お墓掃除の仕方・道具の選び方~掃除で注意すべき事もあわせて解説
- 作成日: 更新日:
- 【 お墓のマナー 】
お墓掃除は、ご先祖様を敬う大切な行為ですが、「掃除の仕方がわからない」「どんな道具を使えばよいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。また、忙しくて自分で掃除をすることが難しい方やご高齢の方が、お墓の掃除をどうすべきか不安に感じているケースも少なくないようです。
そこで今回は、お墓掃除の基本的な手順や必要な道具の選び方、注意すべき点などを詳しく解説します。代行業者に頼む場合に関してもご紹介しますので、正しいお墓掃除の方法を知りたい方、掃除を業者に依頼したい方は、ぜひ、この記事を参考にしてください。
1.お墓掃除に必要な道具・グッズ
最初に、お墓掃除の基本となる道具やグッズ、必要に応じて用意すべきアイテムを使い方とともにご紹介します。
基本の掃除アイテム
お墓の掃除で、基本となるアイテムには次のようなものがあります。
雑巾・タオル
雑巾やタオルは、2枚以上準備するとよいでしょう。1枚は濡らして汚れを取るときに使い、もう1枚は乾拭きで仕上げをするときに使います。
はたき
はたきは、墓石に付着した細かいゴミや砂ぼこり、線香の灰などを払い落とす際に役立ちます。墓石掃除用の柔らかな素材の小型のはたきであれば、墓石を傷つけにくく、効率よくきれいにできます。
スポンジ
花立てや線香皿などの金属パーツには、汚れや水垢がたまりやすいため、スポンジを使って丁寧に磨き、清潔な状態に戻します。柄がついたスポンジを用いると、花立ての奥など手が届きにくい部分もしっかり掃除ができるのでたいへん便利です。
毛の柔らかいブラシ
墓石の継ぎ目や蓮華台(れんげだい:ハスの花の形を模した台座)の溝のような細かい部分の掃除には、毛の柔らかいブラシが適しています。柔らかい毛足の歯ブラシも適していますが、細い箸に布を巻き付け湿らせたものでも代用できます。
軍手
石の隙間や地面に生えた雑草を引き抜く作業は、素手で行うと手が汚れたり、傷がついたりすることがありますが、軍手を使用すれば手を保護しつつ作業が可能です。墓石の細かい彫刻部分や溝を拭き取る際にも便利で、軍手の指先に水を含ませて軽くこすることで、細かい部分の汚れを落とせます。
ゴミ袋
掃除の際には、落ち葉や枯れた花、雑草、古いお供え物などのゴミが発生します。これらを持ち帰る、または、まとめて設置されたゴミ箱に捨てるためにゴミ袋が役立ちます。掃除後の清掃道具を一時的に収納したり、湿った雑巾や手袋を入れて持ち帰ったりする際にも便利です。
必要に応じて用意するアイテム
ここまで、お墓掃除の基本アイテムをご説明しました。ここからは、必要に応じて用意すると便利な道具をご紹介します。
バケツ
墓石を水洗いする際は、バケツがあると便利です。掃除用と、墓石にかけたり、供えたりする水を入れるバケツ(水おけ)は、ご先祖様に失礼にならないよう別のものを準備します。霊園によっては水汲み場にバケツが備え付けられていることもありますが、ない場合は自分で持参しましょう。
鎌・ハサミ
雑草を取り除く際や、お墓のまわりに植えた植木の手入れをするときに役立ちます。鎌を使うことで雑草を根からしっかり取り除くことができ、植木や小さな樹木の枝はハサミできれいに整えられます。特に自然に囲まれた霊園では草木の成長が早いため、準備しておくと便利です。
ほうき・ちりとり
落葉や小枝、線香の燃えカスといった目立つゴミを取り除くのに便利です。共用のほうきやちりとりが用意されている霊園もありますが、備え付けられていない場合は、使い慣れた掃除道具を持参することで安心して掃除ができます。
2.お墓はいつ掃除するべき?タイミングや頻度は?
