生前葬の流れや費用相場は?メリットや注意点もご紹介!
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- 【 葬儀の種類 】
「生前葬」という言葉をご存じでしょうか。有名人が生前葬を行ったというニュースをご覧になり、その機会に知った方もいらっしゃるかもしれません。生前葬は、まだまだ一般的ではないものの、葬儀のひとつの形式として注目され、選ぶ人が増えています。
そこで今回は、生前葬について詳しくご紹介します。ご自身の葬儀についてまだ考えたことのない方も、この機会にぜひご一読ください。
【もくじ】
1.生前葬とは
生前葬とは、生きている間に行う自分の葬儀です。本人がまだ元気に存命しているにも関わらず葬儀を行うことに対し、違和感を抱く方もいるでしょう。しかし、生前葬を、「お世話になった人への感謝を、生きているうちに伝えるために、本人主催で開くお別れ会」と考えると、理解できるのではないでしょうか。
生前葬はまだ一般的ではありませんが、アントニオ猪木氏や桑田圭祐氏など、既に多くの有名人も行っています。主催者が亡くなっているわけではないので、死後に行う葬儀よりも、明るい雰囲気で行われるようです。
なお、生前葬はあくまでも本人が希望し、本人主体で行われるものです。「〇〇さんの生前葬をやろうよ」と周りの方が誘うことは大変失礼にあたるため、ご注意ください。
2.生前葬を行う理由や目的は?
生前葬を行う理由は個人によって様々ですが、多くは、生きているうちにお世話になった方や友人たちに会い、感謝を伝えることが、そのおもな目的であるようです。
ここでは、生前葬を行う理由や目的について、具体的にご紹介します。
生きているうちに感謝の気持ちを伝えたい
死の多くは、突然訪れるものです。たとえば、病気で余命宣告を受けた場合、長期間の猶予があったとしても、病状が悪化すれば話をすることすらままならなくなります。
そのため、「元気があるうちに生前葬を行うことで、お世話になった人たちへ感謝の気持ちを伝えたい」という目的で生前葬を行うケースが多くあります。
葬儀費用を自分で支払いたい
自身の死後の葬儀は喪主によって執り行われるため、費用総額は喪主や施主が支払いますが、生前葬であれば自分で支払いたいという目的を実現できます。
また、生前葬を行うと、死後は最低限火葬(直葬)を行うだけでよいので、「ご家族の金銭的な負担がどの程度になるのか」をある程度予想できます。
親族や友人・知人など大切な人たちと会う機会を作りたい
年齢を重ねると共に、体力的な理由で友人や知人と疎遠になってしまうケースが増えてきます。完全に縁が切れてしまう前に大切な人たちと会う機会を作ることを目的として、生前葬を行うこともあります。
人生の節目として区切りをつけたい
余命宣告を受けた、会社の重要な役職やスポーツ・文化的立場としての現役から引退する、古希・喜寿を迎えたなど、人生の節目を迎えたタイミングで区切りをつけるために生前葬を行う方もいます。
生前葬には、生まれ変わることを目的とした長寿儀礼の要素が含まれているといわれており、疑似的な死を迎え、新たな人生のスタートを切るために生前葬を行うこともあります。
3.生前葬の演出や特徴は?
生前葬では、どのような演出が可能なのでしょうか。特徴など、こちらで詳しく解説します。
自由な演出が可能
生前葬は基本的に無宗教葬として行われます。そのため、自分のやりたい内容でプランを立て、自由に演出することが可能です。もちろん、宗教の教えに沿った生前葬にすることもできます。
思い出の動画や写真を鑑賞したり、豪華な会食を楽しんだり、友人による弔事のスピーチや余興、本人の一芸披露などを行ったりと、演出は十人十色です。
自分の好きなように内容を決められるところが、生前葬の大きな特徴でしょう。
明るい雰囲気で行われる
生前葬は、基本的には明るい雰囲気で行われることが多いようです。本人が死亡しておらず、元気な状態であるなら、どちらかというと結婚披露宴のような雰囲気になるかもしれません。参列者にとっても、心理的負担が少ないのが特徴です。
もちろん、本人の希望で厳かな雰囲気で行うこともできます。
祭壇や棺は不要
基本的に無宗教葬ですので、祭壇は必要ありません。ご遺体を収める棺も不要です。
生前葬を行う会場も自由ですので、ホテルのパーティー会場やレストラン、思い出の場所など、選択肢は様々です。祭壇や棺が無い代わりに、お花を飾ることが多いようです。
※生前葬の内容や演出については、弊社プランナーがヒアリングを行い、ご希望にそえるようさまざまな角度からご提案いたします。
4.生前葬の一般的な流れは?
