【お墓参り】お盆のいつに行くべき?手順やお供え物の考え方・金額相場
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- 【 お墓のマナー 】
「お盆にお墓参り」は、日本で古くから続く慣習です。お盆の時期が近づくと、「お墓参りの日程はいつがいい?」とご家族から聞かれることはないでしょうか。しかし、そもそもなぜお墓参りをするのか、お盆のいつにいくべきなのかといった疑問を持ったまま、毎年お墓参りをしている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、お盆のお墓参りへの理解をより深めるために、お盆の具体的な時期やお盆中のお墓参りの手順、服装やお供え物などについて詳しく解説します。ぜひ最後までご一読ください。
1.お盆の意味とは?お盆にお墓参りをする理由
まずは、お盆の意味と、お盆の時期について解説します。
お盆とは?
お盆とは、ご先祖様を供養するための仏教行事です。お盆期間中は、あの世からご先祖様の魂が帰ってきて、現世にいるご家族と一緒に過ごすと信じられており、迎え火(※1)や送り火(※2)、精霊馬(しょうりょううま)(※3)などを用意するのが習わしです。
お盆は正式名称を「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。盂蘭盆会は、地獄の苦しみから死者を解放するために供養を行った中国の伝承が元となっています。日本の祖霊信仰(ご先祖様を崇拝すること)がこの盂蘭盆会と合わさり、現在のお盆になったともいわれています。
※1:ご先祖様を家に迎え入れるために、庭先や玄関先で火を灯すこと。お墓や寺院から火を持ち帰る方法もある
※2:ご先祖様の魂があの世へ迷わずに帰れるように、庭先や玄関先で火を灯すこと
※3:ご先祖様があの世とこの世を行き来するための乗り物として、牛と馬をかたどった飾り
お盆の時期・日程
お盆は夏にあることを知っていても、具体的な時期や、地域によって時期が異なることを知る人は多くありません。
お盆の時期や日程についてご紹介します。
全国的には8月15日前後
全国的に見られる日本のお盆の時期は、8月13日~16日(地方によっては15日まで)の間です。しかし、お盆の起源である盂蘭盆会は7月13日~16日であり、7月15日がもっとも重要な日です。そのため地域によっては、この7月半ばの時期をお盆とするところもあります。
このように地域によってお盆の時期が異なる背景には、明治時代に暦の改変が行われ、太陰暦から太陽暦に変わったことがあります。暦の改変に対して日本各地でさまざまな対応がとられた結果、全国的には8月15日前後がお盆となった一方で、違う時期をお盆とする地域も存在するようになりました。
東京都心部ほか一部地域:7月15日前後
東京都や南関東、北海道、静岡県、石川県の一部地域では、7月13日~16日をお盆の時期としています。明治時代に暦が改変されたとき、これらの地域は新しい暦に合わせて、太陽暦の7月15日前後をお盆としました。
しかし、当時の農村地域は新しいお盆が農繁期と重なることに反対し、8月15日前後をお盆とすることに決めました。
沖縄、鹿児島の一部:旧暦の7月15日前後
沖縄や鹿児島など南西諸島に位置する地域では、「旧暦」の7月13日~16日の間をお盆としています。今でも旧暦を使っているのは、先祖崇拝に重きを置く大陸文化の影響が強く受け継がれているためだといわれています。
現在使われている太陽歴は1年を365日としていますが、旧暦の太陰暦は、1年が345日です。そのため、旧暦をお盆とする地域ではお盆の時期が毎年異なり、2024年は8月16日~19日が旧暦の7月13日~16日にあたります。
なぜお盆にお墓参りをするのか
ご説明したように、お盆にお墓参りをする目的は「あの世から帰ってくるご先祖様のお迎え」です。お盆の時期になると、故人様の魂はあの世から現世にやってきて、最初に自分のお墓へ宿ると信じられています。お墓に帰ってきた魂をお迎えに行き、自宅までお招きする慣習が長い時を経て受け継がれているのです。
また、ご先祖様の魂が留守の間、お墓をきれいにするためにお墓参りをする地域もあります。いずれにせよ、お盆の時期にお墓参りをするのは、祖霊信仰における重要な儀式のひとつであるといえるでしょう。
2.お盆のお墓参りはいつ行くとよい?
地域によって時期が異なるものの、お盆の期間が4日という点は共通しています。お墓参りは、その期間のうちいつ行くとよいのでしょうか?
詳しく解説します。
何日にお墓参りすべきか決まりはある?
