供養とは?意味や種類、タイミング、方法について解説します
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- 【 法事・法要のマナー 】
供養とは、生きている人が亡くなった人の冥福を祈る行為全般を指し、私たちは日常生活の中で、お仏壇に手を合わせたり、お墓参りに行ったりなどの供養をしています。
ただ、なぜ供養を行っているのか、どのような種類があるのかなどを知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、供養の意味や種類、供養を行うべきタイミング、供養の方法について解説します。供養を詳しく知ることで、いつもの供養に対する姿勢が変わるかもしれません。
1.供養の意味と目的とは?
供養という言葉には馴染みがありますが、本来の意味と目的について知っている方は多くはないでしょう。
ここでは、供養の意味と目的についてご説明します。
供養の語源と意味
供養の語源は、サンスクリット語の「プージャー」または、「プージャナー」で、もともとは、尊敬や敬意を表す言葉だといわれています。それが、尊敬や敬意を表す行為として、仏や菩薩、諸天(天上界の神々の意味)などに華や香、飲食などを捧げ供える行為自体が供養を意味するようになりました。
そして日本では、一般的に大きく以下の2つの意味で供養という言葉が使われています。
■仏教供養
仏や菩薩、諸天(天上界の神々の意味)に対して尊敬の意を表すること。もともと供養は、この仏教供養のことを指していたようです。
■追善供養
生きている人が亡くなった人に対して、冥福を祈ったり、お墓参りをしてお供え物を捧げるなど「善い行い」をしたりすること。故人様に代わって生きている人が善を積み、あの世に行った故人様が成仏できるように行うものです。また、その善行が自分に返ってくるともいわれています。
ただし、現在では、多くの場合で供養といえば、追善供養を意味するようになっています。
供養の目的
供養の目的は、故人様の死後の魂が安らかであるように願い、故人様が亡くなったという事実に対してしっかりと向き合うことにあります。残された人々は、故人様の過ごした人生や一緒に過ごした時間を振り返ることで、悲しみを乗り越え、安らかな心を取り戻す時間を持てるでしょう。
また、故人様に限らず、亡くなった先祖を偲ぶことは、家族の絆を感じる機会となり、家族の大切さを改めて実感することにもつながるはずです。
2.供養の対象となるものは?
供養の対象になるのは、人だけではありません。一般的に供養の対象となるものには、下記の5つが挙げられます。
1. 家族(故人様)
2. 先祖
3. ペット
4. 仏壇・お墓
5. 思い入れのある愛用品
それぞれについて、どのような供養が成されるのかをご紹介します。
家族(故人様)の供養
故人様の供養の代表例は、故人様の冥福を祈って定められた日に行われる供養(定められた日の供養を法要と呼ぶ)でしょう。
最初の法要は、初七日法要です。仏教では、亡くなった方は、まずは現世とあの世を隔てる境目にあるとされる三途の川を目指すと考えられています。三途の川にたどり着くまでには7日かかり、亡くなった日を含め7日目に三途の川を渡るそうです。川の渡り方には、橋を渡る、流れの遅い浅瀬を渡る、急な流れの深瀬を渡るの3つがあり、どう渡るかは生前の行いで決まるとされています。故人様が無事に三途の川を渡れるように祈る供養が初七日法要です。
また、三途の川を渡った故人様の魂は、しばらくの間はこの世を彷徨い続けます。成仏して極楽浄土にたどり着くには、ご遺族の供養が必要だと考えられています。亡くなった日を含めた49日目に、供物を手向け、僧侶による読経を行い、故人様が極楽浄土に行けるように行う供養を四十九日法要といいます。
その後も一周忌、三回忌、七回忌……と、法要が続きます。このように亡くなった家族(故人様)に対する供養として法要が行われます。
また、法要のほかに、いつも一緒に過ごした故人様と近くにいて冥福を祈りたいと、小型の骨壷を自宅に置いたり、お骨を入れられるロケットペンダントなどをオーダーしたりして、故人様を手元で供養をしているケースも見受けられるようになりました。こうした形の供養も、立派な故人様の供養にあたります。
先祖の供養
お線香を持ってお墓に行き、墓前に手を合わせた経験を、ほとんどの人がお持ちなのではないでしょうか。お彼岸にお墓にお供えをして手を合わせることや、お盆の時期に自宅に先祖をお迎えするために精霊馬を準備することなどは、先祖のための供養です。
先祖がいなければ、今の自分や自分の家族は存在していません。命を与えてくれた先祖に対して感謝の思いを伝えるのが先祖の供養です。
ペットの供養
昨今では、ペットも供養の対象となっているようです。
ペットを飼っている人にとって、ペットは家族と同等、または、それ以上の関係であるため、人と同様に供養をしてあげたいと考える人が増えています。ニーズに合わせて、ペット専用のお墓や、将来、飼い主のお骨も一緒に入れられるお墓も登場しています。
お仏壇・お墓の供養
