます。
3分の1返しもある?
香典返しは、以前は地域により相場が異なっていましたが、現代では半返しが一般的とされています。
昔から香典返しは3分の1返しが相場だった関西においても、お通夜や葬儀に全国各地から弔問客が訪れる時代になり、半返しの考え方の方が広まってきているようです。
ただし、半返しが一般的になってきたとはいえ、現在でも「3分の1程度の値段の香典返し」という風潮が残っている地域もあり、また弔事の常識やマナーは親族内でのしきたりを大事にしていることもあるので、事前にご家族の意見を聞いておくことをおすすめします。
なお、詳細は後述しますが、故人様が働き手であったケース、故人様のお子さまが未成年であるケースなどでも、3分の1返し(場合によってはお返しなし)でよいとされています。
3.香典返しを送る・渡すタイミングは?
香典返しを送る、または渡す時期には、適したタイミングがあります。香典返しは、弔事を滞りなく済ませた報告の意味も含めているので、忌が明けてからお返しすることが習わしとされてきました。
そこで、ここでは、宗教によって異なる忌明けの時期、および香典返しを送るタイミングについてご説明します。
なお、近年では、香典返しを葬儀当日にお渡しするケースが増えています。これについては後に詳しく解説します。
仏式の忌明け
仏教では、故人様が亡くなった日を1日目として49日目に忌明け法要(四十九日法要)を行います。その法要を済ませると忌明けとなります。
仏式の葬儀でお見送りした際には、四十九日の法要を済ませた後に、四十九日の供養まで無事に済ませた報告と、感謝の気持ちとして、香典返しを送るのが昔からの習わしです。
神式の忌明け
神式では、仏式の忌明けに当たるのは「五十日祭」です。故人様が亡くなって五十日目に行われる儀式です。
香典返しは五十日祭を済ませた後、1ヶ月以内くらいを目処にお贈りするのがマナーといわれています。
キリスト教の忌明け
キリスト教では、本来は喪に服すという習慣はないのですが、日本では、日本の習慣にあわせて忌明けの挨拶をするケースが多いようです。
カトリックでは、故人様の死後30日目に行う「追悼ミサ」、プロテスタントでは、故人様の死後1ヶ月目に行う「召天(しょうてん)記念式」を行い忌明けとするので、その後に香典返しを贈るのが一般的です。
4.香典返しを当日返しする値段の相場は?
前章で香典返しをお贈りする時期についてご説明しましたが、近年では、忌明けを待たずに当日返しをするケースが増えています。
ここでは当日返しの説明と、当日返しをする際の値段の相場や、高額のお香典を頂いた場合の対処方法について解説します。
当日返しとは?
当日返しとは、お通夜や葬儀当日、受付で弔問客からお香典を受け取ったらその場でお渡しする品物のことで、「即日返し」や「即返し」ともいわれています。
前述の通り、古来より、香典返しは忌明けを待ってからお贈りするのが一般的でしたが、近年では、お通夜や葬儀当日にお渡しするケースが増えています。当日返しには、弔問客の住所の確認や発送する手間を軽減することができるというメリットがあります。
当日返しの相場
近年増えている当日返しは、2,000〜3,000円程度の値段のものを選ぶのが一般的です。お香典の金額相場が5,000円程度であることから、その半分くらいの値段の品物をお返しすると考えます。当日返しの場合には、お香典の金額に関係なく、全員同じ品物を用意します。
また、香典返しをお渡しする際には、品物だけでなく、お礼状を添えてお渡しするのがマナーです。
当日返しでは半返しに満たなかった場合の対処方法
お香典の相場にあわせて、全員同じ当日返しをお渡ししたとしても、実際お香典を開いてみたら相場よりも高額のお香典をいただいていたケースもあるでしょう。このように、お渡しした品物の値段が半返しに満たなかった場合には、従来通りの香典返しを贈る時期である「忌明け後」に改めて香典返しをします。
その場合は、半返しの金額から当日返しの品物の値段を差し引いて、不足分程度の金額を目安に品物を選んで贈りましょう。
