葬儀場で宿泊はできる?現代の宿泊事情や費用、準備品も解説

葬儀場で宿泊はできる?現代の宿泊事情や費用、準備品も解説

葬儀場で宿泊ができるのかどうかをインターネットで調べてみると、宿泊不可としている葬儀場が多いのが実情ではありますが、中には「宿泊可」「仮宿泊可」の葬儀場も存在します。

「親族は宿泊しなければならないのではないか?」という疑問をお持ちの方や、「故人様のそばで過ごしたい」「遠方から来ているから」などの理由で宿泊できる葬儀場を探していらっしゃる方のために、現代の葬儀場の宿泊事情、「宿泊」と「仮宿泊」の違いについて解説します。通夜のスタイルの変化や葬儀場で一夜を過ごす際の準備品などについてもご紹介しますので参考になさってください。

1.葬儀場は宿泊施設ではないが仮宿泊(仮眠)はOK

葬儀場は宿泊施設ではないが仮宿泊(仮眠)はOK

さまざまな事情により、葬儀場に宿泊を希望されるケースがあります。しかし、どの葬儀場においても宿泊できるとは限りません。そこで、ここではそもそも葬儀場で宿泊できるのかどうかについて、具体的に解説します。

葬儀場は旅館業許可がないため宿泊施設ではない

「旅館業法」には、次のような文言があります。

旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)

第三条1
旅館業を営もうとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。)の許可を受けなければならない。

第四条1
営業者は、旅館業の施設について、換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない。

URL:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000138
参照元:旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)
(令和五年法律第五十二号による改正)

上記は旅館業を営むために必要な条件のほんの一部ですが、人を宿泊させるためには、この旅館業法の条項を満たし、許可を受ける必要があります。しかし、多くの葬儀場は、この許可をとっていないため、人を宿泊させることで宿泊料を得ることはできないのです。

仮宿泊(仮眠)は可能

宿泊施設としての営業はできませんが、単に「一晩を過ごす」という意味での「仮宿泊(仮眠)」ならば、旅館業の許可がなくても可能です。

したがって、葬儀場で「宿泊可能」と書かれている場合でも、その葬儀場が旅館業の許可をとっていない場合は、「仮宿泊」が可能な葬儀場であると理解しましょう。

宿泊可能と書かれていても設備はない

葬儀場のWebサイトなどに「宿泊可能」と書かれていたとしても、それらの多くは旅館業の許可をとっていない仮宿泊である可能性が高いと思われます。その場合、基本的には、お風呂やシャワーの設備はなく、寝具やドライヤー、アメニティグッズの用意がないのが通例です。

中には部屋に簡易のシャワーがついていたり、有料で寝具を貸し出していたりする葬儀場もあるかもしれませんが、一般的には、旅館やホテルなどの宿泊施設に必ず置いてある備品やアメニティグッズは用意されていないものと考えておきましょう。

なお、花葬儀の「斎場検索ページ」においては、一都三県にある葬儀場の詳細情報(宿泊に関する情報を含む)をご提供しております。お探しの地域から斎場を探すことができますので、ぜひご利用ください。

2.葬儀場に宿泊する理由

葬儀場での宿泊(仮宿泊を含む)を希望する場合、どのようなケースが考えられるのか、いくつかご紹介します。

かつては「夜伽(よとぎ)/寝ずの番」という習慣があった

通夜の晩に故人様に夜通し付き添うことを「夜伽(よとぎ)」もしくは「寝ずの番」と呼び、かつては通夜では当たり前の習慣でした。

夜伽は、医学が発達していない時代に、「故人様が息を吹き返さないかどうかを確認するために夜通し見守ったことが始まりである」との説があります。また、夜伽では、線香やろうそくの灯りを絶やさないようにしますが、それらが極楽浄土への道しるべとなった、あるいは、線香やろうそくの煙がご遺体のにおいを和らげる役割があったともいわれています。

しかし、最近では線香やろうそくが改良されてきています。10時間以上持つ渦巻きの形をした線香や24時間灯し続けるろうそくなどが登場しているため、夜伽の習慣そのものが少なくなってきているようです。

