お墓参りのお花の選び方 ~おすすめやタブーの種類は?お供えマナー、注意点を解説~
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- 【 法事・法要のマナー 】
お墓参りのお花の選び方について、ご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、初めて訪れるお墓でのお参りやご親族で集まる際には、生もので種類も多い仏花は何をどれくらい用意すればよいのか悩むところです。そこで今回はお墓参りの時にどのようなお花を選んだらよいのかについてご紹介します。
【もくじ】
1.お墓参りでお花をお供えする理由は?
お墓参りでお花をお供えするようになった理由は諸説ありますが、ここではその中の2点をご紹介します。
仏様は食事の代わりに香りを楽しむ
仏様は食べ物を食べることができない代わりに香りを楽しまれると考えられていたので、仏壇には「仏飯(ぶっぱん)」という炊きたてのご飯をお供えし、お線香をあげます。お花も同じように、古くより共に手向けられていますが、よい香りがすることもその理由のひとつだといわれています。
お花は心を華やかにしてくれる
お供えのお花は極楽浄土の美しさを表現しているともいわれていますが、故人様だけに必要なものではありません。色鮮やかで美しいお花は、見る人の心を華やかにしてくれます。故人様に思いを馳せ手を合わせる間、わたしたちにも安らぎを与えてくれるのです。
2.お墓参りでおすすめのお花の種類は?
お供えをするお花にこれでなければならないという決まりはありません。生花店で売られているお供え用の花束を用意してもよいですし、故人様がお好きだったお花やお色味を選んでもよいでしょう。頻繁にお墓参りができないならば日持ちが良く、枯れても散らかりにくい菊がおすすめです。
季節別のおすすめもいくつかご紹介します。
通年のお花
【カーネーション】
白いカーネーションは「亡き母に贈る花」ともいわれており、ピンク、淡いオレンジ、グリーンなど色味も豊富であることから人気のお花です。
通年のお花としては、菊がおすすめです。年間通して、生花店で販売されています。
春のお花
【スターチス】
日持ちが良く、白色のほかに赤、ピンク、黄、青、紫と色味も豊富です。小さな花びらが密集しボリュームがあるので、少ない本数でも華やかに見えるでしょう。
【キンセンカ】
花びらが杯状(カップ状)に咲くキンセンカは、「別れの悲しみ」「寂しさ」の花言葉を持っています。その言葉とは対照的に力強い橙色や黄色い色味は、故人様だけではなくお墓参りに来た人の心を明るく照らしてくれるでしょう。
春のお花としては、色鮮やかなお花を咲かせるアイリスもおすすめです。
夏のお花
【グラジオラス】
色味が豊富で一本の茎に複数の花をつける存在感の強いグラジオラスですが、ピンク色には「ひたむきな愛」という花言葉があり大切な人にお供えするのにふさわしいでしょう。
【ユリ】
大輪の花を咲かせ品のあるユリは高貴なお花として幅広く愛されており、白百合はキリスト教の葬儀において献花として使用されます。厳かな雰囲気にふさわしく長持ちする品種が多いため、お墓参りの仏花として生花店に並んでいます。
ただし、花粉が墓石につくとなかなか取れないため、つぼみのないもの、花粉を取り除いたものを供えましょう(生花店で販売しているユリのほとんどは、花粉が取り除かれています)。
夏のお花としては、暑さに強いケイトウもおすすめです。
秋のお花
【りんどう】
誠実、正義を花言葉として持つりんどうは、美しい青色が特徴です。アクセントになるお花として、おもに花束に使用されています。
【コスモス】
秋らしさを感じさせる優美なコスモスは、故人様を慰め、参拝者などの心を穏やかにしてくれるお花といえるでしょう。
秋のお花としては、キキョウ、デンファレもおすすめです。
冬のお花
【ストック】
1つの茎に多くの花をつけ、色のバリエーションが豊富なストックがおすすめです。
冬のお花としては、花持ちのよいオンシジュームもおすすめです。
3.お墓参りでタブーのお花は?
