喪主と施主の違いとは?選び方や葬儀での役割を解説
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
葬儀を行うときには喪主と施主を決めなければなりませんが、2つの違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、両者の違いはもちろん、それぞれが担う役割や選び方を解説します。
いざ自分が葬儀を行う立場になったときに慌てないためにも、喪主と施主についてしっかり理解しておきましょう。
【もくじ】
1.喪主と施主の違いは?
喪主と施主は、どちらも葬儀を主宰する立場の人を指す言葉ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
喪主とは?
喪主とは、葬儀を主宰する責任者、つまり、ご遺族の代表者として葬儀全般を取り仕切る人のことです。
施主とは?
施主とは、葬儀における金銭的な責任を担う人のことです。具体的には、葬儀の費用を負担したり、お寺や僧侶に対してお布施を納めたりする役割があります。
2.喪主の選び方は?
喪主には「誰が務めるべきか」という明確な決まりはありません。そこで、ここでは、一般的な喪主の選び方をご紹介します。
故人様の遺志を優先して選ぶ
葬儀は故人様を弔うためにあるものです。そのため、もし、故人様が生前に喪主をどなたかに指名していた場合には、故人様の遺志を優先して、その方が喪主を務めることが理想といえるでしょう。
喪主を決める際には、まず、故人様が遺言やエンディングノートなどで喪主を指名していないかどうか、確認することをおすすめします。
故人様のご親族が相談して選ぶ
故人様の意向がなかった場合には、ご親族で相談して選ぶことが一般的です。その際の具体的な決め方についてご説明します。
血縁者の中でもっとも近しい人を喪主とする
ご親族で相談して選ぶときには、血縁者の中から故人様にもっとも近しいと考えられる方を喪主に据えるケースが多く見られます。
現代の慣習における故人様に近しい方の一般的な優先順位は、下記の通りです。
1位 故人様の配偶者(注1)
2位 故人様の子ども(注2)
3位 故人様の両親(注3)
4位 故人様の兄弟姉妹(注4)
5位 故人様のその他の親族
■注1:長男が成人していた場合、以前は長男が喪主を務めていましたが、近年は妻が喪主になることも多くなっています。
■注2:かつては、「喪主を務めるのは男性である」という考え方があり、長男、次男以降の男子、長女、次女以降の女子の順番で喪主が決められていました。しかし、最近はそのような風潮も薄れてきており、長女や次女が喪主を務めることもあります。
また、子どもが娘だけで、かつ結婚している場合、以前は故人様の義理の息子となる「娘の夫」が喪主に選ばれていましたが、今は故人様との血縁の深さを優先して、故人様の実の娘が喪主を務めるケースが増えています。
なお、故人様の子どもが若年で、ほかに血縁者がいない場合は、子どもの後見人が喪主になることもあります。
■注3:故人様が若年であった場合には、基本的に故人様の両親が喪主を務めます。父親が健在であれば、父親のほうが喪主を務めるケースが圧倒的に多いといえます。
■注4:故人様に配偶者も子どももおらず、両親が不在である、あるいは高齢である場合には、故人様の兄弟姉妹が喪主になることも考えられます。
兄弟姉妹においては多くのケースで年長者が務めますが、年齢にかかわらず、故人様とより関係が深かった兄弟姉妹が喪主になる場合もあります。
故人様の近親者を喪主とする
生前に同居をして生活を支えたり、献身的な介護をしたりしていた人がいた場合は、故人様の血縁の深さではなく、実質的な近親者を喪主として選ぶのもひとつの方法です。
たとえば、長男が別居していた場合、同居していた次男や長女が喪主を務めても差し支えありません。
複数人を共同喪主とする
喪主は複数名が務めてもかまいません。たとえば、配偶者が高齢の場合は配偶者と長男が、配偶者が若い方の場合は配偶者と故人様の親が、また兄弟姉妹全員などが共同喪主となるケースもあります。
身寄りがなかった場合は世話人や知人、友人が相談して選ぶ
故人様に配偶者や血縁者など身寄りがいない場合、故人様の世話人や知人、友人が相談して喪主を選ぶケースも考えられます。
世話人とは特定の人物の面倒を見る人のことで、たとえば、故人様が介護施設や老人ホームに入所していた場合は、施設の代表者が世話人となりえます。喪主が定まらない場合は、葬儀社が代理で喪主の務めを果たすこともあります。
3.喪主の葬儀での6つの役割
喪主にはさまざまな役割があります。故人様が亡くなってから葬儀を終えるまでの「喪主の主な役割」を6つご紹介します。
1.葬儀全般の取り決めを行う
喪主は葬儀を主宰する責任者であり、葬儀全般についての決定権を持ちます。また、ご親族の代表でもあります。
葬儀にはさまざまな人がかかわり、立場や考え方も異なるため意見が割れる場面もあるでしょう。そのようなときには、喪主が最終的な判断を下します。
2.葬儀社との打ち合わせ
喪主は、まず依頼する葬儀社を決めます。そして、ご親族と決めた葬儀に関するおおまかなプランをもとに、葬儀社と葬儀の具体的な内容や流れ、費用、人数、祭壇、車輌、料理などに関して(施主も交えて)打ち合わせをします。
また、当日、葬儀社との打ち合わせ通りに葬儀が進行しているかどうかを確認することも、重要な役割です。
3.寺院とのやり取り
菩提寺がある場合、葬儀の日程調整や戒名に関する希望を伝えることなど、寺院とのやり取りを喪主が行います。菩提寺がなく、葬儀社から紹介された寺院とやり取りする場合も同様です。
また、葬儀当日に僧侶が到着した際に出迎えて挨拶をし、お布施を渡すことも、喪主の役割です。
4.親戚や参列者など関係者への訃報連絡の手配
親戚、故人様の友人・知人、故人様や喪主様の会社関係者などへの訃報連絡は、基本的には喪主が行いますが、連絡する人数が多い場合などはご遺族で分担して行います。その場合の具体的な指示も、喪主が行います。
5.弔問客の応対
喪主は、通夜、葬儀・告別式ともに、弔問客の応対をします。
親戚や友人・知人の方々に対しての挨拶や、生前、お世話になった方へのお礼を述べるのも喪主の役割です。
6.場面に応じて挨拶を行う
葬儀では、喪主が挨拶をしなければならない場面が何度かあります。通常、通夜式終了時と告別式終了時には、喪主が挨拶をします。
ほかにも、通夜振る舞いの開始時や終了時、精進落としの開始時や終了時においても、おもに喪主が挨拶をします。
4.施主の選び方は?
