お墓参りにはいつ行くのがよい?時期や時間、マナーを解説
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- 【 お墓の基礎知識 】
お墓参りは故人様やご先祖様をしのぶ大切な機会ですが、「お墓参りはいつ行くのがよいのか」「お墓参りの正しい作法とはどういったものだろう」と疑問に思う方もいらっしゃいます。中には適切な時期や方法がわからず戸惑う方も少なくありません。
今回は、お墓参りに適した時期や時間帯、手順やマナーなどについて、詳しく解説いたします。これまでお墓参りをする機会が少なかった方や、あらためて作法を確認したい方は、ぜひこの記事を参考にして、お墓参りにお出かけください。
1.結論:お墓参りを行うのはいつでもいい
結論から申し上げれば、お墓参りは「いつ行ってもよい」とされています。お墓参りは、故人様やご先祖様を大切にする行動ですから、特定の時期に限定されるものではありません。日本では、お盆や彼岸などの特別な時期にお墓参りを行う習慣がありますが、それ以外の日でも自由にお墓参りをすることができます。
大切なのは「お墓参りをいつ行うか」ではなく、故人様に対する敬意と感謝の気持ちを持って、心を込めてお墓参りをすることです。いつでも故人様を思い出し、供養することができるのが、お墓参りのよいところでしょう。
2.人によっては「お墓参りを避けるべき」とする日もある
お墓参りは基本的にいつでも行っていただけますが、一部の方が「お墓参りを避けるべき」と考える日もあります。ご家族やご親戚がそれらの日を気にされている場合は、無理にその日にお墓参りを行おうとはせず、話し合って日程を調整しましょう。
次項から、「お墓参りを避けるべき」とされる日の一例をご紹介します。
仏滅
仏滅は「六曜」の一つで、「大凶」とされる日です。六曜とは、元々中国から伝わった占いに用いられるもので、日本には鎌倉時代に伝来しました。仏滅にお墓参りを避ける考え方は、この六曜の解釈に基づいています。
ただし、実際には六曜と仏教とは無関係で、お墓参りに特別な影響を与えるものではありません。
友引
友引も六曜のひとつですが、友引には弔事に関連する行動を控えるべきとの考えもあります。これは、「友引」が「友を引く」と解釈され、亡くなった人が生者を引き寄せると考えられるためです。ただし「仏滅」と同様、あくまで伝統的な解釈であり、お墓参りの本質的な意味を左右するものではありません。
年末年始
一部の地域やご家族間では、年末年始にお墓参りを避ける方もいらっしゃいます。背景には、以下のような考えがあるようです。
・新年を迎える準備が整っていない時期にお墓参りを行うことは、縁起が悪い
・お正月はお祝いの時期であるため、死者が眠る場所を訪れることは好ましくない
毎月29日
「毎月29日にはお墓参りを避ける」との考えもありますが、これは数字の「29」が声に出して読むと「二重苦(にじゅうく)」と聞こえる事に関係しています。
ここまでご紹介したような考えは個々人の信念によって異なるものですので、ご家族や地域の慣習を考慮しつつ、気持ちよくお墓参りできる日を選ぶことが大切です。
3.お墓参りに適しているのはいつ?一般的なお墓参りの時期
お墓参りはいつ行ってもよいのですが、多くの人がお墓参りに行く時期や、一般的にお墓参りに適しているとされる時期はあります。ここでは、それらをご紹介します。
お盆
お盆の時期は、亡くなったご先祖様が家に帰ってくるとされる期間で、多くの人がお墓参りに訪れます。
お盆の時期は、地域によって以下のように異なります。
・全国的には8月15日前後
・東京都心部ほか一部地域:7月15日前後
・沖縄や鹿児島の一部:旧暦の7月15日前後
お盆期間中のお墓参りは、基本的にはいつでも構いませんが、より故人様やご先祖様に敬意を払いたい場合は、霊があの世から現世に来る「お盆初日」が最適だとされています。詳しい考え方については「お盆のお墓参りはいつ行くとよい?」でも解説しておりますので、ご一読ください。
お彼岸
お彼岸は、春分の日と秋分の日を中日とし、その前後3日間を含む計7日間の時期です。この時期は、昼夜の長さがほぼ同じになり、この世とあの世がもっとも近づくとされます。そのため、故人様に思いが通じやすく、自らも極楽浄土に近づけると考えられているのです。
春分の日は毎年3月、秋分の日は9月にありますが、毎年の日程は異なるため、お彼岸のお墓参りを考える際は、最新のカレンダーをご覧ください。
命日(吉祥命日・月命日)
命日とは、故人が亡くなった日、つまり「没年月日」のことで、以下の2つがあります。
・祥月命日:年に一度の故人様が亡くなった月日
・月命日(月忌):毎月の故人様が亡くなった日
命日は故人様をしのび、供養をする最適な日であるため、多くの方が命日にお墓参りを行います。
法要
