葬式におけるメイクの基本を解説!正しいお化粧マナーは?

正しいお化粧マナーを解説
お化粧は自分を素敵に表現するための手段のひとつですが、ご遺族としてお葬式を執り行う、もしくは参列者として赴く際には、その場にふさわしいメイクをすることが求められます。

そこで今回はお葬式におけるメイクの基本とマナーについてご紹介します。普段通りのお化粧で気まずい思いをしないためにも、しっかりと覚えておきましょう。

1.お葬式での正しいメイクマナーとは?

お葬式での正しいメイクマナーとは
お葬式の時の化粧は「薄く」「フォーマル」であることが基本です。
華美な化粧、色味がはっきりと出て目立つような化粧は避けましょう。

「片化粧」とは?

全体的に薄く、色味をおさえたお葬式向けの化粧を「片化粧」と呼びます。お葬式は故人様が主役であり、故人様への悲しみと死を悼む場ですので、ご自身を美しく華美に飾る必要はありません。

普段、フルメイクをされている方には抵抗があるかもしれませんが、失礼のないよう最大限に心を尽くすためにも、片化粧を心がけましょう。

また、片化粧は「ナチュラルメイク」と混同されがちですが全く違います。あくまで薄く化粧をすることが片化粧であり、自然な顔に見せるためにベースメイクをしっかり入れるナチュラルメイクとは別物です。

片化粧をすることはお葬式におけるマナーですので、普段通りのお化粧やナチュラルメイクで赴くことのないように気をつけましょう。

なお、家族葬など近しい間柄のみのお葬式で、喪主様や生前の故人様から華やかな格好を希望された場合は、この限りではありません。既存のマナーにこだわらず、意向に沿える格好やメイクをしましょう。

ノーメイクはマナー違反

薄ければ薄いほど、つまりメイクをしなければよいのかというと、そうではありません。お葬式は荘厳な儀式の場ですので、フォーマルな身だしなみのひとつとして必ず「薄く」化粧(片化粧)をしましょう。

どこまでが片化粧なのか、自分のメイクが正しいのか不安になるかもしれませんが、この後しっかりとご紹介しますのでご安心ください。

ラメ・パール入りのアイテムはNG

葬式では、華美になりがちなラメやパールが入ったものは使用を控えます。これはお化粧だけではなく後にご紹介するネイルにも言えることです。

お葬式の前にご自身の化粧道具を確認し、無ければ揃えておきましょう。

2.お葬式でのベースメイク

お葬式でのベースメイク
まずは、お葬式におけるベースメイクの方法についてご紹介します。

化粧下地

化粧下地は極力使わないようにしましょう。赤みやシミ、くまなどがどうしても気になる場合はコンシーラーを部分的に使い、肌全体に厚塗り感が出ないようにします。

【豆知識:皺を隠したいときは?】
皺を隠すために下地を沢山塗ってしまうと、それだけで厚塗り感が出てしまいます。

メイク前にフェイスオイルを気になるところにつけて、化粧水を染み込ませたコットンを3分ほど乗せると、皮膚がふっくらとして目立ちにくくなるでしょう。お葬式に参列するときなどに、ぜひお試しください。

ファンデーション

肌にツヤ感を出すメイクはおしゃれでかわいらしさを演出できますが、お葬式の時に限ってはふさわしくありません。

リキッドタイプのファンデーションを使用すると、このツヤ感が出やすくなってしまうので、マットな質感になるパウダータイプのファンデーションを使うようにしましょう。その際は必ずラメやパールが入っていないものを選びます。

リキッドファンデーションしか持っていない場合は、ご自身の素肌に一番近い色味を選び薄く塗った後、上からプレストパウダー(仕上げ用の粉)をふるとマット感が出せるのでおすすめです。

また、光沢感の出るファンデーションしか持っていない場合には、BBクリームもおすすめです。1本でコンシーラー、日焼け止め、化粧下地、ファンデーションなどの役割を兼ね備えているため、これを薄く塗り仕上げにフィニッシュパウダーをふるだけで、片化粧のベースメイクが完成します。

新たにファンデーションを買うよりも費用的にも容量的にもお得ですので、ご自身の都合に合わせて選んでみましょう。

ハイライト

明るい色を顔に乗せて凹凸を作るハイライトは立体感や光沢感を出すものですので、お葬式に参列する際の片化粧には向きません。使用は控えましょう。

肌の仕上げ

ベースメイクの最後に重ねるパウダーとしてフィニッシュパウダーというものがあります。フェイスパウダーとも呼ばれ、種類が2つあります。

【ブレストタイプ】
パウダーが押し固められているタイプのものです。外に持ち運びがしやすい他、マット感を出しやすいという特徴があるため、片化粧で使いたい場合はプレストタイプのフィニッシュパウダーを選びましょう。

