喪中に節分の行事「豆まきをする」「恵方巻きを食べる」のは問題ない?忌中は?
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
喪中なのに節分の行事を行ってもよいのか?と迷う方もいらっしゃることでしょう。2月3日の節分は、「鬼は外、福は内」と言いながら豆をまき、恵方巻きを味わう明るく楽しいという印象の強い行事ですから、大切な人を亡くし喪に服している人が参加することはできるかどうか、悩まれることと思います。
そこで今回は、喪中に節分の豆まきをしてもよいのか、恵方巻を食べてもよいのか、また忌中ではどうなのか等について詳しく解説していきます。
【もくじ】
1.喪中とは?忌中との違いも理解しよう
まずは、喪中と忌中の意味についてご説明します。
喪中とは?
喪中とは、ご遺族やご親族が亡くなった故人様を偲び、喪に服する期間のことです。この間にご遺族はお祝い事を控え、悲しみを癒しながら日常生活に戻れるよう過ごします。
一般的には、一周忌法要を終えるまでが喪中といわれていますが、その期間は故人様との「親等」や「続柄」によって異なります。
・故人様と同列の配偶者、および1親等の両親の喪中期間は約1年
・1親等の子どもは約3ヵ月~1年
・故人様から数えて2親等の兄弟・姉妹の喪中期間は約1~6ヵ月
なお、法律での決まりはありません。
忌中とは?
忌中とは、故人様が亡くなった日から49日が経過するまで、ご家族を亡くした人が、故人様の冥福を祈る期間のことです。神道はこの期間を50日としています。
また、仏教では、逝去してから49日後に、閻魔(えんま)大王によって生前の行いについての裁きを受けると考えられています。その時に極楽に行けるようご遺族が願う期間として忌中という言葉が使われており、四十九日法要を終えると「忌明け」となります。
一方、神道では死は穢(けが)れであり、忌中はこの穢れを周りに伝染させないように過ごす期間であると捉えています。仏教も神道も忌中の間は祝い事を避け、慎ましやかに生活します。
2.節分にすることは?由来も解説!
次に、「節分にはどのようなことをするのか」具体的な内容と目的、由来についてご紹介します。
節分とは?
本来節分とは、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」と季節を分けた時の前日をさします。季節の変わり目には邪気(鬼)が現れると考えられており、その邪気を祓(はら)うための行事が「節分」と呼ばれるようになりました。
現在では、その中でも新年を迎えたあとの「立春」の前日である2月3日が重視され、節分の行事を行う日として定着しました。1年の中で最も変化の大きい冬から春へと転じるこのタイミングで鬼払いをし、福を招くという中国由来の風習が元になったという説もあります。
ただし、立春の日は太陽と地球の位置関係により、年によって異なることがあるため、節分の日も2月2日や2月4日などにずれることがあります。ちなみに、2024年は2月3日(土曜日)が節分です。
豆まき
節分で豆を投げるようになった経緯は諸説あります。ここでは2つの説をご紹介します。
中国から伝わった風習が変化した
飛鳥時代に中国から伝わったとされる「追儺(ついな)」という儀式が変化したという説です。桃の弓、葦の矢、小豆、五穀などを投げながら鬼に扮した人物を追いかけ、邪気を祓う行事が次第に変化し、豆を使用するようになったといわれています。
京都の伝承
もうひとつは、平安時代前期に伝わった京都の伝承がきっかけという説です。鞍馬山というところに住み都を荒らしていた鬼の目を、豆で打ち退治したという言い伝えから、「魔の目」に豆を投げ「魔を滅した(魔滅)」という語呂合わせが生まれ、豆を使用するようになったそうです。
恵方巻きを食べる
その年の恵方に向かい、無言で恵方巻き(太巻き寿司)を食べる風習は古くからあり、「丸かぶり寿司」「恵方寿司」などいくつかの呼び名がありました。
恵方とは、その年の福をつかさどる歳徳神(としとくじん)がいるとされる場所のことで、その方角は毎年異なります。2024年の恵方は東北東(方位は75度/少し東寄り)です。恵方に向かって行うことは全て吉になると考えられており、恵方巻きを正しく食べることで願い事が叶うといわれています。
また、正しい食べ方を理解してから食べることが大切です。七福神にちなんで7種類の具材が入った太巻きを1人につき1本配ります。その年の恵方を向き、願い事を思い浮かべながら無言で食べきりましょう。無言で食べることによって福が口から逃げないようにするという意味があります。
切り分けたり、残したりしてしまうと「縁が切れる」といわれ縁起が悪いので、自分が食べきれるサイズを用意しておいしくいただきましょう。
神社の節分祭
節分の時には、全国の神社で節分祭という豆まきが行われます。有名な神社において芸能人などが豆まきをし、大勢の人たちが参加している節分祭の様子がテレビ放映されているため、記憶にある方も多いのではないでしょうか。
また、京都の神社では豆まきだけではなく、節分の教えを説く狂言を披露したり、福引を行ったりするなどバラエティに富んだ内容で邪気を祓います。
3.喪中にしてはいけないことは?