お墓を新たに使用するときには、「開眼供養(かいげんくよう)」と呼ばれる、墓石などに魂を入れる儀式が必要になります。開眼供養をしない墓石は、ただの石碑に過ぎず、開眼供養を行って初めてお墓となります。
お仏壇の場合も新しく購入したならば、まずは、お仏壇に祀るご本尊、または、ご位牌に開眼供養を行います。
思い入れのある愛用品などの供養
長年、大切に使い続けた愛用品は思い入れがあり処分するのは忍びないですし、また、大切な人から譲り受けたものや幼い頃から大切にしてきたものは、なんとなく処分しづらいしょう。
そのような場合には、神社やお寺でのお焚き上げや供養の代行サービスを利用すると、気後れせずに処分ができるでしょう。寺社により供養する日程が決まっていたり、供養できないものがあったりするので、事前の確認をおすすめします。
3.供養の種類とは?
仏教における供養にはいろいろな種類がありますが、代表的なものは3種類です。
ここでは、それら3つの種類の供養について詳しくご紹介しましょう。
利供養(りくよう)
利供養とは、亡くなった方に食べ物やお線香、お花などの供物を捧げることです。供物を供えることで故人様への感謝の気持ちや、故人様との絆を大切にしている気持ちを表すのです。
代表的な供物としては、以下の5つが挙げられます。
1.香(こう)
お線香や抹香のこと。身も心も香りで清めてから仏様に近づかせていただくために用います。
2.花(はな)
花の華やかさや香りで仏様や先祖を癒します。
3.灯明(とうみょう)
仏前に献じる灯火のこと。その明かりは仏様の智慧(ちえ)の光で、燈明(とうみょう)、御明(みあかし)とも呼ばれ、灯明に導かれることで、煩悩が消されると考えられています。
4.飲食(おんじき)
家族が、普段、食べているもの。朝と夕方に自分たちが食事を始める前に、炊き立てのご飯をお供えするのが通例です。
5.浄水(じょうすい)
お水のこと。故人様の飲み物になると同時に、お供えをすることにより、お参りする人の心が洗われるとされています。
一般的なお線香やお花のほかにも、生前に故人様が好きだったものなどを供えるなど、故人様に対して思いやりの品を供える場合もあります。
敬供養(きょうくよう)
敬供養とは、言葉のとおり仏教を敬い、仏様や故人様に対する感謝の思いを言葉や行動で示すことです。具体的には、お墓参りをしたり、法要を行ったり、自宅のお仏壇に手を合わせたりする行為を指します。
現代では、「お経は、僧侶が唱えるもの」という印象もありますが、一昔前までは、一般のご家庭でも自宅の仏壇の前で毎朝読経する姿が見られました。毎朝、敬供養をしていたといえるでしょう。
仏様や故人様を思って行うこと全般が敬供養とされるため、ご家庭によって独自の敬供養の方法があるかもしれません。
行供養(ぎょうくよう)
行供養とは、仏の教えを守り修行をする仏道修行のことをいいます。
一般の人からすると難しく感じられるかもしれませんが、祖先を敬い、親を大切にし、世の中のために日々善い行いをすることを通じて仏の道を目指します。
直接的に故人様を供養する行為ではありませんが、日々善行をすることで、故人様も善行を重ねることになり、それが供養になると考えられています。
4.「供養」と名がつく言葉の意味をご紹介
「供養」と名がつく言葉は、数多く存在します。
ここでは、よく耳にする「供養」がつく言葉と、その意味をご紹介しましょう。
永代供養
永代供養とは、ご遺族それぞれの理由によりお墓の管理が難しくなった場合などに、霊園または寺院が代わって、永年に渡りお墓の維持、管理、供養等をすることを指します。
ただし、一般的に個別の永代供養には期限が設けられていて、所定の期間を過ぎると、ご遺骨は合祀に移される場合がほとんどです。
人形供養
人形供養とは、大切にしてきた人形を手放すときに、感謝の気持ちを込めて寺社で供養してもらうことをいいます。
幼い頃から一緒に過ごしてきたお人形や雛人形などには昔から「魂が宿る」といった考え方もあるため、処分したくても気後れするものです。そのような場合には、人形を神社や寺院に持ち込むと供養をしてもらえます。
寺社で供養をしていただくことで、丁寧なお別れとなり、手放すときの躊躇や葛藤が和らぐでしょう。
水子供養
水子供養とは、お母さんのお腹の中に宿ったものの、流産や人工妊娠中絶により亡くなってしまった胎児や、死産した胎児の冥福を祈ることです。昔は、生後間もない乳児や幼児期に亡くなってしまった子供も「水子」と呼んでいましたが、現在は一般的に、出生前の胎児や死産した胎児を指します。
水子供養は、亡くなった胎児とともに傷付いた親の心も癒すために行われるもので、日本独自の風習のようです。
手元供養
手元供養とは、ご遺骨の全て、または一部を、自宅、あるいは身につけられるようにして持ち歩くなど、身近で管理をする供養のことをいいます。
お墓が遠い場所にあってなかなかお参りに行けない、お墓がない、自宅にお仏壇を置けないなどの理由から始まった、比較的新しい供養方法です。
※手元供養について詳しく知りたい方には、こちらの記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/hand/
