喪中・忌中にバレンタインのチョコレートを贈ってもよい?パーティーは?
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
2月14日のバレンタインデーが近づくと、スーパーや雑貨店などでは、色とりどりのチョコレートが並びます。チョコレートを渡す人ももらう人も笑顔になるバレンタインですが、「自分、もしくは相手が喪中や忌中の場合に、チョコレートのやり取りをすること」に不安を抱く人も多いようです。
そこで、今回は、「喪中・忌中のバレンタインでチョコレートを渡してもいいの?」「もらってもいいの?」「パーティーへの参加は可能なの?」などの疑問にお答えしますので、お悩みの方はぜひご一読ください。
【もくじ】
1.喪中と忌中の期間は?
喪中はよく知られていますが、忌中については詳しく知らない人も多いものです。そこで、まずは、喪中・忌中の期間について解説します。
喪中の期間
喪中とは、近親者を亡くした方が、故人様を偲んで喪に服し、供養する期間のことをいいます。喪中の期間は約1年と考えている方が多いかもしれませんが、厳密には亡くなった方から数えた親等や続柄によって、おおよその喪中期間が異なります。
故人様を基準とした続柄と喪中期間の目安は、以下の通りです。ただし、この期間は、故人様との親交の深さによっても変わります。
・配偶者(0親等)、父母・義父母(1親等)・・・・・・12~13カ月
・子ども(1親等)・・・・・・・・・・・・・・・・・・3~12カ月
・祖父母(2親等)・・・・・・・・・・・・・・・・・・3~6カ月
・兄弟・姉妹、孫(2親等)・・・・・・・・・・・・・・1~6カ月
・曾祖父母・伯叔父母(3親等)・・・・・・・・・・・・喪中ではない
喪中の範囲や期間についての詳しい解説は、「喪中の範囲は何親等まで?喪中はがきを出す相手や文例も解説します」の記事を参考になさってください。
忌中の期間
忌中とは、死による穢(けが)れを他者に伝染させないよう、故人様のご家族が身を慎む期間のことをいいます。忌中の期間は宗教、宗派によって異なります。
・仏教(浄土真宗を除く)・・・・・・・・・命日から49日
・神道・・・・・・・・・・・・・・・・・・命日から50日
仏教(喪中・忌中という考え方がない浄土真宗を除く)では四十九日法要を、神道では五十日祭を執り行うと「忌明け」を迎えます。
2.バレンタインはお祝い事なの?
バレンタインの起源は諸説ありますが、「戦争によって引き裂かれてしまう恋人たちのために、内緒で結婚式を執り行っていたキリスト教聖職者ウァレンティヌスが殉教した日」という西暦3世紀ごろの逸話がきっかけであるといわれています。
日本ではどのような行事として広まっているのか、ご紹介します。
日本におけるバレンタインとは?
日本におけるバレンタインデーは、2月14日に、大切な方に愛情を伝えたり、日頃お世話になっている方に感謝の気持ちを伝えたりするためにチョコレートをプレゼントするイベントとして広く知られています。この「チョコレートを贈る」という行為は日本独自のもので、海外ではチョコレートに限らず、お菓子や花束、カードなどを贈り合います。
バレンタインデーが流行しだした1958年ごろに、食品メーカーが「バレンタインにはチョコレートを贈ろう」と広告を打ち出したことが、日本でチョコレートが定番化したきっかけのひとつであるといわれています。
バレンタインはお祝い事ではない
バレンタインでチョコレートを始めとしたプレゼントを贈り合うのは、相手への感謝や愛情を伝えるためです。
バレンタインのパーティーを開催するなどお祝い事として捉える風潮もありますが、基本的に、バレンタインは結婚祝いや出産祝い、新築祝いなどのお祝い事には含まれません。
3.喪中、忌中に控えることは?
喪中や忌中に控えることとして「年賀はがきを出してはいけないこと」はよく知られていますが、それ以外はあまり浮かばない方も多いのではないでしょうか。
こちらでは、喪中・忌中に控えなければいけないことをご紹介します。
忌中は神道の考え方
忌中が「死による穢れを伝染させないように過ごす期間」というのは、神道の考え方です。
死は穢れであり、外部との接触によって穢れを広めないよう、日本では古くから、忌中の間は外出を避け、慎ましやかに生活することが求められました。そのため、現代でも忌中が過ぎるまではおもに慶事の開催や参加はNGとされています。
一方、仏教では死を穢れと考えてはいません。人は逝去してから49日後に、生前の行いについて閻魔(えんま)大王による裁きを受けると考えられており、そこで極楽に行けるようご遺族が願う期間を「忌中」としています。
このように、考え方は異なるものの、仏教でも神道と同じように、忌中は喪中期間よりも厳しく慎ましい生活をすべきだとされているため、慶事の開催や参加は基本的にNGです。
喪中・忌中にやってはいけない主なことは?
