喪中におけるお年玉はOK?考え方や守るべきマナーを葬儀社の立場から解説
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
自分が喪中のとき、あるいは、相手が喪中のときに、お年玉をあげてもよいのかどうか悩む方も多くいらっしゃいます。
喪中のお正月においては、さまざまなお祝いの行事を控えるのが一般的ですから、お年玉を楽しみにしている子供たちには「いつも通りに渡して喜んでほしい」と思う一方で、お年玉をお祝い事と捉えると「控えた方がよいのでは?」と迷ってしまいがちです。
そこで、今回は、自分や相手が喪中のときに、お年玉をあげてもよいのか、多くのご相談を受けてきた葬儀社の立場から解説します。お年玉についてのマナーや考え方についてもご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
1.お正月にお年玉をあげるそもそもの意味・由来は?
喪中でのお年玉をどうするのかについて解説する前に、なぜお正月に子供にお年玉をあげる習慣があるのかを知っておきましょう。お年玉の意味がわかれば、喪中のときのお年玉をどうすべきかのヒントが見えてくるはずです。
お年玉は、神様の魂が宿った「鏡餅」だった
お年玉の起源には諸説ありますが、特に有力なのは、「鏡餅」が配られたことに由来するという説です。
昔の日本では、鏡餅には年神様が宿るとされ、神様の依り代(よりしろ)とされていました。この鏡餅を皆で分け合って食べることで、新しい年を平穏に過ごす力を授かると信じられていたのです。
この年神様が宿った鏡餅(年魂:としだま)を、新年に家長が分け与えることによって、幸福や生きる力が得られるとされていました。
このことから、お年玉は成長を願う「めでたさ」や「祝福」といった意味を持っているといえます。
高度成長期ごろから今の姿に
お年玉は、江戸時代には庶民にも広く浸透していました。そのころには、お餅だけではなく、品物やお金も含めた年始の贈り物を「お年玉」と呼ぶようになっていたようです。
「お年玉=お金」となり、贈る相手が主に子供になったのは、昭和30年代後半の高度経済成長期からです。経済的に豊かになる中で、お年玉は新年を祝い、子供たちを喜ばせるイベントとしての要素が強まり、現在に至っています。
2.自分や相手が喪中のときのお年玉の考え方
お正月にお年玉をあげるようになった背景がわかったところで、ここからは、自分や相手が喪中の場合、子供にお年玉をあげてもよいのか考えていきます。
喪中にお年玉をあげるかどうかは「その方の気持ち次第」
お年玉の起源が鏡餅であり、めでたさを表すものでもあることから、かつては「自分や相手が喪中のときには、お年玉を控えるべき」とする考え方が主流でした。
しかし、時代は変わり、お年玉は今では新年のイベントのひとつとされています。そのような中、「お子様を喜ばせたい」という気持ちからお年玉を贈ることは、必ずしもマナー違反だとはいえないのではないでしょうか。
現代においても、「喪中におけるお年玉」について、本来の考え方を重視する方もいらっしゃいますが、実際には「多くの方が寛容に考えている」というのが、葬儀社の経験にもとづく実感です。
※喪中の期間は、親等や続柄によって変わります。それぞれに対する喪中の期間については、こちらが参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/mochu_relatives/
お祝い事を控えたい場合は「お小遣い」としてあげる
お年玉を「お小遣い」などに名目を変えて渡すことも、解決策のひとつです。深い悲しみにある方々を気遣う場合や、祝い事を極力控えたい場合にも、「お年玉」ではなく「お小遣い」と名目を変えることで、気持ちの整理をつけて渡すことができます。
なぜ「お年玉」ではなく「お小遣い」なのかを子供に説明することは、喪中の意味や、亡くなった人を想う大切さを知る機会にもなるでしょう。
※喪中におけるお正月で一般的に控えた方がよい事については、こちらが参考になります。
https://www.hana-sougi.com/blog/mochu-newyear/
3.相手が喪中のとき、これだけは守りたいお年玉のマナー
相手が喪中の際には、自分が喪中のとき以上に、相手に配慮が必要です。以下を参考にして、喪中の方々に対する思いやりを忘れないようにしましょう。
喪中の方に、自分の子供がお年玉をねだらないようにする
喪中のご家族は、まだ深い悲しみに包まれていることが多いものです。そのため、お年玉の準備ができていないこともありますし、お祝い事を避けていらっしゃるかもしれません。
子供たちには、そうした状況を説明し、お年玉をねだらないように伝えることが大切です。喪中の意味や故人様、ご遺族への思いやりを学ぶことにもつながるはずです。
渡すときは「おめでとう」といった言葉は避ける
喪中はそもそも故人様の死を悼む期間であり、晴れがましい言葉や行動は慎むのが一般的です。
喪中にお年玉、もしくはお小遣いを渡すときは、「あけましておめでとう」という言葉を使わず、「好きなものを買ってね」「勉強に必要なものを選んでね」といった言葉を選ぶとよいでしょう。
4.喪中にお年玉を用意するときの素朴な疑問
ここからは、自分や相手が喪中のときにお年玉やお小遣いを用意する際、多くの人が持つ疑問について、わかりやすく解説します。伝統的なしきたりと現代における考え方の双方について、葬儀社の立場で詳しくご説明しますので、ぜひご覧ください。
お金を入れるポチ袋のデザインは?
