【2024年版】葬儀のお布施~金額の相場、渡し方とタイミングのまとめ~

お布施の金額の相場やタイミング

葬儀、法事でよく聞かれるお金に、「お布施」というものがあります。「お布施」とは『葬儀、法要の際に読経いただいた僧侶(お坊さん)に渡すお金』ですが、そもそもなぜ渡すようになったのでしょう。今回はお葬式での「お布施」の具体的な意味や、その金額の相場、僧侶に渡すタイミングなどをご紹介します。

1.なぜ葬儀でお布施を渡すのか?

お布施を渡す理由

お布施の「布施」という言葉は、他人に財物を施す、相手の利益になるよう教えを説くといった意味があります。その意味をさらに分けると、以下の3種類になります。

  • ・財施(ざいせ):金銭、衣服、食料といった財を施すこと。
  • ・法施(ほうせ):読経などを通じ、仏の教えを説くこと。
  • ・無畏施(むいせ):恐怖心や不安を取り除き、安心感を与えること。

今回取り上げるお布施は金銭のやり取りですので、「財施」にあたります。この財施は、葬儀の場でどのような意味をもっているのでしょうか。 

お布施の意味

最初にお話ししましたが、お布施とは、葬式などの仏事で僧侶に渡すお金のことです。読経や戒名をいただくなどの僧侶の仕事(「法施」と呼ばれています)にたいする謝礼としてお渡しする、という認識の方も多いのではないでしょうか。
しかし、そもそもの「お布施」とは、古くから仏教に伝わる「六波羅蜜(ろくはらみつ)※注1」と呼ばれる6種類の修行のひとつであり、お寺からの法施に対する感謝や寄付の気持ちを金銭に代えたものです。読経に対して対価を求める、請求金額を支払うものではありません。そのため、お寺としても具体的なお布施の金額を聞かれても『お気持ちで』と答えるしかなく、お渡しする金額がわからないと戸惑う方も多いようです。
なお、お布施を渡す相手は葬儀のときに読経いただいた僧侶ですが、その懐に入るのではなく、お寺の運営に使われることになります。つまりお布施は、お寺の本尊、つまりそこに祀られている仏様に対して納めるものです。金額に決まりはありませんが、お布施はお寺を維持するためにとても大切なものといえます。

※注1六波羅蜜とは
仏教において、この世に生きながら仏様の境遇に至る修行のこと。具体的に以下の6つがある。
布施(ふせ):貪欲の気持ちを抑え、見返りを求めず恵みを施すこと。
持戒(じかい):欲望をコントロールし、悪行に走らないよう実践すること。
忍辱(にんにく):つらさ、苦しみ、悲しみを耐え忍ぶこと。
精進(しょうじん):精神を集中させ、懸命に努力すること。
禅定(ぜんじょう):精神をある対象に集中させ、宗教的な精神状態になること。
智慧(ちえ):ありのままの姿を見極め、自らの執着から離れて正しい判断や行いができる心のはたらきのこと。

2.葬儀・法要におけるお布施の相場

お布施の相場

繰り返しますが、お布施は僧侶への仕事の依頼料ではありません。そのため、金額は明確に決められていないのですが、おおまかな相場はあるようです。地域によって異なることもあるので、ご自身の地域と照らし合わせて確認しましょう。
また、僧侶の交通費(お車代)や戒名を授けてくださった場合の戒名料を、お布施とは別に用意する必要があります。そちらの相場も地域別にご紹介します。

葬儀のお布施、お車代、戒名料の地域別相場

◎葬儀のお布施と戒名料、お車代

地域、式別のお布施、お車代、戒名料の相場
  北海道、東北 関東、近畿 中国、四国、九州
通夜・葬儀・告別式 15万円程度 20万円程度 15万円程度
法事・法要 3~5万円程度
お車代(交通費) 5000円~1万円程度
戒名料 戒名の位に応じて異なる

※参考:よりそうのお葬式「通夜/葬儀・告別式のお布施の金額相場」より

◎戒名料(戒名を授けていただいたことに対するお布施)
宗派や戒名の位(くらい)※注2によって金額は変わります。ただ、基本的には以下の一覧の範囲に入るようです。
※注2 戒名の位
人間でいう「○○様」「○○さん」といった敬称にあたるもの。お寺に対する貢献度、お布施の金額、社会貢献度といった、故人様の生前の評価が反映され、位の高さによって与えられる称号は変わる。別表では右に進むにつれて位が高くなる。

代表的な戒名の位と相場
戒名の位 相場
信士(しんじ)・信女(しんにょ)
釋(しゃく)・釋尼(しゃくに)
10万円~50万円
居士(こじ)・大姉(だいし)
院釋・院釋尼
50万円~80万円
院信士・院信女 30万円~100万円以上
院居士・院大姉 100万円以上

※参考:株式会社加登「戒名料の相場」より

葬儀のお布施の平均金額

2020年の調査によると、お布施の金額の平均値は約23.7万円です。ただし、これは平均値で、

  • ・1万円以上10万円以下の割合:27.6%
  • ・11万円以上20万円以下の割合:22.7%

となっています。さらに1万円未満の割合も6.4%あり、20万円未満が半数以上を占めています。この相場に、お車代(交通費)や戒名料をプラスした金額を見積もるとよいでしょう。

お布施の金額について

参考:株式会社鎌倉新書「第4回お葬式に関する全国調査(2020年)平均費用や選ばれた葬儀の種類、会葬人数まで幅広いデータを速報値で開示」より

葬儀のお布施が不要な場合

ここまでお話ししたお布施の文化は、仏教独自の考え方です。

  • ・キリスト教や神道など、ほかの宗教で葬儀を執り行う場合
  • ・宗教儀礼に関係のない「自由葬」または「無宗教葬」を執り行う場合
  • ・火葬だけおで終わる「火葬式」の場合