5.香典返しのケースごとの値段
香典返しは、お香典の贈り主が個人からなのか、会社(法人)からなのかによって、お返しすべき値段が異なります。ここでは、お香典の贈り主のケースごとに、用意すべき香典返しの値段についてご紹介します。
連名のお香典への香典返しの場合
ご家族やご夫婦、会社の同僚などから連名のお香典をいただくこともありますが、「香典返しは不要」という申し出がない場合は、それぞれに香典返しをお送りすることがマナーとされています。
また、一人あたりの金額が少額(1,000円以下など)になるようなケースにおいては、代表者にお返ししたり、分けられる菓子折りなどをお返ししたりするケースがあります。
ただし、香典返しを辞退する意向がある場合には、香典返しは控え、後日お礼状を届けるとよいでしょう。
高額なお香典への香典返しの場合
高額なお香典を頂いた場合でも、香典返しは半返しが基本です。例えば、1万円のお香典をいただいたら、5,000円程度の値段の香典返しを贈りましょう。3万円のお香典の場合には、15,000円程度の香典返しを贈るのが一般的なマナーです。
ただし、当日返しの場合は、お香典の相場をもとに香典返しの値段を検討するので、高額なお香典をいただいた場合、お贈りした香典返しの値段では不足してしまうことがあります。そのような場合には、前述の通り、忌明け後に不足する金額分の品物を用意して、改めて香典返しを贈ります。
会社のお香典への香典返しの場合
故人様が勤めていた会社や、喪主様が勤める会社からお香典をいただくこともあるでしょう。その場合、お香典の送り主が会社名(法人名)であるのか、代表者の個人名なのか、もしくは特に親しくしていた社員の方による連名なのか、により対応マナーが異なるため、気をつけましょう。
会社名のお香典の場合には、会社の経費や福利厚生でお香典を用意しているのが一般的であるため、お返しは必要ないとされています。
代表者の個人名でお香典をいただいた場合には、個人のお付き合いとして弔問してくれたことになるので、他の弔問客と同じように個別で半返しの香典返しをお渡しするのがマナーです。
「社員一同」や「有志」など、社員の方の連名でお香典を頂いた場合には、一人一人に配れるような小分け包装になっている菓子折りと会葬返礼品、お礼状を多めにお渡しするなどの対応が望ましいとされています。
喪主様の忌引きのために、同僚が仕事で迷惑をかけてしまった場合などは、後日差し入れを添えて、感謝の気持ちをお伝えするなどの気遣いも忘れないようにしましょう。
6.香典返しの品物の選び方は?
香典返しの品物には、相応しいもの、相応しくないものがあるため、値段だけではなく、内容にも配慮することが大切です。香典返しは、お香典をお贈りいただいた方に対しての感謝の気持ちとして贈るものですから、マナーに欠くことなく、しっかり適したものを贈りましょう。
ここでは香典返しの品物の選び方と、避けるべきもの、についてご紹介します。
「消えもの」が一般的
香典返しに贈る物は、後に残らない「消えもの」が一般的です。その理由は、香典返しは大切な方を亡くしたことを理由としたやりとりですから、そのときの悲しい気持ちを後に残さないようにしてください、という思いでお渡しするためです。
「消えもの」とは、食品を選ぶケースが多いですが、洗剤などの消費する生活用品も消えものとして適しています。故人様の記憶は、生前の思い出の品とともに大切に残していただき、葬儀の悲しい記憶は後に残さない、という気遣いを大切に、香典返しの品物を選びましょう。
香典返しで避けるべき品物は?
香典返しには、相応しくない品物もあります。かつお節や昆布、お酒は、昔から慶事で贈るものである印象が強いので、弔事のやりとりである香典返しでは、避けたほうがよいとされています。
また、お肉やお魚などの生ものも一般的に避けます。仏教においては、亡くなった方の四十九日法要を済ませるまでは、お肉やお魚を使わない精進料理を食べて過ごす教えがあることを理由に、香典返しでも避けるべきものと考えられてきたようです。
7.香典返しをしなくてもよいケースとは?
