お彼岸でのお供え物の定番は?表書き、相場は?
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
「お彼岸で仏壇に何をお供えすればよいのかわからない」「お彼岸のお供え物として何を持参すべきかわからない」。このように、お彼岸のお供え物を選ぶ際に迷われる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、お彼岸の定番のお供え物(自宅用・贈答用)について、またお供え物の表書きや相場についても詳しく解説していきます。
【もくじ】
1.お彼岸とは?
お彼岸は、1年に2回、春と秋にやってきます。春のお彼岸は「春彼岸」とも呼ばれ、期間は3月の春分の日を真ん中の日にして前後3日間をあわせた7日間のことをいいます。
また、秋のお彼岸は「秋彼岸」とも呼ばれ、期間は9月の秋分の日を真ん中の日にして前後3日間をあわせた7日間をいいます。
お彼岸に、お墓参りに行ったり法要を行ったりするのは実は日本独自の慣習です。ご先祖様を供養するために設けられた大切な期間だといえるでしょう。
※お彼岸の詳しい内容については、以下の記事が参考になります。
【2022年秋】お彼岸はいつ?お布施の相場、お墓参りのタイミングも解説
https://www.hana-sougi.com/blog/ohigan/
2.お彼岸のお供え物に決まりはない
お彼岸のお供え物に、これでなければならないといった決まりはありません。自宅の仏壇に何をお供えしてもかまいませんし、他家を訪ねるときもお供え物に何を選んでもよいのです。
ただ、自宅のお供え物として購入する場合は自由に選択できますが、訪問先にお供え物を持参する場合は、迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
そのようなときは、訪問先の家族構成・年齢・生活習慣や地域の風習なども考慮しつつ選択されてはいかがでしょうか。基本的に日持ちがするものであれば、先方も困ることは少ないでしょう。また、このあとご紹介する定番のものから選択する、お店の販売員に相談してみるなどの方法もおすすめです。
3.お彼岸での自宅のお仏壇におすすめのお供え物は?
お彼岸では、自宅のお仏壇には、いつものお供え物より多くのお供え物を置き盛大に飾るのが一般的です。ここでは、自宅のお仏壇におすすめのお供え物を解説します。
ぼた餅・おはぎ
昔からお彼岸の際に自宅のお仏壇にお供えされてきたものに、「ぼた餅」と「おはぎ」があります。春のお彼岸のお供え物が「ぼた餅」、秋のお彼岸のお供え物が「おはぎ」です。どちらももち米とあんこを使用したお菓子ですが、その違いについてはさまざまな説があります。
1.呼び方だけが違う
春の彼岸には小豆を「春に咲く牡丹の花」に見立てて「ぼた餅」と呼び、秋の彼岸には小豆と「秋に咲く萩の花」の形状が似ていることから「おはぎ」と呼んだとの説があります。
他にもぼた餅は牡丹の花のように丸く大きく作られ、おはぎは萩の花のように細長い俵型のように作られるからという説もあります。
2.あんこの作り方が違う
外側を覆うあんこが、ぼた餅は「こしあん」、おはぎは「粒あん」であるとする説や、きなこがかかっているか、かかっていないかで判断するという説もあります。
3.お米の種類が違う
「もち米」で作ったものをぼた餅、「うるち米」で作ったものをおはぎと呼ぶケースもあります。
その他、食べる時期(春か秋か)が違う、お米のつき方が違う、地域によって違うなどの諸説があります。
果物
お彼岸のお供え物として、季節の果物も一般的です。お彼岸の期間は7日間なので、傷みやすい果物はお供え物としては適切とはいえません。リンゴやメロンなど常温でも長持ちするものがおすすめです。
精進料理
お彼岸やお盆などの特別なときに、肉や魚介類を使わずに作られた精進料理をお仏壇にお供えするケースもよく見受けられます。
故人様がお好きだった食べ物
お彼岸では故人様がお好きだった食べ物をお供えするのも通例です。ただ、果物同様、傷みにくいものをお供えするようにしましょう。また、殺傷を連想させる肉や魚は、お供え物としては避けるのが基本とされています。
お花
お花は普段からお仏壇にお供えするものですが、お彼岸の期間はいつもより盛大にお供えするのが一般的です。お仏壇の花立を使ってお供えする方法とは別に、花瓶を用意してお花を供えてもよいでしょう。
4.お彼岸に贈答品として持参するお供え物の定番は?
