献花における花の種類は?意味や供花等との違い、具体的なやり方を解説

献花における花の種類は?意味や供花等との違い、具体的なやり方を解説

献花(けんか)を葬儀で行うことがあるのをご存じでしょうか。献花は、仏式葬儀における「お焼香」に相当する儀式ともいえますが、行う機会が少ないため、詳細を知らない方も多くいらっしゃいます。

そこで今回は、献花で使われる花の種類や、献花の流れなどについて、詳しく解説します。献花が行われる葬儀に参列される予定の方や、葬儀で献花を準備している方は、この記事を参考にしていただければ幸いです。

1.献花の意味や行う理由

こちらでは、献花の正しい意味や、献花を行う理由について解説します。

献花の意味

献花とは、献花台や祭壇、棺に対して生花を一人1本(もしくはひと束)ずつ手向ける行為、または手向ける花そのものを指します。

主にキリスト教式の葬儀で行われますが、最近では無宗教葬(宗教や宗派にとらわれない葬儀)でも見られるようになりました。また、お別れの会や慰霊祭、事故現場に献花台が設けられ、献花が行われる場合もあります。

献花は何のために行う?献花をする理由

献花は、参列者が故人様へお別れの気持ちを伝えるために行うものです。仏式のお焼香や、神式の玉串奉奠(たまぐしほうてん)のように、参列者一人ひとりが祭壇前に出て行います。

なお、献花やお焼香が故人様に対してお別れの気持ちを込めて行われるものに対して、玉串奉奠は故人様ではなく、神様に対して敬意を表すために行われるため、意味合いが異なります。

2.献花と間違いやすい「葬儀の花」の種類は?

葬儀で使用される花には、献花のほかに、供花や枕花など複数の種類があります。それぞれどのように異なるのか、詳しく見ていきましょう。

「葬儀の花」の種類一覧

まず、葬儀の花の種類について、一覧表にまとめましたのでご参照ください。

花の種類 意味・用途 備考
供花
(きょうか・くげ)
・祭壇や葬儀会場にお供えする花。
・ご親族や、参列できない故人様に近しい方が、葬儀会場に贈る。
かごに飾られたもの、スタンド型などさまざまな形態がある
枕花
(まくらばな)
・安置施設などで、安置した故人様の枕元に飾られる花。
・宗教によって異なる枕飾りと一緒に、故人様の枕元に飾られる。
棺を葬儀会場に移動した際には、別れ花として用いられることが多い。
花輪
(または花輪)
・葬儀会場の入口などにスタンドに付けて飾られる、大きなリング状の花。
・勤務先の会社などから贈られることが多い
供花の一種だが、供花は生花である一方、花輪は造花であることが多い。
別れ花
・故人様との最後のお別れの場で、参列者が手向ける花。
・棺の中の故人様の顔や体の周りに花を捧げて、最後のお別れをする。
別れ花のあとに、棺の蓋が閉められ、出棺となる。

いずれ場合も、花を受け取られるご遺族の事情や、宗教や宗派によって、好ましい花が異なる場合があります。そのため、花を贈る前には、まず葬儀社に相談することをおすすめします。

上に挙げたそれぞれの花の詳細や相場については、「葬儀の花を手配する方法と相場」で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

供花との違い

供花とは、葬儀の祭壇や葬儀会場にお供えする花を指します。故人様のご親族や、葬儀に参加できないご友人、お知り合いが、哀悼の意を込めて葬儀会場に贈ることが一般的です。

フラワーアレンジメントや脚が付いたスタンド型の花など、仕様はさまざまですが、通常、贈り主の名札が添えられます。

献花は故人様だけに対して贈られるものですが、供花は祭壇や葬儀会場を花で飾ることで、お悔やみの気持ちを表現します。

枕花との違い

枕花は、ご遺体を安置したときに、故人様の枕元に飾る花です。

枕花には「贈った人の代わりとなって故人様の枕元に寄り添う」という意味が込められています。

献花は葬儀において参列者全員が行うものですが、枕花は葬儀前に葬儀社が用意するか、または故人様と特に親しかった方々から贈られます。

花環との違い

花環とは供花の一種で、スタンドに付けた造花の花輪を指し、通常、葬儀会場の入口に飾られます。

個人が直接故人様に捧げる献花と異なり、花環は主に故人様や喪主の勤め先、取引があった企業などの団体から贈られます。

別れ花との違い

別れ花は、葬儀の終わりに故人の棺の中に参列者が花を手向ける儀式、またはその際に用いる花のことを指します。

3.献花で使われる花の種類に決まりはある?

