忌中や喪中に卒業式や入学式に参加しても問題ない?謝恩会や歓迎会は?

忌中や喪中に卒業式や入学式に参加しても問題ない?

「忌中や喪中の人はお祝い事を控えた方がよい」といわれますが、卒業や入学をする本人やご家族にとって一生の思い出となる卒業式や入学式への参加も控えなければいけないのでしょうか。

今回は、そのお悩みを解決するため「卒業式や入学式に忌中・喪中の人が参加してもよいの?」という疑問にお答えします。「卒業式や入学式と同時に開催される謝恩会や歓迎会はどうすればよいの?」「卒業祝いや入学祝いを贈っても大丈夫?」と不安を抱いている方も、ぜひご一読ください。

1.忌中と喪中の意味と期間は?

忌中・喪中の人が卒業式や入学式に参加してもよいのかどうかを考えるにあたり、忌中や喪中の意味をきちんと把握する必要があります。

忌中・喪中の意味とそれぞれの期間について解説します。

忌中の意味と期間

忌中も喪中も、故人様のご家族が、故人様を偲んで過ごす期間という点では同じですが、忌中のほうが喪中に比べてより厳しい制限があります。

忌中の意味と期間について解説します。

忌中とは?

忌中とは仏教(忌中・喪中という概念がない浄土真宗を除く)や神道における考え方で、故人様のご家族が、身を慎んで過ごす期間のことをいいます。

忌中の考え方の元となる神道では、死は穢(けが)れであり、この穢れが他者へと伝染しないようにすべきとしています。そのため、日本では古来より忌中の人は外出を極力避けたり、お酒や肉や魚などの飲食を控えたりと、生活の中のさまざまなことを制限して過ごしてきました。

現代でも、忌中は喪中よりも厳しく身を慎む期間とされ、慶事の参加、新しい土地への転居などはNGとされています。

忌中の期間は?

忌中の期間は、仏教(浄土真宗を除く)では命日から49日間、神道では命日から50日間としています。
四十九日法要や五十日祭を終えると、忌明けを迎えます。

喪中の意味と期間

喪中は忌中よりも期間が長いぶん、どこまでを喪中として過ごせばよいのか悩む方も多いでしょう。
喪中の意味と期間を解説します。

喪中とは?

喪中とは、故人様のご家族が、故人様の冥福を祈って喪に服す期間のことをいいます。喪中は慶事を控え、大切な方を失った悲しみを癒し、日常生活に戻れるよう過ごします。

喪中の期間は?

喪中期間は約1年と考える方が多いですが、厳密には、故人様から見た親等や続柄によって変わります。

続柄ごとによるおおよその喪中期間は、以下を参考になさってください。

・配偶者(0親等)・・・・・・12~13カ月
・父母・義父母(1親等)・・・・・・12~13カ月
・子ども(1親等)・・・・・・3~12カ月
・祖父母(2親等)・・・・・・3~6カ月
・兄弟・姉妹(2親等)・・・・・・1~6カ月
・孫(2親等)・・・・・・1~6カ月
・曾祖父母・伯叔父母(3親等)・・・・・・喪中ではない

喪中期間は続柄や親等の他、故人様との親交の深さによっても変わることがあります。喪中について更に詳しく知りたい方は、「喪中の範囲は何親等まで?喪中はがきを出す相手や文例も解説します」の記事をご覧ください。

2.忌中と喪中の期間にしてはいけないこととは?

忌中や喪中に年賀状を送ってはいけないことはよく知られていますが、それ以外は地域によって異なることもあり、曖昧になりがちです。

ここでは、忌中・喪中にしてはいけないことについて解説します。

忌中にしてはいけないことは?