喪中に渡すお年玉のポチ袋については、従来は「白い無地のものを選ぶ」という意見が多くありました。しかし、現在ではそこまで厳格に考える必要はないかもしれません。
白無地のポチ袋や封筒を使うことは、喪中であることへの配慮を示す方法のひとつです。しかし、子供たちが喜ぶよう、いつも通りカラフルなポチ袋を選ばれる方も少なくありません。
喪中であることと、子供たちを喜ばせたいという気持ちは別々に考えることもできます。喪中のご家族や、相手のお子様を思いやって行動することで、気持ちが伝わることでしょう。
袋の表書きはどうする?
表書きとは、封筒や袋の外側に記されるもので、中身の目的や用途を表します。子供に通常通りお年玉を渡す場合は、袋に「お年玉」と書いても問題ありません。しかし、喪中であるとの理由から、お年玉ではなく「お小遣い」として渡す場合は、「おこづかい」「書籍代」「文具代」「おもちゃ代」などとするとよいでしょう。
また、表書きの代わりに「好きなものを買ってね」「おもちゃ代にしてください」「勉強の本を買ってね」といったメッセージを書くこともおすすめです。
お札は新札?
喪中の際にお年玉やお小遣いとしてお札を渡すことになった場合、新札を用意するかどうかは、渡す方の状況や気持ちによります。
通常のお年玉であれば、新札を用意するのが一般的なマナーとされています。しかし、特に自分自身が喪中のときは、時間的な余裕がなかったり、新札を用意する気持ちになれなかったりする場合もあるでしょう。
そのようなときは、無理をせずに手持ちのお札を使っても大丈夫です。相手に対する心遣いとして、できるだけ汚れていないきれいなお札を使うとよいでしょう。
5.喪中のお年玉に関するQ&A
喪中のお年玉に関しては、家庭によってもさまざまな考え方があります。喪中であるために、お祝い事にも関連するお年玉を受け取ることをためらう気持ちも理解できます。しかし実際には、喪中であってもお年玉のやり取りを気にしない方も多いのが実情です。
相手の方がお子様を喜ばせたいと考えて用意されたお年玉ですので、ありがたく受け取ってはいかがでしょうか。
かつては、父方・母方にかかわらず、喪中の際にはお年玉を控えるものであったかもしれません。
しかし現在では、夫側の親戚の不幸は、妻側の親戚の子供にはあまり関係ないと考える方が多いようです(これは夫・妻の立場が逆でも同じことがいえます)。
したがって、ご自身がお年玉をあげたいと思うのであれば、姪御様にお年玉を渡してもかまいません。もし心配な場合は、お年玉の代わりに「お小遣い」として渡す方法もあります。
喪中にお年玉をあげることに抵抗がある場合は、「お小遣い」の名目で渡す方法があります。もしくは、お正月をずらし、落ち着いてから渡す方法もあります。その場合、待ってもらいたい理由として、故人様についてお子様と会話をしても、故人様をしのぶことになるはずです。
なお、相手に喪中であることを伝えていない場合は、あえてそのことを説明する必要はありません。
6.喪中のお年玉は、相手や自分の気持ちを考慮して渡しましょう
自分や相手が喪中のときのお年玉については、「お年玉としてあげる」「お小遣いとしてあげる」「時期をずらしてあげる」など選択肢は複数あります。人によって考え方はさまざまですが、子どもが楽しみにしているお年玉ですから、柔軟に対応しても差し支えないといえます。もしも迷った場合は、相手のご家族を思いやって答えを出してみてはいかがでしょうか。
また、喪中におけるお正月は、故人様をしのびながら過ごす時間でもありますから、「もし故人様が見ていたら、どう思うだろう」という視点で行動されるのもよいでしょう。
花葬儀では、このような喪中に関するご相談や、万が一のときにサポートが受けられるメンバーシップクラブ「リベントファミリー」をご用意しております。ご不明点があれば、ぜひお気軽にご連絡ください。
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