孤独死(孤立死)を防ぐために~現状と対策、今すぐできること~
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- 【 生き方のヒント 】
近年、耳にすることが増えた「孤独死」。高齢化や人間関係の希薄化が進む現代において、決して他人事ではありません。この記事では、孤独死の現状とその影響、そして孤独死を防ぐために私たちが今すぐできる対策について解説します。
1.孤独死とは?~現代社会における孤独死の定義~
「孤独死」という言葉は広く知られていますが、実は明確な定義はありません。ここでは、孤独死の基本的な意味と、それが抱える現代社会の課題について見ていきましょう。
孤独死の基本的な意味と現状
孤独死とは一般的に、「誰にも看取られることなく、一人で亡くなること」を指し、辞書にもほぼ同じ意味の言葉が掲載されています。しかし実は、法律や行政機関が定める明確な定義は存在しません。そのため、孤独死は多様な状況を含む概念として理解する必要があります。
必ずしも社会的に孤立していたわけではない人が、予期せぬ病気や事故によって誰にも看取られずに亡くなるケースも「孤独死」と呼ばれることがあります。
「孤立死」と「孤独死」の違い
行政機関では、社会的な孤立が背景にあると考えられる場合に「孤立死」という言葉が用いられることがあります。しかし、一般的には「孤立死」よりも「孤独死」という言葉の方が広く認知されており、両者が厳密に区別されずに使われることも少なくありません。
このように、言葉の使い分けが曖昧であることも、孤独死の定義を難しくしている一因と言えるでしょう。また、「孤独死」という言葉自体が、遺されたご家族や関係者の方々の心情を傷つけてしまう可能性も否定できません。
本記事では、こうした状況を踏まえつつ、より多くの方に理解していただくために、あえて「孤独死」という言葉を使用し、その予防策について解説していきます。
2.誰もが直面する可能性がある孤独死
孤独死は、決して他人事ではありません。誰にでも起こりうる、身近な問題なのです。ここでは、孤独死の現状を示すデータと、葬儀社である弊社が実際に経験した事例から、その現実と影響について見ていきます。
一人暮らし世帯の増加がもたらす孤独死リスク
高齢化が進む中、一人暮らしの高齢者は増加傾向にあります。警察庁によると、2024年上半期に自宅で亡くなった一人暮らしの方は全国で約3万7千人、うち約8割が65歳以上でした。亡くなったことがわかるまで1か月以上かかったケースも約1割あり、社会とのつながりの希薄さがうかがえます。
このデータからもわかるように、一人暮らしの増加は孤独死のリスクを高めています。特に、近隣住民との関係が希薄になりやすい都市部においては、発見の遅れが深刻な問題となっているのが現状です。
出典:警察庁|令和6年上半期(1~6月分)(暫定値)における死体取扱状況(警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者)について
https://www.npa.go.jp/news/release/2024/20240821001.html
葬儀の現場から見える孤独死の現実
日本全体で孤独死は増加傾向にありますが、葬儀の現場でもその現実を日々痛感しています。以下に、弊社が経験した事例をご紹介しましょう。
先日、以前に葬儀を担当させていただいたお客様から、再度ご連絡がありました。それは、以前、葬儀の打ち合わせに同席されていたご親族が、お風呂場で亡くなられていたという突然の訃報でした。亡くなられた場所はお風呂場で、発見されたのは死後4日経ってからでした。以前お打ち合わせでお会いした際も、明るく社交的な印象の方でしたので、突然の訃報に大変驚きました。
この事例を通して、私たちは改めて孤独死が以下のような深刻な問題を引き起こすことを痛感しました。
・発見が遅れることで、ご遺体の状態が悪化し、死因の特定が困難になる
・突然の別れに加え、変わり果てた姿での対面となるため、遺された方々の精神的負担が大きくなる
・遺品整理や特殊清掃の費用がかさむなど、ご遺族に大きな負担がかかることも少なくない