最期の別れの時間をできるだけ近くで過ごしたい

大切な方を亡くして悲嘆に暮れるご遺族の中には、最期のお別れの瞬間まで、できるだけ故人様の近くで過ごしたいと考える方もいらっしゃいます。

故人様が安置されている葬儀場に宿泊することができれば、この思いを実現することができるでしょう。

遠方から参列するご親族の宿泊施設として使用したい

遠方から参列されるご親族や参列者がいる場合、宿泊施設を用意しなければならないこともあるでしょう。特に高齢者がいる場合は、宿泊施設から通夜・葬儀会場までの移動時間が少ない宿泊先を希望されるようです。その場合は、葬儀場での宿泊を検討されるケースが多いでしょう。

3.葬儀場での宿泊が減少した事情

かつては、自宅はもちろん、葬儀場でも宿泊(仮宿泊を含む)をしている人がいましたが、近年では減少傾向にあります。
ここでは、葬儀場での宿泊が減少した事情をご説明します。

通夜に「寝ずの番」をしなくてもよくなった

前述したように、近年では通夜の晩に夜通し故人様を見守る習慣は見られなくなりました。

大きな理由としては、住宅事情により葬儀を自宅ではなく、葬儀場で行うようになったことが挙げられます。安置についても葬儀場や安置施設で故人様を預かってもらうことになるため、夜通し見守る必要性がなくなったのです。

また、以前、通夜は深夜まで行われていましたが、夜の数時間で散会する「半通夜」を営むケースが一般的になったことも、葬儀場で宿泊する人が減っていった一因といえます。

その他、防災上、夜通し火をつけておくのは危ない(たとえば、東京都では、消防法によって9時にはろうそくの火を消さなければならない)ことで「寝ずの番」ができないことも理由のひとつといえるでしょう。

そもそも故人様のそばでは過ごせない

先に、ご遺族が葬儀場で宿泊する理由として「最期の別れの時間をできるだけ近くで過ごしたい」との思いがあることを挙げました。しかし、葬儀場で通夜・葬儀を行う場合には、葬儀場の霊安室(安置室)、もしくは民間の安置施設で故人様を安置することになります。

この場合、閉館時間や面会時間が限られていることから、そもそも深夜に面会ができないというルールになっていることも多いのです。

葬儀場に泊まっても故人様のそばで過ごすことはできないことから、葬儀場で宿泊する人が減っているといえるでしょう。

安置場所の種類については「安置とは?期間や費用、場所ごとのメリット・デメリットを解説」の記事を参考になさってください。

通夜の翌日の葬儀が少なくなった

地域によって事情はかなり異なりますが、少なくとも関東、特に東京周辺の地域では、通夜の翌日に葬儀をすることが少なくなっています。

葬儀社を決めた後、葬儀場や葬儀の形式などについて相談し、案内状を配布するのに時間を要すため、通夜から数日後に葬儀をするケースが増えているからです。

葬儀が通夜の翌日であれば、そのまま斎場に宿泊した方が移動時間を削減できることから体への負担を軽減できることもあるでしょう。しかし、数日あいてしまう場合は、寝不足などの体調を整えるためにも、葬儀場に宿泊せずに自宅に帰宅する選択をする人が多くなっているといえます。

4.葬儀場での仮宿泊(仮眠)の費用

葬儀場での仮宿泊(仮眠)の費用

葬儀場で宿泊や仮宿泊をする際に、いくらくらいの費用が必要なのか、解説します。

仮宿泊、仮眠の場合は無料

一般的に、葬儀場の仮眠室などを利用するための費用は無料であり、葬儀場の使用料に含まれています。

また、仮眠に使用する寝具などは、有料で貸し出している葬儀場もありますから、葬儀場で仮宿泊をする場合は、どのようなサービスがあるのかを確認するとよいでしょう。

なお、花葬儀では、仮宿泊する葬儀場で寝具の貸し出しをしていない場合、近隣の布団会社にて寝具の手配をいたします。どうぞ、お気軽にご相談ください。

宿泊施設を持った葬儀場の場合は有料

葬儀場としてだけではなく、旅館業の営業許可を取得し、宿泊施設としても営業している葬儀場もあります。このような葬儀場の宿泊施設を利用した場合には、通常の旅館やホテルと同様にベッドやお風呂があり、歯ブラシ、シャンプーなどが常備されていることもあるでしょう。この場合は、葬儀場の使用料とは別にホテルと同程度の宿泊料金が発生します。