喪中・忌中にやってはいけないことをご紹介します。
忌中にやってはいけないこと
忌中にやってはいけない主なことは以下の通りです。
・神社への参拝
・年賀状を出すこと
・入籍や結婚式をすること
・宴席、祭典、パーティー、飲み会などを開催または参加すること
・旅行に行くこと
・神棚を開けること
・お中元・お歳暮を贈ること
忌中での過ごし方で特に気を付けなければいけないことは、神社への参拝です。神社は神道の祭祀の場ですので、忌中の方が神社に行くことはNGとされています。神社への立ち入りができないため、神社内で行うおみくじやお焚き上げ、厄除け、初詣なども全て控えます。
喪中にやってはいけないこと
喪中は忌中よりも制限はないものの、以下の内容(「忌中にやってはいけないこと」のうち4つの項目)は控えた方がよいとされています。
・年賀状を出すこと
・入籍や結婚式をすること
・宴席、祭典、パーティー、飲み会などを開催または参加すること
・旅行に行くこと
「年賀状を出すこと」は控えなければなりませんが、近年、それ以外の項目については、本人や関係者の話し合いにより、許容されるケースもあります。
なお、ご紹介した内容は地域によっても異なるため、不安な方は身近な人や菩提寺などに確認しておくとよいでしょう。
4.喪中、忌中にバレンタインのパーティーへの参加はマナー違反?
バレンタインのパーティーに誘われた時は、どのような対応の仕方がよいのでしょうか。
「バレンタインはお祝い事なの?」で前述したように、バレンタインはお祝い事ではありません。しかし、パーティーへの参加は、喪中・忌中にやってはいけない主な事柄に含まれています。
基本的には、賑やかな席となるパーティーへの参加は、忌中は避けましょう。喪中も同様に控えた方がよいとされていますが、ルールとして決まっているわけではありません。相手側が問題視せず、ご自身にとって必要と考えた場合は、参加しても差し支えないでしょう。
5.喪中・忌中でもバレンタインでチョコレートを渡してもよい?
「喪中・忌中にバレンタインのチョコレートを渡すこと」は良くないことと思われるかもしれませんが、自分が喪中・忌中であっても、バレンタインにチョコレートを渡すことは問題ありません。もちろん、もらっても差し支えありません。
バレンタインはお祝い事ではなく、大切な人に感謝を伝える、好きな人に気持ちを伝えるなどのきっかけとなるイベントですから、慶事を控えるべき喪中・忌中とは関係がないと考えてよいでしょう。
ただし、チョコレートを渡したい相手が喪中、特に忌中である場合には注意が必要です。大切な人を亡くし、相手が喜べる心境ではない場合は控え、別の機会に気持ちを伝えるようにしてみてはいかがでしょうか。
6.バレンタインに関するQ&A
ただし、気をつけた方がよいことがあります。手作りの食品が苦手な方に手作りのお菓子を渡す、アレルギーの確認をしないで渡す、職場でバレンタイン中止の決まりがあるにも関わらずこっそり用意してしまう、お返しに困ってしまうような高額なものを贈る、など相手や周りのことを考えずに行動してしまうようなことは避けましょう。
A.問題ありません。
当日渡せない場合は、遅れて渡すよりも事前に渡す方がよいでしょう。慶事を前倒しでお祝いすることはNGですが、バレンタインは慶事ではないためOKです。ただし、渡すタイミングがあまりにも早かったり遅かったりするとイベント感が薄れてしまうので、いずれの場合も前後1週間以内を目安として渡しましょう。
A.相手次第です。
バレンタインの代表的な形としてハートがありますが、その多くが赤やピンクなど、明るい色を使っています。相手が問題視しないようでしたら明るい色でも差し支えないですが、そうでなければ青や黒など、落ち着いた色が使われているものを選ぶようにしましょう。
A.問題ありません。
ただし、まだ気持ちが落ち着いていないようであれば無理にお返しを用意する必要はありません。その場合は相手の方に一言伝えておきましょう。
7.喪中・忌中であってもバレンタインにチョコレートを贈るのはOK!
バレンタインはお祝い事ではないため、自分が喪中・忌中のときに、バレンタインデーにチョコレートを贈ることは問題ありません。
ただし、喪中・忌中の方にチョコレートを送りたい時は、相手にバレンタインを楽しむ心の余裕があるのかどうかをきちんと確認してから渡すようにしましょう。
女性にとって、バレンタインは日頃なかなか言えない思いを気持ちよく伝えることができる大切な機会の1つです。相手を思いやることをいちばんに考えつつ、ご自分の気持ちにも素直に向き合い行動することで、素敵なバレンタインとなることでしょう。
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