ペットロスの症状と克服する方法とは?供養する意味や方法もご紹介
- 作成日:
- 【 供養の基礎知識 】
高齢化や核家族化などの影響やコロナ禍で在宅時間が増えたことなどもあって、癒しを求めてペットを飼い始める人が増えています。しかしながら、人間の家族同様に愛情を注いでいたペットが亡くなってしまったとき、その別れを受け入れられず、ペットロスの症状に襲われる人も少なくありません。
今回は、そのペットロスに焦点を当て、ペットロスを克服する方法や、ペットの供養方法などについてもご紹介します。
【もくじ】
1.ペットロスとは?
長年連れ添ったペットを失った悲しみは、覚悟していた以上に辛いものかもしれません。
ここでは、ペットロスとはどのようなものなのかについてご説明します。
ペットロスとは?
現代では、犬や猫をはじめとして、ウサギ、ハムスター、鳥、魚、爬虫類など、さまざまな種類の生き物に愛情を注いでいるケースを目にします。
ペットは、飼い主の心情次第で、子供にも、友人にも、または心の拠りどころにもなり、飼い主の心を癒してくれる存在だといえます。このように、時には家族以上の存在にもなるペットを失ったときの衝撃や喪失感は、飼い主にとって計り知れないほどに大きいものです。ペットを失った体験自体や、深い悲しみにより引き起こされる心や身体の不調を「ペットロス」といい、医学的には「ペットロス症候群」と呼びます。
ペットとの別れで生じるグリーフ(悲嘆)とは?
ペットとの別れを経験すると、ペットと一緒に過ごした思い出とあわせて、死なせてしまった罪悪感や後悔、恨みなど説明し難い複雑な気持ちさえ抱えてしまうものです。それでも、自身は変わらず日常生活を送らなければならないため、悲しみと現実に対応しようとする思いが交錯して、精神的に不安定になってしまう場合があります。この状態を、ペットとの別れで生じる「グリーフ(悲嘆・深い悲しみ)」と呼び、ペットに深い愛情を注いできた人ほど、陥りやすいと考えられています。
人間とくらべて、一般的にペットの寿命は短く、最期までお世話をし、看取るところまで担うのが飼い主としての責任です。しかし、それまで長い年月、生活をともにし、時に家族以上の存在であったペットとの別れは、飼い主にとって辛く悲しいもので、これが引き金となり心身に不調が生じてしまうこともあるのです。
2.ペットロス症候群の症状とは?
ペットロス症候群は、精神的な苦痛を発端として身体に現れる症状のため、人により症状も様々です。一般的には次のような症状が見られます。
* 不眠(眠りが浅い)
* 感情が不安定(気分が落ち込みやすい)
* 食欲不振
* 摂食障害(拒食・過食)
* 息苦しさ
* 疲労感
* 頭痛・腹痛・めまい
* 孤独感、不安感、虚無感が強い
* やる気が起きない(興味がわかない)
* 亡くなったペットがいる気がする
* 他人のペットを見るのが辛い
* ペットのことを考えては涙が止まらない
3.ペットロスを重症化させる原因は?
大切にしてきたペットを失ったことによるペットロスは、誰にでも起こりうることです。ペットロスは、時間を経れば、和らぎ、克服されていきますが、重症化してしまうと回復に時間を要します。
ここでは、重症化してしまう原因について、ご紹介します。ペットを飼えば、いつの日か、お別れする日が来るかもしれません。そのときに、ペットロスを重症化させないための予防策としても知っておくとよいでしょう。
罪悪感を抱えてしまう
ペットを失うと、飼い主が「もっとこうしてあげればよかった」と罪悪感を抱えてしまうケースがあります。ペットの症状に気がついたタイミングや、連れて行った病院の選定、治療の方針まで振り返って亡くなった原因を探り、自分の行動を責めてしまうのです。
生前、できる限りのケアをしていたとしても、ペットを失うと“たられば”の思考になりやすく、ペットロスを重症化させる原因になります。
心が現実に追いついていかない
ペットは自分の不調を伝えられませんから、病気の発見が遅れてしまうことがあります。不慮の事故で急死してしまう場合もあるでしょう。そのようなとき、飼い主にはペットを失う心の準備ができていないため、「心が現実に追いつかない」という状態が生じます。たとえ「いつかは」と別れを頭で想像していたとしても、実際に起こったときには、なかなか心では受け止められないものです。
また、仕事や人間関係、日常生活で辛いことがあった時期と、ペットの死が重なった場合に、重症化しやすい傾向にあります。ペットを失ってしまったことによる反動が出やすくなってしまうのです。
相談できる人が近くにいない