【ルースタイプ】
ルースタイプは粉末状のもので、プレストタイプより薄付きで透明感を出しやすいのが特徴ですが、同時にツヤ感も出やすくなるため片化粧の時の仕上げには向きません。
フィニッシュパウダーは化粧崩れを防止してくれる役割がありますが、片化粧のベースメイクはツヤ感を抑えたごく自然な仕上がりを意識することが大切ですので、必要がない限りはなるべく使用を避けることをおすすめします。

ベースメイクはツヤ感が出ないに工夫し、お葬式の場にふさわしいメイクになるよう心がけましょう。

3.葬式での眉メイク

葬式での眉メイク
お葬式での眉メイクは、本来の眉毛の形に整える程度にとどめましょう。主線から外れている眉下の毛をカットし、眉毛の長さがふぞろいの場合は軽く揃えます。濃すぎる、細すぎる、太すぎる眉は自然とはいえないので、避けた方が無難です。

また、眉毛の輪郭がはっきりと分かるように線を引くのも片化粧とはいえません。眉毛が短い場合は、目尻と小鼻を結んだ延長線上とぶつかるところまで引きます。

ペンシルタイプよりもパウダータイプのほうがより自然に見せることができるので、おすすめです。毛の間をぼかすように薄くのせましょう。色味は髪色に合わせると、より自然に見えます。

4.お葬式でのアイメイク

普段のアイメイクでは様々な色合いや形を取り入れて楽しむところですが、お葬式での片化粧ではいかに薄くするかが重要であるため、基本的に引き算で考えます。

はっきりしたアイメイクに慣れている方は、一度練習をしておきましょう。

アイシャドウ

お葬式に参列する際は、基本的にアイシャドウは使いません。濃く派手な色、明るい色をのせるのはマナー違反ですので、どうしても乗せたい場合にはナチュラルカラーであるベージュ系かブラウン系を使いましょう。

伏し目の際に目立たないよう、ラメやパール入りでないものを薄く塗る程度にします。

マスカラ

ボリュームのあるまつ毛はそれだけで華やかに見えてしまうので、マスカラも基本的には使いません。使いたい場合は目尻のあたりを1度塗りする程度に心がけ、毛束にボリュームが出ないように気を付けます。

また、お葬式では涙を流す可能性もあることから、ウォータープルーフタイプのものを使うと安心です。

ビューラー

ビューラーは基本的に使いません。逆さまつ毛を解消したいなど健康上避けられない理由がある場合は、部分的に使いましょう。

つけまつげ

つけまつげは目元を大きく見せ、華やかにする目的のものですので、片化粧では外します。

まつ毛エクステ

まつ毛エクステをつけている場合は、お葬式前にサロンで外してもらうようにしましょう。やむを得ない事情で外せない時は他のアイメイクを極力控え、バランスをとることを心がけてください。

カラーコンタクトレンズ

カラーコンタクトレンズは華美に見せるためのものですので、必ず外しましょう。

アイライン

目元をはっきりと見せるアイラインも必要ありません。どうしても使いたい場合は、まつ毛の生え際の隙間を埋める程度にしましょう。

マスカラと同様、お葬式で涙を流してもいいようにウォータープルーフタイプのものをお使いください。

5.葬式でのリップメイク

葬式でのリップメイク
本来であれば片化粧の際にはリップを塗らないことがマナーとされてきましたが、近年では使用が許される傾向にあります。

ただし、ほんのりと血色がよくなるごくごく自然な色を塗ることが前提ですので、ツヤ感の出るグロスやラメ入りのものは使わないようにしましょう。

慶事を表す赤色の使用は絶対に控え、肌になじみやすいベージュピンク系などを薄く塗った後に、ティッシュを唇で挟むとテカリが抑えられてより自然な唇に見えます。

6.お葬式での頬メイク

お葬式での頬メイク
必要以上に健康的に見えてしまうため、チークは塗りません。しかし、極端に顔色が悪く見えてしまうのも周りの方を心配させてしまうので工夫が必要です。

華やかな印象になってしまうピンクやオレンジ色ではなく、ラベンダー色のものを使ってみましょう。ブラシに取り、手の甲で少し落としてから頬骨のあたりに薄く入れると、自然な仕上がりになります。

ラベンダー色のチークは年齢に関係なく使える便利な色ですので、これを機に取り入れてみてはいかがでしょうか。

7.お葬式メイク/その他のポイント

お葬式メイク/その他のポイント
お葬式でのメイクは薄くすることが基本ですが、メイク以外で普段おしゃれに気を使っている部分についてはどのようにするのが正解なのでしょうか。
こちらで詳しくご紹介します。

香水

葬式ではお焼香が行われます。お焼香は「香りによって穢れ(けがれ)を落とし、清められた心と体で故人様に祈りを捧げ冥福を祈るための儀式」ですので、焼香の香りを妨げる香水は使用を控えましょう。

宗派によってはお焼香を行わない場合もありますが、自分の好きな香りが隣にいる人にとっても「良い香り」であるとは限りません。故人様への祈りを妨げるようなものは極力避けましょう。