孤独死の問題は高齢者だけでなく、単身赴任や未婚率の上昇などにより、30代、40代の若い世代にも広がっています。「隣の住人の顔も知らない」といった環境が珍しくない現代社会では、誰にとっても孤独死は決して他人事ではないのです。
3.孤独死を防ぐためにできること~今すぐできる対策とは?~
孤独死を防ぐためには、日頃から意識して行動することが重要です。今回のケースでも、発見が比較的早かったこと、葬儀や埋葬がスムーズに進んだことには理由がありました。以下の4つのポイントを意識することで、孤独死のリスクを減らせます。
1. 友人や近隣住民とのつながりを持つ
定期的な交流があると、異変に気づいてもらいやすくなります。今回のケースでは、ご友人が電話をしても応答がなく、不審に思ったことで発見につながりました。
過去にも、毎日同じ時間にベンチで会話をしていた散歩仲間が1週間姿を見せなかったため、自宅を訪れたところ亡くなっていた、という事例もあります。近隣住民や趣味仲間など、何らかのコミュニティを持つことが重要です。
例えば、大田区では地域包括ケアシステムの一環として、「みま~も」という地域見守り活動が行われています。これは、地域住民や事業者などが協力して、高齢者や障がい者など、支援を必要とする方々を見守る活動です。
弊社LIVENTも、「みま~も」活動に協賛し、得意分野である終活の知見を生かしたセミナーなどを開催することで、地域住民の交流を促進しています。地域の集まりやイベントに積極的に参加することも、地域社会とのつながりを深め、孤独死の予防につながるでしょう。
2. 定期的に連絡を取り合う
ご家族や知人との連絡を密にし、定期的に安否を確認し合うことは、孤独死を防ぐうえで非常に有効です。今回のケースでも、甥御様と故人様は頻繁に連絡を取っており、電話に出ないことを不審に思った甥御様が自宅を訪問し、発見に至りました。特に一人暮らしのご親族がいる場合は、電話やメール、SNSなどを活用して、意識的に連絡を取るようにしましょう。
3.見守りサービスやアプリを活用する
ご親族と頻繁に連絡を取ることが難しい方や、遠方に住んでいる場合には、見守りサービスやアプリを活用するのも有効な手段です。
見守りサービスとは、一人暮らしの方などの安否を定期的に確認するサービスで、電話やアプリを通じた連絡、ご自宅への訪問、あるいはセンサーやカメラの設置など、様々な方法で安否確認を行います。
見守りサービスは、主に以下のような事業者によって提供されています。
・電気、ガス、水道などのインフラ事業者
・警備会社
・行政書士や司法書士などの専門家
見守りサービスを上手に活用することで、日々の暮らしにおける安心感を高めることにつながるでしょう。
4. 万が一に備えて準備をする
ご自身が急な病気に見舞われたり、亡くなったりした後のことを考え、あらかじめ準備をしておくことも重要です。
特に、以下のような準備をしておくと、いざというときの負担を軽減できます。
・急な入院に備えて入院セットを揃えておく
・ご自宅のお掃除やいらないものをこまめに捨てておく
・エンディングノートなどの終活ツールに、終末期医療の希望や、緊急連絡先などをまとめておく
・オンラインバンクやSNSのアカウント情報など、デジタル関連の情報を整理しておく(デジタル終活)
・希望する葬儀や供養方法を検討する
・葬儀費用をあらかじめ貯蓄して準備する
これらは「終活」と呼ばれる活動の一環でもあり、ご自身が安心して残りの人生を過ごすためだけでなく、将来的なご親族の負担を減らすことにもつながります。終活に関する情報は多岐にわたりますので、より詳しく知りたい方は、別の記事でご紹介している終活に役立つ本も参考にしてみてください。
4.早めの準備が後悔を防ぐ
人は誰しも「死」と向き合わなければなりません。しかし、そのタイミングは誰にも分かりません。元気だった方が突然亡くなることもあります。だからこそ、事前に準備を進めておくことが、後悔を防ぐために重要なのです。
弊社「花葬儀」では、終活や葬儀の事前準備のご相談も承っております。葬儀費用、エンディングノート、遺産相続、お墓のことなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。「少しでも準備をしておきたい」とお考えの方は、事前相談のページより、お気軽にご相談ください。