喪中の相手にお年賀は贈れる?寒中見舞いは?マナーや渡す期間を紹介

喪中の相手にお年賀は贈れる?寒中見舞いは?マナーや渡す期間を紹介

「喪中の相手には、お年賀や新年の挨拶を控えるべき」と聞いたことはないでしょうか。喪中の期間は、一般的に約1年とされています。「喪中とはいえ、お世話になっている人にお年賀を贈らないのは失礼なのでは?」と悩む方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、喪中の方へのお年賀や贈り物のマナーについて解説します。「喪中の相手にお年賀を贈るべきか」だけではなく、「寒中見舞いなどの贈り物を渡す際の挨拶マナーや期間」についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。

なお、この記事は、「相手が喪中のときのお年賀」に焦点を当てています。「自分が喪中のときのお年賀」については、「自分が喪中のときのお年賀は贈ってもよいの?」の記事でご紹介しています。

1.お年賀とは?

お年賀とは?

お年賀とは、新年を祝うための贈り物を指します。お年賀の本来の意味は、「神様へのお供え物」にあります。

日本では古くから、歳徳神(としとくじん:新しい年の福徳をつかさどる神様)や先祖の霊をお正月に迎える風習がありました。この風習は時代の流れとともに変わり、新年の挨拶まわりの際に「今年もよろしくお願いします」という意味を込めた手土産として贈られるようになりました。

なお、お年賀は、三が日(1月1日~1月3日)の間に手渡すのがよいとされています。通常、お年賀は目上の人へ贈るものですが、現代では、親戚や友人・知人などにも渡すことがあります。

2.喪中の方にお年賀を渡してもよい?

新年の挨拶として渡すお年賀ですが、喪中の方に渡すことは問題ないのでしょうか?

喪中の相手にお年賀を渡すことは控えるのが無難

結論から言いますと、喪中の相手にお年賀を渡すことは控えたほうが無難です。

「年賀」という言葉には、「新年を祝う」という意味があります。そのため、ご遺族が故人様を悼んでいらっしゃる喪中に「おめでとうございます」と挨拶することは、一般的にはよくないとされています。

元々、死を穢れ(けがれ)として捉え、神様への悪影響を避けようとする行いは、神道の考え方からきています。一方、仏教においては、死は「煩悩から解放され、安らかな仏の世界への旅立ち」を意味するため、お年賀を問題ないと考える寺院も少なくありません。

しかし、現在は神道や仏教の考え方が混ざり合って社会に浸透しており、喪中の相手にお祝いの意味がある「お年賀」を渡すことは失礼と考える方が多いのが実情です。ご家族の気持ちに配慮し、お年賀を控えるのが無難でしょう。

喪中の相手に配慮した行動をとるためには、喪中の意味や、喪中の方のお正月の過ごし方についても知っておくとよいでしょう。詳細は、「喪中・忌中のお正月の過ごし方」の記事が参考になります。

喪中の方にはお年賀の代わりに「寒中見舞い」を

喪中の方にお年賀を贈ることは控えた方が無難ですが、贈り物自体が失礼というわけではありません。

「悲しみの中にある相手に、少しでも元気になってもらいたい」「お祝い事を連想させないように挨拶したい」と考える場合には、お年賀の代わりに「寒中見舞い」を贈る方法があります。

次項より、この寒中見舞いについて、詳しくご紹介していきます。

3.喪中のお年賀の代わりには「寒中見舞い」

ここからは、お年賀の代わりに寒中見舞いを贈る意味や、贈る時期について解説します。

寒中見舞いとは?

寒中見舞いとは、冬の寒さについて相手を気遣う意味を込めて贈るお見舞いのことですが、自身の近況報告を行うこともあります。具体的には「寒い時期を健康に乗り切れますように」という気持ちを込めて、手紙や品物を送るのが一般的です。

お祝いの意味が含まれていない点において年賀状やお年賀とは異なっており、喪中の方にも贈ることができます。

寒中見舞いを送る期間

寒中見舞いは、お年賀を贈る時期よりも少し後、一般的には「松の内」が明けてから「立春」が来るまでに渡します。

「松の内」とは、正月の門松を飾る期間を指します。1月1日から始まりますが、終わる日は地域によって以下のように異なります。

・関東:1月7日
・関西:1月15日

関東から関西へ、もしくはその逆のように送る際は、このような時期に注意する必要があります。

また、2024年の場合、立春は2月4日(年によって日付は前後します)ですから、関東の場合は1月8日から2月4日までに渡すとよいでしょう。

寒が明けると立春になりますが、立春を過ぎると寒中見舞いではなく「余寒見舞い」となる点にも留意する必要があります。

4.喪中のお年賀の代わりに「寒中見舞い」を贈るときのマナー

喪中の相手にお年賀の代わりとして寒中見舞いを贈る際、どのようなことに気を付けなければならないのでしょうか。
こちらでは、寒中見舞いを贈るときのマナーについてご紹介します。

