喪中にお中元を贈っても大丈夫?自分や相手が喪中の場合のマナーを解説
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
日頃からお世話になっている人にお中元を贈ろうと思ったとき、自分や相手が喪中の場合は控えた方がよいのか悩む人も多いと思います。
そこで今回は、喪中にお中元を贈ることについて解説します。自分や相手が喪中の際に気を付けたいお中元のマナーもご紹介しますので、お中元の時期が近づく前にぜひご一読ください。
【もくじ】
1.喪中とは?忌中との違いは?意味や期間を解説
そもそも、よく耳にする「喪中」とは具体的にどういった期間をさすのでしょうか?
喪中の意味と、忌中との違い、それぞれの期間についてご紹介します。
喪中の意味と期間
喪中とは、故人様のご遺族が、故人様を偲んで喪に服す期間のことをいいます。喪中の期間は1年だと捉えている方が多いですが、厳密には故人様との続柄や親交の深さなどによって期間は変わります。
続柄別、喪中期間の目安については下記のとおりです。
続柄 | 喪中期間 |
---|---|
配偶者(0親等)、父母・義父母(1親等) | 12~13ヵ月 |
子ども(1親等) | 3~12ヵ月 |
祖父母(2親等) | 3~6ヵ月 |
兄弟・姉妹、孫(2親等) | 1~6ヵ月 |
曾祖父母、伯叔父母(3親等) | 喪中ではない |
※喪中の範囲について、更に詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
https://www.hana-sougi.com/blog/mochu_relatives/
忌中の意味と期間
忌中とは、死による穢(けが)れを他者に伝染させないよう、故人様のご遺族が行動を慎む期間のことをいいます。
忌中の期間は宗教・宗派ごとに変わり、宗教別忌中期間の目安は以下のとおりです。
宗教 | 忌中期間 |
---|---|
仏教(浄土真宗を除く) | 命日から49日 |
神道 | 命日から50日 |
仏教(喪中・忌中という概念が無い浄土真宗を除く)では四十九日法要、神道では五十日祭を執り行うと「忌明け」を迎えます。
2.喪中と忌中で控えることは?
喪中や忌中では「年賀状を出さない」ことがよく知られていますが、他にも避けるべき・避けた方がよいことがいくつかあります。
喪中・忌中それぞれで控える事柄についてご紹介します。
喪中で控えることは?
喪中では、主に下記4つの項目を控えた方がよいとされています。
1.年賀状を出す
2.旅行に行く
3.入籍をしたり、結婚式を開いたりする
4.宴席・祭典・パーティーの開催または参加
年賀状を出すこと以外は、日程などの諸事情によって許容されるケースも見られます。上にご紹介した事柄の他に、喪中に控えるべきものは地域によって差があるため、不安な方は地域の慣習に詳しい方や菩提寺などに確認しておくとよいでしょう。
忌中で控えることは?
忌中では、前述した「喪中に控えた方がよいとされる4つ」の他、下記2つの項目を控えます。
1.神社への参拝
2.神棚を開けること
「死は穢れである」というのは、神道の考え方です。忌中は喪中よりも、より一層身を慎むべきとされており、慶事への参加の他、神様のいらっしゃる神社への参拝をNGとしています。
3.お中元とは?
相手の喜びそうなものを選んで贈るお中元ですが、そもそもお中元はお祝い事に入るのでしょうか?また、いつ贈るのが正しいのでしょうか?
お中元の意味と、お中元を贈るタイミングについて解説します。
お中元の意味とは?
お中元の起源は、古代中国にまで遡り、旧暦を3つに分けた道教の行事「三元」の中の「中元」が、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と結びついたものであるといわれています。
もともとの「中元」は、神様にお供え物をし、罪が許されることを願うための行事であり、盂蘭盆会は現在お盆と呼ばれる仏事で「祖先の霊を供養するための行事」です。どちらも行事の時期が近かったこと、また、「お供え物を捧げる」「お供え終わった物を配る」という共通点があったことから、現代の「お中元=お世話になっている方に感謝の気持ちを込めて贈り物をする」という考え方に変化していったようです。
つまり、お中元とはお祝い事に関係するものではありません。また、冬に贈りあう「お歳暮」もお中元同様、感謝の気持ちを伝えるためのものですので、慶事とは関係ありません。
お中元を贈る時期は?
