永代供養とはどのようなもの?寺・霊園における違いから種類、費用、メリット・デメリットまで解説
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- 【 お墓の基礎知識 】
永代供養(えいたいくよう)への興味関心が、昨今高まっています。この背景には、お墓に対する考え方や価値観の変化があるようです。
しかし、親から子へと受け継がれていくような、昔ながらの供養に慣れている方にとっては、永代供養について疑問や不安を抱える方も多いかもしれません。
そこで今回のコラムでは、永代供養について詳しく解説します。「永代供養とは?」「永代供養の種類と費用は?」「永代供養にすることのメリット、デメリットは?」などの点についてわかりやすく説明しますので、永代供養に関する疑問の解消にお役立てください。
1.永代供養とは?基本となるそもそもの意味
まずは、永代供養とは何かについて解説します。永代供養において勘違いされやすいポイントもご紹介しますので、しっかりと確認しましょう。
「永代供養」の意味
永代供養とは、墓地の管理者が遺骨の管理・供養を行ってくれる埋葬方法です。永代供養を前提としたお墓は永代供養墓(えいたいくようぼ)と呼ばれます。
この場合の供養とは、下記のような故人様を弔うための行為全般を指しています。
・お墓参りをして故人様の冥福を祈る
・お墓周りを清掃する
・年忌法要の執り行う
・慰霊碑を建て式典を行う など
そのため、永代供養された故人様のご家族は、本来自分たちで行うべき供養やお墓の管理が必然ではなくなります。
永代供養で勘違いされやすいのが、「永代」を「永遠」と同じだと捉えてしまうことです。永代は「長い年月」を意味しており、この場合においては「永代供養先が存続する限り」と置き換えることもできます。永代供養で故人様のお墓を永遠に管理・供養してもらうことはできないため、注意しておきましょう。
永代供養を行う運営主体は主に「寺院」と「霊園」
永代供養を行ってくれるのは、主に「寺院墓地」と「霊園」の2か所です。
寺院墓地とは寺院の中にある墓地であり、お寺が管理しています。霊園とは、寺院墓地以外の墓地のことで、地方自治体による「公営霊園」と、民間企業が運営している「民間霊園」とがあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
【永代供養の運営主体と特徴】
運営主体 | 特徴 |
---|---|
寺院 | ・お坊さんによる供養だから安心感がある ・経営難により潰れてしまう心配が少ない |
霊園 | ・料金やサービスの種類に幅があり、選択肢が豊富 ・設備が充実しているところが多い |
一定期間が過ぎると合祀(ごうし)されることが多い
永代供養において留意しなければならないのが、「一定期間後は合祀されるケースが多い」ということです。合祀とは、骨壺から取り出したご遺骨を、血の繋がっていない他の方のご遺骨と一緒に埋葬することです。
永代供養では、33回忌を境に合祀されるのが一般的ですが、中には10回忌や50回忌といった期間を設けているところもあります。また、最初から合祀することを条件とする永代供養墓も存在します。
2.昨今、永代供養墓に対する需要は拡大中
かつては、先祖代々が眠るお墓を家ごとに保有し、親から子へと承継していくのが当たり前でした。その中で永代供養墓は、身寄りのない人や、諸事情で家族のお墓に入れない人のための救済措置に近い役割を持っていたそうです。
しかし昨今では、そういった価値観が変わりつつあります。株式会社鎌倉新書が2024年に発表した「お墓に関する調査」によると、お墓を購入した人のうち、約64%の方が後継ぎ不要のお墓を選んでいます。
引用:第15回お墓の消費者全国実態調査(2024年)
調査主体:いいお墓(株式会社鎌倉新書)
調査対象:2023年1月~同年12月にお墓探しの総合情報サイト「いいお墓」経由でお墓を購入した方
調査期間:2024年1月19日(金)~1月31日(水)
URL:https://guide.e-ohaka.com/research/survey_2024/
前年度の跡継ぎ不要のお墓を購入した人の割合が41.4%だったことから、永代供養墓のような、「跡継ぎのいらないお墓」の需要が急速に拡大していることがわかります。
少子高齢化や核家族化、ライフスタイルの多様化による単身世帯増加や血縁の希薄化など、近年はさまざまな要素や価値観が見られるようになりました。そうした中で、「自分のお墓の面倒を見る負担を、家族に背負わせたくない」「もっと自分にあった埋葬方法を探したい」という方が増えているのかもしれません。