ネイル

爪を華美に飾ることが目的であるネイルは、本来お葬式の場にふさわしくありません。しかし最近では、清潔と質素の印象を与えるものなら許容されつつあります。自爪の具合がどうしても気になる時は透明色か肌に近いベージュ系の色を使いましょう。

明るいネイルをしている場合はお葬式の前に落としますが、ジェルネイルは基本的にサロンに行って落とす必要があります。時間が無い時の応急処置としては、濃いベージュ系のマニキュアを上から塗る方法、もしくは弔事用の黒手袋をつけていく方法があります。

葬儀にふさわしいネイルについてはこちらの記事で詳しくご紹介しております。是非ご一読ください。

髪型

【色】
最もふさわしい髪の色は黒色ですが、今は髪を染めることが一般的であるため、金色や派手な色味でなければ特に問題視されません。気になるようでしたら応急処置用の黒染めスプレーや、持続力の短いヘアカラー剤を試してみましょう。

【長さ】
前髪は必ず目にかからない長さにそろえておきましょう。お葬式ではお焼香やご遺族の前を通る時に頭を下げることが多いため、下を向いた際に乱れるほど髪の毛が長い場合はきちんとまとめます。

「耳より上は慶事、耳より下は弔事」という言葉がありますので、女性はまとめた髪が耳より下の位置になるようにしてください。三つ編みや編み込みなど凝ったものにせず、華美にならないヘアネットや黒のバレッタでひとつにまとめるようにすると、よりふさわしい髪型にすることができます。

8.仕事用メイクを片化粧(うす化粧)にする方法

仕事用メイクを片化粧(うす化粧)にする方法
社会人なら、仕事先からお葬式に参加することも少なくありません。時間に余裕がある場合はお化粧を落としてから片化粧をし直すことができますが、そうではない急な場合にはティッシュを使う方法がおすすめです。

口紅やアイシャドウの色味をティッシュでなるべく落とし、余分な皮脂を取り除いてからマット感の出るフェイスパウダーで全体を整えてみてください。キラキラとした光沢が落ち、片化粧にふさわしい肌感になります。

香水や華美なネイルをつけている場合は先ほどご紹介した方法でなるべく隠し、髪の毛が耳の下でまとまっているかどうかを確認しましょう。

9.学生(高校生以下)にメイクは必要?

「ノーメイクはマナー違反」と上記でご紹介しましたが、高校生以下の学生であればメイクをする必要はありません。その代わり、大人と同様に髪型と服装をふさわしいものにしましょう。

10.お葬式の服装

お葬式の服装
メイクと同様に、注意を払わなければいけないのが服装です。
ここでは、お葬式の正しい身支度についてご紹介します。

服装

喪服には3種類ありますが、故人様の三親等にあたる親族は最も格式の高い「正喪服」を着用します。参列者はその次の格式である「準喪服」のブラックフォーマルと呼ばれる黒(もしくは紺)の無地を着用しましょう。お葬式では、夏場であっても肌の露出を控えるのがマナーです。

お子様の場合は学生服があるなら制服で問題ありません。無ければ白、黒、紺色のフォーマルな服装にしましょう。

エナメル素材などの光沢感のある靴は避けましょう。また、動物の皮をイメージさせる柄(蛇やワニなど)も同様に避けます。

装飾が無く黒もしくは黒に近いシンプルなものを選び、傷や汚れが無いかを事前に確認しておくと安心です。かかとの見える靴はお葬式の場にふさわしくないため、女性の方は季節に関わらず必ずパンプスを履いてください。

装飾品

お葬式の場において、アクセサリー類は基本的に身につけないことがマナーとされていますが、以下の物に関してはつけても良いとされています。
・結婚指輪
・真珠のネックレス
・真珠のピアスまたはイヤリング

ただし真珠は白色か黒色で、形は球体であることが前提です。ネックレスは一連で鎖骨までの長さとし、ピアスやイヤリングは一粒状のものにしましょう。なお、和装の場合は結婚指輪以外のアクセサリーはつけません。

身だしなみに関してはこちらの記事でより詳しくご紹介しておりますので、ぜひ参考になさってください。

11.メイクなどの身だしなみを整えてお葬式に参列しましょう

メイクなどの身だしなみを整えてお葬式に参列しましょう
お葬式に参列する目的は、故人様に思いをはせ、冥福を祈ることですから、身だしなみを整えて参列することが求められます。どのようなタイミングでも、派手なメイクやノーメイク(中高生や敏感肌で化粧ができない人をのぞく)での葬儀への参列はマナー違反となるため、片化粧で参列することが大切です。

心穏やかに失礼のないよう故人様を送るためにも、守るべきマナーとして「ご紹介したメイク、ネイル、香水、髪形、服装などに配慮すること」をしっかりと覚えておきましょう。

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