社葬のお香典は誰の収入?香典返しの費用は誰がもつの?
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- 【 葬儀の種類 】
「社葬のお香典は誰の収入になるのか」など、社葬を行う際には疑問に思うことも多いものです。
社葬は一般葬や家族葬などの個人葬とは異なり、会社が進行する葬儀ですから、特に経理にかかわるお香典の疑問は前もって解消しておくとよいでしょう。
そこで、この記事では、会社側と遺族側のどちらがお香典を受け取るべきなのか、受け取ったお香典は課税対象になるのか、さらに社葬の香典返しは誰がするのかなど、社葬のお香典の取り扱いについて詳しく解説します。
【もくじ】
1.社葬とは?
社葬(広義)とは、会社の創業者や現役の会社の要職者といった会社において多大なる貢献をした人などが亡くなったとき、あるいは業務中の事故などで社員が殉職したときに、会社が主体となって執り行う葬儀のことをいいます。
社葬には、密葬後に会社が主体となって行う「社葬(狭義)」、会社とご遺族が合同で行う「合同葬」、宗教色が薄く自由な形の「お別れ会・お別れの会」といった3つの種類があります。
故人様のご遺族や知人だけではなく、故人様と面識がない取引先などの会社関係の人も参列するので一般的に規模が大きくなります。
また、通常、個人葬ではご遺族が喪主と施主を兼任しますが、広義の社葬では施主は会社が担います(喪主は社葬の種類ごとに異なる)。そのため、狭義の社葬では葬儀費用の全額を、合同葬では全額あるいは一部を、施主である会社が負担します。
*社葬の種類や社葬の流れ、社葬の費用やマナーについて詳しく知りたい方はこちらを参考になさってください。
https://www.hana-sougi.com/blog/shasou/
2.社葬費用は経費になるの?
前述のとおり、社葬(広義)では通常、葬儀費用の一部あるいは全額を会社が負担します。その場合、会社は社葬にかかった費用を福利厚生費として損金算入することができます。つまり社葬の費用は経費として計上でき、その分、納税額が低くなるわけです。
ただし、担った葬儀費用の全額が損金として認められるわけではなく、社会通念上妥当と考えられる範囲に限られており、損金計上できる項目とできない項目があります。
たとえば、火葬や納骨などの費用、社葬の会場費、参加者の飲食費、案内状の作成・送付にかかった広告費などは社葬の経費として認められ損金計上できます。
一方で、墓地や墓石の購入費、戒名料、香典返しの費用、初七日法要の費用などは損金計上できません。ここで注目すべきは、香典返しの費用は損金計上できない点でしょう。
*社葬の経費の損金算入について詳しく知りたい方は、社葬の損金算入の範囲や必要な手続きについて解説している下記のサイトを参考になさってください。
https://www.hana-sougi.com/blog/company_funeral-3/
3.社葬のお香典は誰が受け取るの?ご遺族のもの?会社のもの?
社葬では、会社またはご遺族のどちらがお香典を受け取っても問題ありません。ただ、ほとんどのケースでお香典はご遺族が受け取っています。
葬儀費用を負担する施主の会社がお香典を受け取るのが普通だと思う方もいるかもしれませんが、お香典は「近隣縁者の相互扶助という目的のためのものである」という考え方があります。そのため、お香典を近隣縁者ではない会社が受け取るのは、お香典の本来の趣旨からはずれるので、一般的には遺族が受け取るのが妥当だとされているのです。
また、会社がお香典を受け取ると会社の評価が下がる恐れもありますから、社葬におけるお香典は亡くなった方のご遺族が受け取るほうが無難でしょう。
4.社葬のお香典を遺族が受け取ったらどうなるの?