お墓参りでは、危険なお花、後ろ向きなイメージを与えかねないお花などは避けた方がよいとされています。トラブルを起こさないためにも一読しておきましょう。
棘のあるもの
触ると痛みを感じる棘のあるお花は、お供えに向いていません。どうしてもお供えする場合は、必ず事前に棘を取り除いておきましょう。
- ・バラ
- ・アザミ など
毒をもつもの
仏様に毒をお供えすることになってしまうため、タブーとされています。また、お供えしたお花を片付けてくれる人にとって危険ですので避けましょう。
- ・彼岸花
- ・スイセン
- ・スズラン など
傷みやすく散りやすいもの
お墓参りをした後すぐに傷み派手に散ってしまうと、周りを汚し迷惑をかけてしまいます。また、ポロリと落ちるようなお花は縁起が悪いイメージを持たれてしまうので、なるべく日持ちが良く散りにくいものを選びましょう。
- ・椿
- ・サザンカ など
匂いが強いもの
仏教では四十九日の間はお線香の香りを仏様が召し上がるため(食香)、香りの強いお花をお供えすると食香を妨げてしまうのでタブーとなっています。また、匂いの強いお花は花粉の量も多くお墓周りを汚したり他の参拝の方の迷惑となったりします。
- ・キンモクセイ
- ・クチナシなど
なお、お墓参りにおすすめのお花としてご紹介したユリも、花粉が多いお花のひとつです。お供えする場合は必ず雄花を取り除きましょう。
ツタのあるもの
ツタのあるお花は枯れやすく、お墓に巻き付いてしまうこともあります。また、ツタが絡みつく様子は成仏できないようなイメージに繋がりかねないため避けましょう。
- ・アサガオ など
お墓参りでタブーのお花をご紹介しましたが、お供えするお花に決まりはありません。周りに迷惑がかからない状態であれば、故人様がお好きだったお花、大事にされていたお花が上記にあげたお花だとしても、お供えすることができます。
ただし、お住まいの地域の決まり、ご親族様の宗派、霊園のルールなどを確認のうえ、必要な処置をしてからお供えするようにしましょう。
他家のお墓参り、法事や多くの人が集まったりするタイミングなどによっては故人様がお好きでも適さないお花もありますので、必ず確認することが大切です。
4.お墓にお供えするお花の色や量、バランスは?
お墓参りで故人様にお供えするお花が足りなかったり多すぎたりして、見栄えが悪くなることは避けたいものです。そこで目安となる色・量・バランスについてご紹介します。
色
四十九日の間は白を基調としますが、以降は自由に選んでいただいてかまいません。3~5色程度用意すると見栄えもよいでしょう。故人様が特別にお好きだった場合を除き、黒色などの暗い色は避け、なるべく明るいお色味を選ぶことをおすすめします。
本数
お墓参りでお供えするお花は3本、5本、7本などの奇数とし、花立(はなたて/お墓にお花を供えするための筒状の仏具)に同じ数ずつお供えしましょう。花立のサイズはあまり大きくないことから、最大7本までと考えてください。
バランス
左右対称となるように飾りましょう。背が高く長めのお花を中心に菱形になるよう飾ると、美しく見えます。参拝者側に向けて飾るのが一般的です。
5.お墓にお供えするお花は造花でもOK!
より長く美しい状態を保てるという理由から、近年ではお墓参りで造花を選ばれることも増えてきました。霊園によっては造花を推奨しているところもありますし、種類が豊富で持ち運びしやすいという点も魅力です。
ただし、造花をお供えすることに対してあまり良くないイメージを持たれている方もいらっしゃいますので、人が多く集まる場所では避けたほうが無難です。
6.お墓参りのお花選びのポイント4つ
失礼のないように気をつかうお花選びですが、4つのポイントをおさえておけば安心です。
1.故人様が好きだったお花
お墓参りで故人様に向けてお供えするものですので、まずは故人様のお好きだったお花を選んでみましょう。ただし特別な理由がない限り「3.お墓参りでタブーのお花は?」でご紹介したものはなるべく避け、自分の家以外のお墓には常識的なお花をお供えするようにしましょう。
2.お供えする人の好きなお花
故人様のお好きなお花がない、もしくはわからない場合は、お供えする方の好きなお花を用意しましょう。故人様を偲ぶ気持ちで選んだお墓参りのお花は、きっと素敵な香りを届けてくれるに違いありません。
3.長持ちするお花
野外でのお飾りとなりますので、花立から水分が蒸発するスピードも室内に比べ早いです。カーネーションやデンファレ、菊など丈夫で長持ちするお花を選ぶとよいでしょう。わからない場合は、生花店で売っている仏花を選ぶと安心です。
4.宗教やTPOをわきまえる
法事や大勢の人が集まる時は宗教や地域性、大勢の方のお気持ちに配慮し、その場にふさわしいお花を選ぶよう心がけましょう。
家のお墓参りで身内のみ集まる場合は、そこまで配慮する必要はありません。故人様を偲ぶ気持ちを最優先にお花を選びましょう。
7.お墓参りのお花の費用相場は?
一般的に生花店で売られているお墓参り用の仏花は一束1,000円程度です。花立は二つあるのが主流なので二束必要となります。霊園の近くに生花店やホームセンターなどがあるか事前に調べておきましょう。
アレンジメントにこだわったり高価なお花を使ったりする場合は、費用はさらに上がります。ネットで注文すると配送料も別途かかるので、注意が必要です。生花店でオーダーする場合は、事前に予算を決めて伝えるようにしましょう。
8.お墓参りでの正しいお花の供え方
きちんとお花選びができても、間違った飾り方をしてしまっては台無しです。また、お盆などお墓参りの時期は暑いため、より長くお花を持たせる方法も合わせてご紹介します。
まずはお墓の掃除から
お墓が汚れていたままでは故人様を思う気持ちも伝わりません。墓石の汚れているところを綺麗に拭き、前の方がお供えした枯れたお花は取り除きましょう。
生花は水中に潜むバクテリアの影響によって傷みやすくなってしまうので、歯ブラシなどで花立の中も綺麗に洗うようにしてください。
お花をお供えする
花立に水を入れてから奇数本のお花を挿し、左右対称となるように飾ります。お花の向きについては仏様にお花を向ける向上相、八方に向ける向中相などがありますが、一般的には参拝者側にお花が向く向下相が主流です。
花立がない場合は?