ご自身が忌中の時にしてはいけないことは、主に以下のとおりです。

・慶事(結婚式や出産祝い、正月祝いなど)の開催、参加
・年賀状を出す
・引っ越し
・家の新築や改築
・お中元やお歳暮を贈る
・宴会やパーティーへの出席
・神社への参拝

忌中の場合、特にしてはいけないことが「神社への参拝」です。これは、忌中がもともとは神道の考え方であり、神社が神道の祭祀の場であるためです。どうしても神社へ参拝したい場合は、忌中が明けてからにしましょう。

喪中・忌中のお正月の過ごし方については、「喪中・忌中のお正月の過ごし方~正月飾、おせち料理、初詣、お年玉は?~」の記事にて詳しく解説しています。

喪中にしてはいけないことは?

ご自身が喪中の時に控えることは、主に以下のとおりです。

・慶事(結婚式や出産祝い)の開催、参加
・年賀状を出す
・宴会やパーティーへの出席
・正月のお祝い

喪中でも、忌中と同じように慶事の開催や参加を控えるべきと考えられています。しかし明確なルールがあるわけではなく、最近では、喪中に限り「年賀状を出すこと」以外は許容されるケースも多いようです。

「スケジュール上どうしても予定を変更することができない」「この日にしか全員が集まることができない」などの理由がある場合は、周りの意見も参考にしながら慎重に検討するとよいでしょう。

3.忌中や喪中に入学式や卒業式に参加しても大丈夫?

忌中や喪中に入学式や卒業式に参加しても大丈夫?

入学式や卒業式は学校が主催するものであり、これまでの成長や頑張りを振り返り、主役となる方の新しい門出を「おめでとう」の言葉とともに祝うものです。

忌中や喪中では祝いごとを控えるべきと説明しましたが、忌中・喪中であっても、ご自身やお子様の入学式や卒業式に参加することは問題ないとされています。

人生の節目ともいえる大きな2つの式典は、本人だけでなくご家族にとっても一生に一度の思い出となります。入学式や卒業式に参加して、卒業・入学する本人、もしくはご家族の成長を故人様に報告してはいかがでしょうか。

もちろん、卒業式や入学式は絶対に参加しなければならないというわけではありません。特に忌中では、大切な方を亡くして日が浅いため、式典に参加できる心の余裕が生まれにくいものです。

そのような場合は無理をせず、気持ちが落ち着いてから家族内でお祝いをしましょう。

4.忌中や喪中に謝恩会や歓迎会に参加してもよい?

忌中や喪中に謝恩会や歓迎会に参加してもよい?

卒業式には謝恩会、入学式には歓迎会などが開かれることがあります。謝恩会とは「生徒や保護者が、お世話になった教職員へ感謝を表すための会」であり、歓迎会は「在学生が新入生に対し歓迎の意を表すパーティー」であることが一般的です。

どちらも華やかな宴席であるため、忌中や喪中は出席を控えるべきと考えるかもしれませんが、忌中・喪中であっても謝恩会や歓迎会に参加することは問題ありません。謝恩会や歓迎会は、卒業式や入学式と同様に大切な思い出となる機会ですので、心の余裕があるようでしたら参加を検討してみてはいかがでしょうか。

中には「忌明けしていないのに参加をしたら、周りが不快に思ってしまうかも」と不安になる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、最近では「忌明け」という言葉そのものを聞く機会が減り、忌明けの意味を理解している人も少なくなりました。

このような現代では、自ら忌中であることを伝える必要はないといえます。そのため、忌中に謝恩会や歓迎会に参加したとしても、周囲を不快にさせたり、自分の心障が悪くなったりすることはないでしょう。

5.忌中や喪中に卒業祝い・入学祝いを贈ってもよい?

忌中や喪中に卒業祝い・入学祝いを贈ってもよい?