5.供養のタイミング
供養は、日常的に行う供養と、定められた日に行う供養とがあります。
そこで、ここでは供養のタイミングについてご紹介します。なお、定められた日の供養は、法要と呼ばれます。
供養の儀式「忌日法要」
故人様が亡くなった日から7日ごとに四十九日まで行われる法要を忌日(きじつ)法要と呼びます。仏教では、故人様は亡くなってから49日かけて成仏すると考えられているため、故人様が無事に成仏できるよう祈るために法要を行います。
忌日法要には、以下のような種類があります。
忌日法要 | 初七日 (しょなのか) |
亡くなった日から数えて7日目に行う法要。現代では葬儀と同日に済ませてしまうことが多い。
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二七日〜六七日 |
初七日法要以降、7日ごとに下記の法要を行う。
二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)、四七日(よなのか)、五七日(ごなのか)、六七日(むなのか)。 現代では省略する人が多く、行う場合でも自宅に僧侶を呼び、ご遺族だけで行うことが多い。 |
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初月忌 (はつがっき) |
亡くなった日の翌月の命日に行う法要。
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四十九日 (しじゅうくにち) |
亡くなった日から49日目を目処に行う法要。この日に、お墓に納骨することが多い。
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百か日 (ひゃっかにち) |
四十九日にお墓が整っていない場合に、命日から100日目に法要を行い納骨することもある。
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供養の儀式「年忌法要」
年忌法要とは、定められた節目の年の命日に行う法要で、僧侶に読経してもらい、参列者がお焼香をして故人様を偲ぶのが一般的です。
年忌法要には、以下のような種類があります。
年忌法要 | 一周忌 |
亡くなって1年目の命日に行う法要
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三回忌 |
亡くなって2年目の命日に行う法要
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七回忌 |
亡くなって6年目の命日に行う法要
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十三回忌 |
亡くなって12年目の命日に行う法要
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十七回忌 |
亡くなって16年目の命日に行う法要
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二十三回忌 |
亡くなって22年目の命日に行う法要
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二十七回忌 |
亡くなって26年目の命日に行う法要
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三十三回忌 |
亡くなって32年目の命日に行う法要。弔い上げを行い、以降の年忌供養は行わないことが多い。
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三十七回忌〜百回忌 |
三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌、五十回忌、百回忌と続くが、長い年月が経過しているため、故人様のことを認識している人々も少なくなり、執り行わないケースが多い。
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年数が経過するほどに規模が小さい法要になるケースが多く、ご家庭によっては、三十三回忌を待たずに、故人様が亡くなってから20年以上経過すると、法要を行わない判断をする場合も多くあるようです。
毎日の供養
現代では、住環境の変化もあり、自宅にお仏壇がない家も増えていますが、お仏壇があるご家庭では、日常的にお仏壇に手を合わせる習慣がある人もいるでしょう。
毎日の供養は、厳格な決まりがあるわけではありません。仏壇に手を合わせるだけでも、故人様との絆を大切に思い、感謝を伝えようとする行動となり、故人様の供養になります。また、故人様を偲ぶ気持ちを持つだけでも供養になるはずです。
※忌日法要と年忌法要の違い、初七日法要や四十九日法要について詳しく知りたい方はこちらの記事が参考になります!