3.永代供養にかかる費用・主な内訳
永代供養は、生前の申し込みが可能です。永代供養にかかる費用を事前に押さえておくことで、理想の供養先を探しやすくなるでしょう。
こちらでは、永代供養にかかる費用と、主な内訳をご紹介します。
永代供養墓の初期費用と管理費
一般墓(家族単位で承継していくような伝統的なお墓のこと)では、墓地管理者に毎年の管理費を支払わなくてはなりません。一方、永代供養墓では、管理費は基本的に不要です。その代わり、契約する際に「初期費用」が必要となります。最初に一括で初期費用を支払うと、後々の支払いがなくなることが一般的です。
ただし一部の永代供養施設では、管理費が必要となる場合もあるため、契約前に必ず確認をするようにしましょう。
永代供養をするときの初期費用
永代供養の初期費用は、さまざまな費用を含めた価格になっていることが一般的です。こちらでは、永代供養でかかる主な費用の内訳を説明します。
管理先によっては、費用の呼び名が異なる場合もある点にご留意ください。
永代供養料
永代供養をしてもらうための基本料金であり、初期費用の中でもっとも多くの割合を占めています。ご遺骨を納める場所の面積、永代供養をしてもらう運営元や場所、供養してもらう人数などに応じて金額が上がるため、永代供養墓にかかる総合的な費用の調整ができる項目と考えてよいでしょう。
一部のお寺では、「冥加金(みょうがきん)」と呼ぶこともあります。
納骨(埋葬)料
ご遺骨を永代供養墓に埋葬する際にかかる手数料です。僧侶による読経をあげてもらう場合は、基本的に僧侶へのお布施が必要ですが、納骨料に最初から含まれていることもあります。
お布施が納骨料に含まれていないときは、別途お布施を用意し、お渡しする必要があることもありますので、納骨料にどこまでが含まれているのかを事前に確認することをおすすめします。
彫刻(刻字)料
埋葬してもらうお墓に、故人様の戒名や没年月日などを彫る際に必要となる費用です。彫刻用の石碑やプレートの代金が別に必要になるケースもあります。
上記に挙げた費用の他にも、埋葬先によっては「墓石購入代」や「入檀料」「オプション利用料」が発生する場合もあります。
4.永代供養墓の主な種類とそれぞれの相場
永代供養にかかる費用の内訳を踏まえた上で、ここからは、永代供養墓の相場を種類ごとに詳しくご紹介します。
個別墓(個人墓)
個別のお墓に埋葬してもらえるタイプで、墓石を立てる「墓石型」と、墓石の代わりに樹木を植える「樹木葬型」があります。
ひとつの個別墓には1~4名分ほどのご遺骨を納めることができるため、夫婦や親子二世代の永代供養墓として検討する方もいます。埋葬期間の満了を迎えると供養塔などに移され、他の方と一緒に合祀されることがほとんどです。
個別墓の相場は、50万円~150万円です。ご遺骨を納める場所の面積が大きいため、永代供養墓の中では高額となります。墓石を購入したり、オプションを利用したりした場合はさらに費用がかかると考えておきましょう。
集合墓
樹木や石塔などといったシンボルの地下にある収骨スペースに、他の契約者のご遺骨と共に埋葬するものです。収骨スペース内は区切られているため、ご家族のご遺骨がどこにあるのかわからなくなる心配はありません。埋葬期間満了後は、個別墓と同じように、合祀されることがほとんどです。
集合墓の相場は20~60万円ほどと個別墓よりも安価なため、「費用は抑えたいけど、最初から合祀にするのは抵抗がある」という方に向いています。
合祀墓
最初から合祀するタイプの永代供養墓です。ご遺骨は、合祀用に建てられた供養塔などに納骨されます。
費用相場はおよそ5~10万円ほどと、永代供養墓の中ではもっとも安価に利用できるのが特徴です。合祀墓についての詳細は、「合祀墓の埋葬方法・費用」にて詳しくご紹介しておりますので、そちらをご覧ください。
納骨堂
納骨堂とは、故人様のご遺骨を納める収蔵スペースが備わった施設や建物を指し、下記のようなさまざまな種類があります。
・仏壇と納骨スペースを備えた納骨檀が並ぶ「仏壇型」
・屋内に小さな墓石が並ぶ「墓石型」
・納骨スペースがロッカーのように並んでいる「ロッカー型」
・格納されている位牌や骨壺が、参拝スペースまで自動で移動してくれる「自動搬送式」など
納骨堂の費用は、タイプにもよりますが10~150万円ほどが目安です。詳細については「納骨堂の相場」が参考になりますので、そちらもあわせてご覧ください。
5.永代供養をするメリット・デメリットとは