5.葬儀場での仮宿泊で準備するもの

旅館業の営業許可を取得していない葬儀場では、一般的に十分な設備や備品は望めないと考えられます。そこで、葬儀場で仮宿泊する場合に準備しておいたほうがよいものをご紹介します。

数珠とお香典

翌日に葬儀を控えている場合、数珠を持って参列されることも多いでしょう。そのため、葬儀場に仮宿泊する際には数珠を忘れないようにしましょう。

また、お香典も忘れずに持参します。葬儀当日は慌ただしい状況が続くため、不祝儀袋にお金を入れたり、氏名を書いたりする余裕がないかもしれません。そのため、すぐに渡せる状態にした上で、汚れないよう袱紗(ふくさ)に包んでおくとよいでしょう。

着替え

仮眠を取ったとしても、喪服を着たままでは体を十分に休ませることはできません。喪服がしわになってしまうと葬儀にも差し支えるでしょう。そのため、葬儀場で仮宿泊する場合は、リラックスできる着替えを用意することをおすすめします。

また、替えの下着や靴下(女性は黒のストッキング)なども準備しましょう。

アメニティグッズ

葬儀場で仮宿泊する際には、必要な備品が揃っていないことが多くあります。そこで、歯磨き道具、洗顔料、タオルなど、必要最低限のアメニティグッズを準備します。

また、男性なら髭剃り、女性ならメイク道具も必要に応じて準備しましょう。

6.ホテルなど宿泊施設を手配したほうがよい場合

ホテルなど宿泊施設を手配したほうがよい場合

葬儀場に仮宿泊できる施設があったとしても、喪主様がホテルなどの宿泊施設を手配したほうがよい場合があります。具体的なケースを2つご紹介します。

遠方から参列する方がいる場合

遠方から参列されるご親族は、葬儀場付近の土地勘がないケースも多いものです。そのため、喪主様やご家族がホテルの紹介や手配を行うと、ご親族も安心して葬儀に参列できるでしょう。

ご高齢のご親族がいる場合

ご高齢のご親族がいらっしゃる場合は、故人様を亡くされた悲しみによる精神的なストレスや長時間の外出による体力的な負担が及ぼす体調への影響に配慮する必要があります。そこで、「宿泊したほうがご高齢のご親族にゆっくり休んでもらえる」という場合は、喪主様やご家族が葬儀場の近隣のホテルを手配されることおすすめします。

花葬儀では、宿泊施設をお探しの方に対し、葬儀場から交通アクセスのよいホテルなどをお探し、ご提案しています。喪主様やご家族に、ホテルを手配する時間的・体力的余裕がない場合には、花葬儀にお任せください。

7.葬儀場に宿泊するかどうかは、ご家族の気持ちで決めましょう

最近は、葬儀場の霊安室や安置施設に故人様を安置する機会が増えたことから、特別な事情がない限り、葬儀場での仮宿泊は必須ではなくなってきています。

しかし、ご遺族の皆さまが、故人様の近くで少しでも長く過ごしたいという思いが強い場合は、宿泊や仮宿泊ができる葬儀場で通夜・葬儀を行うことも可能です。宿泊のできる葬儀場を選択されるかどうかは、故人様への思い、そしてご親族や参列者のご事情や葬儀場の環境などを踏まえて検討されてはいかがでしょうか?

花葬儀では、ご親族の皆さまで悔いのないお見送りが実現できるよう、葬儀場や近隣での宿泊手配なども行っております。葬儀に関することはもちろんのこと、葬儀前や葬儀後のお悩みやお困りごとなどのサポートが受けられるメンバーシップクラブ「リベントファミリー」もご用意しておりますので、お気軽にご連絡ください。

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