故人様を偲ぶ期間である喪中では、控えた方がよいことがあります。
・正月のお祝い
・年賀状を出す
・結婚式などの慶事への参加(要相談)
・結婚式の執り行い(要相談)
・神棚へのお参り
・宴席への参加や旅行(要相談)
近年ではお祝い事の催しや出席に関しては「相手次第で可能」とする考え方も見受けられます。日程の調整ができない、故人様たっての希望があるなどの場合には、よく話し合った上で決定するようにしましょう。
※喪中の範囲(何親等までなのか?)や期間、喪中にできること、控えることについてはこちらの記事にて詳しくご紹介しています。
https://www.hana-sougi.com/blog/mochu_relatives/
4.喪中に豆まきをするのは問題ない?
喪中の人が節分に豆まきをすることは問題ないのでしょうか?
神社以外での家庭内などの豆まきは問題ありません。前述したとおり、節分とは厄払いの行事であり慶事ではないため、喪中の方でも節分に豆まきを行えます。心の余裕があるようでしたら、ご家族やお友達と集まって無病息災を願い、豆まきを行ってはいかがでしょうか。
ただし、世間の目などがどうしても気になる場合は、あまり騒ぎすぎないように行ってもよいですし、無理に行う必要もないでしょう。
5.喪中に恵方巻きは食べてもいいの?
豆まき同様、喪中でも節分に恵方巻きを食べることができます。お正月のおせち料理とは違い、恵方巻きはお祝い料理ではありません。「節分に食べる」ということを抜きにすれば、ただの海苔巻きですから、何も気にすることなく幸せを願って恵方巻を食べましょう。
また、故人様、ご先祖様に恵方巻をお供えすることで、供養にもなります。お供え物は仏さまからの「お下がり」としていただきましょう。お供えする時間に決まりはなく、すぐに下げて食べても問題はありません。
6.喪中に神社の節分祭への参加はOK?
節分祭はとても賑やかなイメージがあるかもしれませんが、喪中の方が節分祭へ参加することは問題ありません。
神社で行う節分のお祭りを「節分祭」、お寺で行うお祭りを「節分会(せちぶんえ)」といいますが、喪中はどちらにも参加することができます。
7.節分で忌中の場合に気をつけることは?
四十九日の法要(神道では五十日祭)を終えていない忌中の場合でも、無病息災を願うことは問題ないため、家で豆まきをすることも、節分に恵方巻きを食べることも問題なく行えます。しかし、注意が必要なこともあります。
節分祭への参加はNG
死が穢れであると考えられている神道では、穢れを伝染させないために、大切な方が亡くなったばかりである忌中の方の神社参拝は慎むべきとされています。そのため、忌中の方は神社で行われる節分祭への参加を控えましょう。
なお、お寺を祭祀の場とする仏教では、死を穢れとは考えていません。そのため、お寺なら忌中でも参拝することができます。節分行事に参加したい場合は、お寺が開催する節分会に行くようにしましょう。
家に神棚がある場合は確認が必要
家に神棚がある場合、本来、節分に使用する豆は神棚にお供えしておくほうがよいとされ、お供えした豆を節分でまくことが多いものです。
ただし、忌中の場合は神棚の正面に白い和紙を張り、封印する「神棚封じ」を行うため、忌中に豆まきをすること自体を控えたほうがよいと考える地域もあります。
現代では市販の炒り豆を直接まくことが多いため、神棚にお供えした豆でなければ豆まきをしてもよいという考え方が一般的ですが、神棚がある場合は、地域の方、身内の方などに相談されることをおすすめします。
8.節分に関するQ&A
A.「福豆」を用意し、夜に家の玄関や窓を開けて「鬼は外!」と言いながら豆をまきます。家の主人、年女、年男、厄年の人が豆をまくと縁起がよいといわれています。
部屋の奥から外へ鬼を追い出すようにまいていき、最後は玄関と窓を閉めて「福は内!」と言いながら部屋の中に豆をまきましょう。
A.炒った大豆を升(ます)に入れ、神棚にお供えしたものです。現代では袋に入った市販品の炒り大豆を使うことが多く、また、地方によっては大豆ではなく殻付きのピーナッツをまくところもあります。
A.一般的には、無病息災をも願い、自分の年齢(数え歳)よりも1つ多い数を食べるとよいとされています。ただし、これは明確に決められたことではなく、地域によっても異なります。
A.昔の厄払いには、匂いの強いもの、尖ったものが使われていました。鬼には「イワシ」と「ヒイラギ」が効くとされ、焼いたイワシの頭をヒイラギの枝に刺した「ひいらぎいわし(柊鰯)」を玄関に置く風習が、一部の地域に残っています。
A.節分に恵方巻きを食べるようになったのは、1932年ごろに寿司屋が商業的に広めたことがきっかけといわれています。関西ではもともと節分に恵方に向かってお参りをする「恵方詣り」という風習があったため、節分と恵方巻きの結びつきが容易であったそうです。
9.喪中であっても節分の豆まきをしたり恵方巻を食べたりすることは問題なし!
節分とは、冬と春の季節の変わり目に邪気を祓い、無病息災を願う行事です。慶事ではないため、喪中であっても節分の行事を行うことができます。忌中でなければ、神社で行われる節分祭に参加してたくさん福を呼び込んでみてもよいでしょう。
とはいえ、喪中や忌中では、大切な人を亡くした悲しみが癒えず、心の余裕が生まれないこともあるかと思います。つらい時は無理をせず、ご自身のお気持ち次第で節分行事を行うかどうかを決めてみてはいかがでしょうか。
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