献花には、白色やパステルカラーなど淡い色調のユリ、菊、カーネーションなどが選ばれることが多くあります。しかし、必ずしも白や落ち着いた色の花を選ばなければならないわけではありません。最近では、故人様が生前好んでいた色や、好きだった花の種類を献花として用いることも増えています。

4.献花としてよく使われる花の種類

献花の際によく使われる花の種類には、どのようなものがあるのでしょうか。また、逆に使用を控えたほうがよい花はあるのでしょうか。

献花で一般的によく使われる花の種類

ここからは、献花で一般的によく使われる花の種類や、それぞれの花の特徴を解説します。

ユリ

ユリ

キリスト教の葬儀の献花では、白いユリが多く用いられます。白いユリは、聖母マリアを象徴する花だとされているからです。また聖書の物語によれば、アダムとイブがエデンの楽園から追放された際、彼らが流した涙が地上に落ちてユリの花に変わったという伝承もあります。

ユリにはたくさんの種類があり、通念を通して手に入りやすいことから、献花として選ばれやすい傾向があります。

カーネーション

カーネーション

ユリ同様、キリスト教葬で献花としてよく使われます。イエス・キリストが十字架にかけられた際に、聖母マリアが流した涙の跡に咲いたとの逸話があり、キリスト教葬において人気があります。

また、白いカーネーションの花言葉は「亡き母を偲ぶ」であり、その意味からも献花として選ばれています。さまざまな種類があることから、年間を通して手に入りやすい花です。

デルフィニウム

デルフィニウム

デルフィニウムは、その清楚なたたずまいから「清明」という花言葉を持ちます。特に白や青のデルフィニウムがよく使われます。

また、「誰もがあなたを慰める」という意味の花言葉も持っており、大切な人を亡くされた方への贈り物としても好まれています。全国にある産地によって、1年中手に入れることが可能です。

トルコギキョウ

トルコギキョウ

トルコギキョウには「感謝」という花言葉があり、故人様への感謝の気持ちを表す献花として選ばれることが多くあります。

また、白いトルコギキョウは「永遠の愛」の象徴でもあるため、ウェディングシーンでもよく用いられますが、葬儀の献花として使用する方も多くいらっしゃいます。1年中入手しやすいのに加えて、夏の暑さに強く、日持ちがよいのが特徴です。

リンドウ

リンドウ

リンドウは、その凛とした美しさで知られ、日本では秋の象徴として親しまれている花です。特に秋のお彼岸の時期には、墓前にお供えする花として多くの方に選ばれています。

「あなたの悲しみに寄り添う」という花言葉があり、この意味から献花にも好まれる花となっています。市場には初夏から秋にかけて出回るため、この時期の葬儀や追悼の場で用いられます。

献花で控えたほうがよい花の種類は?

一部の花は、「献花には向かない」と一般的に考えられています。例えば、以下のような例が挙げられます。

・トゲのある花:持ったときにトゲで怪我をする危険がある
・茎が短い・茎がない花:献花する際に持ちにくい
・一輪咲きではない花:取り扱いが難しく、崩れやすい

ただし、弊社「花葬儀」では、既成概念や一般的な概念に縛られずに献花の準備を行います。故人様やご家族の意向を尊重することが、最優先であると考えているからです。

例えば、バラのようにトゲのある花であっても、あらかじめトゲを処理した花を使うため、献花としてお使いいただくことが可能です。

花葬儀における「献花で使う花の種類」について、次項よりさらに詳しくご説明いたします。

5.【花葬儀の場合】献花で使う花の種類

これまで一般的な献花で使用される花の種類について説明しましたが、次に、花葬儀での献花における花選びのポイントをご紹介します。

故人様やご家族がお好きな花

花葬儀では、例えば下記のように、既成概念にとらわれず、さまざまな花を献花に選んでもよいと考えています。

・故人様が好きだった花
・ご家族が故人様をお見送りするのによいと思われる花
・葬儀が行われる季節の花
・ご家族の思い入れのある花など

献花だけでなく、葬儀で通常避けるとされる赤や黒の花も、故人様の好みやご家族の意向を尊重し、使用することがあります。そうすることで、葬儀後もご家族が花を見るたびに、故人様を身近に感じられるでしょう。

故人様の生まれ月・旅立たれた季節の花

故人様の生まれ月の花を選ぶことは、故人様の一生や、共に過ごした時間を振り返るきっかけになります。故人様が生まれてきてくれたことへの感謝を表すことにもつながるはずです。