施主も「誰がならなくてはならない」というルールはありません。ただし、喪主と違い施主は費用を負担する立場ですので、選ぶというよりは自ら手を挙げるケースが多いでしょう。
詳しくは後述しますが、喪主が施主を兼任しても問題はなく、近年では喪主が施主を兼ねるケースが一般的となっています。
また、葬儀費用を複数人で負担する際には、施主を立てなくてもかまいません。
5.施主の葬儀での役割
施主は葬儀の費用を負担する人と前述しましたが、単に金銭を支払うだけではなく、費用にまつわるさまざまな場面で必要な役割を果たします。施主の役割を3つご紹介しましょう。
1.葬儀社とのやりとり
施主は葬儀の費用を負担するため、葬儀社とのやりとりも行います。
喪主が葬儀社と打ち合わせをする際には同席し、葬儀の内容や進行、見積もりや契約、供花の並び順など、多岐にわたって喪主と葬儀社の間で調整を図ります。
2.葬儀に関するお金まわりの管理
葬儀の費用を負担し、お金にまつわる一切の管理を行うことが、施主の役割です。
僧侶に対しお布施を渡すこと、葬儀社への支払い、葬儀当日の供花や供物の取りまとめや香典の管理など、金銭面のとりまとめを行います。
3.喪主のサポート
喪主と施主の役割分担については明確な決まりはなく、基本的に両者で役割を決め、相談しながら葬儀の準備を行います。
葬儀当日、施主は黒子に徹するケースもありますが、喪主とともに参列者に挨拶をする場合もあります。施主の役割は、必要に応じた喪主のサポート全般と言ってよいでしょう。
6.喪主と施主の兼任
喪主が施主を兼任することが一般的であることは前述しましたが、ここでは、最近の喪主と施主の兼任の傾向と、兼任されないケースについてご説明します。
喪主と施主の兼任が一般的
かつては、たとえば父親が亡くなって幼い長男がいる場合は、形式的に長男が喪主を務め、故人様の妻が施主として葬儀を取り仕切るといったケースがありました。
しかし、現代では、成人ではない子どもを喪主にして施主を別に立てることはほとんどなくなり、配偶者などの故人様に近しい人(前述した優先順位を参照)が喪主と施主を兼任することが一般的です。
喪主と施主が兼任されない場合とは?
最近は喪主が施主も兼任するパターンがほとんどですが、兼任されないケースにはどのような場合があるのでしょうか。
喪主が高齢者の場合
たとえば、喪主が配偶者で高齢者の場合、故人様の成人した子どもが施主として、金銭面のサポートだけでなく葬儀の取り仕切りも代わりに行うことがあります。
喪主が費用を負担できない場合
喪主が葬儀の費用を負担できない場合は、近しい血縁者、あるいは血縁関係によらず喪主の家の当主が施主となる傾向にあります。
たとえば、結婚した実子の娘が喪主を務める場合、その家計を支えている「娘の夫」が施主を務める場合があります。
社葬(合同葬)の場合
ご遺族と会社が合同で行う合同葬では、喪主はご親族の代表者が務め、施主は会社が担います。
*社葬における喪主と施主の役割について詳しく知りたい方は、下記のサイトを参考になさってください。
https://www.hana-sougi.com/blog/shasou/
7.喪主や施主を中心にご親族が協力し合い納得のいく葬儀を
喪主はおもに葬儀全般を取り仕切り、施主は葬儀の費用を負担します。個人葬においては、近年、ほとんどのケースで喪主が施主を兼任するため、その責任は重く、やらなければならないことも多岐にわたります。
また、喪主という役割は何度も経験するものではないため、肉体的な負担だけでなく精神的にも負担が大きくなりがちです。このような中でも、故人様をしっかりと見送るために、そしてご親族の皆様が納得のいく葬儀にするためには、喪主様だけで抱え込まずに、ご親族の協力を得ることも必要でしょう。
もちろん、葬儀社のサポートを受けることも大切です。専門スタッフの適切な判断をあおぎなから葬儀を執り行うと、安心して進めることができるでしょう。
花葬儀では、お客様のお悩み、ご相談など、お困りのことについて丁寧にサポートを行っております。24時間365日、スタッフがご相談をお受けいたしますので、まずはご連絡ください。お急ぎの際にも喪主様、施主様に寄り添い、お手伝いさせていただきます。
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