法要とは、故人様を追悼し供養するための仏教儀式です。法要の種類はさまざまありますが、中でも故人様が亡くなった日を基準として行われるのが、忌日法要と年忌法要です。
また、先にご紹介したような、お盆やお彼岸、命日にあわせて法要を行うこともあり、多くの方がこれらの法要に合わせてお墓参りを行います。
法要の種類 | 意味 | 例 |
---|---|---|
忌日法要 | ご逝去から四十九日までの間に執り行う |
・初七日
・四十九日など |
年忌法要 | 仏教的な節目の年に執り行う |
・一周忌
・三回忌など |
その他 | 忌日法要、年忌法要以外の仏教行事における法要 |
・彼岸法要
・月忌法要 ・新盆法要など |
年末年始
「年末年始にお墓参りを避ける方もいらっしゃる」とご紹介しましたが、この時期はご家族が集まりやすいため、お墓参りに出かける方も少なくありません。多くのご家族が一年の感謝を込めて、年末にお墓の掃除を行います。また、新しい年のはじまりを故人様とともに祝い、一家の安泰を祈る方もいらっしゃいます。
その他、自分やご親戚のタイミングに合わせて
お墓参りは、必ずしも決まった時期だけでなく、個人やご家族の状況に応じて行われることも多くあります。
ゴールデンウィークなどの長期休暇のタイミングで、ご家族やご親族が一堂に会した際にお墓参りをすることもあるでしょう。また、進学、就職、結婚などの重大な出来事を故人様に報告するためにお墓参りをする方もいらっしゃいます。
このように、お墓参りをいつ行うかは、それぞれのご家族の事情や考え方によって異なりますので、自分たちにとって最適なタイミングを選ぶとよいでしょう。
4.お墓参りをする時間帯はいつ(何時頃)がよい?
お墓参りの時期や日程について解説いたしましたが、ここからは「お墓参りに行く時間帯はいつごろがよいのか」を解説いたします。
午前~日中の間がベスト
お墓参りの時間に厳密な決まりはありませんが、一般的には午前から日中にかけての時間帯が適しています。早い時間帯に訪れることで、掃除やお参りを静かに、じっくりと行うことができます。また多くの墓地には夜間照明がないため、足元が明るい日中に訪れるのが望ましいです。
ただし、特に夏の暑い時期は、体力を消耗しやすく熱中症のリスクもあるため、日差しが強くない涼しい時間帯を選びましょう。
「ついで参り」は避けるのがマナー
お墓参りにおいては、他の用事のあとや、何かのついでに行う「ついで参り」は避けるべきとされています。「ついで参り」は、「お墓参りは真摯な心を持って行うべき」との考えに反するとされるからです。
しかし、現代では、多忙な日常の中で、お墓参りをする機会をつくることが難しい場合もあります。用事が重なったときはご先祖様に敬意を払い、最初にお墓参りをするとよいでしょう。
5.法要がある場合の墓参りはいつ?
法要のときには多くの方がお墓参りをされますが、必ずお墓参りをしなければならないのでしょうか。法要の際にお墓参りを行うときの流れとあわせて解説します。
法要があるときは墓参りもしなければいけない?
お墓参りは故人様を供養する大切なものですが、必ずしも法要の当日に行う必要はありません。特に以下のような場合は、お墓参りを別の日に行うことはよくあります。
・法要を行う場所とお墓のある場所が離れている
・法要を行う当日に、時間的制約がある
・遠方から法要に参列するご家族がいる
お墓参りは法要の一部ではないため、法要の前後や別の日にお墓参りを行っても問題ありません。どうしても都合がつかない場合は無理をせず、お仏壇に手を合わせるだけでも十分です。ご家族の事情に合わせて、無理のない形で供養を行い、故人様に思いを馳せましょう。
法要・墓参りの流れ
法要の際にお墓参りをするときの流れは、「法要」「お墓参り」「会食」の順番で、一般的に以下のようになります。
1.僧侶の読経ならびに参列者のお焼香
2.僧侶の法話を聞く
3.お墓の清掃をする
4.お墓参りを行う
5.ご親族や参列者で食事をしながら、故人様の思い出を語り合う
お墓参りの詳しい手順については「7.お墓参りを行う手順」で説明しておりますので、ご参照ください。
6.お墓参りはいつまで行くものか
「お墓参りをいつまで続けるか」といった期間や、お参りする頻度に厳格なルールはなく、それぞれのご家庭や個人に委ねられています。しかし、お墓の管理と安全性の観点からは、定期的な訪問と手入れが重要です。
一般墓のお墓参りの場合、理想的には、月に1回程度の頻度でお墓参りをすることが推奨されています。これは掃除を兼ねてお墓参りをすることで、墓石に汚れが蓄積することを防ぎ、こまめなメンテナンスができるからです。
お墓の敷地内の木や雑草を放置すると、根が墓石に悪影響を与え、劣化を早める可能性があります。お墓が崩れ、他の参拝者に怪我をさせる恐れもあるのです。