ペットを亡くしてしまったときに、その辛さに共感してくれ、自分の弱さをさらけ出して相談できる人が近くにいない状況にある可能性もあるでしょう。
飼い主の悲しみは、ペットを飼った経験がない人に理解をしてもらうのは難しいかもしれません。しかし、自分だけで悲しみを抱えていると、消化できずにペットロスを重症化させてしまいがちです。
4.ペットロスを克服するための3つの方法
ペットロスを克服するためには、どのような方法が有効なのでしょうか。ここでは回復に役立つ3つの方法をご紹介します。
一人で悲しみを抱え込まない
ペットロスを克服するためには、一人で悲しみを抱え込まないことが大切です。ペットとの関係性は人により異なりますし、他人に100%の理解を求めるのは難しいかもしれません。しかし、家族や友人に会い、自分の状況を説明して、寄り添ってもらうことで気持ちが和らぐ場合もあります。
また、インターネット上には、周りには明かしづらい同じような悩みを抱えた人が、悩みの内容や克服した方法などを公開していることがあります。自分と似た境遇にあった人の体験談を読むなどの方法も、抱えている悲しみは自分だけに限ったものではないと感じられ、気持ちを楽にしてくれるでしょう。
気持ちを切り替える工夫をする
ペットが亡くなった直後は、深い悲しみで余裕がない状態だと思います。しかしながら、その悲しみや喪失感は、月日の経過とともに、少しずつ薄れてくるでしょう。その変化に戸惑い、悲しみの感情を引きずる人もいますが、少しでも早くペットロスから抜け出すためには気持ちを切り替える工夫をしましょう。
たとえば、ペット用品などを整理しながらお部屋の模様替えをすることが、気持を切り替えるきっかけになる場合もあります。
悲しみを手放すことは、大切なペットを忘れることではありません。亡くなった悲しみよりも、生前一緒に過ごした楽しかった日々や、幸せだった時間を思い出して、少しずつでも感情を前向きに切り替えていきましょう。
専門家のカウンセリングを受ける
ペットを失った悲しみや喪失感、その感じ方は、飼い主にとってペットがどのような存在であったかによっても異なるので、周りの人に相談しても、思ったように理解してもらうのは難しいでしょう。相談したことで、逆に自分の思いを理解してもらえず、ショックを受ける場合もあるかもしれません。
そのように感じたときには、ペットロスカウンセラーなどの専門家のカウンセリングを受けてみるのも一つの手段です。ペットロスの症状に悩む方に寄り添ってきた経験豊富なカウンセラーであれば、心の状況に理解を示し、ペットロスを改善するためのアドバイスをしてくれるはずです。
5.ペットを供養することの大切さ
ペットを供養することには、どのような意味があるのか、飼い主にどのような影響があるのかについてご紹介します。
ペットを供養する意味
供養とは、亡くなった人、または動物の冥福を祈る行為です。お花やお供物を手向け、手をあわせることも供養の一環です。
人間は大切な方を亡くしたとき、ご家族やご友人、生前交友のあった方々をお招きし、お葬式を行います。お葬式というお見送りの機会を設けることで、故人様を偲び、気持ちの整理をつけるのです。
動物においても、現代ではペットとの関係性が昔とは変化して、しっかり供養したいと考える人が増えています。供養は、亡くなったペットのために行うものでありながらも、しっかりとお別れの機会を設けることで、飼い主は心を整え、ペットと過ごした思い出に一つの区切りをつけられるでしょう。
ペット供養の方法
ペット供養の方法には、どのようなものがあるかをご紹介します。
ペットの葬儀を行う
ペットの供養をしたいと考え、人間と同じようにペットの葬儀を行う方も多くいます。
ペットの葬儀を行う場合、葬儀を行う場所は様々ですが、人間の供養の方法と大きな違いはありません。お花や、生前よく遊んだ玩具などを祭壇に飾り、好きだった食べ物などと一緒に火葬をしてもらうことも可能です。
葬儀については、お花で装飾を施し、お別れの儀式や読経を行う場合もあります。葬儀社では、ペット用の葬儀プランを用意しているところもあります。ご希望に合わせて葬儀の内容を提案してくれるでしょう。
※ペットの葬儀について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
https://www.hana-sougi.com/blog/petfunal/
葬儀後にお墓を用意し供養する
ペットの葬儀を行ったあとは、お墓に埋葬するのが一般的です。
自宅の庭に火葬した遺骨を埋葬することもありますが、現代では集合住宅や賃貸物件でペットを飼っているケースも多いため、住宅事情により庭への埋葬が難しい場合も多いでしょう。そのようなときには、ペット霊園を利用する方が多いようです。年間の管理費がかかりますが、定期的にお参りもでき、安心してペットの遺骨を預けられます。