もともとのルーツであった古代中国の「中元」は、旧暦7月15日をさしています。そのため現代のお中元も旧暦にならうところや、新暦を基準に考えているところがあり、地域によって異なります。
お中元を贈る時期を地域別に大きく分けると、東日本が7月初旬~7月15日、西日本が8月初旬~8月15日となっていますが、明確な決まりはありません。迷った時は地域の慣習に従うとよいでしょう。
4.自分が喪中のときのお中元のマナーは?
自分が喪中の時、お世話になった人へお中元を贈ってもよいのでしょうか?また、贈る際のマナーはあるのでしょうか?
自分が喪中のときのお中元のマナーについてご紹介します。
自分が喪中のときにお中元を贈っても問題ない
「お中元とは?」で解説したように、お中元はお祝い事ではありません。つまり、自分が喪中のときにお中元を贈ることは問題ないのです。
紅白の水引の熨斗紙は使わない
一般的なお中元には、紅白の水引のついた熨斗(のし)をかけますが、紅白の水引はお祝いの気持ちを表すものですから、自分が喪中のときに贈るお中元には使いません。
代わりに、白い無地の奉書紙(白い和紙のこと)または白い短冊を用意し、「お中元」と表書きをしたものを品物にかけます。
忌中でも贈って問題ない
喪中よりもより慎ましく過ごさなければならない忌中では、お中元を贈ることを控えた方がよいのではないかと考える方もいます。しかし、お中元はお祝い事ではないこと、また、お中元を受け取る相手が贈った人の喪中・忌中を気にかけることはほとんどないため、忌中であってもお中元を贈ることは問題ありません。
ただし、お中元を贈る気持ちになれない場合や、葬儀などで慌ただしく時間が取れない場合などは、無理をせず別の機会で日頃の感謝を伝えるようにしましょう。
時期をすぎたら「残暑見舞い」を贈る
「忌明けになるまで静かにしていたい」「忙しくて手配が間に合わなかった」などの都合でお中元を贈る時期を逸してしまった時は、残暑見舞いを贈ってはいかがでしょうか。
残暑見舞いは暑さの抜けない時期に、相手を思って贈るギフトや手紙のことで、8月末までであれば残暑見舞いとして品物を贈ることができます。
残暑見舞いを贈る際には、奉書紙や白い短冊に「残暑御見舞(い)」と表書きをします。贈る相手が目上の方の場合は「残暑御伺(い)」と書きます。
5.相手が喪中のときのお中元のマナーは?
相手が喪中と知っている場合、自分が喪中のとき以上に「贈り物をする」ことに対して考えてしまうものです。
相手が喪中のときのお中元のマナーについてご紹介します。
喪中でも贈っても問題ない
自分が喪中の時と同様、相手が喪中であってもお中元を贈ることはマナー違反ではありません。
ただし、相手がまだお中元を受け取る気持ちになれていないと感じたときは、お中元を贈らないでおくというのも選択肢のひとつです。
紅白の水引の熨斗紙は使わない
喪中の相手へお中元を贈る際は、お祝い事を表す紅白の水引がついた熨斗紙の使用を避けます。
忌中のときには避ける
自分が忌中のときはお中元を贈っても問題ないと説明しましたが、相手が忌中のときは十分な配慮が必要です。
相手は、大切な方を亡くして日が浅く、深い悲しみの中にいることでしょう。そのような状態の相手にお中元を贈ってしまうと、「お礼状を書かなければ…」「お返しをしなければ」などと気を使わせてしまうことになり兼ねません。
相手にとってはそれが負担になってしまうこともあるため、忌中の方へお中元を贈ることは避けた方が無難でしょう。
時期をすぎたら「残暑見舞い」を贈る
上記のような理由で忌中にお中元を贈ることを避けた場合、「残暑見舞いを贈る」か「今年は何も贈らないでおく」かのどちらかを選択することができます。
感謝の気持ちを伝える機会は、お中元だけではありません。また、喪中や忌中の相手にお中元を贈らないことはマナー違反ではありません。相手のことを第一に思いやって、どのようにすればよいのかを考えてから決めましょう。
お礼状でお祝いの言葉は避ける
お中元をいただいた際は、受け取ってから3日以内にお礼状を送ります。お礼状には「品物を受け取った報告」「感謝の意」「相手の体調を気遣う言葉」などを書きますが、相手が喪中の場合、お礼状の中でうっかりお祝いの言葉を使わないように気を付けます。
6.喪中のお中元の注意点は?