洋型墓石やデザイン墓石などによっては、花立がない場合があります。管理の方に聞いてから指示に従うようにしましょう。
お花を長持ちさせるコツ
お墓参りが終わった後も、綺麗なお花にはより長く咲いていてほしいものです。長持ちさせるための「水切り」という方法がありますのでお試し下さい。
【水切り】
用意するもの
- ・水の入ったバケツ
- ・よく切れるハサミ
水の入ったバケツの中で茎の先から4センチほどのところを斜めに切ります。切れ味が悪いハサミを使うと切り口が曲がり水分の吸収が悪くなるので、勢いよく切るようにしましょう。水中で切ることによって空気が茎から侵入するのを防ぎ、水分の吸収効率が上がるので花持ちがよくなります。
他にもこのような方法があります。
- ・葉を水につけないように、茎の下に生えている葉をカットしておく
- ・頻繁に通うことができるなら、定期的に水を替える
- ・暑い日は花立の水の中に氷を入れておく
- ・花立の中を綺麗に洗う
- ・花立の中に10円玉を入れる(銅イオンの力で水中内のバクテリアの増殖を抑えることができる)
9.お墓参りでのお花をお供えする際のマナーと注意点
お住まいの地域ごと、ご親族様の方針、宗派によってマナーは変わるものです。事前にきちんと確認しておくと安心ですし気持ちよくお墓参りをすることができます。ここでは簡単にポイントを3点ご紹介します。
お花は持ち帰ってもよい時がある
お墓参りでお供えした後のお花をどうするか悩むことも多いかと思いますが、基本的にはお墓を管理しているところの指示に従いましょう。後に管理者が片付けてくれる霊園もあります。持ち帰ってもよい場合は、仏壇に飾らず玄関やリビングでお楽しみください。
生花を禁じている納骨堂の場合
納骨堂にも様々あり、ルールもそれぞれ違います。生花の持ち込みが禁止されている場合はプリザーブドフラワーや造花なら可能かどうか、事前に確認しましょう。それも禁止されている場合は納骨堂のルールに従って、ふさわしいお供え物をご用意ください。
仏教と神道の違い
2500年ほど前に仏陀の教えをもとに開祖されたのが仏教です。一方、経典や具体的な教えというものがなく、自然現象や八百万といったものなどあらゆるものに神の存在があると考えているのが神道です。
仏教は各宗派の寺院の敷地内や近辺にお墓を建て、神道では神社から遠く離れた霊園にお墓を建てます。お墓参りなどのお供えについても違いが多々あるので注意が必要です。
たとえば、仏教ではお供えとしてお花を用意しますが、神道では基本的に榊(さかき)というツバキ科の木をお供えします。ただし、神道でも近年では榊以外に故人様がお好きだったお花や白い菊などをお供えすることもあります。いずれにしても、お墓参りの際はご親戚などの関係者に事前に確認することが大切です。
10.お墓参りができない事情がある場合は業者に依頼しよう
遠方に住んでいる場合や、都合がつかずにどうしてもお墓参りができない場合は、代行業者を利用するという方法もあります。代行なんてバチが当たりそうと思うかもしれませんが、日本ではもともと「代参」といって本人の代わりにお参りする風習もあったので特に問題はありません。
会社によってお墓の掃除やお線香などのお供え、写真を添えての報告などというサービスもあるため、自分に合った業者を探してみましょう。
11.お墓参りをされる方へ ~花葬儀プランナーからのアドバイス~
ここまでお墓参りのお花の選び方についてご説明してきましたが、最後に弊社プランナーからのアドバイスをご紹介します。お花選びの基本以外に以下の点を是非参考にしてみてください。
季節を感じられるお花を選ぶ
お花選びがうまくいかない・・・そのような時は、季節のお花を選んでみてはいかがでしょうか。共に過ごせない四季折々を供えたお花で共有することにより、きっと故人様とあなたの心に安らぎが生まれることでしょう。
故人様を思いやったお花選びが大切
お墓参りのお花選びでは迷ってしまいがちですが、一番大切なのはその方を想いながら「お花を選び」「感謝の気持ちでお供えする」ことです。どのようなものがお好きだったのか、どのような思い出があったのか記憶の中の故人様を振り返り、その方に最適なお花を選びましょう。
12.お墓参りのお花選びは故人様を想う気持ちが大事!
おすすめのお花や避けた方がよいお花、お花選びで宗派やTPOを考慮しなければならない場面など、お墓参りでのお花の選び方のポイントをご説明してきました。マナーやTPOをわきまえた上でお花選びができれば、安心してお墓にお花を供えることができるでしょう。
とはいえ、もっとも大切なことは、故人様に喜んでもらえるお花を考えながら選ぶことです。
故人様が好きだった種類や色味、故人様との思い出などを振り返りながらお墓参りのお花を選ぶことで、その思いはきっと香りと共に遠くの故人様のもとにも届くでしょう。
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