お盆期間中、「お墓参りをすべき日」や「お墓参りをしていけない日」はありません。「いつでもよい」というのが結論ですが、ご先祖様の魂があの世から現世に来るお盆初日の「迎え盆」にお墓参りをするのが最適だという考えが広く浸透しています。
お盆2日目、3日目の墓参りは「留守参り」といい、魂が自宅に帰り留守となったお墓を守ってくださる仏様に感謝を込めてお参りします。
お盆最終日はご先祖様の魂をあの世に送り出す「送り盆」といい、その日にお墓参りをする人もいます。いずれのタイミングでもよいとされているお盆中のお墓参りですが、荒れたお墓でご先祖様をお迎えしないように、お盆前まで一度お墓を訪れ、掃除をしておくとよいでしょう。
お墓参りをする時間帯
お盆のお墓参りの時間帯にルールはありませんが、午前~日中の間がおすすめです。多くの霊園では開園時間が決まっており、夕方になると閉園してしまいます。また、お盆の時期は気温が高く、お墓参りをする人で混みやすくなります。早い時間帯にお参りをすることで掃除がしやすく、落ち着いて手を合わせることができるでしょう。
「夜間にお墓参りをする風習がある」「夕方以降も霊園が開いている」「夜間の方が涼しくて作業しやすい」などの理由があれば、夕方以降のお墓参りでももちろん差し支えありません。
3.お墓参りをお盆に行うときの手順
お盆にお墓参りをする際の手順は、お彼岸などに行うお墓参りと同じです。
詳しくご紹介します。
霊園管理者や僧侶に挨拶
ご先祖様のお墓がある霊園に着いたら、最初に霊園の管理者に挨拶をしましょう。お墓が寺院墓地にある場合は、お墓参りをする前に本堂のご本尊にお参りし、僧侶に挨拶をします。普段からお墓を世話していただいている霊園管理者や僧侶に感謝の気持ちを伝えることが大切です。
お墓の掃除をする
お墓の掃除の方法は、以下の通りです。
1. 管理事務所などにある手桶とひしゃくを借りて、手桶に水を満たす
2. お墓の前に着いたら手を合わせて礼拝する
3. スポンジや雑巾を使って墓石や花立て、香炉、墓誌(お墓に眠っている人の戒名や命日を刻む墓石)などの掃除を行う。区画内の雑草を取り除く
お線香をあげ、お供えをする
掃除が終わったらロウソク立てに火を灯し、お線香に火をつけます。お線香は、最初に束のまま火をつけ手であおいで消してから、参列者の人数分に分けるのが一般的な方法です。
次に、持参したお供え物を墓前に供えます。お菓子や果物などの食べ物は、折った懐紙(和紙)や半紙、お盆などの上に置くようにし、墓石にじかに置かないのがマナーです。
合掌をしてお参りする
ご先祖様(故人様)と縁の深い人から順番にお参りをします。基本的には、配偶者や兄弟など、血縁関係の近い順に行います。
合掌し、人数分に分けられたお線香をお供えした後、手桶の中にある水をひしゃくですくって墓石にかけます。全員の合掌が済んだら、お墓参りは終了です。
上記は仏教の例です。神道やキリスト教の一般的なお墓参りは以下を参考になさってください。
神道 |
1.お墓の掃除
2.神饌(しんせん:榊や酒、塩など)を供える 3.ロウソクに火を灯してから、二礼・二拍手・一礼 |
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キリスト教 |
1.お墓の掃除
2.白い花を供える 3.墓前で神に祈りを捧げる |
片付けをする
お墓参りが終わったら、必ず後片付けをしましょう。手桶に残った水を捨て、借りた道具を元の場所へ返却します。食べ物や飲み物といったお供えものは、そのままにしておくと野鳥などに荒らされてしまうため、霊園の規則に従って持ち帰るようにしてください。片付け後は、霊園管理者や僧侶に再び挨拶をして帰ります。
4.お盆のお墓参りにおける服装
故人様が亡くなってから初めてのお盆(「新盆:にいぼん」や「初盆:はつぼん」と呼ぶ)に法要とお墓参りを合わせて行う場合は喪服を着用しますが、それ以外であれば普段着で問題ありません。
ただし、他の参列者に配慮して、露出の高い服装や過度に派手な服装は控えることが望ましいとされています。また、墓地は足場が悪いところがあるため、歩きづらい靴やヒールの高い靴も避けた方が無難です。
合掌する時の作法として、数珠が手元にあれば持参しましょう。お墓参りにおける服装や身だしなみについての詳細は、「お墓参りの服装」にてご紹介しておりますので、そちらも参考になさってください。
5.お盆のお墓参りで必要な持ち物