次に、お墓掃除はいつすべきか、タイミングや頻度について解説していきます。
お墓を掃除する時期・頻度
お墓掃除の頻度は、一般的には年に数回以上が推奨されています。特に以下の時期によく行われます。
- ・春と秋のお彼岸
- ・お盆
- ・法要の前後
- ・年末など
また、梅雨や秋の落ち葉の季節は特に汚れやゴミがたまりやすいため、この時期の掃除もおすすめです。
多くの方は帰省のタイミングに合わせて、お墓参りと掃除を一緒に行っています。「お墓参りにいつ行くか」の詳細は、別の記事でご紹介しておりますので、そちらもご覧ください。
お盆は前日までに掃除をするのが理想
お盆のお墓参りにあわせて、掃除を行うことも多くあります。
お盆は、ご先祖様の霊が帰ってくるとされる特別な期間ですので、盆の入りまでに掃除を行うことが理想です。お墓がきれいであれば、ご先祖様も喜び、帰ってくる準備が整ったことを感じてくださるでしょう。
お盆の時期は、全国的には8月15日前後ですが、地域によっては時期が異なる場合があります。お盆期間中はお墓が混雑して清掃が難しくなるため、前日までに掃除をすませておくと安心です。
年末のお墓掃除は年越しの準備として行う
多くの方が、慣習として年末にお墓掃除を行っています。新年を迎えるための準備の一環、あるいは、年始にご親族がお墓参りに行く前にきれいにしておきたいというのが主な理由のようです。
年末のお墓掃除に、特定のルールや期限はありません。一般的には、大みそかは霊園やお寺が新年の準備で忙しくなるため、12月30日までに掃除を終えるのが望ましいとされています。ただし、どうしても大みそかにしか行けない場合は、特に問題はありません。
3.お墓掃除のやり方の流れ
お墓掃除は、どうすれば効率的に行えるのでしょうか。お墓掃除のやり方を流れに沿って解説します。
落ち葉と雑草の除去
最初に行うべきは、お墓の周囲の状態を確認することです。落ち葉が地面に溜まっている場合は、ほうきとちりとりで取り除きます。周囲に散乱しているゴミも合わせて片付けるとよいでしょう。
次に、雑草の除去です。雑草は、お墓の美観を損ねるだけでなく、長期的には墓石や周囲の土に影響を及ぼす場合もあります。手で引き抜くか、鎌などの道具を使って根元からしっかりと取り除きます。
花立て・線香立ての掃除
花立ての中に溜まった水を捨て、スポンジや柔らかいブラシを使い内側をしっかりと水洗いします。水垢や汚れがつきやすい部分は念入りに掃除し、最後にきれいな水ですすぎましょう。
線香立ては灰が残っていることが多いため、まずは灰を取り除き、残った汚れを柔らかいブラシで水洗いします。溝に入り込んだ灰や汚れが取れたら、こちらも最後に水でしっかりすすぎます。
墓石本体を水洗い
墓石本体は基本的に水洗いで汚れを落とします。最初に、はたきや柔らかいブラシを使い、細かい汚れを落とします。この工程を省くと、水洗いを行った際に汚れが水に混ざり、逆に墓石を傷める原因になってしまうことがあります。その後、バケツに水を汲み、墓石全体を丁寧に水洗い(水拭き)します。
墓石のしつこい汚れの落とし方については、この後の「墓石の手強い汚れを落とす掃除方法」で解説しておりますので、そちらをご覧ください。
文字などの細かい部分を拭き掃除
墓石に刻まれた名前や日付などの細かい部分の拭き掃除を行います。ぬらした軍手や細いブラシを使うと、狭い隙間に入り込んだ埃やゴミを効果的に取り除くことができます。
全体を拭き上げ
最後に、墓石の水気をしっかりと拭き取ります。花立てや線香皿などの金属部分の水分も忘れずに拭き取ってください。
全体を拭き上げることにより、水分が残ってカビやコケが発生してしまうのを防止できます。柔らかい雑巾やタオルを用意し、やさしく丁寧に拭きましょう。
4.墓石の手強い汚れを落とす掃除方法
墓石は野外にあるため、通常の掃除では落ちない汚れがつく場合もあります。そこで、墓石の手ごわい汚れを落とすコツを解説します。
水垢・黒ずみの落とし方
墓石を傷つけないよう、墓石専用のヘラを使用することをおすすめします。特殊な素材でできているため、墓石を傷つけにくい特徴があります。
カビ・苔の掃除方法
ますは軍手を使ってカビや苔を手でこそげ落とします。軍手を2重にすると力を入れやすく、効率的に作業を進められます。文字の溝など細かい部分は、柔らかいブラシで丁寧にこすり、隙間の汚れを除去します。花立てや線香立ての奥など、ブラシの毛が届かない場合は、柄の長い台所用ブラシを使うと便利です。