お香典は、元々は急な葬儀でご家族にとっては大きな負担となるだろうという思いから、親族をはじめ近隣の方々からの相互扶助のために贈られるようになったものです。そのため、お香典をいただきながらも、香典返しをしなくてもよいケースが存在します。それはどのようなケースなのか、詳しくご紹介します。
一家の大黒柱が亡くなった場合
家族にとって大黒柱である主が亡くなった場合、特に子供が未成年である場合には、香典返しはしなくてもよい、または一般的な金額よりも低い香典の1/3程度の値段のお返しでよいとされています。お香典には「今後の生活費の足しにして欲しい」という配慮が含まれていると理解してよいでしょう。
一家の主を亡くし香典返しを用意しない場合でも、お礼状をお渡しするなどして、感謝の気持ちを伝えることは大切です。
お香典を寄付した場合
近年、故人様やご遺族のご意志で、香典返しにあてる費用の一部や、全てを寄付するケースが増えています。寄付先としては、社会福祉協議会をはじめとして、故人様が生前お世話になった団体や施設などが一般的です。
香典返しに代えて寄付するという行為は、ケースとしては少ないので、戸惑う方もいるかもしれません。そのため、葬儀前に寄付することを決めている場合には、葬儀の案内状に、故人様の遺志でお香典の一部または、全額を寄付する旨を記載しておくとよいでしょう。
また、寄付した後、お礼状等で寄付した団体や金額などを報告するマナーも欠かさないようにしましょう。
故人様のお子様が未成年だった場合
故人様のお子様が未成年だった場合も、前述の一家の大黒柱が亡くなった場合と同様に、香典返しをしなくてもよい、もしくは1/3の値段、または1/4程度の値段のお返しでもよいとされるケースの一つです。
このようなケースのお香典には「これからの生活の足しにしてほしい」という配慮の気持ちが込められているケースが多いからといわれています。この場合も、お礼状などでお礼の気持ちを伝えるようにしましょう。
8.香典返しの費用を安く抑える方法は?
故人様のお見送りでは、お通夜や葬儀の費用に加え、弔問客の食事や僧侶への謝礼など、決して少なくはない費用が必要となるものです。お香典をいただいたら、しっかりとお礼はしたいものですが、できることなら香典返しの費用を少しでも安く抑えたいと思うのは、決しておかしなことではありません。
そのような場合には、まずは葬儀社に相談をしてみましょう。葬儀社では香典返しの種類を数多く取り揃えているので、送料無料で手配できる商品を取り扱っている場合もあります。葬儀社に依頼することで、スムーズに手配ができますし、送料分の費用を抑えることで金銭的な負担が軽減されます。
香典返しの送料は、一つ当たりの値段は安くても、何十人分の香典返しを発送することになれば、トータル金額は大きくなります。香典返しの品物のグレードは落とさずに、出費を抑えることができる方法であり、贈り先の方に気づかれるようなこともないので、そのようなシステムをうまく取り入れて手配することをおすすめします。
9.香典返しに関するQ&A
香典返しに関するよくあるご質問を、ここでご紹介します。
Q1.香典返しの値段は地域で異なる?
香典返しの値段は地域による違いがあるといえます。例えば、関東の一部の地域では、戦後の住民運動の名残で、香典返しの金額に制限がある、または香典返しはしない、という習慣があります。また、北海道の香典返しは、お香典の1/3や1/4程度の値段のものを選ぶのが一般的だといわれています。
このように、香典返しの値段は、地域や親族の習慣が大きく影響するため、事前に親族などに確認しておくことをおすすめします。
Q2.香典返しと会葬御礼の違いは?
香典返しは、お香典をいただいた方にお礼の気持ちでお返しする品物です。一方、会葬御礼(返礼品)は、お通夜や葬儀・告別式へお越しいただいた方へのお礼としてお礼状とあわせてお渡しする品で、お香典の有無に関わらず、全ての弔問客にお渡しするものです。
会葬御礼品は、300円〜1,000円程度の値段で、あまり高価ではないものを用意するのが一般的です。高価な会葬御礼品でも失礼には当たりませんが、あまりに高価なものだと弔問客が恐縮してしまうこともあるため、気をつけましょう。
Q3.香典返しの掛け紙と表書きは?
香典返しには、弔事用の掛け紙を使います。弔事用の掛け紙の種類も複数あり、宗教の種類や地域によって選ぶものが異なりますが、一般的に白地に黒白の結び切りの水引が印刷されたものを使います。一部の地域では、黄白の水引が使われることもあります。
掛け紙の表書きは宗教の種類や地域によって異なります。宗教や地域に関係なく使えるものは「志」という表書きです。神式やキリスト教式の香典返しには「偲草(偲び草)」という表書きが使われます。また、表書きは地域による違いもみられ、例えば西日本では「満中陰志」と書かれた掛け紙も多くみられます。
10.気持ちをのせた香典返しを贈りましょう
香典返しは、古くから伝わる、日本の丁寧な気持ちのやり取りの慣習です。それは、故人様が生前、良い人付き合いをしていたからこそ、生じるやり取りなので、残されたご家族は、故人様のお付き合いを引き継ぐような気持ちで、丁寧に香典返しを贈りたいものです。品物の値段や内容に気を配りつつ、心を込めて選ぶことが大切だといえるでしょう。
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