生前葬に決まった流れはありません。ご自身で好きなように内容を決めることができます。
ここでは、一般的な生前葬の流れをご紹介しますので、参考になさってください。
会式の言葉
プロの司会、ご家族、ご友人などが会式を告げます。
代表者挨拶
ここでの代表者とは、主催者の身内もしくは主催者本人です。生前葬をすることを決めたきっかけを話したり、参列者に向けて簡単な挨拶をしたりします。
挨拶の後、主催者本人が会場に入場するという演出もあります。
乾杯
主催者へのねぎらいと、参列者の多幸を願って乾杯します。
映像演出
主催者の生い立ちや、参列者との思い出の写真・動画を流し、鑑賞します。
弔事(スピーチ)/3人程度
ご家族、ご友人など3名ほどから、主催者に向けての弔事(スピーチ)を述べてもらいます。
事前に依頼するのを忘れないようにしましょう。
余興
プロによる演奏、ご家族・ご友人、もしくは主催者による余興が行われます。内容も、どなたが行うかも全て自由です。
会食・歓談
主催者が各テーブルを回り、挨拶をしながら会食・歓談をします。
本人の挨拶
主催者として挨拶をし、お世話になった参列者への感謝と、自身の今後について自由に語ります。
閉式の言葉
閉式を告げ、主催者は参列者を見送ります。
ご紹介した内容は、あくまでも一例です。必ずしもこの流れに沿って行う必要はなく、お焼香をしたり、宗教的儀式があったりしても問題ありません。主催者が望む式になるよう内容を決めましょう。
5.生前葬のメリット・デメリット
ご自身で自由に内容を決められる生前葬ですが、自由だからこその強みと弱みがあります。
こちらでは、生前葬のメリット・デメリットについて解説します。
生前葬のメリット
まずは、メリットをご紹介します。
本人が元気なうちにお礼やお別れを伝えることができる
病状が重かったり重篤な怪我を負っていたりすると、話をすることすらままなりません。生前葬なら、本人が元気な時に行われますので、お世話になった人や大切な人に感謝を伝えることができます。
死後に行われる葬儀では絶対に叶わないことですから、大きなメリットといえるでしょう。
自由な演出で楽しく実施でき、結果も確認できる
一般的な葬儀は基本的に内容や流れが決まっていますが、生前葬は自由ですので、自分の好きなように内容を決めることができるメリットがあります。「葬」という言葉からイメージする、暗く悲しい雰囲気ではなく、明るく華やかな式を演出することも可能です。
生前葬の立ち上げから進行まで、全て自分の目で確認できるため、満足度が高いのもメリットでしょう。
本人らしい葬儀が実現できる
自由に演出ができるということは、自分らしい葬儀が実現できるということです。アントニオ猪木氏は、プロレスのリングの上で生前葬を行い、当時流行った歌を歌ったりジョークを飛ばしたりして、参列者のファンと共に楽しい時間を過ごしたそうです。
その人らしい葬儀は、ご自身にも、参列者にも思い出深いものとなります。
時間に余裕がある
一般的な葬儀は、亡くなってから3~5日後に行われます。一方、生前葬はいつ行うかの日程も主催者が自由に決められるため、納得のいくまでゆっくりと準備をすることができます。
時間に余裕があるというのも、死後の葬儀とは違うメリットです。
費用面で予算が立てやすい
生前葬は、主催者が全ての費用をまかなうか、参列者から会費を集めて行います。主催者が負担する場合は、予算に合わせて内容を自由に変更でき、会費制の場合は招く参列者の人数から事前に費用の目安を立てることができます。
いずれにしても、計画的に予算を検討できるという点は、大きなメリットではないでしょうか。
家族に負担がかからない
ご遺族が準備や手配をする葬儀とは違い、生前葬は主催者が全て計画を立て、進行します。また、生前葬を行った後の葬儀は基本的に家族葬や直葬となるため、金銭的・時間的にもご家族の負担を減らせるというメリットがあります。
生前葬のデメリット
では、生前葬を行うにあたってのデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
家族や親族からの理解を得るのが難しい
生前葬はまだ一般に広く周知されているわけではなく、亡くなっていない人の葬儀をすることに抵抗がある方もいます。そのため、理解を得るのが難しいこともあるでしょう。
生前葬を希望する際は、生前葬を行う意義を十分に説明し、同意を得ることが何よりも大切です。
生前葬と死後の葬儀で負担が増えることがある
ご家族の社会的立場などの点から、生前葬は行ったけれど死後の葬儀や通夜、告別式もきちんと行いたいと考えることは少なくありません。結果的にご家族の負担が増えることもあります。
6.生前葬の費用相場は?
生前葬は基本的に自由な形式で行われるため、費用に関しては内容によって大きく異なります。「どんな会場を使用するのか」「参列者は何人になるのか」「余興にどれくらいお金をかけるのか」など、自由度が高い分、費用相場が分かりづらいのも生前葬の特徴です。
おおよその目安として、30人ほどの小規模であれば、会場にもよりますが35~50万円ほどが相場のようです。内訳として、「会場費(最低5万円~)」と「参列者の飲食代+返礼品代(一人当たり1万円程度~)」があります。
生前葬の費用において最も大きな変動要因が参列者の人数ですので、小規模で行えば行うほど、予算は抑えられます。
その他に予想される費用としては、以下のものがあげられます
・遠方からの参列者にお渡しする交通費・宿泊費
・余興に必要なもの(プロの演奏家による演奏費用、スクリーンやプロジェクターのレンタル代、動画編集代、小道具代など)
・弔事や受付をしてくれる方への御礼
・会場を飾り付ける装飾代
もちろん、これらにかかる費用は、先ほどの相場に含まれていません。こだわりを形にできるのが生前葬の魅力ですが、こだわればこだわるほど費用もかさむ傾向にあるようです。
7.生前葬をおこなった場合の逝去後の葬儀は?