お彼岸に実家や親戚宅などを訪問する際、お供え物として何を持参すればよいのかわからない方のために、定番とされているお供え物をご紹介します。
線香・ろうそく
仏教では、故人様には香りがもっとも上等な食べ物であるといった考え方があるので、線香はお彼岸の贈答品として一般的です。線香を持参するときには、ろうそくとセットにしてもよいでしょう。
線香やろうそくは、ご先祖様を供養するときに使用することができる、いわゆる「消えもの」なので、訪問先にも喜ばれるお供え物です。
菓子折り
日持ちして小分けにしやすい菓子折りは、お彼岸の贈答品の定番です。お供えしたあとの保管に気づかいがいらず、気軽に食べることもできるからです。
和菓子なら日本茶といっしょに楽しめる「おまんじゅうや最中などがセットになったもの」、洋菓子なら「数種類のクッキーの詰め合わせ」などが、お供え物としてよく選ばれています。
果物
季節の果物は彩もよく豪華にも見えるので、お彼岸の贈答品に適しています。常温で日持ちするリンゴやメロンなどが定番ですが、複数の果物を詰め合わせてきれいに包装してある盛籠も見栄えがよくお供え物として人気です。
そうめん
そうめんは精進料理の代表的な食材なので、お彼岸のお供え物として多くの方から選ばれています。
また、そうめんは、お盆のお供え物としても定番で、「あの世へ帰る仏様が、振る舞われた料理やお土産などの荷物をまとめるときの紐として使用する」という仏教的な言い伝えがあることなどから、お盆以外のときのお供え物としても利用される機会が多い品物です。
ジュース・缶詰
お彼岸のお供え物として持参するものは相手の負担を考えて日持ちのする品を選ぶのが基本なので、特に消費期限の長いジュースや缶詰はお供え物としておすすめです。
お花
お彼岸によく持参される品としてお花があります。お彼岸だからこの花でないといけない、といった決まりはありません。
お彼岸の時期になると、フラワーショップの店頭にはお花をカゴや器に飾りつけたフラワーアレンジメントが並びます。花束だと花瓶が必要になるので、故人様がお好きだった花が使われているフラワーアレンジメントを選ぶのもよいでしょう。
ただ、生花は水の管理が必要だったり、時間がたつと花びらが落ちたりして扱いづらかったりするデメリットがあるので、最近はプリザーブドフラワーなどの造花を持参する方も増えているようです。
現金
場合によっては、お供え物といっしょに現金(お香典)を、あるいは現金のみを持参するケースもあります。
お彼岸のお供え物に現金は味気ないと考える向きもありますが、贈られる相手が好きなものに使えるので、一番喜ばれるお供え物として選択する人も少なくありません。
5.お彼岸のお供え物の相場は?
持参するお供え物が高額だと、渡す相手に「お返しをしなければ…」といった心の負担をかけてしまうかもしれません。そこで、お供え物の相場はだいたい3,000円~5,000円程度とされているようです。現金を渡す場合も同程度の金額だと考えてよいでしょう。
こうした相場を反映して、お彼岸の時期になると百貨店などのお店では、持参用の3,000円~5,000円の線香とロウソクのセットや菓子折り、缶詰の詰め合わせなどの商品が売り出されます。
6.お供え物の掛け紙に熨斗(のし)は不要
贈り物につけることが多い「熨斗(のし)紙」をお彼岸に持参するお供え物にもつけようとしている方がいるかもしれませんが、それはマナー違反になるので注意しましょう。
「熨斗(熨斗紙や御祝儀袋などの右上にある飾り)」が入った掛け紙(贈答品などの上面あるいは前面に掛ける紙)は慶事の際に用いられるもので、お彼岸などの仏事のときには使ってはいけません。
お彼岸のときに持参するお供え物には「のし(熨斗)」が入っていない、白と黒あるいは黒と銀などの水引が入った掛け紙を使うのが一般的なルールです。ただ、関西地方では黄色と白の水引も広く用いられるなど、地域によっては水引の色が違うこともあるので、お供え物を持参する地域の慣習やルールなどを前もってリサーチすることをおすすめします。
7.「お供え物の掛け紙」の表書きの書き方は?
掛け紙は水引で上段と下段に分かれていて、どのような状況(結婚式、葬儀、お歳暮など)での贈り物なのかによって、上段と下段に書く内容が変わります。
お彼岸のお供えものの掛け紙の場合は、上段には「御供」または「御供物」と書きます。そして、掛け紙の下段には自分の氏名をフルネームで書きます。
会社や所属機関の名前などは、氏名の右上に小さく書き入れます。複数人で贈るときには連名となりますが、その際は、右側に目上の方がくるように記入するのがマナーとされています。
8.お彼岸でお供え物をいただいた場合のお返しは?
お彼岸でお供え物をいただいた場合のお返しは「基本的には必要ない」という考えもありますが、感謝の気持ちを表したい場合は、相手の負担にならない程度の金額の品物を贈るとよいでしょう。
また、贈る相手や地域によっては、香典返しの「半返し」と同様の考え方で、いただいたお供え物の額の「3分の1」から「2分の1」程度の金額の品物を贈る場合もあります。相場よりも高額なお供え物をいただいた場合も同様に、「3分の1」から「2分の1」程度のお返しをするとよいでしょう。
9.ご先祖様に感謝の気持ちを込めてお供えをしましょう
ご説明したように、お彼岸のお供え物にこれでなければならないといった決まりはありません。ご先祖様やお供え物を持って行く相手のことを考え、喜んでもらえるものを選べばよいでしょう。
ただ、迷われてしまう方は、定番の品をご紹介しましたので、それを参考にお供え物を選んでみてください。お彼岸は、ご先祖様を供養する大切な期間です。自宅のお仏壇にはご先祖様に感謝の気持ちを込めてお供えをしましょう。
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