手桶やひしゃくは基本的に墓地で借りることができますが、それだけではお墓参りや掃除を行うのに十分ではありません。お盆のお墓参りに必要な持ち物は、以下の通りです。
・お線香
・ロウソク
・供花
・その他お供え物
【お墓の掃除にあったら便利なもの】
・ほうき
・雑巾
・ゴミ袋
・軍手
・バケツ
詳しくは「お墓参りの持ち物」で解説しておりますので、そちらもご覧ください。なお、お供え物については、この次の項でより詳しくご紹介します。
6.お盆のお墓参りに持参するお供え物・お供物料、金額相場
お盆のお墓参りに持参するお供え物について、内容や金額を解説します。
お供え物の考え方
「お供え物」と聞くと食べ物を連想する方が多いかもしれませんが、仏教におけるお供え物は「五供(ごく/ごくう)」といい、以下の5種類を指しています。
・お線香を指す「香」
・供花を指す「花」
・ロウソクの灯りを指す「灯燭(とうしょく)」
・綺麗な水を差す「浄水」
・食べ物や飲み物を指す「飲食(おんじき)」
これらを供えることで、亡くなった方への供養と、日ごろの感謝を示すことができるとされています。
飲食をお墓参りに持参する場合は、お供えした後に参列者で分け合える個包装のお菓子や、故人様のお好きだったものがおすすめです。ただし、辛い物や殺生をイメージさせる肉や魚は「五辛(ごしん)」といって、仏教のお供えものには適さないため注意しましょう。
何を用意すれば良いか分からない場合や、他の方と同じお供え物にならないようにしたい場合は、親しい間柄の人に希望を聞いてもかまいません。
「お供物料」を持参してもよい
お盆のお墓参りに、前述した五供ではなく金銭(お供物料」を持参することもあります。
お供物料はお供え物の代わりですから、基本的に両方の用意は不要です。しかし、地域の慣習や、参列者同士の関係性によっては、お供え物と一緒にお供物料を持参した方がよいケースもあるでしょう。ご家族でよく話し合って決めることをおすすめします。
お供え物・お供物料の金額
お供え物やお供物料にかける金額は、新盆とそれ以外のお盆とで考え方が少し異なります。
新盆のお供え物の相場は、3,000円~5,000円程度です。お墓参りの後に会食を行う場合には5,000円ほど多く包むとよいですが、ご自身の立場や会食に参加する参列者の数に応じてさらに多く包むこともあります。
新盆以降のお盆では、3,000円~5,000円程度が相場とされています。多く包みすぎると相手に気を遣わせてしまうため、参列者同士の足並みがそろうように事前に相談してもよいでしょう。お供え物とお供物料の両方を持参する場合は、お供え物の金額を下げるなど、バランスを取るようになさってください。
7.お墓参りへお盆に行けない場合は?
「お墓までの距離が遠い」「体調面に不安がある」「お盆に休みがとれない」など、諸事情でお盆のお墓参りが叶わないこともあります。
ここからは、お盆にお墓参りに行けないときの対応についてご紹介します。
お盆にお墓参りをしないのはよくない?
お盆にお墓参りをしないことにより「ご先祖様が無事に帰ってこられないのではないか」「罰があたるのではないか」と不安に思われるかもしれませんが、必ずしも毎年お盆の時期にお墓参りをしなければならないというわけではありません。
何よりも大切なのは、お盆にお墓参りをすることではなく、故人様やご先祖様を大切に思う気持ちです。お盆にお墓参りができない場合は、ご親族にあらかじめその旨を伝え、次の項でご紹介する対応をとるとよいでしょう。
お盆にお墓参りに行けないときにすること
お盆にお墓参りが難しい場合は、以下のような方法を参考になさってください。
・お盆の時期の前か後にお墓参りをする
・自宅でご先祖様を思い、手を合わせる
・お墓参りに行くご親戚にお供え物を託す
その他、お墓の掃除を代行してくれるサービスを利用することもできます。お盆のお墓参りができない年が続くようであれば、お墓参りがしやすいようにお墓の場所を移動させる「改葬」を検討してもよいでしょう。
8.お盆のお墓参りはご先祖様への思いを込めて行いましょう
お盆にお墓参りをする理由は、あの世から帰ってきたご先祖様の魂をお迎えするためです。一般的にはお盆初日が適切であると言われていますが、厳密なルールはなく、各ご家庭の判断で決めてよいものとされています。
暑い時期のお墓参りとなりますので、体調面には十分気を配り、心を込めて手を合わせましょう。
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