日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを込めて贈るお中元で、相手の気分を害するような失敗はしたくありません。
喪中のときのお中元で注意しなければならないポイントを解説します。
「贈る相手が喪中の場合」の注意点
お中元を贈る相手が喪中のときは、相手が大切な方を偲び、喪に服している期間であるということを意識しなければなりません。
喪中の相手にお中元を贈るときの注意点をご紹介します。
間違っても故人様に贈らない
亡くなった方のお名前宛にお中元を贈るのは大変失礼にあたります。そもそもお中元のやりとりをしていた相手が亡くなったら、何も贈らないようにしなければなりません。
故人様のご家族とも縁が深く、引き続きお中元を贈りたい場合は、ご家族のお名前宛で贈ります。うっかり故人様宛に贈らないよう、再三の注意を払いましょう。
喪中に配慮した品物を選ぶ
相手が喪中でもお中元を贈ることはできますが、贈る品物には配慮が必要です。
以下の品物は喪中の方に贈らないようにしましょう。
・刃物類やハンカチ(縁を切ることを連想させる)
・靴やスリッパ(踏みつけるという意味をもつ)
・紅白の華やかな物(お祝い事を連想させる)
その他、相手が喪中かどうかに関わらず、賞味期限の早いものを贈ることも避けます。
品物に添える送り状など書く言葉に配慮する
先ほどご紹介したように、喪中の方へ贈るお中元の送り状は、絶対に故人様の名前を書いてはいけません。
また、お中元に手紙などを添える際には、「おめでとう」や「祝」など、お祝いの言葉を使うことを避けます。
品物だけではなく、言葉にも十分配慮しましょう。
「受け取る自分が喪中の場合」の注意点
お中元を受け取る自分が喪中の場合に気を付けなければならないことは、お礼状の内容です。これまでにご紹介してきたように、お中元のお礼状には「品物を受け取ったこと」「日頃の感謝」をしたためます。もし、お中元の贈り主が故人様の葬儀に参列していた場合は、参列への感謝も合わせて伝えると、より丁寧なお礼状になるでしょう。
相手が自分の喪中を知らない場合は、わざわざお礼状で喪中を伝える必要はありません。相手が故人様の訃報を知らずに故人様宛にお中元を贈ってきた場合は、品物を頂戴したうえで、「受け取り主が亡くなったこと」「訃報の連絡が届かなかったことへのお詫び」をお礼状に書いて、いただいた品物の半額から同等額のお返しをします。
7.お中元は相手への感謝を表す贈り物。自分や相手が喪中の際は、相手の気持ちに配慮してマナーを守りましょう
お中元やお歳暮は、日ごろお世話になっている方へ、感謝の気持ちを伝えるためのものです。お祝い事ではないため、自分や相手が喪中であってもお中元を贈ることができますが、相手がご家族を亡くした悲しみから立ち直れていなかったり、多忙で受け取れそうになかったりした時には、お中元を贈ることを控えたり、暑中見舞いを贈ったりなど、相手の気持ちに立って行動しましょう。
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