また、故人様が亡くなった季節の花を選ぶことで、旬の花特有の美しさを感じることができます。献花に使った花が季節を巡って咲くたびに、故人のことを偲び、共に過ごした貴重な時を思い出すことができるでしょう。

故人様のお人柄・趣味をイメージした花

人にはそれぞれ個性があるように、花にも独自の印象があります。故人様のお人柄や印象に合う花を献花として選ぶことで、献花の時間を通じて故人様を思い出すことができます。葬儀も、故人らしさが際立つものとなるはずです。

また、故人様の趣味にちなんだ花を選ぶこともあります。例えば、故人様がマリンスポーツがお好きであった場合には「海の青さを思わせる花」を、山歩きが趣味であった場合には「自然の野趣を感じさせる花」をご用意したこともあります。

6.献花の一般的なやり方・流れ

献花における花の種類について解説してきましたが、こちらでは、具体的な献花のやり方を順を追ってご紹介します。葬儀で戸惑うことのないよう、基本的な流れを理解しておきましょう。

  1. 1.献花する花を受け取る
  2. 葬儀スタッフから花を受け取ります。左手で花の根元を持ち、右手を花の下に軽く添えます。花を受け取り、左手で花の根元を持ち、右手を花の下に軽く添える。
  3. 2.献花台前で一礼し花の向きを変える
  4. 両手で花を持ち、献花台の前に進みます。祭壇の前に設けられた献花台の前で立ち止まり、一礼をします。持っている花を右回りに回転させて、花が自分側、根元が祭壇側になるように向きを変えます。持っている花を右回りに回転させて、花が自分側、根元が祭壇側になるように向きを変える
  5. 3.花を両手で支えて供える
  6. 花の首の部分を右手で軽く持ち、左手は花の茎の中央部分を下から支えて献花台に花を捧げます。一般的には、参列者から見て祭壇が美しく映るように、花の向きを自分側にして供えることが多いものです。しかし、故人様に花を喜んでもらうために、献花台のほうに花を向けてお供えするケースもあります。花の首の部分を右手で軽く持ち、左手は花の茎の中央部分を下から支えて献花台に花を捧げる
  7. 4.黙とうなどを行いご遺族に一礼
  8. 花をお供えした後、黙とうを行います。黙とうは、一般的にカトリックは十字を切り、プロテスタントは胸の前で手を組みます。しかし、ご自身がキリスト教徒でない場合は、両手を合わせるだけでもよいでしょう。黙とうを終えたら、祭壇に一礼をして献花台から離れます。その後、ご遺族や宗教者にもう一度一礼から、自分の席に戻ります。黙とうなどを行いご遺族に一礼する

7.献花をするときの注意点

献花をするときに注意するべきことについて、特に覚えておくとよいものを以下よりご紹介します。

葬儀での献花は用意されたものを使う

献花は、喪主様やご親族の意向に基づき、教会や葬儀社によって準備されます。故人様を偲ぶ花が選ばれるため、自分で花を持ち込まず、用意された花を使うようにしましょう。

ただし、交通事故などで設けられた献花台では、準備された花がないため、自分で用意した花を供えることとなります。

両手を使って行う

スタッフから手渡される花は、片手で受け取ることはマナー違反とされています。花は受け取る際には両手で持ち、故人様に捧げるときまで両手で持つ必要があります。献花台に花を置くときも、片手ではなく両手を使って行いましょう。

カバンなどは持たない

献花は両手で行うのがマナーですので、カバンやコートなどを手に持っていては行えません。

献花の際に荷物を置く台が設置されている場合は、カバンなどはその場所に置きます。荷物を置く台がないときは、座っていた席にカバンやコートを置いて献花台に進みます。どのような状況であっても、両手を空けて行うようにするとよいでしょう。

8.「故人様をしのぶ」気持ちを大切に献花の花の種類を考えましょう

献花の花は、白いユリやカーネーションなどが定番ですが、献花に使われる花に厳密な決まりはありません。伝統的なしきたりよりも、大切なのは花を使って「故人様に思いを届ける」ことです。

葬儀の喪主を勤める予定のある方は、故人様が好きだった花や、故人様との思い出の花を献花に使うことを、ぜひ選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

花葬儀では、献花に関するご相談や、故人らしさを葬儀でかなえるためのトータルなサポートをご提供しています。葬儀の事前相談においては、経験豊富なプランナーがご相談に応じておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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