https://www.hana-sougi.com/blog/houyou_itsumade/
6.先祖供養の方法とは?
先祖供養とは、亡くなったご親族(親、祖父母、曾祖父母、それより以前の先祖)を供養することを指します。自分たちの今があるのは、先祖のお陰だと感謝し、その気持ちを供養という形で表します。
では、先祖供養の方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
自宅のお仏壇にお経をあげる方法
自宅にお仏壇があるのなら、1日1回はお仏壇の前に座り、手を合わせることをおすすめします。お経をあげなくても、毎日、仏飯とお水、お線香をお供えし、手を合わせて祈ることが先祖供養になります。
もちろん、お経を唱えることができれば、より先祖とのつながりを感じ、心穏やかになれるでしょう。お経のあげ方が分からない方も多いと思いますが、お経を教えてくださる僧侶もいますし、You Tube等にもレクチャー動画があるので、ご自身で積極的にお経を学んでみてはいかがでしょうか。
お墓参りをする方法
定期的にお墓参りに行って、先祖に感謝の気持ちを込めて、お墓の掃除やお手入れをすることも先祖供養だといえます。霊園の管理者の方針によって、お供えするものに制限がある場合もありますが、お花や供物をお供えし、お線香をあげるのがお墓参りの方法です。
お墓参りをするタイミングは、一般的には故人様の命日をはじめとして、お盆、春と秋の年に2度あるお彼岸、年末年始などです。
故人様のお骨が納められている場所ですから、故人様に会いにいくような気持ちでお墓参りをし、供養をするとよいでしょう。
お寺で行う方法
先祖供養をお寺で行う場合は、僧侶に読経をしてもらい、本格的な供養ができます。初七日法要や四十九日法要の忌日法要や、一周忌や三回忌などの年忌法要は、お寺で行う場合も多いでしょう。
葬儀については菩提寺に相談することをおすすめしますが、先祖供養は、宗派が違っても、また、檀家でなくても、法要を引き受けてくれるお寺が多くあります。ただし、そのお寺の宗派のお経で供養を行うことになるので、気になる方は事前にご親族と相談しましょう。
7.供養で故人様の冥福を祈れば自分の心も癒されるでしょう
昔は、自宅に当たり前にお仏壇があり、朝晩、自分たちが手をつける前に炊きたてのご飯を仏前にお供えし、お線香をあげ、手を合わせる光景が見られました。訪問客からいただいた物は、まずは仏前に供えて先に先祖様に召し上がっていただいたり、表彰されるようなことがあれば賞状を仏前に置いて報告したりと、まるで生きている家族と一緒に生活しているかのように、先祖との関わりを持っていたのです。
現代では住環境も変わり、お仏壇がないご家庭も増えていますが、お経が読めなくても、お仏壇に手を合わせられなくても、自分たちが無理なくできる供養をすれば、故人様は喜んでくれるはずです。自分たちなりの供養方法によって、故人様や先祖とのつながりを感じる中で、自分たちの心も癒されていくことでしょう。
花葬儀では、葬儀後の忌日法要や年忌法要のサポートもしております。お気軽にご相談ください。