永代供養は自分、もしくは大切なご家族の埋葬に関することですから、後悔のないよう、さまざまな面から比較検討しなければなりません。
こちらでは、永代供養のメリット・デメリットをご紹介します。
永代供養をするメリット
永代供養のメリットは、以下の通りです。
お墓を承継する人が不要
これからお墓を考える人にとって、承継者の有無は大きな悩みのひとつです。
「家族が遠方に住んでいる」「体が不自由」などの理由でお墓の管理を任せることができない方や、「家族と同じお墓には入りたくない」という事情を持つ方もいるでしょう。また、ご家族・ご親族のような身近な人がいない場合には、無縁仏になったり、希望する納骨先に納骨されなかったりする不安もあります。
永代供養であれば、お墓を承継する人がいなくても利用することができるため、承継者について悩まなくてもよい点は、大きなメリットです。
維持や管理の負担がない
先祖代々のお墓を承継した人(墓守)には、「墓参り」「お墓のメンテナンス」「お墓の管理費の支払い」「法要の執り行い」などを定期的に行う役目があります。お墓のある場所まで頻繁に通うことができなければ、承継していくことは難しく、また、金額面でも大きな負担がかかるでしょう。
永代供養では寺院や霊園がお墓の管理・維持を行ってくれるため、ご家族に負担をかけたくない方にとって非常に適しています。
一般的なお墓を立てるよりも経済的
一般的なお墓を新たに立てる場合、墓石代だけでも100万円ほどがかかります。それとは別に、墓地代や管理費、納骨の儀式にかかる費用なども必要となるため、トータルで200万円近くかかってしまうことも珍しくありません。
永代供養墓は、先ほどご紹介したように、一般的なお墓によりも比較的安く利用することができるため、費用面におけるメリットがあります。
宗教・宗派を問わず利用しやすい
永代供養墓の多くは、宗教・宗派を不問としています。永代供養を行っている寺院でも、檀家(寺院の信徒になること)にならなくても利用できる場合があります。宗教・宗派に囚われず自由に埋葬先を検討しやすいのも、永代供養のメリットです。
永代供養をするデメリット
永代供養の利用には、メリットだけでなくデメリットもあります。後悔しないお墓選びをするためにも、デメリットもしっかりと押さえることが大切です。
ここからは、永代供養のデメリットについてご紹介します。
ご遺骨が合祀されることがある
納骨期間を満了したご遺骨は骨壺から取り出され、合祀されることがほとんどだとご説明しました。血縁関係の無い他の人のご遺骨と共に埋葬されることに抵抗感を覚える方にとっては、合祀はデメリットに感じられるでしょう。
どのくらいの期間、どのように供養してくれるかは寺院や霊園ごとに異なるため、事前に確認することが大切です。
合祀後には遺骨を取り出せない
合祀されたご遺骨は、個人の判別ができないため、後になって埋葬方法や埋葬場所を変えたいとご家族が思っても、取り出すことはできません。合祀という供養が果たして個人・ご家族にとって最適であるかは、十分な話し合いが必要です。
ご家族・ご親族間での調整が難しいことも
永代供養墓では、以下のような不満がご遺族からあがることがあります。
・一般墓と違い、参拝スペースが限られていて不便さを感じる
・他の人と一緒になっているお墓に手を合わせると、故人様を感じにくい
・家族で永代供養墓に入ろうと思ったら、定員オーバーでバラバラに埋葬することになった
・せっかく新たにお墓を立てたのに、故人様が一人で勝手に永代供養墓を契約してしまった
このように、永代供養ではご家族・ご親族間の調整がうまくいかず、トラブルに発展するケースもあります。
永代供養を検討する際は、家族内で相談や意見交換をしっかり行うところから始めましょう。
6.永代供養とは第三者に供養と管理を任せる埋葬方法
永代供養とは、寺院や霊園などにご遺骨の供養、管理をお願いする埋葬方法です。かつては諸事情で家族のお墓に入れない方や、身寄りの無い方のための救済措置でしたが、現代では、ライフスタイルの変化などにより需要が高まりつつあります。
仕組みやメリット・デメリットなどをきちんと押さえた上で、ご本人やご家族のニーズに合わせて、永代供養を埋葬の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
昨今では価値観やライフスタイルの変化により、さまざまな選択肢が求められていますが、これは葬儀においても同様です。
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