看取りの手順と流れー自宅・病院・特養・その他介護施設
- 作成日:
- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
「看取り」の意味は、「死期が近い人の面倒を最後まで見る、人生の最期を見守る」ことです。かつては、人が亡くなる場所はご自宅が多く、ご家族に見守られながらその最期を迎えることが一般的でした。しかし、最近は医療、看護、介護制度の充実とともに、人の世話をするサービスがビジネスとして広まったことから、ご自宅以外で、ご家族以外に見守られて亡くなることも多くなっています。
とはいえ、「人生の最期は家族とともに、住み慣れた自宅で過ごしたい」とお考えの方も多いことでしょう。
今回は、ご自宅で最期を迎えさせてあげる(看取る)ために必要なことを解説いたします。
ご自宅での看取りの流れ
ご自宅でご家族を看取るためには、どのようなステップを踏めばよいのか、順を追ってご案内いたします。なお、特別養護老人ホーム、グループホームなどの介護施設での看取りの流れも、ご自宅の場合と大きく変わりません。
ステップ1:ご自宅から半径16km以内で、訪問診療をしてくれる診療所・病院の医師を探す
看取りを行ってくれる医師を探すことが、在宅で看取るための最初のステップです。ご逝去(お亡くなりになる確率が高まる時期)の半年ほど前から、余裕をもって動かれるとよいでしょう。一般的に医療保険上の届け出の中に、「在宅療養支援診療所」というグループがありますので、それをもとにお近くの診療所を探します。
なお、診療所を探す範囲が「自宅から半径16km以内」であるのには、
- ・医療保険制度上、何かあったときにすぐ駆けつけられる距離が16kmとされている
- ・半径16kmを超えると医療保険上の加算が受けられない
という理由があります。
この範囲内に在宅療養支援診療所がない場合、残念ですがご自宅での看取りは難しいと思ったほうがよいでしょう。
ちなみに、在宅療養支援診療所は往診による在宅医療を積極的に行っている診療所ではありますが、そのすべてが在宅での看取りに積極的なわけではありません。
在宅療養支援診療所は「医師が3人以上いること」が条件ですが、多くの在宅医療の高齢者を抱えている診療所では、医師の対応が限界にきていることもあります(100名以上の往診に対応しているところもあるようです)。また、医師の中には「終末期は病院での医療が望ましい」と考える方もいらっしゃいます。
絶対的な正解はありませんが、「自宅で看取りたい」という希望を医師が受けてくれるか、かならず確認しましょう。
そして、担当医とは長い付き合いになりますので、その相性もみることができれば理想です。それを見極めるポイントは、やはり
- ・話を聞いてくれるか
- ・理由を説明してくれるか
の2点に絞られるでしょう。
ただ、人気のお医者様には、順番待ちの患者がかなり多いことが考えられます。そのため、場合によっては、通院中の段階で希望を伝え、その順番を待つことも覚悟しなければなりません。また、介護施設に入所している場合、担当のケアマネージャーから医師の紹介を受けられることもあります。
ステップ2:看取りチームの結成と、同意書の整備
医師が見つかったら、そちらをを中心とした看取りのチームをつくっていきます。一般的な構成は、
- ・ご家族
- ・医師
- ・ケアマネージャー
- ・訪問看護師
- ・訪問介護士
で、場合によっては訪問調剤の薬剤師や、訪問歯科での口腔ケア、管理栄養士による栄養ケアなども入ります。
いつか訪れる旅立ちに備える生活の質の向上で、これだけの専門家が必要になるのです。
また、多くの場合はこの時点で、在宅での看取りのリスクの説明や、医療行為・延命治療に関する事前指示書、同意書の類が整備されます。ここで家族が理解すべきは、「事前の指示書や同意書なしに、医師は延命治療を拒否することができない」点です。
医師法の第十九条には
『診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。』
という表記があります。患者を救命する手段がある場合は、その手段を必要があるということで、それは延命治療も例外ではありません。正当な事由を作るために必要なのが、事前指示書なのです。医師は特定の書面なしに治療しない自由がないことを、家族は知っておく必要があります。
ステップ3:終末期宣言
事前指示書を整備が終わると、対象者の容態の変化を注意深く観察し、ケアする段階になります。そして、治療を施しても回復する見込みがないと医師が判断した場合に出される『終末期宣言』により、在宅で亡くなるための経過観察に移ります。お元気なうちに医師を見つけ、事前指示書を整備しても、『終末期宣言』が医師から出ない場合は、通常の治療が継続されます。やがて生存機能が落ち、息を引き取ると、医師、看護師の連携のもとで死亡診断書が書かれ、死亡が宣告されます。
以上が大まかな看取りの流れです。人によって必要な専門家も異なるなど、一概に言えるものではありませんが、長期間の準備が大切であることは間違いありません。
また、経済的な話をすると、介護保険料が所定の要介護の枠を超えることは、十分考えられます。そのほかに医療費もかかりますので、安価で抑えられるとは思わない方がよいでしょう。
介護施設での看取りについて
特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)には医師が常駐しており、グループホームや有料老人ホームの場合も、必ず何らかの医療機関と連携しています。このため、介護施設での看取りは、自宅の場合より楽なことが多いようです。その施設が「看取り」に前向きであるかだけ、忘れずに確認しておきましょう。
なお、延命治療を希望しない場合、司法書士や弁護士と話をして、「延命治療拒否の事前指示書」や「尊厳死宣言」を公正証書に残しておくとよいでしょう。そうすることで、治療を担当する医師側も延命治療をしないよう配慮してくれます。
このような意思を記録に残すことは、認知症を患う前にすませておきましょう。たとえ気持ちがあっても、認知症により判断能力(意思能力)が欠けているとみなされた場合、契約は無効になってしまいます。目を背けたいことかもしれませんが、ご自身の意思を伝えられるうちに、将来を考えていただくことをおすすめします。
ご葬儀の準備について
ご自宅で看取ることと並行して、ご葬儀のことも考えておくと、万一のことがあっても負担は軽くなります。近年は、ご葬儀の内容を葬儀社と事前に打ち合わせる「事前相談」をする方が増えています。ご家族の方だけの事前相談でも問題ありませんが、ご意向がありましたら、ご本人を交えての相談もお受けいたします。
お墓や相続、延命治療拒否の事前指示書の件など、どんな小さなことでもかまいません。みなさまのご不安を解消するとともに、万一のときにもしっかりとサポートさせていただきます。
弊社「花葬儀」の事前相談は、何度でも無料でご予約いただけます。ぜひお気軽に、お問い合わせくださいませ。
葬儀プランナーY・K