社葬におけるお香典を施主である会社の収入とせず、ご遺族の収入にできることは国税庁も認めるところです。
社葬のお香典をご遺族が受け取った場合には、社会的に常識的な範囲の金額であれば、相続税や贈与税の対象にはなりません。ただし、常識を超えた高額である場合には贈与税がかかるので注意しましょう。
5.社葬のお香典を会社の収入にしたらどうなるの?
社葬のお香典を会社が受け取った場合は「雑収入」として税務処理することになり、その金額は課税の対象となります。つまり、ご遺族がお香典を受け取った場合は課税の対象にはなりませんが、会社がお香典を受け取った場合は課税されるということです。
社葬においては前もってお香典を辞退する旨を案内状に明記したり、会社がお香典を受け取らずにご遺族にお渡ししたりするのは、会社がご遺族に配慮してのことでもありますが、会社がお香典を受け取った場合は課税対象となる上に、香典返しの費用を葬儀の費用と同様に福利厚生費として損金計上できないからでもあります。
会社がお香典を受け取ると、かえって損になってしまうケースも考えられるのです。
6.社葬の香典返しは誰がするの?ご遺族?会社?
社葬での香典返しは、ご遺族がするのか、あるいは会社がするのか。どちらがするほうがよいのかについて説明します。
香典返しはご遺族がする
香典返しはお香典をいただいたことに対してお礼の気持ちを込めて贈られるものですから、当然、お香典をご遺族が受け取った場合は、ご遺族が香典返しをします。また、香典返しをする際の送り主の名前も、ご遺族のものになります。
会社が香典返しをしたらどうなる?
会社が香典返しをするケースはゼロではありません。ただし、ご遺族がお香典を受け取って会社が香典返しをした場合は、ご遺族が受け取ったお香典が課税対象となり贈与税がかかってしまいます。
このように会社が香典返しをすると、ご遺族が受け取ったお香典に贈与税がかかってしまう点も、お香典のやり取りに会社が関与しないことが一般的になっている理由のひとつです。
7.社葬の香典返しの「のし紙」は?
現在、贈答品の表にかける紙のことを、広い意味で「のし紙」といわれることが多いですが、正確には慶事用に使われる紙が「のし紙」であり、社葬の香典返しのような弔事用には「掛け紙」が使われます。
ここでは、のし紙と掛け紙の違い、および掛け紙に書く内容について解説します。
「のし」のついていない「掛け紙」を使う
社葬の香典返しの「のし紙」は、ご遺族が香典返しをすることが多いので、一般的な香典返しのケースと同様に考えてよいでしょう。
「のし」とは、祝儀袋の右上にある飾りのことをさし、お祝い事に関する贈り物に添えられるものです。したがって不祝儀である香典返しでは、正確には「のし」のついていない「掛け紙」を使います。
「掛け紙」の種類は地域や宗派によっても異なりますが、通常、香典返しに用いられる「黒白結び切り」あるいは「黄白結び切り」の水引きがついた「掛け紙」を使用します。
掛け紙に書く内容
社葬のお香典の「掛け紙」に書く内容をご紹介します。
水引きの上に「志」(四十九日を過ぎた忌明けであれば「満中陰志(まんちゅういんし)」「忌明志(きあけこころざし)」とすることもあります)と書き、下にご遺族の苗字(「苗字+家」とする場合もあります)を書きます。
8.「社葬のお香典」は遺族の収入とするのが基本
社葬のお香典は、ご遺族が受け取るのが一般的です。社葬においてお香典をご遺族が受け取った場合は課税されませんが、会社が受け取ると課税されることが主な理由といえるでしょう。また、香典返しは、社葬であってもお香典を受け取った者が行うのが基本です。
社葬は企業にとって大事な行事のひとつですから、このような「経理にかかわるお香典に関する知識」を身に付けておくことは、社葬を執り行う立場にいる人にとってとても大切なことではないでしょうか。
企業として責任をもって社葬を執り行うためにもしっかりと身に付けておきましょう。
花葬儀では、これまでに多くの社葬を執り行っております。ご不明な点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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