ご自身もしくは相手が忌中・喪中の場合、卒業祝い・入学祝いを贈ってもよいのかどうかについて解説します。

自分が忌中や喪中の場合

自分が忌中や喪中の場合に卒業祝い・入学祝いを贈るかどうかについては、相手との関係性を第一に考えつつ、「自分がどうしたいのか」という気持ちを重視して判断されてはいかがでしょうか。

忌中・喪中であることを相手が知っていても知らなくても、「忌中だからといってお祝いを贈らないのは失礼にあたる」「こちらが忌明けになるまで待ってもらうのは申し訳ない」という気持ちがあれば、忌中・喪中でもお祝いを贈ってよいでしょう。

逆に、「忌中でプレゼントを贈る気持ちになれない」「相手から気を遣わないようにと言われた」「相手が、自分が忌中であることを知っているので控えたい」などの理由で、お祝いを贈らなかったとしても問題はありません。その場合は、事情を相手に伝え、後日お祝いの品を用意するのかどうかをゆっくり決めましょう。

贈りものは、お祝いや感謝の気持ちを相手に伝えたいときに贈る特別なものであり、その素直な気持ちが伝わり相手が快く受け取ったときに、感動や喜びが生まれるものです。ご自身にお祝いを贈りたいという気持ちと相手のために選んだり準備したりできる心の余裕があり、また、相手が忌中の方からの贈り物を問題視しないようでしたら、卒業祝い・入学祝いの手配をしてみてはいかがでしょうか。

なお、自分が忌中・喪中の際にお祝いを贈るときは、お祝いを連想させる「のし」「水引」はつけずに贈ります。その場合は、お祝いの気持ちやのしをつけられない理由などをメッセージカードに書いて添えるとよいでしょう。

相手が忌中や喪中の場合

忌中や喪中の相手に卒業祝い・入学祝いを贈りたい場合は、配慮が必要です。

特に忌中では、深い悲しみの中にいることが多いため、お祝いの品を受け取る気持ちになっていないことがあります。相手の心中を察して、忌中に卒業祝い・入学祝いを贈ることは避けたほうがよいでしょう。

また、四十九日を過ぎた(忌明け)喪中期間であれば、お祝いを贈っても基本的に問題はないといえます。ただし、相手によっても状況は異なるため、普段の様子や言動を踏まえつつ判断されるとよいでしょう。

なお、相手が喪中の場合にお祝いを贈る際にも、「のし」「水引」はつけずに贈ります。お祝いとお香典を一緒に贈ることもNGです。相手への思いやりの気持ちを忘れず、細心の注意を払って贈るようにしましょう。

6.忌中や喪中での入学式・卒業式に関するQ&A

花葬儀の事前相談に関してよくある質問と、それに対する回答をご紹介します。

A.「お祝いを送りたい」という気持ちがある場合は、贈っても差し支えありません。

「まだお祝いを贈る気持ちになれない」「忌中であることを相手が知っているので遠慮したい」など気になる場合は、相手に事情を伝え、忌明け後にお祝いを送るとよいでしょう。

A.謝恩会はお世話になった先生方に感謝するための会ですから、喪中の人が参加することに問題はありません。

現代では喪中や忌中を気にする人は少なくなりましたから、ご自分から喪中であることを伝える必要はないでしょう。

A.忌中の場合は、忌明け(仏教では亡くなってから49日後)を待ってから贈ります。

その際、のしや水引には注意が必要です。のし紙は水引なしの「無地のし」にし、表書きには「祝」という漢字は使わずに「御礼」にします。内祝いとしてではなく、あくまでもお祝いをいただいたお礼として贈りましょう。

7.忌中や喪中であっても入学式・卒業式への参加はOK!

忌中や喪中であっても入学式・卒業式への参加はOK!

入学式や卒業式はお子様やご家族にとって大切なイベントですが、その時期に忌中や喪中が重なってしまうと参加してもよいのかどうか不安になります。

しかし、忌中や喪中であっても、入学式や卒業式に出席することは問題ありません。大切な方を亡くした悲しみにひと区切りをつけ、心の余裕が生まれているのであれば、式典に出席してみてはいかがでしょうか。きっと、ご家族の晴れやかな門出を故人様もお喜びになることでしょう。

花葬儀では、葬儀参列者のマナーガイドのページにて、葬儀に参列する際の服装、お香典、お悔やみのご挨拶などについてのマナーを幅広く解説しておりますので、お困りの際はぜひお役立てください。

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