生前葬により葬儀は終えていますので、死後、葬儀を行う必要はありません。しかし、ご遺体、は必ず火葬(直葬)をしなくてはならないため、火葬(直葬)の費用がかかります。相場は20~30万円程度でしょう。
生前葬で葬儀は終えているものの、改めて葬儀を行いたいという希望がご家族にある場合、一般的な葬儀や家族葬を行うことも可能です。菩提寺があるご家庭ですと、読経をしてくれる僧侶へのお布施が必要になります。
生前葬を行う時は、亡くなった後の供養の内容や、費用についても考えておくようにしましょう。
花葬儀では、火葬プランや家族葬プランもございます。24時間365日お電話にて承っておりますので、ご不明な点がありましたらお気軽にお問合せください。
詳細はこちらをご確認ください。
8.生前葬の注意点は?
自分のお葬式は一度しかない大切な儀式です。ましてや、生前葬であれば自分自身も参加し見届けることができるため、気持ちよく終わらせたいものです。
そこで、こちらでは生前葬を検討するにあたっての注意点をご紹介します。
家族や親族の理解を得る
デメリットでも触れたように、生前葬はまだ一般的な葬儀ではありません。死亡する前から本人の葬儀を行うことに抵抗を感じたり、不快に思ったりする方もいるでしょう。そのため、家族や親族の理解を最初に得ることが何よりも大切です。
生前葬を行いたい理由、行う意義を説明し、おおよその費用と死後の段取りについて相談し、疑問や不満がお互いに残らないよう努めましょう。
亡くなったあとの葬儀についても話し合っておく
本人が望まなくても、本人の死後、葬儀を行いたい事情がご家族にあるかもしれません。また、葬儀は行わなくても火葬だけは必要ですので、亡くなった後の供養方法については入念に話し合っておきましょう。
案内状には会費、香典、ドレスコードに関する案内を入れる
参列者への案内状にも注意が必要です。生前葬ではほとんどのケースで香典の代わりに会費制となり、服装も喪服ではなく、男性ならスーツ、女性ならワンピースやアンサンブルなどの平服で参列するのが一般的といえます。
そのため、招待状には日時や場所などの基本的情報の他、会費制であること、香典は辞退すること、服装の注意点などについて分かりやすく記載するようにしましょう。
9.生前葬を行った有名人たち
有名人が生前葬を行うとニュースになることが多いため、耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。ここでは、実際に生前葬をした有名人と、その内容や理由についてご紹介します。
アントニオ猪木氏
日本プロレス界において大きな役割を果たしたアントニオ猪木氏は、74歳の時に両国国技館のリングの上で生前葬を行いました。自身の現役引退を経て、ひとつの区切りとしての式でしたが、歌を歌い、力強いパフォーマンスをし、大勢のファンと一緒に盛り上がったそうです。
桑田佳祐氏
リニューアルとして一度死んでもらい、新生として生まれ変わってもらうというユニークな意図のもと、「桑田佳祐追悼特別番組」としてテレビ放映されました。当時まだ53歳という若さだったこと、番組での演出に行きすぎがあり本物の葬儀であるとの誤解が生じたこと、生前葬への理解が不十分だったことから、テレビ局には苦情が殺到したそうです。
コマツ株式会社元社長 安崎暁氏
自身ががんにかかり、「余命を整理する時間にあてたい」という理由から、関係者約1000人を招き、生前葬を行いました。
延命治療は行わず、残りの人生の過ごし方を自分の好きなように選択する安崎氏の終活に、多くの人が感銘を受けたそうです。
その他の、生前葬をした有名人の一部をご紹介します。
・ビートたけし氏
・カンニング竹山氏
・SMAP
・大橋巨泉氏など
生前葬を行う動機は、「ご自身の人生の区切りとして」「テレビ番組の企画として」「現役引退の節目として」「残された余命を有意義に過ごすため」など、人によって様々なようです。
10.ご家族や周りの理解を得て、自分色の生前葬を!
「葬」という言葉には暗く、悲しいイメージがありますが、ご本人が主催する生前葬は一般的な葬儀より明るく、にぎやかな雰囲気になることが多いでしょう。「生きている間にお世話になった人たちへ感謝の思いを伝えること」が、生前葬の最大のメリットともいえます。
生前葬は、現在においてはまだ一般的とはいえない葬儀ですが、それを望むご本人にとってはメリットが多い葬儀であるといえます。ご遺族・ご親族が納得されるよう、事前にしっかり話し合い、理解を得た上で自分らしい生前葬をプロデュースしてみませんか?
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