また、人間と同じように、自然に還すことを目的に、遺骨を海や山などに散骨する「自然葬」を希望する方もいます。この場合、将来のお墓の管理や霊園に支払う管理費について心配する必要がありません。
寂しがり屋なペットだったから、ずっと近くに置いてあげたいと考える方もいるでしょう。そのような方には、手元供養がおすすめです。火葬した遺骨を骨壷に入れて目の届くところに置いて供養する方法もあれば、遺骨の一部を小さなカプセルやロケット型ペンダント、小さな骨壷に入れて、いつでも一緒にいられるように携行して供養する方法もあります。
飼い主によって、ペットへの思いや希望する供養方法についての考え方は異なります。ご自身の状況と気持ちにしっかりと向き合って、自分に合った供養方法を選択してください。
6.ペットロスの人のために周りができること
親しい人がペットロスで悲しんでいるときには、周りの人は無理に励ましたりせずに、その人の気持ちにただ寄り添ってあげることが大切です。その人の気持ちを完全に理解することは難しいでしょう。しかし、そのような状況でも、できるだけ共感するように努め、飼い主と一緒にそのペットを偲びましょう。
ここでは、ペットロスの人に共感するために、言ってはいけない言葉やかけるべき言葉をご紹介します。
言ってはいけない言葉とは?
ペットロスの人に言ってはいけない言葉の一例には、以下のようなものがあります。
・「動物は早く亡くなっちゃうから、かわいそうにね」
・「元気だしなよ」
・「早く新しい子飼えば?」
・「どうして死んじゃったの?」
ペットロスの人にとっては、ペットが亡くなった事実を口にすることさえも辛いことです。悲しみの渦中、打ち明けてくれた際には、飼い主や、飼い主とペットの関係を肯定してあげるような言葉をかけてあげましょう。
かけてあげるべき言葉とは?
ペットロスの人にかけてあげる言葉の一例には、以下のようなものがあります。
・「最期まで大切にしてもらえて、幸せだったね」
・「〇〇さんのペットで幸せだったと思うよ」
・「辛いよね。気持ちが落ち着いたら、話聞かせてね」
・「近くで見守ってくれていると思うよ」
ペットロスになった人の状態は、人それぞれです。ある程度時間が経つと心が癒える場合もあるので、そっと寄り添う言葉をかけてあげるようにします。
落ち着いて人の話を聞けないほどに混乱している状態の場合には、専門家に頼るようすすめるのもよいでしょう。
7.新しいペットを迎える方法も
ペットロスを克服する方法として、新しいペットを迎えることも一つだといわれています。
しかし、ペットロスにある人は、「新しいペットを迎えるなんて考えられない」という人も少なくないでしょう。飼っていたペットへの愛情が強ければ強いほど、亡くなったペットへの思いが強く、たとえ同じ種類のペットであっても、新しく迎える気にはなれないものです。
しかし、ペットと素晴らしい時間を過ごした経験がありますから、時が経ち、悲しみが癒えたなら、いつか再びペットを迎えたいと考える人が多いのも事実です。そして、新しいペットを迎えることが、悲しみを癒すきっかけになる場合もあるのです。
気をつけなければならないのが、ペットロスの人が新しいペットを迎えるためには、人それぞれの時間の経過が必要だということです。悲しみが癒えていないまま無理に新しいペットを迎えると、ペットロスが悪化してしまうケースもあります。新しいペットを迎える際には、心の整理がついている状況なのかを客観的に判断し、タイミングに十分に気をつけて迎えましょう。
8.ペットの葬儀が、飼い主の心の整理をする時間にもなります
ペットロスは重症化させないことが回復への近道です。今、可愛がっているペットが元気でも、そのペットとのお別れに自信がない方は、事前にペットの葬儀について考えておくことをおすすめします。いつか来るそのときに備えることは、心の準備にもなるでしょう。
そして、ペットロスになった場合にも、その苦しみを癒し、心を整理するために、ペットの葬儀を行う、お見送りの時間を設けることが、有効な方法だといえます。葬儀は、ペットのためだけでなく、飼い主の心を守るためにも役立つのです。
飼い主により、どのような葬儀を行うかの考え方は異なります。そこで、葬儀については、葬儀のプロへの相談をおすすめします。
花葬儀では、ペット葬をお考えの方のお手伝いもしております。飼い主の心を癒すお見送りになるよう、豊富な知識と経験を活かしてサポートさせていただきます。まずはお気軽に、ご相談ください。