など、僧侶を呼ばない形式の葬儀なら、お布施の用意は必要ありません。また、少し意外かもしれませんが、仏教方式での葬儀を希望していても、ご遺族などの関係者が「僧侶は呼ばなくてよい」と判断すれば、僧侶なし、お布施も不要で葬儀を執り行うこともできます。

僧侶を呼ばない葬儀の注意点

さきほどお話ししたとおり、関係者の希望があれば、仏教方式でも僧侶を呼ばずに葬儀を執り行うことはできます。
しかし、ご自身は宗教にこだわりがなくても、先祖代々、檀家としてお寺とお付き合いをしている場合があります。(「菩提寺(ぼだいじ)」といいます)。僧侶を呼ばない葬儀を考えている場合、ご自身の家系に菩提寺があるか、忘れずに確認しましょう。(葬儀社の担当者からも必ず確認があります。)
菩提寺がある場合、通常、檀家の葬儀の読経はそのお寺がおこないます。葬儀が終わったあとに、「なぜ葬儀のときに声をかけてくれなかったのか?」とトラブルにもつながることもありますので、不安な場合は読経してもらう方がよいでしょう。とくに菩提寺でお墓を管理している場合、お寺によっては納骨させてもらえなくなることもあります。

3.葬儀のお布施の渡し方と、渡すタイミング

お布施を渡すタイミング

続いて、お布施の渡し方についてです。慶時でのお金の包み方にマナーがあるように、弔辞にもマナーがあります。渡すタイミングはもちろん、お布施とは別に用意する戒名料やお車代をどのように渡すかなど、お金の包み方についても見ていきましょう。

渡し方は大きくわけて2パターン

お布施を渡すタイミングに決まりはありませんが、以下のいずれかで渡すことが多いようです。

  • ・葬儀の式の前、お坊さんに挨拶をするタイミング
  • ・葬儀の後、お坊さんにお礼を伝えるタイミング

渡すタイミングは、葬儀当日に葬儀社の担当者が取り計らってくれるので、そちらに従えば大丈夫です。
お布施は手渡しではなく、「切手盆(きってぼん)」と呼ばれる黒塗りの小さなお盆や、お布施を包む絹の布である袱紗(ふくさ)に置き、文字の正面を僧侶に向けて差し出すことが一般的です。お布施を包む封筒は、白無地の封筒に黒い墨で上段に「御布施」、下段に施主の名前(「○○家」や「苗字のみ」も可)を、それぞれ縦書きで記入しましょう。「御布施」の文字が印刷された市販の封筒を使ってもかまいません。

4.お布施と戒名料、お車代は分けて渡すべきか

お布施、戒名料など、お渡しするお金にはいろいろな種類がありますが、これらは一緒に渡しても大丈夫です。
ただし、葬儀と同じ日に執り行うことがある初七日法要を別の日に営む場合など、別々に渡すこともあります。お布施と戒名料を分けた方がよいか、一度、葬儀社の担当者に確認しておくとよいでしょう。まとめて渡す場合、封筒の記載は「御布施」のみで大丈夫です。
なお、交通費にあたるお車代については、別個にお渡ししましょう。これは、お車代が「僧侶が足を運んでくださったことへの対価」と考えられ、「感謝の気持ち」という意味合いのお布施とは性格が異なるためです。封筒の表書きは、白い無地の封筒の上部に黒文字で「お車代」と縦書きすることが多いようです。

5.葬儀のお布施に関するQ&A

花葬儀の事前相談に関してよくある質問と、それに対する回答をご紹介します。

A.お布施袋の表書きには濃墨を使用します。

通夜や葬儀に渡す香典袋には薄墨を使用します。これは、悲しみのあまり、涙で書いた文字が薄くなったことを表現するためです。お布施は僧侶に対する感謝の気持ちですから、薄墨にする必要はなく濃墨で書きます。

A.はい。僧侶に読経を依頼した場合は、お布施を渡します。

亡くなった人の冥福を祈るための儀式である「忌日法要」や「年忌法要」を執り行う場合は、僧侶に読経をお願いするのが一般的です。その際はお布施を包みます。

A.はい。基本的に、お布施は相続税を計算する際の控除の対象となります。

控除の対象となるもののひとつに「葬式費用」があります。お布施の内容が「葬式においてお寺などに読経料などのお礼をした費用(交通費、御膳料、お土産代も含む)」であれば葬式費用に該当するため、相続財産から差し引くことができます。

6.まとめ

今回の要旨を、もう一度振り返ってみましょう。

  • ・お布施の相場は関東、近畿地方で20万円程度、それ以外の地域では15万円程度。
  • ・お車代や戒名料はお布施とは別に用意する。
  • ・僧侶を呼ばない葬儀はお布施は不要。お付き合いのあるお寺(菩提寺)があるかを事前に確認する。
  • ・お布施を渡すタイミングは、葬儀前に挨拶をするとき、葬儀後にお礼を伝えるときのどちらか。

少しでも不安があれば、葬儀社の担当者に相談し、アドバイスを求めましょう。
どのような金額であっても、大切なのは法施をしてくださったお寺、お坊さんに対する「感謝の気持ち」です。気持ちを込めてお渡しし、気持ちのよい送り出しを心がけましょう。

花葬儀は「100人いれば100通りのお葬式」をコンセプトに、完全オーダーメイドの花祭壇をお作りする葬儀社です。フラワーデザイナーが故人様の生前のお人柄を「花」で表現し、葬儀コーディネーターと共に唯一無二のお別れの時間をご提案いたします。大切な方へのこれまでの感謝の思いを花祭壇で届けませんか?ぜひお気軽にお問合せください。

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