頑固な汚れには、墓石専用の洗剤を利用する選択肢もありますが、墓石への影響を考慮しなければなりません。洗剤を使うときの注意点は、後述の「洗剤(クリーナー)は最後の手段とする」で解説します。
砂利(小石)の洗浄
玉砂利や小石は、ザルやバケツに移して土や葉っぱなどの汚れを洗い流します。ブラシを使うことで頑固な汚れも取り除けますが、強くこすりすぎると砂利が傷つくため注意しましょう。
5.お墓掃除をするときに注意したいこと
お墓の掃除はとてもよい行いですが、方法を間違えると墓石が傷ついたり、かえって汚れやすくなったりしかねません。お墓掃除では、次の点に注意しましょう。
毛足の堅い掃除用具は使用しない
毛足の堅いブラシや金属製のタワシなどは、墓石に細かい傷をつけてしまう可能性があります。傷がつくと、その部分に汚れがたまりやすくなり、墓石のツヤが失われるなど次第に見た目が悪くなってしまう場合もあります。
また、墓石の表面には、風雨から石材を保護するためにコーティングが施されているケースがあります。硬いブラシなどでこするとコーティングが削れ、石材に傷がつきやすくなります。
メラミンスポンジは使わない
メラミンスポンジは細かい研磨粒子を含んでいるため、金属製のタワシ同様に墓石の表面に傷をつける恐れがあります。一見きれいになったように見えても、微細な傷に新たな汚れが入り込み、かえって汚れが定着しやすくなります。
多くの墓石清掃業者も、メラミンスポンジの使用を控えるよう指摘しているため、使用を控えることをおすすめします。
洗剤(クリーナー)は最後の手段とする
墓石などの掃除は、通常、水洗いだけで十分な場合が多いのですが、頑固な汚れがあるときには、前述したように墓石専用の洗剤を使うことも選択肢のひとつです。
洗剤を使用する際に重要なのは、墓石の石材の種類を確認して適したクリーナーを選ぶことです。適切でない洗剤を使用したり、すすぎが不十分だと、墓石にダメージを与えたり、汚れが定着したりする可能性があります。
洗剤の使用は最後の手段と考え、必要な場合でのみ使います。もし、洗剤の使用にリスクを感じる場合は、専門業者に依頼するのもよい方法でしょう。
重曹の扱いは慎重にする
重曹を溶かした水は、墓石の水垢や黒ずみ、カビの除去に効果があるとされています。しかし、重曹はアルカリ性で研磨作用があり、墓石の表面を傷つける可能性があるため、あくまで全体の汚れを軽く落とす程度にとどめ、慎重に使用しましょう。
6.お墓掃除代行サービスのサービス内容・費用
お墓の掃除は自分で行うのが一般的ですが、忙しい方や遠方に住む方には業者に依頼する選択肢もあります。ここでは、掃除代行業者のサービス内容や料金などについてご紹介します。
清掃業者のサービス内容・相場
掃除代行業者では、一般的に以下のようなサービスが提供されています。
- ・基本的な清掃
- 墓石の拭き掃除、周囲の雑草取り、花立てや水鉢の清掃など
1回ごとの依頼のほか、月1回や季節ごとなど定期的な契約プランもある - ・特別なクリーニング
- 頑固な汚れやカビ、苔などを除去する
- ・付属品の手入れ
- 墓石以外にも、灯篭や記念碑などの手入れをする
基本的な清掃サービスの場合、墓石1基・1坪程度で相場は1万5,000円〜2万円程度となっています。特別なクリーニングは4万円程度ですが、特に難しい汚れや特殊な材質の場合は、追加料金が発生することがあります。
ふるさと納税の活用
意外と知られていないのが、ふるさと納税を利用してお墓の清掃を依頼できる自治体の存在です。地方の自治体が提供しているケースが多いため、自分の故郷のお墓の掃除を依頼することが可能です。
7.お墓の掃除は故人様を想いながら心を込めて行いましょう
お墓の掃除は、ご先祖様や故人様を想う気持ちを大切にしながら行うことが大切です。正しい道具を選んで手順を理解し、心を込めて行えば、きっとお墓はきれいになります。
時間や距離、体力の制約がある方や、遠方に住む方・高齢の方には、専門の清掃業者の利用もひとつの方法だといえます。重要なのは、自分に合った方法で、無理なくお墓の掃除を継続することです。
花葬儀では、お墓の掃除や管理に不安のある方々に向けて、経験豊富なスタッフが丁寧で的確なアドバイスを行っています。お墓掃除にお困りの方は、花葬儀の事前相談まで、ぜひ、お問い合わせください。