喪中におせちを食べてもよい?おせちの代わり「ふせち料理」もご紹介!
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
「喪中におせち料理を食べてもよいの?」
これは、喪中のお正月の過ごし方の疑問の中でも特に気になることではないでしょうか。
今回は、この疑問にお答えするとともに、喪中のお正月に避けたほうがよい、あるいは、食べてもよい食材や料理をご紹介します。
「おせち料理」に代わって喪中でも食べられる「ふせち料理」についても解説しますので、参考になさってください。
1.おせちとは?
「おせち」は、漢字で書くと「御節」となります。「御節供(おせちく)」が略されたもので、もともとは、季節の変わり目の大切な日である節日(せちにち)をお祝いするために神様にお供えする料理を意味していました。
この節日は年に何度もあったため、おせちはお正月だけのものではなかったのです。しかし、中でも1年で最初の節日である「お正月」は、年神様(としがみさま)をお迎えして新年の幸福を授けていただくもっとも重要な節日でした。そのため、おせちといえば正月料理をさすようになったといわれています。
2.喪中におせちは控えたほうがよい
喪中に迎えるお正月では、基本的におせちは控えた方がよいとされていますが、いったいどうしてなのでしょうか。宗教・宗派によって異なる見解もご紹介します。
おせちを食べない方がよい理由
喪中期間に、おせちを食べない方がよいとされているのは、前述したように、おせちは新年をお祝いするために作られる料理であり、縁起がよいといわれている食材や料理が入っているからです。
おせちは、お祝いの料理ですから、お祝い事を避けている喪中期間では控える方がよいでしょう。
忌中を過ぎた喪中期間であれば「おせち」を食べてもよい?
故人様との関係が2親等以内の方の場合、故人様との関係性にもよりますが、喪中期間は約1年間となります。そのため、故人様が亡くなってから初めて迎えるお正月は、ほとんどの場合、喪中期間に含まれてしまいます。
このような背景から、忌明け(四十九日後/忌中が終わるタイミング)であれば、おせち料理を食べてもよいとする考え方もあります。ただし、その際には食べる食材や料理に注意する必要があるため、後述するマナーには気をつけましょう。
※「喪中と忌中の違い」や「2親等の範囲はどこまでなのか」については、こちらの記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/mochu_relatives/
宗教・宗派によってはおせちを食べてもよい
神道では死は穢(けが)れとされており、神域に穢れを持ち込むこと、他人に移すことは良くないこととされています。また、浄土真宗以外の仏教では、亡くなった人は49日後に成仏すると考えられているため、喪中はお祝い事を慎むことになっています。
しかし、浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに極楽浄土で仏様に生まれ変わるとされています。また、キリスト教では、死は天国に召されることだと考えられています。このように、浄土真宗とキリスト教では喪中という概念がないため、お正月におせちを食べても問題はありません。
3.おせちの中で「喪中にふさわしくない食材・料理」は?
喪中におせちがふさわしくない、といわれる理由には、お祝いの意味を持つ縁起の良い食材、料理が含まれているからです。そこで、ここでは、具体的に、喪中のおせちにふさわしくないお祝いを意味する食材と料理をご紹介します。
紅白かまぼこ
赤は「魔除け」、白は「神聖さ」を表すため、紅白はお祝いの席に用いられる色味です。また、かまぼこは、日の出の形に似ていることからおめでたい料理だともされています。
鯛
鯛は、「めでたい」との語呂合わせや赤い色であることから、お祝い事によく用いられます。
昆布
昆布は、「よろこぶ」の語呂合わせから新年の「喜び」を表す食材です。
伊勢エビ
伊勢エビはおめでたいイメージがあり、お祝い料理によく使われます。長いひげと曲がった腰から「長寿」を連想させる、縁起物の食材です。
注意事項:飾り切り
食材や料理ではありませんが、料理の飾り方や切り方にも注意が必要です。たとえば、「つながり」を連想させる結びこんにゃく、「おめでたい」松竹梅をかたどった梅花にんじん、「長寿」をあらわす菊をかたどった菊花大根などは、見た目の形や華やかさでお祝いを表現しています。
ご紹介した食材・料理を喪中に食べることは避けたいものですが、それ以外のおせち料理であれば、喪中(忌中を除く)に食べても差し支えないとされています。次項で詳細をお伝えします。
4.おせちの中で「喪中に食べてもよい食材・料理」は?
おせち料理の中には、新年をお祝いする意味を持たない「喪中に食べてもよい食材・料理」もあります。
ここでは、おせちの中で縁起物として重宝されてはいるものの、喪中期間に食べても問題のない食材・料理をご紹介します。
黒豆
黒豆は「まめによく働く」「1年間健康で働けますように」という願いを込めて出される料理です。また、「黒」は悲しみをあらわす色でもあり、厄除けの意味もあるため、問題ありません。
れんこん
れんこんは、複数の穴が「見通しがよくきく」「将来を明るく見通せる」ことにたとえられ、「見通しの明るい1年になりますように」という願いが込められて使われる食材です。
また、れんこんの花である蓮の花は「極楽浄土にふさわしい花」といわれ、その茎であるれんこんも清浄な食材とされ、かつては神様への供物として欠かせない食材でした。
たたきごぼう
ごぼうは、豊作の象徴といわれる黒い瑞鳥(ずいちょう)に形や色が似ていることから、豊作を祈願して食べるものです。また、地中深くまで根を張るため「家が土地に根付いて安定する」という意味を持つ縁起物の食材でもあります。
そうした縁起物のごぼうを使った「たたきごぼう」は、「やわらかく煮て、たたいて身を開く」ことから「ひらきごぼう」とも呼ばれ、「運を開く」との意味を持つ料理です。
伊達巻
伊達巻は、形が昔の書物である巻き物に似ているため、「知恵が増えるように」との願いが込められた、学問や習い事などの成就の意味を持つ料理です。
田作り
田作りは、材料のイワシが、かつては畑の肥料としてもよく使われ、イワシを肥料とした田んぼは豊作になる場合が多かったことから、五穀豊穣を願って食べられるようになりました。
ご紹介したように、喪中(忌中をのぞく)のお正月でも食べられるおせちの食材・料理は、意外と多いものです。「めでたさ」をイメージさせる「おせち」として食べることは差し控え、重箱ではなく皿などに盛り付け、普段の食事として食べるとよいでしょう。
5.喪中でも食べられる「ふせち料理」や「正月料理」とは?