喪中の方への寒中見舞いの「のし紙」は無地

贈り物をするときは、品物に「のし紙(掛け紙)」を掛けるのが一般的です。喪中の相手への寒中見舞いにおいては、のし(右上に添える飾り)や水引(帯紐)がない、無地ののし紙を使用します。のしは本来、お祝い事の贈答品に使われるため、飾りのないシンプルなのし紙を使うのです。

無地ののし紙が用意できないときは、白い奉書紙(※1)または白色の短冊を使うこともできます。ただし、短冊はのし紙を簡略化したものであり、目上の人や高齢の方への寒中見舞いに使うと失礼とされることがあるため、これらの方へ送る際は、避けた方がよいでしょう。

※1 奉書紙(ほうしょがみ)……和紙の一種。古くは公文書用紙として使われていた。現代においては、結婚式や弔辞など、格式が求められるようなシーンで使用される。

喪中の場合の「表書き」

喪中の方へ贈る寒中見舞いの表書きについては、一般的な寒中見舞いの場合と変わりはありません。

のし紙の左右中央に縦書きで、表書き(贈り物の用途)と差出人名を書きます。表書きには、以下のような言葉が使われます。

・寒中御見舞
・御挨拶
・寒中御伺(かんちゅうおうかがい)

目上の方には、「寒中御伺」を使うと、より丁寧な印象を与えられます。

差出人が連名の場合、3名までは並べて書いても問題はなく、右側に一番目上の人の名前がくるようにし、左に向かって他の人の名前も書きます。4名を超える場合は「〇〇〇〇一同」と書く、もしくは代表者名を中央に書き、左側に「外(他)一同」と書いた上で、全員の名前を書いた別紙を中に添えましょう。

夫婦で連名にする場合は、右側に夫の苗字と名前を書き、夫の名前の左側に妻の名前のみを記載します。もしくは「〇〇家」といった家族名を用いてもよいでしょう。

5.喪中の方にお年賀の代わりにお歳暮を贈ってもよい?

喪中の方にお年賀の代わりにお歳暮を贈ってもよい?

寒中見舞いは新年を迎えた後に送るものです。それでは、年が明ける前に贈り物をしたい場合はどのようにしたらよいのでしょうか。代表的なものとしてはお歳暮が考えられますが、喪中の人にお歳暮を贈ってもよいのでしょうか?この点について、詳しく解説します。

喪中の方にお歳暮を贈っても問題ない

お歳暮とは、1年の締めくくりとなる年末に、「今年もお世話になりました」という感謝を込めて、日ごろお世話になっている方に贈る品物です。お祝い事ではないため、喪中の相手にお歳暮を贈っても、マナー違反とはなりません。

対して、お年賀は「新しい年もよろしくお願いします」という気持ちを表すものですから、お歳暮とは意味が異なります。お年賀の代わりとしてふさわしいのは寒中見舞いだと考えられますが、喪中である贈り先のことを考慮し、年内に渡したほうがよいと判断した場合は、お歳暮を贈ってもよいでしょう。

喪中の人にお歳暮を贈る際のマナーや時期は?

喪中の相手にお歳暮を贈る際には、贈る時期やのし紙、表書きに注意が必要です。
それぞれについて、ここから詳しく解説します。

忌中に贈るのは避ける

忌中は喪中の期間の一部にあたり、浄土真宗を除く仏教においては故人様の亡くなった日から49日、神道においては50日とされています。

喪中の中でもとりわけ忌中は、大切な方を失って日が浅く、ご家族は深い悲しみにあるものです。そのようなときにお歳暮を贈ると、「何かお返しをしなければ」「お礼状を書かなくては」と相手に考えさせてしまい、負担をかけてしまうかもしれません。そのような点を踏まえ、お歳暮を贈ることは控えたほうがよいでしょう。