自分以外に墓守の方がお墓の近くに住んでおり、定期的に手入れをしている場合は、年に数回の訪問でも十分な場合があります。しかし、ご家族の皆が遠方に住んでいたり、お墓参りが困難であったりする場合は、お墓の引っ越しと呼ばれる「墓地移転(改葬)」や墓じまいも選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
7.お墓参りを行う手順
ここからは、お墓参りを行う手順について解説します。一般的なお墓参りを行う手順は、以下のとおりです。
1.手桶とひしゃくを借りる
・管理事務所から手桶(バケツ)とひしゃくを借りる。
・手桶に水を満たし、お墓まで運ぶ。
2.墓石などを掃除する
・お墓に合唱・礼拝し、墓石や花立て、香炉等の掃除をする。
・区画内の雑草を取り除き、植木の枝を切るなどの手入れも行う。
3.線香を墓前に供える
・ロウソクに火を灯す。
・ロウソクから線香に火をつけ、墓前に供える。
4.花と水、食べ物を供える
・花立てに新鮮な花を供え、ひしゃくで水受けに水を注ぐ。
・果物や菓子などの食べ物を半紙の上に置いて墓石にお供えする。
5.合掌、礼拝を行う
・数珠をかけて左右の手のひらをぴったり合わせ、軽く目を閉じて頭を傾ける。
・ご遺族、ご親族、友人・知人・・・のように、故人様と縁の深かった方から順番に行うのが通例。
6.ゴミ・お供え物を片付ける
・お参り終了後は、掃除した枯れ葉、持ってきたお供え物の包みなどをごみ袋に入れて持って帰る。
・食べ物などのお供え物は持ち帰る。
7.借りていた手桶などを返却する
・借りていた手桶やひしゃくを元の場所に戻す。
・管理事務所等に一言挨拶をして帰る。
これらの手順は基本的な仏教のものであり、宗教によっても異なります。具体的な場所や状況に応じて適切な手順を確認してください。
なお、お墓参りの際に持参するものについては「お墓参りの持ち物」でも詳しく解説しています。
8.お墓参りでやってはいけないこと
お墓参りにおいては、避けるべき行動がいくつかあります。最後に、お墓参りでやってはいけないことの代表例をご紹介しますので、大切な方をしのぶ時間が心地よいものになるよう、参考になさってください。
火を消さずに帰る
お墓は山間部にあることも多く、周囲の枯れ草に引火する危険性もあるため、火の取り扱いには細心の注意が必要です。毎年、お墓参りでの火災ややけどの事故が報じられています。
お墓参りの際には、ロウソクや線香は、火が完全消えたかどうかを確認してから帰るようにしましょう。線香の灰は、燃え尽きた後も高温の場合がり、風が強い日には灰が飛ばされて火種になることもあるため、強風の日は特に注意が必要です。
炎を吹き消す
ろうそくや線香の消し方でも、気をつけたいポイントがあります。仏教の教えでは、人間の口は不浄であるとされています。これは、私たちが日々の生活で動物などを殺生して口にしたり、時に不適切な言葉を発したりするためです。不浄な口から出た息を吹きかけることは、仏様に対して不敬であると考えられているのです。
ろうそくや線香の火を消す際には、手で仰いで消すようにしましょう。
お供え物を残して帰る
お墓参りの後、お供え物を残して帰ることは避けましょう。お供え物が傷んで墓石を汚したり、動物がお墓を荒らしたりしてしまうかもしれません。
お供えした食べ物は、自宅に持ち帰って食べるようにします。墓地の規約などで禁止されていなければ、墓地の休憩所などでお供え物を食べることも可能です。お供えした花については、定期的に墓地管理者が片付けてくれる場合もありますが、そうでない場合や、頻繁に参拝できない場合は、持ち帰ることをおすすめします。
他所のお墓に立ち入る
霊園やお寺には多くのお墓がありますが、他所のお墓に不必要に立ち入ることは避けましょう。手を掛けたり、ひしゃくや傘を立てかけたりすることもマナー違反だとされています。子どもやペットと一緒にお墓参りをする際は、他所の墓地に入ったり、乱暴な行動をしたりしないようにしっかりと見守りましょう。
また、誰が埋葬されているかわからないお墓や、知人以外の有名人のお墓に手を合わせる行為も控えます。「お墓参りを真剣に行っていない」としていい加減な行為と考えられるため、会釈をするのみにとどめるのが適切です。
9.故人様をしのびたいと思ったら、いつでもお墓参りに出かけましょう
お墓参りには、「この日に行かなければならない」といった決まりはありません。「故人様をしのびたい」「近況を報告したい」と思ったら、いつでもお墓参りに出かけましょう。
ただし、お墓参りには守るべきマナーや注意点がありますので、これらを意識することが大切です。
お墓参りに関する疑問や不安がある方は、弊社「花葬儀」までお気軽にご相談ください。花葬儀では、「リベントファミリー」というメンバーシップ制度を設けており、葬儀以外のどのような些細なご質問にも、誠意を持ってお答えします。
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