喪中のお正月で控えるべき「おせち料理」に代わって登場してきた、喪中のお正月でも食べられる「ふせち」料理や、喪中でも食べられる主な正月料理について解説します。
ふせち料理
ふせち料理は、喪中のお正月でおせち料理の代わりとなる、精進料理をベースとした「喪中用おせち料理」です。
前述したような喪中のお正月でも使える食材や料理、また懐石料理で出てくるような料理なども入っており、喪中にお正月を迎える家に適した料理として食べる人が増えています。
なお、「ふせち料理」という言葉自体は、近年につくられた造語です。「御節」の御を「不祝儀」の不に代えて、「不節」としたとの説もあります。
正月料理
一般的に、新年を祝う際に食べる伝統的な料理のことを正月料理といいます。しかし、最近は必ずしも伝統にこだわらずに、見た目に豪華さのある「和洋中のごちそうメニュー」「お取り寄せグルメ」も含めて正月料理と呼ぶ傾向にあります。
ここでは喪中でも食べられる主なものをご紹介します。
雑煮(餅)
かつての雑煮は、お祝いの日に食べられる料理でしたが、近年は一般的な料理となっているため、喪中に食べても問題ありません。しかし、紅白かまぼこなど、お祝いの意味を持つ食材は使わないように注意しましょう。
カニのボイルや刺身
お正月の時期の高級食材でもあるカニは、喪中のお正月でも食べることができます。赤い豪華な見た目が正月らしさを演出することから、正月料理のひとつとして用意されることがあります。
※地域によっては、カニをおせち料理に含めている場合があります。
すき焼き・しゃぶしゃぶ
ごちそうをイメージさせる牛肉を使った「すき焼き」や「しゃぶしゃぶ」を、お正月にぴったりな料理として楽しむ家庭は多いものです。野菜からも多くの栄養が取れるこれらの料理は皆が満足できる和食のひとつであり、鍋を囲んで食べることで家族の会話も弾むでしょう。
その他
その他、和食ではまぐろの刺身・金目鯛の煮つけ・焼き魚を、中華ではエビチリ・点心を、そして洋食ではローストビーフ・パエリアなどを好んで用意する家庭が多いようです。
また、正月料理ではありませんが、年越しそばについても触れておきます。年越しそばは、旧年の厄落としや健康長寿を祈願して食べられる料理です。新年をお祝いする意味はないため、喪中期間に食べても問題はありません。
なお、ご紹介した料理が喪中(忌中を除く)の正月料理としてふさわしいかどうかについては、地域の慣習によって異なる場合があります。念のため、地元の方に事前に確認することをおすすめします。
6.喪中に正月料理を食べるときのマナーは?
喪中期間は、基本的におせちを食べるのを控えたほうがよい(食べてもよいとする宗教を除く)とされています。
しかし、忌中をすぎているため、気持ちを入れ替えるためなどを理由に「新年のお祝いに関係する食材や料理を避けた正月料理」を食べる場合もあるでしょう。
そこで、喪中に正月料理を食べるときの守るべきマナーについてご紹介します。
重箱は使わない
おせちの重箱には「めでたさを重ねる」との意味があり、祝い事を避ける喪中にはふさわしくありません。また、喪中に重箱を使えば、「悲しみや不幸が重なる」という意味にもなりかねないため、重箱は使用しないようにします。
祝箸は使わない
祝箸には「おめでたい」という意味がありますから、代用品を使うようにしましょう。
昼間の飲酒は避ける
元日の夜に飲むお屠蘇(とそ)は、お正月に飲む祝い酒であり、無病息災などを願うための縁起物です。しかし、お屠蘇も、夜に飲めばおめでたい印象をなくすことができます。お屠蘇には「邪気を払う」意味もありますから、元日の夜に飲めば、邪気払いにもなります。
ただし、喪中にお酒を飲みすぎたり、どんちゃん騒ぎをしたりするのはNGです。飲みすぎには十分に注意しましょう。
できるだけ少人数で食べる
お正月料理は、ご家族のみの少人数で食べることをおすすめします。大人数で食するのは「めでたさ」を表すことになるため、喪中にはふさわしくありません。ご家族のみの少人数であれば、普段の食事としてお祝いの意味が薄れます。
7.喪中のおせち料理は、ご家族で話し合って決めましょう
喪中は、基本的にはお祝い事の象徴となる材料や料理が使われるおせち料理は控えましょう。ただし、ご紹介してきたように、忌明けであり、かつ食材や器などに注意をすれば、おせち料理を食べてもよいとする考え方もあります。そのため、おせち料理でよく見かけるものでも、新年のお祝いに関係のない食材・料理を食べることは問題ありません。
また、最近ではふせち料理も登場していますから、新年の食事をどうするかは、ご家族がよく話し合って決めるとよいでしょう。
※正月飾りや初詣など、喪中の過ごし方については次の記事が参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/mochu-newyear/
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