なお、忌明けを迎えた頃に年が明ける場合は、お歳暮ではなく寒中見舞いとして贈りましょう。

故人様宛はNG

故人様と毎年お歳暮のやり取りをしていたとしても、故人様宛にお歳暮を贈る事は避けるべきです。

故人様宛にお歳暮が届くと、ご遺族は「訃報が届いていないのかもしれない」と不安になってしまいます。引き続き送る場合は、ご遺族宛に贈るのが望ましいでしょう。

なお、ご家族様とのお付き合いがそれほどない場合、故人様との死別を機にお歳暮を贈ることをやめてよいとされています。

のし紙にも注意

喪中の方へ寒中見舞いを贈るときと同じように、お歳暮においても「水引のない、無地ののし紙」を掛けます。

表書きは「御歳暮」とし、下に差出人の名前を書きます。のし紙が用意できない場合は、白い奉書紙または白色の短冊が使えます。ただし、短冊は目上の方への贈り物には適していないため、そのような場合は使うのを控えましょう。

6.喪中の方への贈り物は何がよい?

喪中の方への贈り物は何がよい?

喪中の方には、どのような贈り物が適しているのでしょうか。
喪中の方への贈り物としておすすめの品物、避けた方がよい品物について、選ぶ際のポイントを交えて解説します

喪中の方に贈るのにおすすめの品物

喪中の方への贈り物としては、故人様にお供えできるような日持ちする食べ物や花などがよいでしょう。仏式の場合は線香もおすすめですが、神式では線香はお供えしないため、注意が必要です。

また、受け取る方の好きなものや、冬の寒さを乗り越えるのに役立ちそうなものを選ぶのもおすすめです。

【おすすめの品の例】

  • ・日持ちのする食べ物(お菓子、乾物)
  • ・コーヒー、紅茶
  • ・お供え用のお花
  • ・入浴剤
  • ・お線香(仏式の場合)

喪中の方への贈り物として避けるべき品物

喪中の方への贈り物については、現在は厳格なルールは存在しないとされています。ただし、一般的なマナーとして、お祝い事・縁起の悪いことを連想させるようなものや、扱いに困るようなものは避けることが推奨されます。

具体的には、以下のような品物は避けた方がよいでしょう。

【避けた方がよい品の例】
種類 避けた方がよい理由
祝い事を連想させる品物
紅白や鶴、亀、などが印刷された縁起物は、喪中にふさわしくないといわれている。
刃物
「縁を切る」イメージがあることから、贈り物として避けられる傾向がある。
4や9といった個数
くし(櫛)
死、苦を連想させることから、伝統的に不吉とされる。
生もの
保存が難しく、すぐに消費しなければならない。

7.喪中のお年賀に関するQ&A

A.お年賀ではなく「手土産」として渡しましょう。
喪中の相手に「手土産」として品物を渡すことは失礼にはあたりません。例年持参していたお年賀が喪中で渡せない場合は、贈り物を手土産として持っていきましょう。

A.その方の気持ち次第でお渡ししてもよいでしょう。
ただし、お祝い事を控えたい場合は「お小遣い」という形で渡す方法もあります。
お年玉の起源は、「年神様の力が宿ったとされるお餅を分けあう風習」です。しかし現在では、お年玉は新年の楽しいイベントとして捉えられています。そのような中、「お子様を喜ばせたい」という気持ちからお年玉を贈ることは、必ずしもマナー違反ではないと考える方も多いようです。dummy
それでも、ご家族が悲しみに沈んでいたり、祝い事を最小限にとどめたいと考えたりする場合には、「お年玉」ではなく「お小遣い」として渡すとよいでしょう。


A.故人様の死を悼む喪中にご遺族にお会いするときには、「おめでとう」という言葉は避けます。「本年もどうぞよろしくお願いします」といった、お祝いを伴わない挨拶が望ましいでしょう。

8.喪中のご家族に配慮した贈り物をしましょう

ご家族に「おめでとうございます」と伝えるのは適切ではないこともあります。そのため、ご家族の気持ちを考慮し、お年賀を控えることが無難です。

どうしても何かを贈りたい場合は、お年賀の代わりに寒中見舞いを贈るとよいでしょう。ご家族への配慮とマナーを念頭に置き、喜ばれるような品物を選んでみてはいかがでしょうか。贈り物を通じて挨拶や感謝の気持ちを伝えることで、心からの思いやりが伝わるはずです。

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